12/9に初の現役ドラフトが開催された。完全非公開だったため、どういった順番や状況で実施されたのかは分からないが、結果自体は当初の目的は達成できたものだと感じた。
オリックス…渡邊 大樹(ヤクルト・外野手/専大松戸高~15年⑥)
ソフトバンク …古川侑利(日本ハム・投手/有田工高~13年楽④)
西 武 …陽川 尚将(阪 神・内野手/東農大~13年③)
楽 天 …正髄 優弥(広 島・外野手/亜大~18年⑥)
ロッテ …大下誠一郎(オリックス・内野手/白鷗大~19年育⑥)
日本ハム …松岡 洸希(西 武・投手/BC武蔵~19年③)
ヤクルト …成田 翔(ロッテ・投手/秋田商高~15年③)
DeNA …笠原祥太郎(中 日・投手/新潟医療福祉大~16年④)
阪 神 …大竹耕太郎(ソフトバンク・投手/早大~17年育④)
広 島 …戸根 千秋(巨 人・投手/日大~14年②)
中 日 …細川 成也(DeNA・外野手/明秀日立高~16年⑤)
ポジション別には投手と野手が6選手ずつ、キレイに半分に分かれたが、野手は内野手2選手、外野手が4選手で、捕手は1名もいなかった。ドラフト1位は楽天のオコエのみで、反面、育成出身はオリックスの大下とソフトバンクの大竹2選手がいた。
最年長は31歳の阪神・陽川で、最年少は西武・松岡の22歳。在籍年数でも陽川の9年が最長で、大下と松岡は3年と最短の在籍になった。ちなみに日本ハムの古川は、楽天からトレードで巨人、戦力外通告を経て、今季から日本ハムで支配下になり、今回の現役ドラフトで4球団目となる。
◇オリックス(〇)OUT/大下誠一郎→IN/渡邊大樹
渡邊は主に守備固めが多く、課題の打撃が解消されず今季は49試合(昨年94試合)と出場が半分になった。オリックスは右打ちの外野手は杉本と元、池田しかおらず年齢バランスでも絶妙な補強になった。
◇ソフトバンク(✕)OUT/大竹耕太郎→IN/古川侑利
千賀が抜け先発が不足するなか、数少ない左の先発を大竹を放出した。先日、オスナ(ロッテ)獲得を発表したばかりで、リリーフ古川の居場所があるかやや疑問が残る。松本や藤井の先発転向を見据えてだと思うが、古川もチーム全体の課題の四球が多い。
◇西武(△)OUT/松岡洸希→IN/陽川尚将
陽川の獲得は大成功で、三塁のレギュラーが不在のなか、経験のある陽川は間違いなく戦力になり、ベテランの中村をDHに専念させることもできる。ただ、平良の先発転向でリリーフ陣再編が必要のなかファームで最多登板の松岡の放出は痛かった。
楽天の課題は確かに右の強打者不足だが、ファームでは和田が打っており、フランコと阿部も加入した。鉄壁の外野陣にオコエと同じ右打ちの正髄が本当に必要だったのか…結局はオコエ放出が目的のトレード的要素が強い結果になってしまった。
◇ロッテ(〇)OUT/成田 翔→IN/大下誠一郎
左のリリーフは少ないが、数的に左投手が増え、同い年に鈴木と佐藤奨がおり年齢バランスでも問題ない。それよりもチームを盛り上げる選手が三木しかいないおとなしいチームで、元気印の大下の加入は、右の代打の切り札プラスの効果が期待できる。
◇日本ハム(△)OUT/古川侑利→IN/松岡洸希
同じリリーフでのトレードのような形になったが、変則右腕でしかも22歳の松岡の加入は育成の日ハムの片りんを見た気がする。敢えて(△)にしたのは、松岡の実績がほぼ無いため(通算7試合)だが、来季、終わってみれば大成功の可能性もある。
◆ヤクルト(△)OUT/渡邊大樹→IN/成田 翔
強力打線のなか、ドラフトで2名の外野手も獲得し、守備固めがメインの渡邊の放出は理解できるが、外野の年齢バランスが悪くなったのがマイナスだった。一方で左腕不足のなか成田の獲得はプラスだが、プロ7年で通算15試合登板は実績に乏しい。
