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どのチームが「人」を育て強くなるのか

23年ドラフト予想☆広島~得失点差はマイナスも、勝てる試合をものにして2位へ躍進

 16~18年のリーグ3連覇から一転、4年連続のBクラスのなか、コーチ経験もない新井貴浩監督を新監督に迎えチームの刷新を図った。

 開幕から4連敗スタートと新監督の船出は厳しかったが、その後一気に5連勝で貯金生活に入ると、苦手な交流戦を9勝9敗の五分で乗り切り、7月中旬には10連勝で首位に浮上するも、8~9月で2度の6連敗が響き、ペナントには届かなかった。ただ、5年振りのAクラス、最終戦でDeNAが破れ2位が確定し、ルーキー監督が4年連続Bクラスのチームを2位まで躍進させたのは見事しか言えず、CSでの下克上を狙う。

【今シーズンのチーム成績 ※( )は昨年の成績】

 勝敗 143試合 74勝65敗4分②

 防御率…3.20④(3.54⑤)打率….246④(.257①)

 本塁打…96④(91④)盗塁78②(26⑥)

 得点…493⑤(552②)失点…508⑤(544④) 

昨年は得失点差はプラスで借金8の5位、今季はマイナスながら貯金9の2位

 投打の成績を見て分かるように、チーム防御率も打率も4位、失策数も多い。得点数はリーグ5位、失点数はリーグで2番目に多く、得失点差はマイナスと、よくこの成績で2位に食い込んだと思う。

 まず改善したのが投手力で、失点数は多いものも防御率は改善。今季は床田寛樹(中部学院大~16年③)と九里亜蓮(亜大~13年②)が規定投球回数をクリアし、11勝を上げた床田がエースの働きを見せ、大瀬良大地(九共大~13年①)と森下暢仁(明大~19年①)が先発ローテーションを守った。ただ、今季も先発の顔ぶれが変わることはなく、5~6番手が決まらずリリーフ陣への負担が増した。

 最多ホールドを獲得した島内が、リーグ最多の62試合登板。栗林と矢崎拓也(慶大~16年①)も50試合以上に登板し、大道温貴(八戸学院大~20年③)とターリーもフル回転した。

 ただ、2年で101試合に登板した栗林は、登板過多からかWBC代表を外れた後も調子が上がらず、前半不振でクローザーから外れ、矢崎が代役を務めた。また、栗林と同様に2年で105試合登板の森浦、昨年ルーキーながら50試合登板した松本竜也(ホンダ鈴鹿~21年⑤)はともに13試合登板に留まり、早くも来季が心配だ。

 攻撃陣は西川龍馬(王子~15年③)が、3割を打ちリーグ2位の打率で終え、秋山翔吾(八戸大~10年③)と坂倉将吾の(日大三高~16年④)、菊地涼介(中京学院大~11年②)が規定打席を達成し、野間峻祥(中部学院大~14年①)もシーズン通してレギュラーで結果を残した。また、新外国人のデビッドソンが19本塁打を放ち、復調した堂林翔太中京大中京高~09年②)に打席数は少ないが末包昇大(大阪ガス~21年⑥)がともに2桁本塁打を放った。

 一方、マクブルームと小園が成績を落とし、1試合だけだが上本崇司(明大~12年③)が4番で先発するなど、思わず心配になることもあった。攻撃陣全体を見ると打率が下がり、出塁率もリーグ5位と低い。盗塁数が昨年の26から一気にリーグ2位の78まで回復し、機動力が戻った印象を受けるが、盗塁死がリーグワーストの50を数え、最も盗塁の多い阪神が成功79に対し失敗29だから、残念ながら効率的な攻撃とは言えず、併殺打はリーグワーストの115を数え攻撃が粗い。

●「育成主体」から「即戦力主体」へ路線変更…果たして今季は?

 リーグ3連覇中は過信とも思える育成中心のドラフトだったが、思うような結果を残せなかった。そんななか19年の森下の単独指名に自信を持ったのか、20年からは大卒・社会人の即戦力中心のドラフトに切り替えた。

 ただ、21~22年の即戦力組の低迷が予想外で、投手は指名7名中実に6名が大学生と社会人だが、森翔平(三菱重工エスト~21年②)の通算5勝が最高で、ほぼ戦力になれていない。

【過去5年の主力選手 ※年数横の数字は順位】

 18年①…小園海斗(報徳学園高/①・内野手)島内颯太郎(九共大/②・投手)

 19年④…森下暢仁(明大/①・投手)

