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どのチームが「人」を育て強くなるのか

23年現役ドラフト候補選手を予想する~パ・リーグ編

 今年のオフは戦力外になった選手がハイペースで移籍が決まる一方で、トライアウト参加選手の門は例年になく狭く、参加した59名中で新天地が決まったのは3選手のみで、NPBは吉田凌(オリックス→ロッテ育成)1名のみと明暗が分かれている。

 昨年から始まった現役ドラフトは、「現チームで出場機会に恵まれていない選手の移籍を促進させる」もので、各球団が対象選手のうちから2名以上をリストアップし、そのリストを基に全球団が指名することで、全球団で必ず選手の出入りが発生するシステムになっている。

【昨年の現役ドラフト指名】※( )は移籍前の球団

 ・オリックス…渡邊大樹(ヤクルト)1試合/打率.000/0本塁打 →戦力外(引退)

 ・ソフトバンク…古川侑利(日本ハム)9試合~0勝0敗0S→戦力外(育成契約)

 ・西武…陽川尚将(阪神)9試合/打率.167/1本塁打

 ・楽天…正随優弥(広島)1試合/打率.000/0本塁打 →戦力外

 ・ロッテ…大下誠一郎(オリックス)23試合/打率.227/1本塁打

 ・日本ハム…松岡洸希(西武)一軍出場なし →戦力外(育成契約)

 ・ヤクルト…成田 翔(ロッテ)3試合0勝0敗0S →戦力外

 ・DeNA…笠原祥太郎(中日)2試合0勝2敗0S →戦力外

 ・阪神…大竹耕太郎(ソフトバンク)21試合12勝2敗0S

 ・巨人…オコエ瑠偉楽天)41試合/打率.235/2本塁打

 ・広島…戸根千明(巨人)24試合1勝0敗0S 6HP

 ・中日…細川成也(DeNA)140試合/打率.253/24本塁打

 投手では大竹(阪神)、野手では細川(DeNA)の活躍が光り、戸根やオコエ、大下も昨季よりは出番が増え、1年目にしては成果は十分だったと思う。ただ一方で半分の6選手(うち2名は育成で再契約)は戦力外になり、厳しさも浮き彫りになった。

 ただ、成功事例にスポットを当てることが重要で、やりながら制度を是正していけば良い話で、今年もどんな現役ドラフトになるか、各球団の候補を予想してみました。

 

オリックス

投手…横山 楓(セガサミー~21年⑥)漆原大晟(新潟医療福祉大~18年育①)

野手…山足達也(ホンダ鈴鹿~19年⑧)福田周平(NTT東日本~17年③)

     佐野晧大(大分高~14年③)

 候補として有力なのが投手の漆原横山で、エースの山本由伸と今季10勝の山崎福也がFAで抜けるが、若手も育ってきており強力投手陣が揺らぐことはないだろう。

 漆原は今季一軍で16試合登板も層の厚い投手陣の壁に阻まれ定着とはならなかったが、ファームでの実績が十分でリリーフはどこのチームも欲しい。このほか、今季2年目の横山は少し早い気もするが、社会人で即戦力の期待も一軍登板は今季の4試合のみと主戦がファームになっており、最速154キロ右腕も欲しいチームは多いはずだ。

 一方で、FAで西川龍馬(広島)が加入したことにより、外野の壁が一つ埋まり、ここにきて福田佐野の可能性も出てきた。福田は今季36試合出場と出番が激減し、打率も1割台と西川獲得の要因にもなった。佐野は俊足が武器だが今季は5盗塁とセールスポイントが活かされておらず、外野手の欲しいロッテや西武、広島は欲しい選手だ。

【ロッテ】

投手…佐々木千隼(桜美林大~16年①)二木康太(鹿児島情報高~13年⑥)

     八木 彬(三菱重工エスト~21年⑤)本前郁也(北翔大~19年育①)

野手…平沢大河(仙台育英高~15年①)

 ドラフト1位の佐々木千平沢の名前も挙げたが、正直候補に迷った。そんななか有力なのが左腕の本前で、今季は僅か1試合の登板になったが、ファームでは104回を投げており、FAで山崎福也(オリックス)獲得に動いているチームなどは狙い目だ。

 佐々木千はこの2年結果が出ておらず、来季30歳という年齢を考えると、環境を変えることもアリと言える。平沢も今季は57試合出場で出番を増やし、インパクトのある打撃も見せたが打率1割台で期待に応えられていない。また、本職の遊撃での出場はファームでもなく、外野で勝負するなら以前よりも増して打撃強化が求められる。

 八木は今季2年目だが、ファームで好投するも今季は一軍で結果を残せず、27歳の年齢を考えると候補に挙がっても不思議ではない。かつての開幕投手二木はケガで今季は一軍登板がなく、復活を望む声は多いが新天地への移籍もありかも知れない。