◆DeNA(〇)OUT/細川成也→IN/笠原祥太郎
外野手が豊富ななか一軍で芽が出ず、期待の若手で終わりそうだった細川にはチャンスの移籍になる。獲得した笠原は故障でここ2年は一軍登板は少ないが、開幕投手も務めた実績のある左腕で、故障が完治すれば先発・リリーフどちらでも戦力になる。
◆阪神(△)OUT/陽川尚将→IN/大竹耕太郎
ともに実績のある選手の入れ替えになり、12球団ナンバーワンの防御率を誇る投手陣に大竹が加わるのは悪くない。ただ、本当に大竹を起用する場面があるかが想像し難く、課題の打線強化または守備のスペシャリスト獲得のほうが良いと思った。
◆巨人(✕)OUT/戸根千明→IN/オコエ瑠偉
防御率ワーストのチームで、頼りになるリリーフ左腕が高梨や中川(育成)しかいないなか戸根の放出は痛い。丸の右翼コンバートで中堅が欲しいのは理解できるが、ルーキー萩尾に新外国人も獲得し、梶谷や松原もいるなか競争するには候補が多すぎる。
◆広島(〇)OUT/正髄優弥→IN/戸根千明
秋山が加入し、FA移籍の可能性もあった西川と野間も残留を決め、結果、長野や正髄を放出する余裕が出来た。そんななか課題のリリーフ陣強化で、塹江と森浦のリリーフ左腕に、ロングリリーフもできる戸根が加わることは大きなプラスになった。
◆中日(✕)OUT/笠原祥太郎→IN/細川成也
トレードで砂田を獲得し、左腕が豊富なチームで笠原の移籍は悪くない。ただ、細川は確かに良い選手だが、チームには石川昂に石垣、鵜飼など右のロマン砲が多数おり、ここに細川が必要かは疑問だ…。少し打力不足に過敏に反応している印象を受ける。
当初は戦力外当落線上にいる選手の移籍になるのではないかと懸念されていたが、今回の移籍選手を見るとその危惧は当てはまらないと感じた。
ただ、最初の試みで全球団一巡目終了はどう評価するかだが、個人的にはやはり寂しい。もっと移籍が活発になり、チャンスが増えることを期待したい。
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【対象外選手】
①FA権保有者、または権利行使経験者(〇)
②複数年契約の選手(〇)
③年俸5千万円以上の選手 ※但し年俸5,000万~1億円未満の選手は1名可能(△)
④育成契約選手(✕)
⑤外国人枠の選手(✕)
⑥昨季の日本シリーズ終了後にトレードで移籍した選手(〇)
⑦今季の日本シリーズ終了後に育成から支配下登録になった選手(△)
個人的に、対象選手の選び方について検討してみた。①②⑥は現行のままで良いと思うが、他は見直して良いと思う。
特に④の育成選手を対象外にするのはおかしく、支配下は70名の枠があるが、育成選手に上限はない。21年のシーズン前、最多は巨人の43名で、最小はヤクルトの7名で、育成選手こそ現役ドラフトを渇望しているはずだ。
外国人選手も同様で、巨人の9名を最高に出場機会を求める助っ人も多い。かなり古い話だが、外国人枠で出番のなかったブライアントは、不祥事で退団し外国人選手が不足した近鉄に移籍し大成功した。
個人的には、①②は無条件に除外し、③⑤⑦は予めプロテクトする選手を決め、プロテクトから外れた選手をすべて自動的に対象にする方が活性化するのではないか。
そうすれば2~3巡目までは普通にいくと思うし、より多く指名されたチームはトライアウトへの臨み方も変わる。現在は実施時期もシーズンオフになっているが、シーズン中やドラフト前後、トライアウト前など部分ではなく全体最適を考え、制度を進化させることが大事だと思う。