 20年⑤…栗林良史(トヨタ自動車/①・投手)森浦大輔(天理大/②・投手)

 21年④…なし

 22年⑤…なし

  ↓↓

【広島の補強ポイント】 

 投 手…投手全般(将来のエース候補、即戦力先発&リリーフ)

 捕 手…坂倉に次ぐ二番手捕手

 内野手…左打ち高校生と右打ち大学生スラッガー

 外野手…高校生

 補強ポイントの最優先はやはり投手で、阪神の岡田監督がドラフト指名選手の事前公表に異を唱えるなか、早くも常廣羽也斗(青学大の1位指名を公表した。常廣は競合必至で、今季は大学生投手が豊富ななか上位指名は即戦力投手になるだろう。

 投手は全般補強が必要で、広島は年齢と左右のバランスを考慮した指名を続けてきたが、現状バランスは良くない。21歳と23歳の若い年代に空白があり、19歳~23歳には僅か4名おらず、ヤクルトと並んで最小だ。先発の枚数は少なく、リリーフも負担増でどちらも補強が必要で、且つ将来の主戦で高校生投手も必要だ。

 野手は主力が30歳を超え、若手の台頭が臨まれるが、坂倉と小園以外目ぼしい候補が見当たらず、末包も来季は3年目だが社会人出身で29歳になる。内野手なら右打者が不足し、内外野通してスラッガータイプが少ない。捕手は若手が多く、26歳~30歳が不在で、昨年同様に課題の多い難しいドラフトになる。

☆投手~投手全般(将来のエース候補、即戦力先発&リリーフ)

 先発は床田と九里、森下、大瀬良が中心で、上位指名選手が主戦になっているのは見事だが、若手の底上げが進んでいない。ファームを見てもでも遠藤淳志(霞ケ浦高~17年⑤)や玉村昇悟(丹生高~19年⑥)など一軍に定着して欲しい選手に、ベテランの野村祐輔(明大~11年①)が主戦では心許ない。そんななかファームで勝ち頭の黒原拓未(関学大~21年①)の3年目のブレイクに期待したい。

 リリーフは、島内がセットアッパーを務め、栗林の不振を埋めた矢崎の前半の奮闘は本当に大きく、中崎翔太日南学園高~10年⑥)の復調も大きい。ただ、数は十分と言えず、大道やターリーなど登板が集中している。昨年、フル回転した森浦や松本、ケムナ誠(日本文理大~17年③)、塹江敦哉(高松北高~14年③)など勤続疲労から登板数が減少した投手が多いのが気がかりだ。

 1位指名を公表した常廣は、先発もリリーフもでき広島の1位指名も頷ける。常廣を外した場合は、西舘勇飛(中大)の指名が有力で、西舘は常時クイックで150キロを投げる右の本格派で、高い安定感で先発ローテーションを期待できる。

 さらに下村海翔(青学大草加勝(亜大)西舘昂汰(専大岩井俊介(名城大)と安定感のある三先発右腕を上位でリストアップしており、広島が今年のドラフトで即戦力先発を狙っているのが分かり、岩井は常廣と同じくリリーフの適性もある。

 一方で昨年は将来性重視で斎藤優汰(苫小牧中央高~22年①)を指名し、高校生では前田悠伍(大阪桐蔭高)木村優人(霞ケ浦高)が1位候補に挙がるが、常廣を外してもそのまま大学生投手の指名が有力だろう。

 2位以降で高校生を指名するのであれば、本格派右腕の日當直喜(東海大菅生高)に左腕の杉原望来(京都国際高)が候補になる、下位候補では藤原大翔(飯塚高)高橋快秀(多度津高)天野京介(愛産大工高)、中山勝暁(高田高)の名前が挙がり、昨年に続き本格派右腕が重点のようだ。

 大学生も同様で、上田大河(大商大)中岡大河(富士大)村田賢一蒔田稔(ともに明大)といった安定感に長けた選手や、真野凛風(同大)谷脇弘起(立命大)など伸びしろのある素質型も含め右腕の評価が高い。

 左腕では、制球力に長けた高太一(大商大)に多彩な変化球を駆使する石原勇輝(明大)、ハマったときの投球は手が付けられない滝田一希(星槎道都大)がリストアップされている。

