【西武~野手強化で来季の上位進出を狙う】
昨季の最下位からの再起を目指したシーズン。前半は盤石な投手陣を中心に、新戦力のネビンやルーキー渡部聖弥(大商大~24年②)の活躍もあり僅差のゲームを物にしていたが、課題の打撃陣の調子が上がらず、5位でシーズンを終えた。
課題は明白で得点力のアップで、3年連続リーグ最小得点を改善したい、一方で、高橋光成(前橋育英高~14年①)や平良海馬(八重山商工高~17年④)はMLB移籍の可能性もあるだけに、投手力の底上げも必要だ。
【過去5年のチーム成績】
順位 勝敗 防御率(失点) 打率(得点) 本塁打 盗塁 失策
21年 6位 55勝70敗18分 3.94⑥(589⑥).239④(521⑤)112⑤ 84③ 65②
22年 3位 72勝68敗 3分 2.75①(448①).229⑥(464⑤)118① 60⑥ 86⑤
23年 5位 65勝77敗 1分 2,93②(465②).233⑤(435⑥) 90⑥ 80② 76③
24年 6位 49勝91敗 3分 3.02④(485③).212⑥(350⑥) 60⑥ 83④ 72④
25年 5位 63勝76敗 3分 3.01③(462③).232⑥(408⑥) 79④ 91③ 63②
【西武の補強ポイント】
投 手…即戦力のリリーバー
捕 手…年齢構成で大学生
内野手…即戦力のレギュラー候補
外野手…将来に向けて高校生(年齢構成でも必要)
◆投手
先発は今井を中心に高橋光、隅田知一郎(西日本工大~21年①)、渡邊勇太朗(浦澤学院高~18年②)に加え、今季は不調だったが武内夏暉(国学院大~23年①)も控え層は厚い。さらに先発希望の平良が加われば、リーグ屈指の先発陣になる。
課題はリリーフで、今季最多セーブの平良の去就や配置転換で大きく変わる。甲斐野央(東洋大~18年①)や山田陽翔(近江高~22年⑤)が活躍し、ウィンゲンターの来季残留も決まっているが、平井克典や水上由伸など実績のあるリリーバーが戦力外になっており質量ともに補強が必要だ。
将来のエース候補の19~22歳の若い投手は多く、山田のほかにも羽田慎之介(八王子高~21年④)、先発では菅井信也(山本学園高~21年育③)に杉山遥希(横浜高~23年②)、篠原響(福井工大福井高~24年⑤)など成長株が控えており、今季は即戦力に絞ったほうが良いと思う。
【来季の予想布陣】
先発…渡邉勇太朗 高橋光成 與座海人 隅田知一郎 武内夏暉 今井達也
上田大河 松本 航 杉山遥希 篠原 響 菅井信也
リリーフ…佐藤隼輔 甲斐野央 山田陽翔 羽田慎之介 ウィンゲンター 平良海馬
田村伊知郎 糸川亮太 黒木優太 黒田将矢 中村祐太 浜屋将太
即戦力リリーバーの上位候補では、堀越啓太(東北福祉大)と大川慈英(明大)がおり、、ともに大学時代からクローザーを務めている。また、競合必至の石垣元気(健大高崎高)も今年は救援を務めており、150キロを超えるストレートは将来的にも救援の素養は高い。ファームでは、イースタンで28セーブの上村知輝(オイシックス)や最速158キロの宮路悠良(くふうハヤテ)は実績もあり面白い存在だ。
リストアップされている選手では、中西聖輝(青学大)と市川祐(日大)はともに制球力が高くゲームメークに長けた先発候補。大学選手権日本一に貢献した櫻井頼之介(東北福祉大)は完投能力に長けた本格派右腕で、中西と櫻井は上位で消える可能性が高い。
石垣のほかの高校生では、早瀬朔(神村学園高)に松延響(鳥栖工高)、左腕の佐藤龍月(健大高崎高)がリストアップされており、投球能力の高い早瀬と松延は将来のエース候補、故障を克服して再起した佐藤は完成度が高く、プロでの出番は早いかもしれない。現段階では志望届を提出していないが、吉田大輝(金足農高)も候補に挙がっており、兄・吉田輝星(オリックス)に続けるか注目だ。
◆野手
捕手は古賀悠斗(中大~21年③)が正捕手を務めるが、20歳代中盤に選手が多いが伸び悩んでおり、その次となるとベテランの炭谷銀仁朗(平安高~05年①)になり、戦力的に厳しい。
内野は今季、一塁・ネビン、二塁・滝澤夏央(関根学園高~21年育②)、三塁・外崎修汰(富士大~14年③)、遊撃・源田壮亮(トヨタ自動車~16年③)が最多出場だが、規定打席に達したのはネビンだけで、外崎は後半は外野に廻っている。
