【中日~戦力の整備が進むなか育成か?即戦力か?】
シーズン前は優勝のダークホースとして期待されていたが、開幕から下位に沈み優勝争いに加わることができなかった。ただ、チーム防御率はリーグ3位、チーム打率は高くないものの、ホームランウイングの設置で本塁打数はリーグ2位、失策数もリーグ最小と翌シーズンに向け期待が持てる布陣が揃ってきている。
直近5年のドラフトでは、大学生と社会人中心の指名(31名中22名)で、ドラフト1位も5年連続で大学生と即戦力偏重の指名が、どのように変わるか注目したい。
【過去5年のチーム成績】
順位 勝敗 防御率(失点) 打率(得点) 本塁打 盗塁 失策
22年 6位 66勝75敗2分 3.28②(495②).247④(414⑥) 62⑥ 66④ 66②
23年 6位 56勝82敗5分 3,08②(498③).234⑥(390⑥) 71⑥ 36⑤ 79④
24年 6位 60勝75敗8分 2.99④(478④).243③(373⑥) 68④ 40⑥ 68③
25年 4位 63勝78敗2分 2.97④(463④).232⑥(403⑥) 83⑤ 80② 65②
26年 5位 54勝72敗2分 3.24③(439③).228⑤(426⑤)108② 47⑥ 53①
【中日の補強ポイント】
投 手…将来のエース候補で高校生、即戦力の左の先発とリリーバー
捕 手…即戦力の大学生と年齢構成で高校生
内野手…年齢構成で高校生 ※将来の中軸候補
外野手…即戦力の社会人
◆投手
今季はともに勝ち星には恵まれていないが、高橋宏斗(中京大中京高~20年①)と金丸夢斗(関大~24年①)が若き左右のエースとしてチームの中心になり、ベテランの柳裕也(明大~16年①)も健在で、月間MVPを獲得したマラーも残留すれば先発の駒は揃っている。
ルーキーイヤーはともに2勝、防御率5点台で苦戦したが中西聖輝(青学大~25年①)と櫻井頼之介(東北福祉大~25年②)の成長や清水達也(花咲徳栄高~17年④)の先発転向も期待でき、来季39歳の大野雄大(佛教大~10年①)や41歳の涌井秀章(横浜高~04年西①)の後継が育ってきている。
リリーフは一時離脱するも27セーブの松山晋也(八戸学院大~22年育①)は盤石だが、長年チームを支えた藤嶋健人(東邦高~16年⑤)や橋本侑樹(大商大~19年②)の主戦がいずれも成績を落としているなか、吉田聖弥(西濃運輸~23年②)以外に台頭する選手が見当たらず、若手が伸び悩んでいる状況に変わりはないい。
【来季の予想布陣】
先発…柳 裕也 高橋宏斗 涌井秀章 金丸夢斗 大野雄大 マラー
中西聖輝 櫻井頼之介 仲地礼亜 松葉貴大 清水達也 三浦瑞樹
リリーフ…橋本侑樹 吉田聖弥 藤嶋健人 斎藤綱記 牧野憲伸 松山晋也
草加 勝 根尾 昂 伊藤茉央 杉浦稔大 篠崎国忠 森 博人 メヒア
先ず先発候補として、将来のエース候補が欲しい。織田翔希(横浜高)や菰田陽生(山梨学院高)は1位競合が必至だが、織田も菰田もそうそうと出てくる選手ではないので、競合覚悟で獲得を目指して欲しい。そのほか、今夏評価を上げた前田侑大(高岡一高)に平田玲翔(大分商高)、甲子園優勝投手の末吉良丞(沖縄尚学高)や杉本真滉(智弁学園高)など、素質ある高校生を涌井や大野が現役のうちに獲得~育成したい。
即戦力でいくなら、金丸に続く先発左腕が欲しく、有馬伽久(立命大)や米沢友翔(関大)、樋口新(王子)が候補になり、米沢は将来性への期待になるが、世代ナンバーワン左腕の有馬、ゲームメークに長けた樋口は紛れもない即戦力だ。また、リリーフは即戦力が欲しく、スタミナ十分の仲井慎(駒大)はチームにフィットすると思う。
