ドラフトを知ると野球がもっと楽しくなる

どのチームが「人」を育て強くなるのか

広島~現在も昔も変わらないドラフト巧者

 ドラフトの成果が出るには10年掛かると言われている。いくら有望選手を指名できても、チームが一朝一夕で強くなるわけではない。チームで明確な方針を持って、一年一年積み重ねていくことで、常に上位で優勝を争うことができる。そこで、直近10年に絞り、12球団のドラフトを振り返ってみようと思います。

 

 ドラフト草創期より、もっともドラフトを活用してきたチームが広島カープである。80年代はリーグ優勝2回、Bクラスはわずかに1回と黄金時代を築いた。社会人投手の一本釣りで投手王国をつくり、有望な高校生野手を上位指名で獲得し、猛練習で一流選手を何人も育て上げた。

 93年から06年まで続いた逆指名~希望枠時代は思うように選手が獲れず苦戦したが、希望枠が無くなった07年からちょうど10年後の16年にリーグ優勝を果たした。ドラフトで正しいプロセスを踏めば、チームが強くなることを証明してくれた。

 ちなみに07年は高校生と大学生・社会人の分離ドラフトで、獲得した選手は、高校生1位で安部知裕(福岡工大城東高・内野手)と3位で丸佳浩千葉経大付高・外野手)、大学生・社会人も3位で小窪哲也青学大内野手)、4位で松山竜平九州国際大・外野手)とズラリと主力が並ぶ。

 

●メジャー型の運営で、高い組織力がチームを強くした

 広島は、プロ野球界で唯一、親会社を持たない市民球団として1949年に誕生した。資金力に乏しく、草創期は街頭で募金を集め、チームを存続してきた過去もある。その後、ドラフトを活用し、育成を主眼に置いたチーム運営を続けてきた。

 広島の特徴の一つは組織力の高さだ。オーナーをトップに組織が一本化されており、フロントから現場まで意見交換と問題を共有し、いま何をすべきという目的と役割が明確になっている。

 親会社の顔色を窺うことなく、オーナーが人事権と決裁権を握っているので、メジャー型の運営を実現できている。そのことを如実に表しているのはドラフトだ。

【広島のドラフト基本方針】

 ①今必要なポジションと数年後に必要となるポジションを分類し、優先順位を決める

 ②今必要なポジションは、大学生と社会人から選択する

 ③数年後、必要なポジションは高校生をリストアップする

 ④野手は4番ピッチャーが基本(センスと運動能力が高く、肩も強く足も速い)

 ⑤長所を優先しながら、選手をリストアップする

 非常にわかりやすく、何だそんなことと思うかもしれないが、実現できているのは、現状では広島のほかには日本ハムソフトバンクくらいだ。

 ①~③はその年で戦略も変わるが、④であれば鈴木誠也(12年2位~二松学舎大付高)や堂林翔太(09年2位~中京大中京高)、成長株の中神拓郎(18年4位~市岐阜商高)が当てはまる。
 ⑤では、守備職人の菊池涼介(11年2位~中京学院大)や、打撃センス抜群の西川龍馬(15年5位~王子)は、ウィークポイントを十二分に補えるほど長所が卓越しており、過去のドラフトの成功法則が蓄積しているので、チームの方針がぶれない。

 

●1位指名は社会人投手から大学生投手へ

 直近10年のドラフトの指名人数は60名で、巨人とロッテの並び3番目に少ない。高校生指名が48%(29名)と3番目に多く、大学生は33%(20名)でちょうど真ん中、かつての十八番だった社会人指名は17%(10名)と最も少なく、なんと4年連続で指名がない。

【過去10年のドラフト1位指名選手

 10年⑤ 福井 優也(早大・投手)     高②大②社③(投手⑥野手①)

 11年⑤ 野村 祐輔(明大・投手)     高①大③社⓪(投手②野手②)

 12年④ 高橋 大樹(龍谷大平安高・外野手)高③大①社①(投手⓪野手⑤)

 13年③ 大瀬良大地(九共大・投手)    高①大②社②(投手④野手①)

 14年③ 野間 峻祥(中部学院大・外野手) 高④大②社①(投手④野手③)

 15年④ 岡田 明丈(大商大・投手)    高②大①社④(投手④野手③)

 16年① 矢崎 拓也(慶大・投手)     高④大②社⓪(投手⑤野手①)

 17年① 中村 奨成(広陵高・捕手)    高④大②社⓪(投手④野手②)

 18年① 小園 海斗(報徳学園内野手)  高⑤大②社⓪(投手②野手⑤)

 19年④ 森下 暢仁(明大・投手)     高③大③社⓪(投手③野手③)

 

 1位指名は大学生投手が6名と多く、12球団で最も多い。ちなみに抽選で外したが、10年は大石達也早大~西武)、14年は有原航平(早大日本ハム)、16年の田中正義(創価大~ソフトバンク)と大学生投手の1位指名は本当に積極的だ。

 確かに野村や大瀬良はチームのエースだし、岡田や楽天へ移籍したが福井も戦力になっており、今年の森下の単独指名を見ても1位では確実に戦力になる投手を獲得する姿勢が窺える。さらに未完の大学生投手の薮田和樹(14年2位~亜大)や床田寛樹(16年3位~中部学院大)を上位指名するなど、大学生投手の育成には相当自信を持っているようだ。 
 ただ、気になることが2つある。一つはリーグ優勝した16年から極端に育成志向に偏ってないかという懸念である。高校生指名が多いのは悪いは思わないが、基本方針にあるように何事にもバランスが必要だ。

 もう一つは、地元の中国地方の選手の獲得が近年少ないような気がする。18年は引地秀一郎(倉敷商・投手)が楽天3位で、水谷瞬(石見智翠館・外野手)もソフトバンクが5位で獲得し、内野手を4名も取るならば、水谷を獲得した方がバランスも良かったのでは…。
 基本方針⑤に当てはまっていた、地元・広島経大の柳田悠岐(10年~ソフトバンク2位)、ともに広島新庄高の田口麗斗(13年~巨人3位)や堀瑞輝(16年~日本ハム1位)はチームに不足している左腕で、獲得のチャンスがあっただけに勿体ないことをしたと思う。

 ただ、このことを差し引いても広島のドラフト戦略は群を抜いている。繰り返しになるが、ドラフトを正しく活用すればチームが強くなることを、90年代の西武や、この広島が証明しているのに、なぜ、他のチームが素直に学ばないのか不思議でならない。 

2015→2019年~それぞれの到達点

 今年のドラフトの目玉の一人が、明大のエース・森下暢仁(投手)で、重複も予想されたが、単独で広島から1位指名され入団を決めた。森下は大分商(大分)の時から注目された好投手で、当時でも上位指名が十分に見込めた。

 実際に高校卒業時にはプロ入りか進学かで相当悩んだようだが、大学への進学を決め、4年後に見事ドラフト1位までの選手に成長した。ただ、実はこれは一握りよりも、どちらかというと珍しいパターンで、大半は高校卒業時にプロに指名されないから、私は大学へ進学するものだと思っている。

 実際に、ロッテ2位の佐藤都志也(東洋大・捕手)は、聖光学院(福島)からプロ志望届を提出し、指名が有力視されたものの見送られ悔し涙を流し、大学に進学し4年後を目指した。

 そこで今回は、4年前の高校生指名と、今年の大学生ドラフトに絞って見てみようと思う。

 ちなみに2015年の甲子園大会の優勝校は、春の選抜は平沼翔太(日本ハム)を中心にした敦賀気比高(福井)が、夏の選手権大会は、タレント揃いの東海大相模(神奈川)が、仙台育英(宮城)を退け2度目の全国制覇を達成した。

 この年の高卒選手の目玉は、投手では高橋純平(県岐阜商高)で、3球団競合の末ソフトバンクが、ナンバーワン野手の平沢大河(仙台育英高・内野手)は、2球団競合しロッテが獲得した。このほか、小笠原慎之介東海大相模高・投手)が中日に、オコエ瑠偉関東一高・外野手)が楽天にそれぞれドラフト1位指名された。

 

【各チームの高校生指名】※下線は甲子園出場

 ・ソフトバンク…①高橋純平(県岐阜商・投手)②小澤怜史(日大三島・投手)

        ③谷川原健太(豊橋中央高・捕手)④茶谷健太(帝京三内野手

        ⑤黒瀬健太(初芝橋本内野手)⑥川瀬 晃(大分商・内野手

 ・日本ハム…  ④平沼翔太(敦賀気比内野手姫野優也(大阪偕星・外野手)