外崎も源田もまだ衰える歳ではないが、今季のパフォーマンスでは物足りない。ただ二人を脅かすような若手が滝澤と山村崇嘉(東海大相模高~20年③)しかいないのは寂しく、即戦力の野手が何としてでも欲しい。
ここ数年レギュラー不在だった外野は、西川愛也(花咲徳栄高~17年②)に長谷川信哉(敦賀気比高~20年育②)、ルーキーの渡部聖が規定打席をクリアし一気に課題が解消された。このほか、平沼翔太(敦賀気比高~15年④)に蛭間拓哉(早大~22年①)も控えており補強を急ぐ必要はない。
【来季の予想布陣】
捕手…古賀悠斗 炭谷銀仁朗 柘植世那 牧野翔矢 古市 尊
内野…仲田慶介 児玉亮涼 斎藤大翔 外崎修汰 源田壮亮 ネビン 元山飛優
山村崇嘉 佐藤太陽 セデーニョ 中村剛也 滝澤夏央 村田怜音
外野…栗山 巧 渡部聖弥 蛭間拓哉 平沼翔太 古川雄大 西川愛也 長谷川信哉
仲三河優大
野手の優先課題は内野手で、立石正広(創価大)と松下歩叶(法大)、佐々木麟太郎(スタンフォード大)が上位候補でリストアップされている。立石と松下は補強ポイントにピッタリで、ともに二塁と三塁を守れ、加入すれば内野の布陣が一気に変わる。
打力優先なら捕手の小島大河(明大)も補強ポイントに合致し、小島はポジションが悩みどころだが、打つだけなら即戦力で立石や小島の加入は貧打解消の起爆剤になる。また、佐々木は日本人の最多本塁打がルーキー渡部の12本の現状を考えると、長距離砲としての期待値は高い。
このほかリストアップされている選手では遊撃手が多く、松川玲央(白鷗大)は堅守とスピードが売りのリードオフマンタイプ。U-18代表にも選出された今岡拓夢(神村学園高)は将来が期待できるスラッガー、新井唯斗(八王子高)と半田恵太(広島工大高)は走攻守三拍子揃った逸材だ。
捕手では先述した小島のほかに、萩原義輝(東芝)もリストアップされており、大学時代から本格的に捕手転向した選手で攻守に伸びしろがある。
【広島~世代交代が迫り、投打に層を厚くしたい】
過去5年の成績を見て分かるように、またBクラスが定位置になってしまった。改めて数字を見てみると投打に成績が安定せず、投手が良ければ打つほうが低迷、そしてその逆と…結局どんな野球を目指しているか分からない。
ドラフトを中心にチームづくりを進める広島だが、そのドラフトが機能していない。特にここ3年間は、大学生・社会人が多い指名になっているが、主力と呼べる選手は岡本駿(甲南大~24年③)くらいで、ドラフトの低迷が成績に反映している。
【過去5年のチーム成績】
順位 勝敗 防御率(失点) 打率(得点) 本塁打 盗塁 失策
21年 4位 63勝68敗12分 3.81⑤(589⑤).264①(557③)123④ 68③ 80⑤
22年 5位 66勝74敗 3分 3.54⑤(544④).257①(552②) 91④ 26⑥ 73④
23年 2位 74勝65敗 4分 3,20④(508⑤).246④(493⑤) 96④ 78② 82⑤
24年 4位 68勝70敗 5分 2.62③(419②).238⑥(415⑤) 52⑤ 66③ 66②
25年 5位 59勝79敗 5分 3.20⑤(497⑤).246③(441⑤) 71⑥ 57⑤ 75⑤
【広島の補強ポイント】
投 手…即戦力の先発と将来のエース候補
捕 手…年齢構成で高校生
内野手…二遊間の補強(左打ちの高校生・大学生)
外野手…即戦力と年齢構成で高校生は必須
◆投手
今季は森翔平(三菱重工ウエスト~21年②)が先発に定着したのが収穫だったが、今オフには大瀬良大地(九共大~13年①)が手術するなど不安要素は尽きない。常廣羽也斗(青学大~23年①)や高太一(大商大~23年②)、来季7年目の玉村昇悟(丹生高~19年⑥)が中心になることに期待したい。
リリーフは栗林良史(トヨタ自動車~20年①)が精彩を欠き、今季はクローザーを確立できないなか、森浦大輔(天理大~20年②)やハーンが結果を残した。今季も60試合に登板した島内颯太郎(九共大~18年②)のタフネス振りには脱帽しかなく、中崎翔太(日南学園高~10年⑥)の復活、ルーキー岡本の活躍など明るい材料はあるが、層の薄さは否めない。
【来季の予想布陣】
先発…大瀬良大地 森 翔平 森下暢仁 床田寛樹 高 太一 玉村昇悟
常廣羽也斗 佐藤柳之介 ドミンゲス 斎藤優汰 アドゥワ誠 遠藤淳志
リリーフ…森浦大輔 栗林良史 中崎翔太 塹江敦哉 島内颯太郎 岡本 駿 ハーン