高校生では、他球団からも評価の高い岡本翔斗(香里丘高)に藤井悠貴(新宮高)、川島謙心(龍谷大平安高)、左腕の亀田優次郎(山村学園高)も候補に挙がる。隠し玉ではないが、加賀田蒼介(履正社高)に松岡史穏(雪谷高)、左腕の寺田京佑(磐田農高)もリストアップされ、岡本と亀田、松岡はプロ志望届を提出済だ。
大学生では鈴木泰成(青学大)が上位候補に挙げられているが、中西に櫻井、仲地礼亜(沖縄大~22年①)もいるなか、右腕でいくなら高校生の方が良い。有馬と米沢以外の大学生左腕では、斎藤蓉(立大)と孫俊郎(岐阜聖徳大)への評価が高く、即戦力左腕を上位で指名できなかった場合、下位で確実に獲得したい。
◆野手
捕手は2年目の石伊雄太(日本生命~24年④)がレギュラーを掴み、ベテランの木下拓哉(トヨタ自動車~15年③)と加藤匠馬(青学大~14年⑤)が控えるが、木下は36歳、加藤も35歳を迎えるが若手の突き上げが不足している。
内野は一塁・サノー、二塁・田中幹也(亜大~22年⑥)、三塁・石川昂弥(東邦高~19年①)、遊撃の村松開人(明大~22年②)が最多出場を果たし、同い年の石川と村松の成長は来季への期待十分だ。ケガで離脱したが福永裕基(日本新薬~22年⑦)も健在で、内野の陣容は固まりつつある。
外野は細川成也(明秀日立高~16年D⑤)がホームランウイングの効果もあり、チーム最多の21本塁打を放ち、サノーと石川も2桁本塁打を放った。岡林勇希(菰野高~19年⑤)と上林誠知(仙台育英高~13年ソ④)の離脱は痛かったが、鵜飼航丞(駒大~21年②)とルーキーの花田旭(東洋大~25年⑥)がその穴を埋めた。
【来季の予想布陣】
捕手…石伊雄太 木下拓哉 味谷大誠 加藤匠馬
内野…辻本倫太郎 田中幹也 高橋周平 村松開人 福永裕基 サノー 石川昂弥
森 駿太 土田龍空 阿部寿樹 板山祐太郎 ロドリゲス
外野…岡林勇希 ボスラー 上林誠知 花田 旭 細川成也 鵜飼航丞
野手では捕手の渡部海(青学大)、外野手の藤澤涼介(東京ガス)と柴崎聖人(王子)が上位候補に挙げられている。藤澤は広角に長打が打てるスラッガーだが、機動力も使え、柴崎は走攻守揃った巧打者で、タイプは違うがともにチームの不足している外野のピースを埋めることができる。
高校生野手では堅守の遊撃手・池田聖摩(横浜高)、菰田と同じ二刀流の保西雅則(日本航空石川高)、将来はトリプルスリーも狙える牟禮翔(九州国際大高)が上位候補にリストアップされており、来季からDH制が導入されることを考えると菰田や保西は個人的に面白いと思う。
ポジション別で見ると、捕手は渡部が上位候補に挙げられているが、石伊がレギュラーとして確立しているなか優先順位は高くない。一方で味谷大誠(花咲徳栄高~21年④)から下の世代がおらず、高校ナンバーワン捕手の呼び声もある後藤幸樹(沼津商高)は将来の正捕手候補で獲得したい。
内野手は補強の優先順位は高くないが、候補の多い外野手の層を厚くしたい。藤澤と柴崎のほかには、中津大和(日本生命)の評価も高く、柴崎を獲得できなければ中津へシフトすることは十分に考えられる。同じリードオフマンでは岡田光平(大工大)も候補に挙がり、指名されれば大工大初の指名になる。高校生では牟禮のほかに、甲子園でも活躍した田山纏(仙台育英高)、中央では無名だが嶋武仁(北越高)と池本優司(岡山学芸館高)のスラッガーがリストアップされている。
【楽天~チームの土台を創る長期戦略が必要】