 昨年、3名を指名した社会人選手は、昨年の不振を引きずっているとは思えないが、あまり興味がないようで、加藤竜馬(東邦ガスの関心が高い。

☆捕手~坂倉に次ぐ二番手捕手

 昨年、三塁が主だった坂倉を今季は捕手で起用し続け、暫くは25歳の坂倉が中心になる。ただ、坂倉以外に今季一軍でマスクを被ったのは曾澤翼(水戸短大付高~06年③)と磯村嘉孝中京大中京高~10年⑤)の両ベテランのみで、若手の突き上げが不足している。ファームで主戦の石原貴規(天理大~19年⑤)や持丸泰輝(旭川大高~10年育①)が2~3番手に喰い込みたい。

 捕手は支配下人数も十分で、優先順位は高くない。進藤勇也(上武大)堀柊那(報徳学園高)の名前も挙がるが、坂倉を正捕手で起用し続けるのであれば敢えて上位枠をい使用する理由はなく、下位で有馬諒(関大)を指名できれば御の字で、26歳~30歳が不在でトレードのほうが現実的と言える。

内野手~左打ち高校生と右打ち大学生スラッガー

 今季、レギュラーと呼べたのは二塁の菊地だけで、一塁はマクブルームと堂林、三塁がデビッドソンと田中広輔JR東日本~13年③)、遊撃は矢野雅哉(亜大~20年⑥)と小園で、守備では上本が全ポジションを守り、攻撃ではベテランの松山竜平九州国際大~07年④)が支えた。

 ただ、堂林が33歳、菊地と上本が34歳、田中も35歳で若手の台頭が必要で、上本や松山が4番を任せられるようでは頭が痛い。小園が今ひとつ主力になり切れず、羽月隆太郎(神村学園高~18年⑦)も韮澤雄也(花咲徳栄高~19年④)も、主力を脅かすことは出来なかった。

 チームに必要なのはスラッガーで、大学生では上田希由翔(明大)廣瀬隆太(慶大)、高校生では森田大翔(履正社高)と地元の真鍋慧(広陵高)が上位候補に挙がっている。このなかでは上田は中距離の巧打者タイプだが、廣瀬に森田、真鍋が4番候補の長距離砲で、年齢構成では廣瀬と真鍋がフィットする。

 また、小園への発奮材料ではないが、遊撃守備に定評のある相羽寛太(ヤマハに俊足が売りの武田登生(日本新薬の評価が高く、甲子園でも活躍した山田脩也(仙台育英高)等、遊撃手がリストアップされている。

☆外野手~高校生

 外野手は今季に限って言えば補強の必要はない。秋山と西川、野間がレギュラーで、西川と野間はいまが一番脂ののっている年齢だ。ここに驚異の長打率5割の末包に、ファームで2桁本塁打中村健人トヨタ自動車~21年③)や今季一軍デビューの田村俊介(愛工大名電高~21年④)が控え、年齢構成は良くないが優先度合いは高くない。

 実際、外野手での候補は田中大聖(太成学院大)くらいで、その田中も投手としての評価が高く実質ゼロと言える。ただ、山陰の浅野(巨人)の愛称の高野颯太(三刀屋高)は右の長距離砲で、状況次第では地元枠で獲得を検討しても面白い。

●早くも常廣指名を公表!ただ、今年のドラフトで抱える課題は解消できず

 12球団でいち早く常廣羽也斗(青学大)を1位指名を公表したが、昨年とは違い今年は豊作と言われており、他球団へのけん制にはならないだろう。現状、常廣には3~4球団が予想され、外した場合は西舘勇飛(中大)に下村海翔(青学大)、1位入札が無ければ前田悠伍(大阪桐蔭高)が次候補になる。

 サプライズがあるとすれば、廣瀬隆太(慶大)や上田希由翔(明大)の内野手を1位指名し、2位以下で投手を並べるドラフトも面白い。今季は豊富な大学生投手と高校生投手をどの順位で獲得するかがポイントになる。

【指名シミュレーション】

      (Aパターン)           (Bパターン)

 1位~常廣羽也斗(青学大・投手)     西舘勇飛(中大・投手)

 2位~岩井俊介(名城大・投手)      廣瀬隆太(慶大・内野手

 3位~森田大翔(履正社高・内野手)    杉原望来(京都国際高・投手)

 4位~藤原大翔(飯塚高・投手)      谷脇弘起(立命大・投手)

 5位~滝田一希(星槎道都大・投手)    山田脩也(仙台育英高・内野手) 

 6位~相羽寛太(ヤマハ内野手)     石原勇輝(明大・投手) 

 おススメの選手は、地元出身の石原勇輝(明大・投手)で、大学では村田賢一や蒔田稔に隠れた存在だったが、カーブが武器の緩急自在の左腕で、先発・リリーフともに適性があり。マルチな役割を持つ投手が必要なチームだけに補強ポイントにもp合う。