 ・ロッテ…  ①平沢大河(仙台育英内野手成田 翔(秋田商・投手)

        ⑤原 嵩(専大松戸・投手)

 ・西 武…  ③大瀧愛斗(花咲徳栄・外野手)⑨藤田航生(弘前工・投手)

 ・オリックス …   ⑤吉田 凌(東海大相模・投手)佐藤世那(仙台育英・投手)

 ・楽 天…  ①オコエ瑠偉(関東一・外野手)堀内謙伍(静岡・捕手)

        ⑥村林一輝(大塚・外野手)

 ・ヤクルト …  ②廣岡大志(智弁学園内野手高橋奎二(龍谷大平安・投手)

        ④日隈ジュリアス(高知中央・投手)⑥渡邊大樹(専大松戸・外野手)

 ・巨 人…  ②與那原大剛(普天間・投手)⑥巽 大介(岩倉・投手)

 ・阪 神…  ④望月惇史(横浜創学館・投手)

 ・広 島…  ③高橋樹也(花巻東・投手)⑦青木 陸(山形中央・外野手)

 ・中 日…  ①小笠原慎之介東海大相模・投手)

 ・D℮NA…   ④綾部 翔(霞ヶ浦・投手)青柳昴樹(大阪桐蔭・外野手)

 

 驚いたのは、前評判では決して不作と言われた年ではないが、現時点で主力やレギュラーが一人もいない。投手では小笠原(中日)が開幕投手を務めるものの、ケガなどもあり十分に力を発揮できていない。高橋純ソフトバンク)や高橋奎(ヤクルト)、望月(阪神)がようやく頭角を現してきた。

 野手では平沢(ロッテ)とオコエ、堀内(ともに楽天)がまずまずの活躍を見せているが、レギュラーにはまだ届かず、平沼(日本ハム)や村林(楽天)が一軍に定着してきた。

 一方で既に6名(小澤/茶谷/黒瀬/日隈/與那原/巽)が育成契約になり、4名(佐藤/青木/綾部/青柳)が既に引退または戦力外でNPBを去っている。本指名30名中10名…実に1/3を占めており、高卒からの4年間、厳しい現実を「数」が物語っている。

 

【4年前に志望届を出し、今年指名された選手】※下線は甲子園出場

  吉田 大喜(投 手)大冠高→日体大→ヤクルト2位

  佐藤都志也(捕 手)聖光学院高→東洋大→ロッテ2位

  柘植 世那(捕 手)健大高崎高→ホンダ鈴鹿→西武4位(※)

  勝俣 翔貴内野手東海大菅生高→国際武道大→オリックス5位

  大関 友久(投 手)土浦湖北高→仙台大→ソフトバンク育成2位

 

 これにも驚いた…柘植が社会人4年目の指名だったので加えたが、柘植と育成の大関を除けばわずかに3名しかいない。では、当時志望届を出さなかった有力選手見てみると、ここもわずかに5名しかいなかった。

 

【志望届を出さなった、当時の有力選手】※下線は甲子園出場

  森下 暢仁(投 手)大分商→明大→広島1位

  宇草 孔基(外野手)常総学院→法大→広島2位

  郡司 裕也(捕 手)仙台育英→慶大→中日4位 

  福田 光輝内野手大阪桐蔭→法大→ロッテ5位

  大下誠一郎(外野手)白鷗大足利→白鷗大→オリックス育成6位

 

 こう見ると、高校時代に有望(指名の可能性がある)と言われている選手は、プロ志望があるならダメ元でも出したほうが良いと思う。指名され入団する門は狭く、入団後もレギュラーどころか一軍に定着するのも厳しい世界だ。 

 今年で言えば、投手なら内沢航大(八戸工大一→法大)、捕手の小藤翼(日大三早大)、野手では谷川刀麻(星稜→近大)や加藤雅樹(早実早大)、船曳海(天理→法大)は4年前の有望選手で、今年初めて志望届を出したが指名されなかった。

 実は大学生指名選手の多くは、高校時代は無名で大学で一気に開花した選手が多い。4年前の野球雑誌を探してみても、投手では伊勢と津森、野手は海野と柳町を辛うじて見つけることができ、ほとんどは大学で伸びた選手だ。高校時に有望だった選手の上位指名が4名に対し、無名組は9名を数える。

 

【今年、本指名された大学生選手】※下線は甲子園出場

  海野 隆司(捕 手)関西→東海大ソフトバンク2位

  坂本 裕哉(投 手)福岡大大濠立命大→D℮NA2位 

  橋本 侑樹(投 手)大垣日大→大商大→中日2位

  津森 宥紀(投 手)和歌山東東北福祉大ソフトバンク3位

  津留崎大成(投 手)慶応→慶大→楽天3位

  高部 瑛斗(外野手)東海大甲府→国士館大→ロッテ3位

  村西 良太(投 手)津名→近大→オリックス3位

  伊勢 大夢(投 手)九州学院→明大→D℮NA3位

  杉山 晃基(投 手)盛岡大付創価大→ヤクルト3位

  大西 広樹(投 手)大商大高→大商大→ヤクルト4位

  柳町  達(外野手)慶応→慶大→ソフトバンク5位

  福森 耀真(投 手)北九州→九産大楽天5位

  望月 大希(投 手)市船橋→創価大→日本ハム5位

  石原 貴規(捕 手)創志学園→天理大→広島5位

  小川 一平(投 手)横須賀工→東海大九州→阪神6位

 

 当然、プロに入って活躍するパスポートはなく、確実な成功法則がある訳でもない。高卒→プロが王道ではないし、大学進学は決して回り道ではない。ただ、実際にプロ入りするには、高校卒業時、大学卒業時、年齢的に社会人でも25歳がギリギリで、社会人になると指名の割合が高校、大学より一気に少なくなる。

 また、その年のチームの状況やトレンド、刻々と進むドラフト会議のなかで、本来なら指名されておかしくない選手が見送られる場合もある。チャンスは多ければ多いほど良く、若ければ若いほど良いと思う。

 なぜなら高校時の有望選手の活躍を早く見てみたいし、指名されず悔しさをバネに進学した選手の成長、そして大学で一気に才能を開花した無名だった選手、ファンの我儘だが、たくさんの夢を見せてほしい。指名される可能性があるのに、選手自身が回避するのはやはり寂しいものです。

セ・リーグの退団選手~最多は広島、最小は中日

 選手の現況は11/5時点のもので、選手名の横の年数は指名年度で、〇の数字は指名順位。※の選手は育成契約の選手です。

 

読売ジャイアンツ(10名)

 シーズン途中退団の上原を含め、阿部とマシソンが引退する。阿部はそのまま2軍監督に就任し、将来の幹部候補の道を歩み始めた。谷岡は育成契約を打診され、森福は現役続行を希望しているが、他の選手の去就は未定だ。

 意外だったのは坂本工で、今シーズンに育成から支配下契約され、これからかなと思ったところでの戦力外で驚いた。また、いつの間にか外国人選手が増えて9名もおり、既に自由契約公示された3名のほかに、クックとヤングマンの両投手、ビヤヌエバの退団が濃厚で一気に6名も去る事態になりそうだ。

 支配下選手61名に、今ドラフトで6名(投手③/捕手①/内野手①/外野手①)を指名し67名。FAで美馬と鈴木の獲得を目指しているが、獲得しても人的補償が発生するので人数は変わらない。FAも大事だが、外国人選手の補強もポイントになる。

 投 手…上原浩治(98年/①)森福允彦(06年/大社④)坂本工宜(16年/育④)

     谷岡竜平(16年/③)※山下亜門(14年/ソ育③)

 捕 手…阿部慎之介(00年/①)

 内野手…※田島洸成(15年/育④)

 外野手…なし

 外国人…マシソン(投手)アダメス(投手)マルティネス(内野手

【予想背番号】

 ①堀田/13 ②太田/20 ③菊田/33 ④井上/39 ⑤山瀬/40 ⑥伊藤/58 

 

★横浜D℮NAベイスターズ(12名)

 退団する選手の半数の田村、水野、西森、中川、狩野、青柳が引退する。現役続行を表明している選手はいなく、残りは去就が未定だ。また、主砲の筒香がポスティングでのメジャー移籍を表明している。

 ロッテを自由契約になり、マイナーから這い上がってきた中後、楽天自由契約になり再起を目指した中川、ケガで育成契約になり、満足なプロ生活をおくれなかった水野など、それぞれにドラマがあり感慨深い選手が並る。ただ、綾部のような残念な退団は勘弁してほしい…。

