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どのチームが「人」を育て強くなるのか

現役ドラフト選手を予想する~セ・リーグ編

 現役ドラフトの主旨は、「現チームで出場機会に恵まれていない選手の移籍を促進させる」もので、各球団が対象選手のうちから2名以上をリストアップする。そのリストを基に全球団が指名することで、全球団で必ず選手の出入りが発生するシステムになっている。

 対象外選手全員が自動的にリストアップものではないので、各球団が現状の戦力や年齢バランスを見極めてのリストアップになり、次はセ・リーグの予想です。

 

【ヤクルト】

投手…星 知弥(明大~16年②)杉山晃基(創価大~19年③)  

野手…西田明央(北照高~10年③)西浦直亨(法大~13年②)

     松本 友(BC福井~18年育②)

 投打とも、中堅・ベテラン選手の予想になった。杉山はファームでチーム最多の41試合に登板し、防御率3点台と結果も残しているが、一軍登板は僅か1試合のみで、投手陣が決して万全ではないなか出番が来ない。も昨年の25試合登板から今年は7試合に減少し、経験も豊富で先発もリリーフも出来るだけに需要は高い。

 強力打線のチームのなかで、西田は正捕手で中村がおり、2番手も内山や古賀の若手にシフトしてきている。昨年、今年と大半が2軍だが、ファームでは11本塁打で長打力も健在。来季13年目のベテランの力を欲しているチームはあるはずだ。

 かつての正遊撃手だった西浦も、昨年は元山と併用起用だったが、今季は長岡の台頭もあり、わずか6試合の出場に留まった。内外野守れる松本友は、チームでファーム最多の打席に立ち、本塁打もトップの13本塁打を放っており、ファームでは勿体ない。

  

【DeNA】

投手…石川達也(法大~20年育①)宮國椋丞糸満高~10年巨②)

野手…田中俊太(日立製作所~17年巨⑤)神里和毅(日本生命~17年②)

     細川成也(明秀日立高~16年⑤)

 投手は消去法で石川宮國を予想した、石川は砂田が中日へ移籍しリリーフ左腕の枠が空いており、ファームで好投し期待値は高いと思うが、同年代の投手が多く年齢で候補に挙げた。宮國は故障も癒え、昨年支配下になったが、今季は一軍で結果を残すことができなかった。先発もリリーフもできるベテラン右腕を必要とするチームは多い。、

 内野はレギュラーが確立されているなか、トレードで中日から守備に定評のある京田も加入した。同じ守備職人の柴田、勝負強いベテランの大和と藤田、期待の若手で森や小深田もいるなか内野の層は厚く田中俊を予想した。ただ、本命は外野の2人で、リードオフマン候補の神里は、2年続けて打率が2割に届かず、自慢の俊足も自重気味。毎年、期待された細川も6年目のシーズンを終えたが、今季もファームで11本塁打を放っており、外野は内野以上に層が厚く、ともに環境を変えてみるのも良いと思う。 

 

阪神

投手…村上頌樹(東洋大~20年⑤)

野手…片山雄哉(BC福井~18年育①)北條史也光星学院高~12年②)

     植田 海(近江高~14年⑤)板山祐太郎(亜大~15年⑥)

 村上はルーキーイヤーの昨年、ファームで10勝(1敗)も一軍は2試合のみ、今季も7勝でウエスタン最高防御率を獲得しながら一軍未登板に終わった。いかに阪神の投手陣の充実ぶりが分かる起用で、まさに今回の主旨に合致する投手と言える。

 捕手の片山は、一軍では梅野と坂本がおり、ファームでも榮枝や藤田に出番を奪われており、自慢の打撃を活かす場面が少なくなってきている。年齢的にもダブっており、捕手の人数の少ない巨人やヤクルト、正捕手が抜けた西武などがフィットすると思う。

 トレードで渡邊諒と高濱が加入し、厳しくなったのは北條で、堅実な守備を評価する声は高く、希少価値の高い右打ちの内野手は需要は高い。植田も守備、代走要員に安住する年齢ではなくスイッチヒッターとして勝負をかけたい。内外野守れる板山もファームでは不動のレギュラーの打撃力を一軍で開花させたいところだ。

   

【巨人】

投手…戸根千明(日大~14年②) 

野手…北村拓己(亜大~17年④)香月一也(大阪桐蔭高~14年ロ⑤)

     石川慎吾(東大阪大柏原高~11年日③)重信慎之介(早大~15年②) 