この間ドラフトを見て、どういったチームを目指しているか分からなかった。早川隆久(早大~20年①)や荘司康誠(立大~22年①)、宗山塁(明大~24年①)を獲得できたクジ運の強さと、過去の積極的なFA選手獲得で乗り切ってきたが、方針の見えない補強戦略と、岸孝之(東北学院大~06年西希望)や浅村栄斗(大阪桐蔭高~08年西③)のFA選手も衰えが見え始め、もはやお家芸とも言える監督交代劇などもあり、今季は断トツ最下位に沈み、これまでのツケがまわってきたと言える。
【過去5年のチーム成績】
順位 勝敗 防御率(失点) 打率(得点) 本塁打 盗塁 失策
22年 4位 69勝73敗1分 3.47⑥(522④).243③(533②)101③ 97② 49①
23年 4位 70勝71敗2分 3,52⑥(556⑥).244③(513②)104② 102① 82⑤
24年 4位 67勝72敗4分 3.73⑥(579⑥).242④(492④) 72④ 90① 64②
25年 4位 67勝74敗2分 3.37④(526⑤).244④(446④) 70⑥ 110① 69④
26年 6位 47勝78敗1分 3.79④(513⑤).239⑤(412⑥) 90⑤ 59③ 55⑤
【楽天の補強ポイント】
投 手…即戦力の先発とリリーフ、将来のエース候補高校生
捕 手…年齢構成で大学生または社会人
内野手…将来の中軸候補
外野手…年齢構成で高校生
◆投手
先発では荘司と早川が規定投球回数クリア間近で、荘司は奪三振のタイトルも射程圏内で、古謝樹(桐蔭横浜大~23年①)も加えたドラフト1位トリオが来季も先発の軸になる。ただ、岸が41歳、前田健太(PL学園高~06年広①)も来季39歳のシーズンを迎え、層が厚いとは言えず先発陣の立て直しが優先課題になる。
昨年、リーグ屈指のリリーフ陣も綻びが見え、藤平尚真(横浜高~16年①)が23セーブを上げ、泰勝利(神村学園高~21年④)の成長、ベテランの加治屋蓮(JR九州~13年ソ①)も健在でチーム最多の43試合に登板しているが、他がパッとしない。西垣雅矢(早大~21年⑥)に鈴木翔天(富士大~18年⑧)、内星龍(履正社高~20年⑥)がいずれも防御率5~6点台と勝ちパターンが形成できずにいる。
一方で先述した泰のほかにも、試合数は少ないがルーキーの伊藤樹(早大~25年②)が2勝を上げ、ファームでは3年目の日當直喜(東海大菅生高~23年③)がクローザーを務め、期待の芽は十分にある。
【来季の予想布陣】
先発…岸 孝之 古謝 樹 前田健太 荘司康誠 早川隆久 瀧中瞭太
藤原聡太 伊藤 樹 ウレーニャ 藤井 聖 古賀康誠
リリーフ…加治屋蓮 九谷 瑠 藤平尚真 西垣雅矢 泰 勝利 鈴木翔天 柴田大地
中込陽翔 田中千晴 宋家豪 津留崎大成 日當直喜 西口直人 内 星龍
短期的に見れば即戦力の先発が欲しいが、個人的には将来チームの屋台骨を支えるようなエース候補を獲得して欲しい。今年のドラフトの主役、織田翔希(横浜高)と菰田陽生(山梨学院高)はチームの顔になれる投手で、投手育成に長けた吉井監督のもと、どのような成長曲線を描くか見てみたい。即戦力では鈴木泰成(青学大)と有馬伽久(関大)が候補に挙がるが、やはり来季何勝の上積みを計算するよりは、長期的な視点でチーム作りを進めて欲しい。
このほか評価が高いのが、前田侑大(高岡一高)と的場吏玖(天理大)、川尻啓人(亜大)、で、的場は多彩な変化球を駆使する先発タイプ、川尻は恵まれた体から最速156キロのリリーフタイプで、ともにチームにフィットしそうだ。
このほかの候補では、いずれも中央では無名だが岡本翔斗(香里丘高)と川島謙心(龍谷大平安高)、野崎健友(耐久高)の名前が挙がり、岡本は12球団注目の逸材で、川島は今年に入り急成長し球速が150キロを超えた。野崎は今夏の地区予選で全国制覇した智弁和歌山高を決勝であと一歩まで追い込んだ。