 筒香を除いた支配下選手は58名で、今年のドラフトで7名(投手③/捕手①/内野手②/外野手①)を指名し65名になる。FAには参戦しないが、不足する遊撃手で鳥谷獲得の可能性もあり、さらに外国人選手1~2名ほどの補強でオフは終了しそうだ。

 投 手…中後悠平(11年/ロ②)寺田光輝(17年/⑥)田村 丈(15年/育③)

     綾部 翔(15年/⑤)※水野滉也(16年/②)

 捕 手…西森将司(11年/育②)

 内野手中川大志(08年/楽②)狩野行寿(16年⑦)松尾大河(16年③)

 外野手…青柳昴樹(15年/⑥)

 外国人…ソリス(投手)バリオス(投手)

【予想背番号】※森は決定
 ① 森 /6 ②坂本/13 ③伊勢/36 ④東妻/45 ⑤田部/57 ⑥蝦名/54 ⑦浅田/61

     

阪神タイガース(10名)

 今年は多くのベテランがチームを去る。歳内と横田以外はすべて30歳代で、メッセンジャーと高橋、横田が引退し、山崎はスコアラーに転身する。鳥谷と森越が現役続行を希望しており、他の選手の去就は不明だ。

 恒例と言えばそれまでだが、今年もオフもお家騒動は健在で、生え抜きの鳥谷へ引退勧告をしたが、鳥谷は拒否し結果自由契約になった。鳥谷のキャリアを考えれば、自分で引退を決められる実績のある選手で、同い年の糸井をはじめ、藤川や能見、福留が残るなか若返りも理由にはならず、本当に阪神は何を考えているのか分からない。

 もう一人は横田で、24歳と若く、将来を嘱望されたが病気の治療のために引退を決めた。引退会見の号泣は本当に悔しさが溢れ、観ていて言葉がなかった。

 支配下選手は62名で、今ドラフトの6名(投手③/捕手①/内野手①/外野手①)を加え、支配下は67名になった。現時点で外国人選手が5名もナバーロは退団濃厚で、外国人野手は最低でも2名は必要だ。FAに参戦しない意向だが、支配下人数に余裕がなく、現有戦力の底上げに頼らざるを得ない。 

 投 手…高橋聡文(01年/中⑧)岡本洋介(09年/西⑥)歳内宏明(11年/②)

 捕 手…小宮山慎二(03年/⑤)

 内野手…鳥谷 敬(03年/自由枠)山崎憲晴(08年/横③)森越祐人(10年/中④)

 外野手…※横田慎太郎(13年/②)

 外国人…メッセンジャー(投手)ソラーテ(内野手

【予想背番号】
 ①西純/15 ②井上/24 ③及川/32 ④遠藤/37 ⑤藤田/59 ⑥小川/41

      

広島東洋カープ(14名)

 退団選手の半分が引退を決め、永川と赤松はそれぞれ2軍コーチに就任し、岩本と船越、庄司は引退、横山と長井は現役続行を希望している。広島と言えば、毎年FAでの主力流失の心配があり、菊池涼のポスティングの可能性はあるが、今年はFA移籍の可能性があった野村、曾澤、長野がいずれも残留し、まずは一安心だろう。

 ベテランの永川は晩年ケガに苦しみ、赤松は病魔と戦った。ベテランが力を使い果たし引退を決断した反面、伸びしろがないと判断された選手は、ドラフト順位や在籍年数に関係なくクビを切られる。温情と非情、ストイックな球団運営を改めて感じた戦力外通告になった。

 支配下選手は58名で、今年指名した6名(投手③/捕手①/内野手①/外野手①)に、新外国人選手のジョンソン(投手)とピレラ(外野手)を加えて66名になった。外国人選手も7名になり、オフの補強も残すところトレードとトライアウトのみになりそうだ。 

 投 手…永川勝浩(02年/自由枠)飯田哲矢(14年/⑥)横山弘樹(15年/②)

     長井良太(16年/⑥)※岡林飛翔(17年/育①)

 捕 手…船越涼太(15年/④)

 内野手庄司隼人(09年/④)※木村聡司(14年/育②)

 外野手…赤松真人(04年/神⑥)岩本貴裕(08年/①)

 外国人…レグナルト(投手)ヘルウェグ(投手)ローレンス(投手)

     サンタナ内野手

【予想背番号】
 ①森下/20 ②宇草/10 ③鈴木寛/38 ④韮澤/52 ⑤石原/39 ⑥玉村/54

 

中日ドラゴンズ(5名)

 戦力外通告は12球団で最も少ない5名で、武山のみ引退を表明し2軍コーチに就任する。杉山と近藤は現役続行を希望し、一度は引退を表明した亀澤も現役へ意欲を見せている。投手ではまだ一人でも戦力外になってはいないが、松坂大輔の退団が決定的だ。

 今年は戦力外通告のほかに外国人選手の去就が心配だ。森シニアディレクターの退団により、築いてきた外国人獲得ルートも失われた。複数年契約しているビシエドは問題ないが、先発のロメロとロドリゲス、中継ぎのマルティネスは他球団から動向が注視され、巧打者のアルモンテなど、いずれも力のある選手なので残留交渉がオフの重要な課題になる。

 支配下選手は61名で、今年指名した6名(投手④/捕手①/内野手①)を加え67名。今年はFAに参戦の方向で、鈴木と福田の獲得に乗り出すが、仮に2人とも獲得できれば68名で支配下に余裕がなさすぎる。FAやトレード、外国人選手補強など課題の多いオフになりそうだ。 

 投 手…なし

 捕 手…武山真吾(02年/横⑩)杉山翔太(12年/④)

 内野手亀澤恭平(11年/ソ育②)

 外野手…友永翔太(14年/③)近藤弘基(14年/育④)

【予想背番号】
 ①石川/2 ②橋本/45 ③岡野/39 ④郡司/53 ⑤岡林/62 ⑥竹内/67

 

東京ヤクルトスワローズ(11名)

 12球団で最も平均年齢の高いチームだけあって、大ベテランの館山、寺原、畠山、三輪が引退し、館山は楽天で、畠山はチームに残り2軍コーチに就任する。同じベテランの大引は現役にこだわり退団し、村中と岩橋、沼田も現役続行を表明している。

 残念だったのは村中で、一時期はエース格として通算46勝を上げるも、直近3年間は未勝利でチームを去る。古くは荒木大輔に始まり、最近では増渕竜義(06年)、佐藤由規(07年・現楽天)、赤川克紀(08年)など、ヤクルトの高校生1位投手は、早い時期に活躍するが、その後20代前半でケガや不振に見舞われ、長くエースをはれない状況が続いている。奥川には、二の舞にならないよう願いたい。

 支配下選手は57名で、今ドラフトの6名(投手④/内野手②)を加えても63名と少ない。今年は既にメジャーでも屈指の守備力をほこる遊撃手のエスコバーを獲得し、FAでは美馬と福田、楽天自由契約になった嶋や今野の獲得に乗り出すなど、上手く進めばオフの主役になる可能性がある。

 投 手…館山昌平(02年/③)寺原隼人(01年/ダ①)村中恭平(05年/高①)

     岩橋慶侍(13年/④)沼田拓巳(17年/⑧)屋宜照悟(12年/日⑥)

 捕 手…山川晃司(14年/③)

 内野手畠山和洋(00年/⑤)大引啓次(06年/大社オ③)三輪正義(07年/大社⑥)

 外野手…なし

【予想背番号】
 ①奥川/11 ②吉田大/21 ③杉山/35 ④大西/43 ⑤長岡/44 ⑥武岡/58

 

 最後に、FAは十亀剣(西武・投手)、秋山翔吾(西武・外野手)、福田秀平(ソフトバンク・外野手)、則本昴大・美馬学楽天・投手)鈴木大地(ロッテ・内野手)の奇しくもパ・リーグから6名宣言し、十亀と則本は宣言したうえでチームに残留する。

 秋山はメジャー移籍を目指し、福田には西武、中日、ヤクルト、ロッテ。美馬には巨人、ヤクルト、ロッテの3球団、鈴木には巨人、中日、楽天が獲得に名乗りを上げており、彼らが来季残るのか、それとも移籍するのか、その場合の人的補償選手は誰になるがで、戦力の陣容が変わるので期待して見てみたい。