大道温貴 滝田一希 高橋昂也 長谷部銀次 鈴木健矢 辻 大雅
即戦力の先発では、中西聖輝(青学大)や竹丸和幸(鷺宮製作所)の評判が全体的には高いが、広島がリストアップしている投手を見ると素材型が多い。斎藤汰直(亜大)や工藤泰己(北海学園大)、稲川竜汰(九共大)はいずれも150キロを超えるストレートが武器だが、即戦力と言うよりは1~2年後に期待がかかる選手になる。
即戦力という意味では、ストレートと変化球のコンビネーションに秀でる毛利海大(明大)、大学選手権日本一の主戦・櫻井頼之介(東北福祉大)を上位で指名し、素材型の選手を2位以降で指名しても良いと思う。また、遠藤慎也(日本新薬)は先発も救援もできるマルチ型で、広島にフィットしそうな気がする。
高校生では石垣元気(健大高崎高)と森陽樹(大阪桐蔭高)が上位候補に挙がり、ともに将来のエースとしての素養は十分で、敢然と斎藤優汰(苫小牧中央高~22年①)を指名した広島らしいドラフトにも期待したい。
このほか、佐藤龍月(健大高崎高)に奥村頼人(横浜高)、水野匠登(岐阜一高)、宇佐見球児(西条高)等、高校生左腕がリストアップされ、奥村と水野は打者としての評価も高い。
◆野手
捕手は今季は打撃が不振だったが、正捕手で坂倉将吾(日大三高~16年④)がおり、同い年の石原貴規(天理大~19年⑤)やベテランの曾澤翼(水戸短大高~06年③)が控えるが、坂倉に続く若手が育っていない。
内野は一塁・モンテロ、二塁・菊地涼介(中京学院大~11年②)、三塁・小園海斗(報徳学園高~18年①)、遊撃・矢野雅哉(亜大~20年⑥)が主戦で、小園が7年目にして首位打者を獲得した。ただ、菊地も来季36歳を迎え、超人的な守備を誇る矢野も打率2割前半では厳しく、二遊間の再編も来季の課題になる。
外野は新加入のファビアンの活躍が大きく、末包昇大(大阪ガス~21年⑥)も規定打席に達した。中村奨成(広陵高~17年①)が自己最多の9本塁打、大盛穂(静岡産大~18年育①)もキャリアハイの成績を残すなど世代交代の兆しが見えた。
【来季の予想布陣】
捕手…曾澤 翼 坂倉将吾 石原貴規 清水叶人
内野…羽月隆太郎 矢野雅哉 小園海斗 堂林翔太 佐々木泰 菊地涼介 前川誠太
モンテロ 二俣翔一
外野…秋山翔吾 野間峻祥 末包昇大 大盛 穂 田村俊介 ファビアン 中村奨成
野手はいずれも課題が多いが、短期的に見れば外野手→内野手→捕手の順になる。特に外野は実績のある秋山翔吾(八戸大~10年西③)や野間峻祥(中部学院大~14年①)が揃って成績を落としており心配だ。
上位候補で俊足巧打の野間翔一郎(近大)の名前が挙がるが、個人的には平川蓮(仙台大)とエドポロ・ケイン(大院大)を推したい。平川は大学で野手に転向したスイッチヒッターで左右で長打を打てるのが魅力。、エドポロ・ケインは打撃や走塁に粗さはあるが身体能力の高さは抜群で、化ければリーグを代表する選手になれる。このほか、高卒3年目の田中多聞(JFE西日本)は、俊足巧打のリードオフマンで、高校時代から広島がマークしていた。
内野手は当然、立石正広(創価大)と松下歩叶(法大)が上位候補に挙がるが、昨年同じ右のスラッガーで佐々木泰(青学大~24年①)を指名し、二俣翔一(磐田東高~20年育①)も成長著しく敢えて1位の枠を使う必要はない。
将来を見据えて高校生では、走攻守三拍子揃った遊撃手の新井唯斗(八王子高)や大橋令和(オイスカ浜松国際高)の評価が高いが、いずれも右打ちで、出来れば左打ちで地元の半田恵太(広島工大高)を推したい。大学生では小型ながら鉄壁の二塁守備を誇る勝田成(近大)は、歴史的にもチームが育成を得意にしているタイプでチームにフィットすると思う。
捕手は萩原義輝(東芝)がリストアップされているが、年齢構成的にも高校生が必要で、大栄利哉(学法石川高)や池上健太(新発田農高)など打てる捕手を狙っても良いと思う。
【指名シミュレーション】
【西 武】 【広 島】
1位~立石正広(創価大・内野手) 石垣元気(健大高崎高・投手)
2位~佐々木麟太郎(スタンフォード大・内野手) 平川 蓮(仙台大・外野手)
3位~市川 祐(日大・投手) 櫻井頼之介(東北福祉大・投手)
4位~今岡拓夢(神村学園高・内野手) 半田恵太(広島工大高・内野手)
5位~萩原義輝(東芝・捕手) 稲川竜汰(九共大・投手)
6位~松延 響(鳥栖工高・投手) 田中多聞(JFE西日本・外野手)