大学生・社会人では、ともに最速152キロの本格派の野村亮輔(佛教大)と岡田雅樹(愛工大)、大学で急成長した小松勇輝(びわこ成蹊スポーツ大)の評価が高い。TJ手術を経て復活した真野凛風(日本生命)は、先発もリリーフもこなせる。沢山優介(ヤマハ)は今春のWBCでブラジル代表として好投した左腕で、まだ23歳と若く伸びしろも期待できる。
◆野手
捕手は今年も太田光(大商大~18年②)が最もマスクを被るが、盗塁阻止率や打率も物足りない中、堀内謙伍(静岡高~15年④)やFA加入の伊藤光(明徳義塾高~07年オ③)も太田を脅かすまでの成績は残せなかった。
内野は宗山の出遅れが響いたが、村林一輝(大塚高~15年⑦)と黒川史陽(智弁和歌山高~19年②)が複数ポジションを守り、平良竜哉(NTT西日本~22年⑤)も打撃が開花しキャリアハイの成績を残した。捕手登録ながらYG安田(愛知大~21年②)は、8月から一塁を任せられ、浅村栄斗(大阪桐蔭高~08年西③)や小深田大翔(大阪ガス~19年①)から定位置を奪いつつある。
外野は辰己涼介(立命大~18年①)と中島大輔(青学大~23年⑥)は攻守に安定した成績を残し、新加入のマッカスカーが21本塁打を放ち、中軸を任せることができたのが大きかったが、辰己や中島に続く選手が物足りない。
【来季の予想布陣】
捕手…太田 光 伊藤 光 YG安田 堀内謙伍
内野…小深田大翔 宗山 塁 浅村栄斗 村林一輝 鈴木大地 黒川史陽 繁永 晟
渡邉佳明 伊藤裕季也 平良竜哉 入江大樹 小森航太郎
外野…辰己涼介 中島大輔 マッカスカー 佐藤直樹 阪上翔也 武藤敦貴
小郷裕哉 吉野創士
上記を見ても分かるように、中軸を担える長距離砲は浅村とYG安田くらいしかいない。2桁本塁打はマッカスカーと、日本人では辰己の12本が最多で俊足巧打タイプではなく、スラッガーの獲得を目指したい。
二刀流の菰田は野手としての評価も高く、菰田の加入は投打の課題を解消することができる。高校通算34本塁打の地元東北の古城大翔(花巻東高)、基本は捕手だが、外野も守ることができる内藤蒼(浦和学院高)、関西6大学史上初の1試合3本塁打の春山陽登(大商大)、広角に長打を放つ藤澤涼介(東京ガス)はチームの課題を埋めることができる。
ただ、現時点で野手でリストアップされているのは、内藤の他には捕手の後藤幸樹(沼津商高)、遊撃手の水口煌太朗(常総学院高)、巧打の外野手・佐藤悠太(東北福祉大)になるが、捕手は昨年、大栄利哉(学法石川高~25年④)を獲得しており、年齢構成を考えると優先順位は高くなく、水口と同じ右打ちの遊撃手も同じような選手が多く、ここも急ぐ必要はない。
むしろ捕手は大栄の次が26歳の安田になり、年齢的にも大学生または社会人を狙ったほうが良く、打撃の良い西野啓也(立命大)や清水智裕(ヤマハ)、笹原愛斗(日本新薬)などを狙って良いと思う。
年齢構成では外野手の19~22歳が不在になるので高校生が欲しい。高校通算25本塁打の牟禮翔(九州国際大高)、同じく16本塁打の嶋武仁(北越高)、古城のチームメートの赤間史弥(花巻東高)など、今年は高校生外野手に逸材が多い。
【指名シミュレーション】
【中 日】 【楽 天】
1位~織田翔希(横浜高・投手) 菰田陽生(山梨学院高・投手)
2位~樋口 新(王子・投手) 川尻啓人(亜大・投手)
3位~嶋 武仁(北越高・外野手) 沢山優介(ヤマハ・投手)
4位~川島謙心(龍谷大平安高・投手) 佐藤啓太(東北福祉大・外野手)
5位~西野啓也(立命大・捕手) 真野凛風(日本生命・投手)
6位~岡田光平(大工大・外野手) 笹原愛斗(日本新薬・捕手)