 巨人の原監督が、FA移籍での人的補償は廃止すべきなど、とんでもない発言をしたが、それはまた別の機会で。

 

パ・リーグの退団選手~最多は楽天、最小はロッテ

 選手の現況は10/31時点のもので、選手名の横の年数は指名年度で、〇の数字は指名順位。※の選手は育成契約の選手です。

 

埼玉西武ライオンズ(13名)

 現役引退は5名で、大石と中田はチームスタッフとして残り、南川と斎藤彰は未定、星は楽天へコーチとして移籍することが決まった。そのほかの選手は、金子一のみ去就不明だが、残りの選手は現役続行を希望している。

 このなかで残念だったのは、やはり大石だろう。6球団競合のなか獲得し、西武はこれで10年はクローザーに困らないと思った。ただ、入団後に先発転向を命じられ、その剛腕を思う存分に披露することなく、結局は中継ぎで通算130試合5勝でセーブなしの不本意な結果だった。

 支配下選手は55名に、今ドラフトで最多の8名(投手⑤/捕手①/内野手①/外野手①)を指名し63名になった。ただ、秋山がFAでメジャー挑戦を表明、メヒアにも移籍の可能性があり、外国人選手の補強含めまだまだオフに動きがありそうだ。

 投 手…大石達也(10年/①)高木勇人(14年/巨③)小石浄孝(11年/②)

     寥 任磊(16年/⑦)南川忠亮(15年/④)松本直晃(15年/⑩)

 捕 手…中田祥多(07年/高⑥)※星 孝典(04年/巨⑥)

 内野手…金子一輝(13年/④)

 外野手…斎藤彰吾(07年/高⑦)

 外国人…マーティン(投手)カスティーヨ(投手)郭俊麟(投手)

【予想背番号】

 ①宮川/15 ②浜屋/47 ③松岡/29 ④川野/56 ⑤柘植/50 ⑥井上/59

 ⑦上間/64 ⑧  岸 /66

 

福岡ソフトバンクホークス(10名)

 江川と美間、育成の島袋が現役引退を決めた。堀内は再度、育成選手への打診を受け、張本以外は現役続行を希望している。また、ベテランの中田賢一阪神へ無償トレードが決まった。

 甲子園春夏連覇興南高のエース島袋は、その年のドラフト上位候補だったが大学へ進学。ただ、大学ではイップスに悩み、何とか5位で入団したが、かつての輝きを取り戻すことができず、プロでもわずか2試合の登板で去ることになった。

 支配下選手62名に、今年のドラフトでは野手中心に5名(投手①/捕手①/内野手②/外野手①)を指名し67名になった。福田がFA宣言をし移籍濃厚だが、同じ外野手で育成の田代飛翔が好成績を残し支配下目前でカバーできる。外国人選手が9名と多く、スアレスは退団濃厚、ミランダとバンデンハークも去就不明だがそれでも6名おり、補強しても1~2名で、オフの補強はほぼ終了したと言える。 

 投 手…岡本 健(13年/③)※笠原大芽(12年/⑤)※島袋洋奨(14年/⑤)

     ※中村 晟(15年/育④)

 捕 手…市川友也(09年/巨④)堀内汰門(15年/育④)※張本優大(13年/育④)

 内野手…美間優槻(12年/広⑤)

 外野手…江川智晃(04年/①)塚田正義(11年/③)

【予想背番号】
 ①佐藤/3 ②海野/30 ③津森/32 ④小林/43 ⑤柳町/39

     

東北楽天ゴールデンイーグルス(17名)

 今オフ最多の17名を数えた楽天、そのうち引退は今江のみで2軍の育成コーチに就任した。福山と森、池田、西巻、耀飛の5名が育成契約を打診されたが、福山と西巻は難色を示している。育成の4選手以外は、現役続行を希望している。

 今回の戦力外通告はいささか後味が良くない…嶋は楽天の看板選手で最大の功労者の一人。確かに力の衰えはあるが、もう少し上手いやり方があっただろう。育成から這い上がり、今年プロ初勝利を上げた24歳の今野、西巻は来季3年目の20歳である。昨年の最下位から3位に浮上したチームとは思えない厳しいオフになった。

 支配下選手13名の減で57名に、今ドラフトの7名(投手③/捕手①/内野手②/外野手①)を加え、支配下は64名になった。美馬のFA移籍濃厚だが、人的補償があり選手数は減らず、まだ人数に余裕があり、オフの主役になりそうな気配がする。 

 投 手…森 雄大(12年/①)池田隆英(16年/②)福山博之(10年/横⑥)

     戸村健次(09年/①)西宮悠介(13年/⑤)今野龍太(13年/⑨)

    ※野元浩輝(16年/⑦)※鶴田圭祐(16年/⑥)※井出亮太郎(17年/育①)

 捕 手…嶋 基宏(06年/大社③)

 内野手…今江年晶(01年/③)西巻賢二(17年/⑥)※山田大樹(15年/育②)

 外野手…島井寛仁(12年/⑤)橋本 到(08年/巨④)耀飛(17年/⑤)

     八百板卓丸(14年/育①)

【予想背番号】
 ①小深田/8 ②黒川/24 ③津留崎/22 ④武藤/50 ⑤福森/38 ⑥瀧中/30 ⑦水上/57

      

千葉ロッテマリーンズ(9名)

 引退は3名で、福浦と伊志嶺はコーチとして、阿部はチームスタッフとして球団に残る。ケガで治療中の大嶺と高濱、島が育成契約を打診されている。関谷と大木の去就が未定で、李は現役続行を希望している。

 幕張の安打製造機の福浦は、指名順位7位で、93年のドラフトで一番最後に指名された選手だ。同期の高校生には松井稼頭央(西武)大村直之近鉄平井正史オリックス岡島秀樹(巨人)がおり、いかに福浦が長く第一線で活躍したのが分かる。ドラフトは順位がすべてないことを、福浦が証明している。

 支配下選手は61名で、今年指名した5名(投手②/捕手①/内野手①/外野手①)を加えて66名になった。ただ、鈴木がFAで去就未定、7名の外国人のうちレイビンとバルガスは退団濃厚、育成では茶谷健太が結果を残している。また、FAした美馬や福田、自由契約の嶋の獲得にも関心を示しており、活発なオフになりそうだ。 

 投 手…関谷亮太(15年/②)阿部和成(07年/高④)大嶺祐太(06年/高①)

     島 孝明(16年/③)

 内野手福浦和也(93年/⑦)高濱卓也(07年/神①)李 杜軒(06年/ソ高④)

     大木貴将(15年/育①)

 外野手…伊志嶺翔太(10年/①)

【予想背番号】
 ①佐々木朗/16 ②佐藤/30 ③高部/32 ④横山/40 ⑤福田/38

 

北海道日本ハムファイターズ(12名)

 現役引退はベテランの2名で、田中は未定だが、實松は巨人のコーチに就任する。高山と高濱は育成契約を打診され、森山以外は現役続行を希望し、新たに育成の森本の退団が決まった。

 今年の戦力外を見ても不思議と驚きはない。ある意味きちんと育成し、それなりにチャンスを与えたが、残念ながら結果を出せなかった選手で、「まぁ、妥当だよな」と思わせるのは、チームとして人材サイクルが出来上がっている証拠だと思う。

 支配下選手は58名で、今年指名した7名(投手④/捕手①/内野手①/外野手①)を加え65名。今年もFAには参戦せず、退団した外国人選手分を補充し、オフの補強は終わりそうだ。ただ、得意のトレードで、アッと驚かせてくれるかもしれない。 

 投 手…中村 勝(09年/①)田中豊樹(15年/⑤)立田将太(14年/⑥)

     高山優希(16年/⑤)

 捕 手…實松一成(98年/①)

 内野手田中賢介(99年/②)高濱祐仁(14年/⑦)※森本龍弥(12年/②)

 外野手…森山恵佑(16年/④)岸里亮佑(13年/⑦)

 外国人…ハンコック(投手)バーベイト(投手)

【予想背番号】
 ①河野/28 ②立野/33 ③上野/36 ④鈴木健/47 ⑤望月/48 ⑥梅林/44 ⑦片岡/53

 

オリックスバファローズ(11名)

 岸田と鈴木が引退を表明し、ともに2軍のコーチに就任する。ケガで治療中の黒木と山崎が育成契約を打診され、岡崎は育成契約になった。同じ育成契約でも、黒木の晴れ晴れとした表情が印象的で、楽天との差は何だろうと考えてしまう。青山と高城、宮崎が現役続行を希望しているが、他の選手は未定だ。