 FA逃れか、はたまた現役ドラフト逃れか分からないが、現在支配下選手が48名しかいないなか候補者も限られた。戸根はロングリリーフなど使い勝手の良い選手で、一時期は二刀流挑戦など騒がれたが、ファームでは最多の44試合登板も、一軍では9試合登板に留まっており、リーグ最下位のチーム防御率のなか埋没気味になっている。

 野手はファームでは主軸の北村石川香月は出してあげて良いと思う。北村も石川もファームでの実績は申し分なく、一軍の出場機会に恵まれないなか、同じ右打ちで松田と長野が加入しており、益々出番は限られる。香月も不慣れなポジションで得意の打撃の調子が上がらないなか、捕手の練習に参加するなど起用方法が見えない。

 重信は、以前よりその潜在能力が他球団から評価されていた選手だが、既に30歳を超えた。真っ新な状態でレギュラーに挑戦できるチームで見てみたい選手の一人だ。

 

【広島】

投手…薮田和樹(亜大~14年②)高橋昂也(花咲徳栄高~16年②)

     中村祐太(関東一高~13年⑤)  

野手…中村奨成(広陵高~17年①)正髄優弥(亜大~18年⑥) 

 元々、ドラフトやトレードでチーム編成を進める方針だけに、現役ドラフトを歓迎しているチームの一つかも知れない。候補はともに今季一軍未登板の中村祐高橋で、中村祐はファームで100イニングを投げ7勝を上げ、高橋も防御率2点台で4勝を上げている。特に、左腕の高橋は24歳と年齢も若く人気は高いと思う。薮田も1年目以降、成績は下降の一途でかつての信頼感はなく、新天地で再起をかけたいところだ。

 野手の筆頭は中村奨で、2球団競合の正捕手候補も坂倉や石原に差をつけられ、外野にチャレンジするも打率は2割に満たない。そんななか女性問題もあり、まさしく環境を変えるにはちょうど良いタイミングだと思う。正髄はファームではレギュラーで、本塁打も8本と長打力を発揮しているが今季は一軍未出場。在籍4年で通算4安打では打力のあるチームでは出番はなく、貴重な右のスラッガーだけに欲しいチームはある。

 

【中日】

投手…福谷浩司(慶大~12年①)岡野祐一郎(東芝~19年③)

       笠原祥太郎(新潟医療福祉大~16年④)

野手…高松 渡(滝川二高~17年③)石垣雅海(酒田南高~16年③)

 昨年、補強らしい補強がなく最下位に低迷。今オフは一転して積極的に補強に動いている。昨季、開幕投手も務めた福谷は今季は僅か5試合の登板に終わり、即戦力と言われた岡野も3年間で通算3勝と戦力になり切れていない。経験豊富な涌井が加入し、ともに厳しい立ち位置になった。笠原も2年続けて4試合の登板に終わっており、岡野と笠原はファームでも登板機会が少なく、年齢も考えると今が頃合いかも知れない。

 野手では未完のスラッガー石垣も来季7年目を迎え、もう期待の若手ではない。今季は自己最多の50試合に出場し、3本塁打と長打力は魅力だが、打率1割台では厳しい。俊足が売りの高松も、課題の打撃が向上せず打率は1割にも満たず、今季は出番が激減し、5盗塁と精彩を欠いた。阿部と京田がトレードで移籍し、同じ内野手で4人のルーキーが加入しており、ともに対象になってもおかしくない。

 

 最後に、今回の候補者をベースに、各チームの指名選手を投手、野手1名ずつ予想してみた。初めての試みでどういう結果になるか想像がつかないが、何事もまず始めてみなくては分からない。今回の制度が選手、球界ともにうまく回るよう期待したい。

          投 手        野 手

 日本ハム   村上 頌樹(神)   オコエ瑠偉(楽)

 中 日    池田 隆英(日)   清水 優心(日)

 ロッテ    K-鈴木 (オ)   細川 成也(D)

 広 島    東妻 勇輔(ロ)   北條 史也(神)

 楽 天    高橋 昂也(広)   石垣 雅海(中)                

 巨 人    福谷 浩司(中)   九鬼 隆平(ソ)                

 西 武    弓削 隼人(楽)   菅野 剛士(ロ)              

 阪 神    星  知弥(ヤ)   大下誠一郎(オ)

 ソフトバンク 宮國 椋丞(D)   山野辺 翔(西)

 DeNA   田村伊知郎(西)   松本  友(ヤ)                             

 オリックス  笠谷 俊介(ソ)   石川 慎吾(巨)

 ヤクルト   戸根 千秋(巨)   中村 奨成(広)

  ※やってみましたが、難しかったです…9日が楽しみです