ソフトバンク

投手…杉山一樹(三菱重工広島~18年②)笠谷俊介(大分商高~14年④)

野手…渡邊 陸(神村学園高~18年育①)リチャード(沖縄尚学高~17年育③)

     野村大樹(早実高~18年③)

 戦力外になった森唯斗をはじめ、嘉弥真新也に上林誠知、増田珠の移籍先が決まり、昨年移籍した大竹耕太郎の活躍にもあるように選手層は厚くまさに宝の山だ。

 右の長距離砲の獲得が今オフのメインで、ウォーカー(巨人)を獲得し、FAで山川穂高(西武)の加入も濃厚で、そうなると野村大リチャードの出番がなくなる。特にリチャードはファームで4年連続の本塁打王で二軍でやることは既になく、移籍したほうが本人にもプラスになると思う。打撃の良い渡邊もファームの正捕手では勿体なく、オリックス楽天、巨人、ヤクルトは捕手自体の数が不足しており人気は高い。

 投手ではポテンシャルの高さが評価されている杉山は、まさしく他球団で見てみたい選手。このなかでは最も実績のある笠谷は、先発もリリーフもでき、結果は残すも一軍に定着できず、左腕不足のオリックスやロッテ、西武は是が非とも欲しい選手だ。 

楽天

投手…高田孝一(法大~20年②)弓削隼人(スバル~18年④)

     瀧中瞭太(ホンダ鈴鹿~19年⑥)津留崎大成(慶大~19年③) 

野手…渡邊佳明(明大~18年⑥)

 良く言えば主力が固定され出番が限られ、悪く言えば主力をを脅かす若手が不足し選手層が薄く候補選定に迷った。高田津留崎はともに一軍では7試合登板に留まり、出場機会が増えるなら移籍も歓迎だろう。特に津留崎は一・二軍とも防御率1点台と投げれば結果を残しており、リリーフを強化したい広島や巨人、ヤクルトにハマると思う。

 先発の瀧中は、今季は8試合登板に留まり、来季は30歳のシーズンを迎え、先発投手の若手への転換を進むなか、出番が限られることが予想される。技巧派左腕の弓削も年々出番が減っており、先発もリリーフも出来るだけにもう一花咲かせたい。

 投手で4名挙げたが、野手で有力なのが渡邊で、一軍では便利屋扱いだが、ファームでは別格の打撃を見せ、チームに同じタイプの選手が多いだけに、環境を変え今一度レギュラーを目指したい。内外野守れ、広島やDeNAの補強ポイントにフィットする。

【西武】

投手…浜屋将太(三菱日立PS~19年②)大曲 錬(福岡大~20年⑤)

野手…山野辺翔(三菱自動車岡崎~18年③)高松 渡(滝川二高~17年中③)

     高木 渉(真颯館高~17年育①)

 西武で有力なのが浜屋山野辺で、浜屋はチームで不足している左腕だが、2年連続で一軍登板がなく、年齢も25歳と若く、現役ドラフトの主旨に合う選手だ。内外野守れるユーティリティの山野辺は守備は問題なく、課題の打撃さえ解消できれば機動力も使え起用法は広い。また、貴重な右打ちで広島とDeNA、ヤクルトは年齢構成の空白を埋め、二遊間強化が課題の日本ハムや中日などフィットするチームは多い。

 浜屋と山野辺に続くのが高木大曲で、ともにファームでは主力だが一軍では結果を残せていない。高木はファームでは本塁打6本と長打力は健在で、まだ24歳と伸びしろもあり、細川成也(中日)のように大化けする可能性もある。大曲も層の厚い投手陣に阻まれており、もっとチャンスを上げても良いと思う。今季、中日からトレードで加入した高松は期待の走力を活かせず、一芸を求めるチームからの需要はある。

日本ハム

投手…生田目翼(日本通運~18年③)石川直也(山形中央高~14年④)

野手…清水優心(九州国際大高~14年②)郡 拓也(帝京高~16年⑦)

     今川優馬(JFE東日本~20年⑥)

 上沢直之がポスティングでMLB移籍を目指すなか、加藤貴之が残留を決め、オリックスからFAの山崎福也を獲得する金星を挙げた。トレードで黒木優太も獲得し、人数的にも投手の可能性が高く、生田目石川を予想した。

 即戦力で入団した生田目は今季5年目も、一軍登板が通算でも15試合と期待に応えられていない。石川もクローザー候補として名前が挙がったが、今季は出番を減らし、ポジションを田中正義等に奪われてしまい、ともに環境を変えても良い頃だと思う。

 野手は捕手が豊富で、清水や内野も守れるの名前を挙げたが、捕手はトレード要員のほうがチームとしては活きてくると思う。今川は昨年は94試合で10本塁打と長打力の片りんを見せたが、今季は28試合で本塁打ゼロで出番のほとんどが代打で、今年は右打ちの外野手2名がドラフト指名されており候補になる可能性が高い。