 かつてのロッテのエース成瀬は、昨年のヤクルトに続き2年続けて戦力外通告、岩本も阪神から戦力外を受け、独立リーグからNPBに復帰した苦労人。ケガからの復活を目指していた塚原など、まだ見てみたい選手が多く寂しさを感じる。

 支配下選手は60名で、今ドラフトの5名(投手③/内野手②)を加え65名になる。今年はFAには参戦せず、現有戦力の強化に努めるようだが、育成の漆原大晟は2軍のセーブ王で支配下目前、高城の退団で捕手が5名と少なく補強が必要で、選手枠に余裕がなく、参加したくても参加できないのが本音なのかもしれない。 

 投 手…岸田 護(05年/大社③)成瀬善久(03年/ロ⑥)青山大起(15年/④)

     岩本 輝(10年/神④)黒木優太(16年/②)山崎颯一郎(16年/⑥)

     ※塚原領平(10年/④)

 捕 手…高城俊人(11年/横②)

 内野手…鈴木昴平(15年/⑦)岡崎大輔(16年/③)

 外野手…宮崎祐樹(10年/③)

【予想背番号】
 ①宮城/11 ②紅林/24 ③村西/22 ④ 前 /43 ⑤勝俣/40

 

2019年ドラフト寸評~成功・失敗した球団(後編)

 今年はスケール(感)で言えば、セ・リーグのほうが成功では…という声がある。確かに高校BIG4は、佐々木朗希を除いて全員セ・リーグ、さらに石川や井上のスラッガーに、森下も広島が獲得した。

 セ・リーグの高校生指名は23名、パ・リーグの11名で2倍だ。反面、社会人(独立リーグ含む)はセ・リーグ2名に対し、パ・リーグは12名 を数える。偶然なのかもしれないが、セ・リーグの各チームが全体的に育成に舵を取った感がある。

 今年の交流戦パ・リーグが圧倒し、日本シリーズで巨人は、ソフトバンクの前で野球をさせてもらえず、1勝も出来ずに終えた。現実としてセ・リーグは、リーグ全体でレベルを上げていかなくてはならない。まだ暫くはパ・リーグ優勢が続くと思うが、この事実から目を背けることなく、今年のドラフトを契機に差を縮めてきたい。

 

△巨人(70点)

 今年の日本シリーズ第3戦の先発が、ルーキー高橋という現状から、先発投手を含めた投手陣の駒不足は明らかだった。最後まで佐々木(ロッテ)、奥川(ヤクルト)、森下(広島)で悩んだ感があり、最終的には奥川を指名したが、クジ運の悪さは変わらずで、外れ1位で指名した宮川(西武)も外し、抽選は13連敗まで伸びてしまった…。

 奥川→宮川に見られるように、とにかく1位で即戦力投手が欲しかった。結果、1位指名は堀田賢慎(青森山田高・投手)になった訳だが、この時点で吉田(ヤクルト)や立野(日本ハム)の即戦力が残っていた。ただ、2位の指名順位が11番目では堀田は間違いなく残っておらず、育成に舵を取らざるにならなかった。やはり1位指名を2回も外すと、全体のドラフト戦略が難しくなることを痛感した。

 結果、昨年と同じ6名中高校生5名の指名になった。昨年と違い、今年及第点を付けたのは、指名した選手の順位や選択が申し分なかった。堀田は学年が上がるごとに成長を見せる投手で、十分将来のエース候補になれる。

 3位の菊田拡和(常総学院高・内野手は高校通算58本のスラッガー、4位で左腕の井上温大(前橋商高・投手)、5位は強肩の山瀬慎之介(星稜高・捕手)、6位の伊藤海斗(酒田南高・外野手)は、プロでは野手に専念するスラッガーだ。

 唯一の即戦力で、2位の太田龍JR東日本・投手)は制球力が課題も、昨秋の段階では1位競合候補だっただけにポテンシャルは高い。

 ただ、チームの補強ポイントの即戦力投手、ポスト坂本の遊撃手の獲得はできなかった。FAで済む話なのかもしれないが、競争させていかないとチーム力は上がらない。

 

ソフトバンク(65点)

 大方の予想は佐々木(ロッテ)だったが、早い段階で石川(中日)に決めていたようだ。マスコミも利用して、ずっと佐々木本命を匂わせた情報操作は見事だったが、石川の評価が上がり3球団競合になったのは誤算だった。

 その石川を外し、1位指名したのが佐藤直樹JR西日本・外野手)で、20歳代で右打の主力が今宮と甲斐しかおらず、とにかく右打者が必要な状況が分かる。佐藤は夏あたりから急に名前が出るようになり、社会人野手の不足もあって1位指名まで上り詰め、強肩と俊足は一軍クラスなので出番が増えそうだ。昨年は駅員として日本シリーズの観戦客の整理にあたり、翌年1位指名なのだから、こういったエピソードも面白い。

 2位では大学ナンバーワン捕手の海野隆司(東海大・捕手)で、こちらも右打者だ。海野は強肩で甲斐のライバルになり得る良い選手だが、21歳~23歳に4人も捕手がいる状況のなか、必要だったのか疑問だ。3位の津森宥紀(東北福祉大・投手)も、横手投げで大学時代からクローザーを務め、ブルペン陣は厚くなるが、ここも同い年で4名もおり、年齢バランスで首を傾げた。

 下位では再び野手を指名し、4位の小林珠維(東海大札幌高・内野手は、投手でも評価が高かったが、高校通算30本のスラッガーで、プロでは野手に専念する。5位の柳町達(慶大・内野手は、左打の俊足巧打の選手で外野も守れるのが強みだ。

 海野、津森、柳町ともっと上で指名されると思っていた大学生を獲れたのは良いが、年齢バランスが悪く、加えて2年連続で高校生投手の指名がないのはどうかと思う。育成でも高校生投手は1名しかおらず、らしくないドラフトが2年続いた。 

 

△西武(65点)

 パ・リーグを2連覇しながら、2年連続で日本シリーズ進出を逃した要因の一つが、2年連続リーグ最低防御率の投手陣で、ポストシーズンではことごとく打ち込まれた。今年はとにかく投手、投手で8名中5名、上位3名に即戦力投手を並べた。とにかく即戦力投手で森下(広島)が本命だと思っていたので、正直、佐々木(ロッテ)公言は驚いた。ただ、即戦力投手が欲しいなかでも、佐々木を指名した姿勢は評価できる。

 その佐々木を外し、巨人と競合して1位で獲得できたのが宮川哲(東芝・投手)で、森下と並んで間違いなく即戦力だ。スタミナに課題はあるが、三振の取れる投手で中継ぎなら開幕一軍は間違いないと思う。2位の浜屋将太(三菱日立PS・投手)は、先発・中継ぎどちらもOKだが、左の先発が榎田しかいないので、ここは先発で育てたい。

 ただ、良かったのはここまでで、3位以降は補強ポイントを十分に埋めることができなかった。3位の松岡洸希(BC武蔵・投手)は、投手転向1年半で伸びしろはあるが、折り返しの13番目で指名するなら、津森(ソフトバンク)や郡司(中日)、地元の韮澤(広島)もいた。4位で両打の遊撃手・川野涼多(九州学院内野手、5位で強肩の守備型捕手の柘植世那(ホンダ鈴鹿・捕手)を指名するなら尚更だった。

 6位の井上広輝(日大三高・投手)は、上位候補だったがケガで評価が上がらず、7位の上間永遠(四国徳島・投手も故障を抱え、プロでじっくり治せばよいが、リスクも大きい。最後に8位の岸潤一郎(四国徳島・内野手は、高知・明徳高から4年後のドラフト1位を目指し大学に進むもケガで中退。一度は完全に野球から離れたが、独立リーグで野手に転向し、順位とプロセスは違うがプロ入りが叶い本当に嬉しかった。

 

× D℮NA(65点)

 ドラフト前に、ラミレス監督はサプライズがあると言っていたので、即戦力の森下(広島)ではなく、佐々木(ロッテ)か筒香のメジャー移籍に備え石川(中日)、昨年から欲しかった遊撃手で地元の森敬斗(桐蔭学園高・内野手かなと思っていたので、森指名には驚きはしなかったが、単独はないだろうというのが正直な感想だ。

 確かに森は良い選手で、補強ポイントにも合致するが、競合を避けていては強いチームにはならず、その意思がD℮NAから伝わらない。2位で先発候補のサウスポー坂本裕哉(立命大・投手)、3位で中継ぎなら即戦力のスリークオーター伊勢大夢(明大・投手)を指名し、単年で見れば悪くはない。

 ただ、12年にD℮NAになってから、高校生投手の上位指名は、17年3位の阪口しかおらずスケールの大きさを感じない。2~3位は即戦力が暗黙の了解になっており、森を獲るのなら、なぜ地元・横浜高の及川(阪神)をスルーしたのか…。

 4位の東妻純平(智弁和歌山高・捕手)も悪くないが、年齢バランス的には捕手こそ即戦力に行くべきで、森を指名しておきながら5位で同じ遊撃手の田部隼人(開星高・内野手を獲得する必要があったのだろうか。

 6位の蝦名達夫(青森大・外野手)は俊足で長打力もあり、7位の浅田将太(有明高・投手)も今夏評価を落としたが素質は申し分なく、下位指名は良かったが、どうも全体的に見てしっくりこないのが伝統になりつつある。さらに育成ドラフトは席には着いたものの指名はなし。1位は単独、2~3位は即戦力、4~5位で高校生、下位は未完の大器…少し型にはまりすぎではないかと今年も感じ、失敗ドラフトとした。

  

× 日本ハム(60点)

 思わず「どうした…日ハム」とうな垂れたドラフトだった。いの一番に佐々木(ロッテ)を公言したものの抽選で外し、社会人ナンバーワン左腕の河野竜生(JFE西日本・投手)オリックスとの競合で、1位候補だった立野和明(東海理化・投手)を2位で指名でき、ともに高卒3年目の若い即戦力投手を2人獲得できたのは大きい。

 3位の上野響平(京都国際高・内野手も文句ない指名で、小柄だが守備の巧い遊撃手だ。打撃も力をつけており上位指名でなければ獲れなく、上位指名は申し分なかったが、4位以降が酷かった…。

 4位の鈴木健矢(JX-ENEOS・投手)は、サイドスロー右腕の中継ぎ・ワンポイントで、5位の望月大希(創価大・投手)は、長身から投げおろすストレートが魅力。6位の梅林優貴(広島文化学園大・捕手)は強肩、7位の片岡奨人(東日本国際大・外野手)は俊足巧打で地元出身で、誤解がないように言うが、彼らはみんな良い選手だ。

 ただ、鈴木や望月は先発よりは、単にブルペン陣を厚くする補強で、欲しいの先発投手なはず。上位で即戦力を獲得できたなら、育成の旗を下げることなく、上沢のように将来のエース候補として、下位で高校生投手に行くべきだった。梅林はそもそも今年、捕手指名は年齢バランスでも必要ないし、片岡も左打者ばかりの外野陣に、さらに左を加える必要性を感じない。

 終わってみれば、高校生は育成含めても上野1人で、育成の旗印はどこへ消えたのか。確かに育成の遅れによる戦力不足が露呈し夏場に大失速し、即戦力でチーム力を上げる必要があるのは理解するが…スケール感のない凡庸なドラフトだった。

 

× 楽天(50点)

 1位は佐々木(ロッテ)にするか、右のスラッガー三塁手と補強ポイントに完全に合致する石川(中日)で揺れていたが、最後は地元の佐々木を指名できた。ただ、抽選で外したあとの1位が驚きで、小深田大翔(大阪ガス内野手を指名してきた。

 確かに小深田は社会人ナンバーワンの内野手で、遊撃に収まれば茂木を本職の三塁で起用できる。ただ、昨年の同僚・近本(阪神)よりは打撃力が見劣りし、2位でも獲れたのではが本音だ。同じ1位で行くにしても、佐々木を指名したのだから、エース候補で西(阪神)や地元の堀田(巨人)を挟んでも良かったと思う。

 小深田に限らず、今回は全体指名順位が高い。2位の黒川史陽(智弁和歌山高・内野手や3位の津留崎大成(慶大・投手)は、申し訳ないが十分に下位で獲れた選手で、4位の武藤敦貴(都城東高・外野手)にいたっては隠し球すぎて、思わずプロ志望届一覧を点検してしまった。

 5位の福森耀真(九産大・投手)と7位の水上佳(明石商高・捕手)は順当だが、6位もサプライズの瀧中瞭太(ホンダ鈴鹿・投手)で、本人も指名はないと思って準備していなかった話を聞いて、「そりゃ、そうだろうな」と妙に納得してしまった。

 センターライン強化で小深田や二塁手の黒川を上位指名した理由も分からなくはない。ただ、やはり良くも悪くも石井GMの意思が反映したドラフトで、「どうだ俺の眼力」と言わんばかりで悪手が多かった。

 また今年は、東北に関係(出身地や学校)する選手が総勢16名プロ入りしたが、楽天は残念ながらゼロで、どうしても評価することができなかった。

 

 最後に、今年指名漏れした有力選手で落合秀市(和歌山東高・投手)がいる。落合は以前より野球に向かう姿勢や性格を不安視する声があったが、指名漏れには正直驚いた。ただ、その答えはドラフト終了20分後に待っていた。

 本指名を終えると、落合は育成ドラフトを見ることなく、野球は辞めて就職すると帰路についた。監督は「こういった性格がプロに敬遠された」とコメントしていたが、まったくその通りで、プロは心技体の一つでも欠けていれば大成しない。改めてスカウトの調査力の凄さを垣間みたエピソードだった。

 

  

2019年ドラフト寸評~成功・失敗した球団(前編)

 先日は、単純にリストアップした選手の採点簿を載せましたが、僭越ながら今年のドラフトの寸評をしたいと思います。

 今年の本指名選手は74名で、昨年より9名減。高校生が35名(▲3名)、大学生が25名(▲1名)、社会人・独立リーグが14名(▲5名)で、最多指名は西武の8名、最小はソフトバンク、ロッテ、オリックスの5名だった。

 驚いたのは社会人選手指名の激減で、独立リーグからの本指名が2名から3名に増えたので、単純に6名減だ。特に、社会人野手には厳しい年になり、指名人数わずか2名(昨年5名)は、即戦力選手の不足が反映したドラフトになった。

 育成指名は33名で、昨年より12名増え、オリックスが最多の8名指名し、ヤクルトは最初から育成ドラフトには参加せず、D℮NAはテーブルにはついたものの指名なしだった。 

【12球団ドラフトの評価】

 ◎成功…ロッテ・ヤクルト・広島

 〇合格…阪神オリックス・中日

 △普通…巨人・ソフトバンク・西武

 × 失敗…D℮NA・日本ハム楽天

 

◎ロッテ(95点)

 今年最高のドラフトだったのはロッテだ。ドラフトは1位入札の選手が獲得できれば、ほぼ成功だが、4球団競合のなか令和の怪物・佐々木朗希(大船渡高・投手)を獲得できた。育成の難しさから敬遠した球団もあるが、岩手の公立校の投手が160キロを投げるのだから、これほどスケールの大きい投手はそうそういない。

 ロッテに最高点を付けたのは、2~3位指名もほぼ満点だった。2位の佐藤都志也(東洋大・捕手)は、捕手の最年少が正捕手・田村の25歳で年齢的にもピッタリで、ロッテの捕手で唯一の左打者に加え、走攻守に秀でた打てる捕手はレギュラー候補だ。

 3位の高部瑛斗(国士館大・外野手)は、東都リーグの安打記録を塗り替えた打者で、ロッテに不足している左打ちの俊足選手。年齢バランスでも大学生外野手の獲得が必要で、代走などから徐々に出番を増やしそうな雰囲気がある。

 4位はサイドスロー横山陸人(専大松戸高・投手)で、夏から秋にかけて評価を上げた。5位の福田光輝(法大・内野手は、大阪桐蔭高時代から高い守備力が評価されていたが、大学で打力も開花した。

 強いて言えば、高校生捕手や年齢バランスで大学生投手指名すれば良かったが、1位で将来の大エース候補、2~3位で年齢バランスと、チームに不足しているタイプの選手を獲得した時点で成功ドラフトと言える。

 15年の平沢から始まり、17年の安田、昨年の藤原といずれも競合のなか獲得し、ロッテとしては08年の統一ドラフト以降初めて高校生投手の1位指名になった。ここ数年の流れが活きてくる良いドラフトになり、本当に将来が楽しみなチームだ。

 

◎ヤクルト(85点)

 ヤクルトも今ドラフトの目玉、奥川恭伸(星稜高・投手)を獲得できたのが大きい。チーム防御率は12球団最低で、投手力強化が最優先課題。指名を公言するまで森下で間違いないと思っていたが、高津監督の強い要望で奥川に決まった。

 ヤクルトは年齢バランスも悪く、チームを立て直すには時間が必要だ。ファームの監督らしく、安に即戦力を指名することなく、10年はエースを張れる奥川を指名した姿勢は評価できる。

 1位で奥川を獲れたことで、2位以下で思い切り即戦力の大学生投手を獲得することができた。2位の吉田大喜(日体大・投手)は1位で指名されてもおかしくない投手で、3位で伸びしろもある杉山晃基(創価大・投手)は、個人的に昨年1位の清水よりも杉山のほうが上だと思うので良い指名になった。4位の大西広樹(大商大・投手)は、チームメイトの橋本(中日)に隠れがちだが、タフな右腕で中継ぎで行けそうだ。

 先発で吉田か杉山のどちらかが食い込んでくれば、奥川を焦ることなく育成することができ、今年に限って言えば、投手4名を上位に並べた指名は成功と言える。

 5位の長岡秀樹(八千代松陰高・内野手と6位の武岡龍世(八戸学院光星高・内野手指名も悪くはないが、ともに左打の遊撃手で、俊足巧打の同じタイプの選手を2名獲得したのは疑問が残った。

 残念だったのは、正捕手の中村のライバルがいないなか、今年豊作だった捕手指名がなかったのと、育成がDeNAと並んで指名なしだったことくらいか…。特に育成選手はチームの高齢化も課題の一つで、選手層を厚くするうえでも必要だったと思うが。

 

◎広島(80点)

 正直、阪神と迷ったが、バランスで広島を成功にした。即戦力ナンバーワンと言われた森下暢仁(明大・投手)を、まさか単独指名できるとは思わなかった。即戦力投手を必要としていたヤクルトが下り、西武が下り、最後にD℮NAが下り単独になった。

 かといって森下の評価が下がった訳ではない。最速155キロのストレートにスローカーブ、チェンジアップのコンビネーションは秀逸で、開幕ローテもケガさえなければ問題ないと思う。

 2位の宇草孔基(法大・外野手)は、俊足でパンチ力もある典型的な1番打者で、松山と西川の内野挑戦で、不足する左打の外野手を埋めることができた。5位の石原貴規(天理大・捕手)は守備力の評価が高かったが、4年生になり打撃も成長した。正捕手の曾澤が残留することになり、打撃の良い磯村や坂倉を内外野で使えるプランに目途が立ち、成長著しい石原の指名になった。

 昨年の高校生指名は偏りが気になったが、今年はさすがに修正してきた。3位の鈴木寛人(霞ケ浦高・投手)は、かねてより広島が一番高く評価しており、長身から投げ下ろすストレートとスライダーが武器だ。投手ではもう一人、越前のドクターKこと左腕の玉村昇吾(丹生高・投手)を6位で指名し、インターネット中継を観ていて思わず「巧いな~」とうなってしまった。4位は甲子園でも活躍した韮澤雄也(花咲徳栄高・内野手で、バットコントロールに秀でた好打者が、よく4位まで残っていたと思う。

 育成では高校生捕手と外野手、独立リーグからサイドスローの投手を獲得し、戦力補強、戦略、年齢とバランスの取れたドラフトだった。

 

阪神(80点)

 終わってみれば、甲子園で活躍した高校生を5名指名し、思わず「日本ハムか?」と見間違える育成重視のドラフトで、チームの意思という面では、ロッテと同じくらいの最高点を付けたい。

 1位は予想通りに奥川(ヤクルト)を指名し、抽選で外すと高校BIG4の一角、西純矢(創志学園高・投手)を、これも意外だったが単独の外れ1位指名で獲得できた。昨年も1位で藤原(ロッテ)→辰巳(楽天)と外したあとに近本と外野手指名を貫き、今年も将来のエース候補指名を続けた姿勢は評価でき、チームとしての覚悟を感じた。

 西のあとの2位は、将来の4番候補で井上広大(履正社高・外野手)を指名し、木製バットの対応と守備に時間がかかりそうだが、天性のスラッガーで、ここは大学に行ったつもりで、3~4年後の主軸を目指してじっくり育ててほしい。

 3位で高校BIG4の及川雅貴(横浜高・投手)を獲得できたのも大きい。制球力が課題で評価を落としたが、最速153キロを投げる左腕はそういない。将来は西と左右のWエースを組める可能性もあり、阪神ファンに限らず期待が膨らむ。4位で遠藤成(東海大相模高・内野手、5位で藤田健斗(中京学院大中京高・捕手)と投手は左右、捕手と内外野をそれぞれ1名ずつの偏りのない指名になった。

 最後の6位は、唯一の大学生・小川一平東海大九州・投手)で、今年はやや調子を落としているが、昨年なら上位候補の投手で6位で指名できたのは収穫だった。

 これだけ見ると十分合格だが、野手の空白地帯の20歳~22歳と、課題の長打力を打てる即戦力指名がなく広島を上にした。ただ、甲乙つけがたい良いドラフトだった。

 

オリックス(75点)

 最後まで1位指名が分からず、佐々木(ロッテ)だと思っていたところに、石川(中日)を指名し、外すと即戦力左腕の河野(日本ハム)に行き、ここでも外すと宮城大弥(興南高・投手)で1位指名が確定した。宮城は投手として総合力の高い左腕で、中継ぎやワンポイントなら直ぐに出番がありそうだ。一番良いのは大舞台でも物怖じしないハートの強さで、外れ外れ1位とは言わせない活躍が期待できる。

 1位指名だけ見ると、「将来性のある野手→即戦力投手→将来性のある投手」とブレまくりの感があり、2回も抽選を外すと全体の戦略もおかしくなるところだが、見事に2位以降の指名でリカバリーしたのを高く評価した。

 その2位は紅林弘太郎(駿河総合高・内野手で、高校通算40本の大型遊撃手だが、打撃以上に守備と強肩が評価され、紅林の2位指名で石川指名が活きてきた。今年は好投手が多く、野手の指名順位が上がるのを予見した紅林の2位指名は見事だった。

 3位の村西良太(近大・投手)は、大学で成長したサイドスローの速球派で、オリックスにはいないタイプの投手で出番も早そうだ。4位の前佑囲斗(津田学園高・投手)は、パワーピッチャーながら制球力に優れたエース候補で、同じ4位指名だったエース山本に続きたい。5位の勝俣翔貴(国際武道大・内野手は、オリックスの欲しかった強打の三塁手で、昨年の中川のような下位指名の掘り出しものになるかもしれない。

 驚いたのは十八番の社会人指名が11年振りになく、育成選手を最多の8名を指名したことで、榊原や神戸の成功に自信を持った顕れだろう。反面残念だったのは、今年豊富だった捕手指名がなかったことで、空白年代を埋められなかったのは勿体なかった。

 

〇中日(75点)

 最初の感想は、かつての中日の姿勢が戻ってきたなと思わせる指名だった。かねてより奥川指名を公言していたが、長打力が不足しているチームのなか、石川昴弥(東邦高・内野手だろうと思っていたので、1位指名は嬉しかった。

 その石川だが、今夏までなら2位でも獲れただろうが、木製バットを苦にしないU-18の活躍を見て一気に評価が上がった。今年の村上(ヤクルト)のように、多少の成績には目をつぶってでも、長所を伸ばす育成プランと起用が良いのかなと思う。

 2位以降も悪くはないが、やや不満が残る。2位で橋本侑樹(大商大・投手)を指名したが、なぜ地元の即戦力右腕の立野(日本ハム)をスルーしたのか…3位で岡野祐一郎(東芝・投手)を指名するなら、益々2位は立野だろうと思った。

 ただ橋本は大学で力をつけた左腕で、伸びしろ十分だ。岡野はやっとプロ入りできたというのが率直な感想で、制球力と投球術に長けており、ともに先発と中継ぎのどちらに適性があるか楽しみな即戦力投手だ。4位の郡司裕也(慶大・捕手)指名は良かった。強肩強打に加え、一言で言うと頭の良い選手で、年齢的にも必要な選手だった。

 5~6位は高校生指名で、5位の林勇希(菰野高・投手)は投手としての素質も素晴らしいが、俊足で長打力もあるので将来的には野手なのかなと思う。6位の竹内龍臣(札幌創成高・投手)は、私の地元の高校からの指名で嬉しかったが、札幌市内でもそこまで名前が広がっていなく、良くて育成かなと思っていただけに本指名には驚いた。

 唯一の育成指名の松田亘哲(名古屋大・投手)は、大学から野球を再開した投手で、竹内や松田みたいな無名の選手の指名があるからこそドラフトは改めて面白い。 

2019年~ドラフト候補選手100の採点簿

 今年のドラフトも、一言で言うと楽しめた。年に1回のプロ野球ファンには欠かせない日なので、仕事を早く終わらせ、TV中継に間に合うことができた。最近はネットで無料中継もあるので、TV中継後の育成指名まで臨場感を存分に味わえました。

 今回、リストアップした100名のうち67名が指名されました。事前に12球団ごとに記事を書いて、そのなかで「勝手にシミュレーション」を行っていたのですが、チームまたは順位的中が23選手でした。そのうち、DeNA1位の森敬斗、千葉ロッテ2位の佐藤都志也、広島3位の鈴木寛人、巨人5位の山瀬慎之介がチームと順位が的中しました。

 だからって、どうなるものではないんですが、当たるとやはり嬉しいものです。今ドラフト結果の寸評は次回にして、今回は単純な採点簿です。

 それにしても、2年連続で抽選を引き当てたロッテと中日は凄い!逆に巨人の引きの悪さは…批判する人も相変わらずいますけど、これもドラフトの醍醐味ですね。

 

1位入札候補(1回目)

 佐々木朗希(大船渡高・投手)………ロッテ1位(4球団競合) ★順位的中

 奥川 恭伸(星稜高・投手)…………ヤクルト1位(3球団競合)★順位的中

 石川 昴弥(東邦高・内野手)………中日1位(3球団競合)  ★順位的中

 森下 暢仁(明大・投手)……………広島1位(入札)     ★順位的中

1位入札候補(2回目)

 西  純矢(創志学園高・投手)……阪神1位         ★順位的中

 河野 竜生(JFE西日本・投手)…日本ハム1位(2球団競合)★順位的中

1位候補

 堀田 賢慎(青森山田高・投手)……巨人1位

 鈴木 寛人(霞ケ浦高・投手)………広島3位     ☆チーム・順位的中

 及川 雅貴(横浜高・投手)…………阪神3位        ★チーム的中

 宮城 大弥(興南高・投手)…………オリックス1位      ★順位的中

 森 敬斗(桐蔭学園高・内野手)…D℮NA1位(入札) ☆チーム・順位的中

 津森 宥紀(東北福祉大・投手)……ソフトバンク3位 

 海野 隆司(東海大・捕手)…………ソフトバンク2位

 佐藤都志也(東洋大・捕手)…………ロッテ2位    ☆チーム・順位的中

 太田  龍(JR東日本・投手)……巨人2位         ★順位的中

 立野 和明(東海理化・投手)………日本ハム2位

 宮川  哲(東芝・投手)……………西武1位(2球団競合)

 佐藤 直樹(JR西日本・外野手)…ソフトバンク1位

2位候補

 井上 広輝(日大三高・投手)………西武6位

 東妻 純平(智弁和歌山高・捕手)…D℮NA4位        ★順位的中

 井上 広大(履正社高・外野手)……阪神2位         ★順位的中

 吉田 大喜(日体大・投手)…………ヤクルト2位       ★順位的中

 杉山 晃基(創価大・投手)…………ヤクルト3位

 望月 大希(創価大・投手)…………日本ハム5位       ★順位的中

 橋本 侑樹(大商大・投手)…………中日2位

 郡司 裕也(慶大・捕手)……………中日4位

 宇草 孔基(法大・外野手)…………広島2位         ★順位的中

 高部 瑛斗(国士館大・外野手)……ロッテ3位        ★順位的中

 柳町  達(慶大・外野手)…………ソフトバンク5位 

 小深田大翔(大阪ガス内野手)……楽天1位

3位候補

 前 佑囲斗(津田学園高・投手)……オリックス4位

 落合 秀市(和歌山東高・投手)……※指名なし

 韮澤 雄也(花咲徳栄高・内野手)…広島4位

 北山 比呂(日体大・投手)…………※指名なし

 伊勢 大夢(明大・投手)……………D℮NA3位 

 坂本 裕哉(立命大・投手)…………D℮NA2位        ★順位的中

 小川 一平(東海大九州・投手)……阪神6位

 勝俣 翔貴(国際武道大・内野手)…オリックス5位

 加藤 雅樹(早大・外野手)…………※指名なし

 本田健一郎(JFE東日本・投手)…※指名なし

 浜屋 将太(三菱日立PS・投手)…西武2位         ★順位的中

 片山勢三(パナソニック内野手)…※指名なし 

4位候補

 小林 珠維(東海大札幌高・内野手)…ソフトバンク4位    ★順位的中

 林  優樹(近江高・投手)…………※指名なし

 山瀬慎之介(星稜高・捕手)…………巨人5位     ☆チーム・順位的中

 遠藤 成(東海大相模高・内野手)…阪神4位         ★順位的中

 紅林弘太郎(駿河総合高・内野手)…オリックス2位

 黒川史陽(智弁和歌山高・内野手)…楽天2位

 上野 響平(京都国際高・内野手)…日本ハム3位

 菊田 拡和(常総学院高・外野手)…巨人3位

 横山  楓(国学院大・投手)………※指名なし

 吉村貢司郎(国学院大・投手)………※指名なし

 小又 圭甫(NTT東日本・投手)…※指名なし

 原澤 健人(スバル・内野手)………※指名なし

5位候補

 井上 温大(前橋商高・投手)………巨人4位

 岡林 勇希(菰野高・投手)…………中日5位

 玉村 昇吾(丹生高・投手)…………広島6位

 谷岡 楓太(武田高・投手)…………オリックス育成2位

 浅田 将太(有明高・投手)…………D℮NA7位

 武岡 龍世(八戸光星高・内野手)…ヤクルト6位

 松田 亘哲(名古屋大・投手)………中日育成1位

 米田 知弘(大阪大谷大・投手)……※指名なし

 中村 健人(慶大・外野手)…………※指名なし

 阿部 陽登(日立製作所・投手)……※指名なし

 諸見里 匠(日本通運内野手)……※指名なし

 長谷川凌汰(新潟アルビレックス・投手)…日本ハム育成3位 

6位候補

 米山 魁乙(昌平高・投手)…………※指名なし

 金城 洸汰(北山高・投手)…………※指名なし

 藤田健斗(中京学院中京高・捕手)…阪神5位

 大西 広樹(大商大・投手)…………ヤクルト4位

 浦本 千広(九産大・投手)…………※指名なし

 福森 耀真(九産大・投手)…………楽天5位

 杉尾 剛史(宮崎産経大・投手)……※指名なし

 菅田 大介(奈良学園大・外野手)…※指名なし

 岡野祐一郎(東芝・投手)……………中日3位

 宅和健太郎(NTT西日本・投手)…※指名なし

 中川 一斗(JFE西日本・投手)…※指名なし

 松岡 洸希(埼玉武蔵・投手)………西武3位

下位候補

 赤塚健利(中京学院中京高・投手)…※指名なし

 小峯 新陸(鹿児島城西高・投手)…楽天育成2位

 持丸 泰輝(旭川大高・捕手)………広島育成1位

 渡部 雅也(日大山形高・捕手)……※指名なし

 済木 龍輝(佐賀商高・内野手)……※指名なし

 川野 涼多(九州学院高・内野手)…西武4位

 津留崎大成(慶大・投手)……………楽天3位

 村西 良太(近大・投手)……………オリックス3位

 山形 堅心(創価大・内野手)………※指名なし

 蝦名 達夫(青森大・外野手)………D℮NA6位

 金子 莉久(白鴎大・外野手)………※指名なし

 谷川 刀麻(近大・外野手)…………※指名なし

 宮田 康喜(日本製鉄広畑・投手)…※指名なし

 堀田  晃(西濃運輸・投手)………※指名なし

 小久保 気(西濃運輸・投手)………※指名なし

 柘植 世那(ホンダ鈴鹿・捕手)……西武5位

 稲垣 誠也(日本通運内野手)……※指名なし

 笹川 晃平(東京ガス・外野手)……※指名なし

 竹内 裕太(四国・徳島・投手)……※指名なし

 平間 隼人(四国・徳島・内野手)…巨人育成1位

 岸 潤一郎(四国・徳島・外野手)…西武8位

 加藤 壮太(埼玉武蔵・外野手)……巨人育成2位