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どのチームが「人」を育て強くなるのか

20年~パ・リーグ順位予想

 いよいよ待ちに待ったプロ野球が開幕する。交流戦が中止になり、レギュラーシーズンは143試合から120試合に縮小される。一方でオールスター戦も中止になることで、夏場のオールスター休みがなく連戦が続く。

 また、新型コロナウィルス感染拡大防止策で、地域間の移動を最小限にするために、パ・リーグでは、序盤に同一チーム6連戦も組まれている。一軍登録に外国人登録、ベンチ登録人数の拡大、延長戦は10回までなど、特例ルールが採用され後にも先にも前例のないシーズンが始まる。

 順位予想は難しいが、3つのポイントで予想してみた。1つ目は選手層の厚さ、2つ目に投手力、最後にベテラン選手の存在である。

 今年は過密日程のうえ、慣れない日程による調整の難しさでケガが増える可能性がある。レギュラーといえども、適度に休養を入れる必要があるし、パ・リーグの同一カード6連戦は、まさしく短期決戦型になり、選手層の厚さが勝敗を左右する。

 2つ目の投手力では、多くの選手が実戦から遠ざかっているため、序盤は投手が有利になる。打者は活きたボールを見ないと調整は難しく、打者の目が慣れるまでは投手力のあるチームが優位になる。また、中継ぎ陣の負担が予想され、質量ともにリリーフ層の豊富さが要求される。

 最後は各選手とも開幕までの3ケ月のブランクは大きく、コンディション調整が難しい。シーズンを勝ち抜くうえでは、若手の台頭ももちろん必要だが、今年はより経験豊富なベテラン選手の重要性が増してくると思う。

 そこでパ・リーグの順位予想は、本命はソフトバンク、対抗は楽天、大穴でロッテとオリックスが面白い。2年連続優勝の西武は今年は苦戦が予想され、日本ハムは良くてもAクラスで優勝は厳しいと予想した。

 

○1位~ソフトバンク

 ここ数年、主力の相次ぐ離脱に悩まされていたなか、3年連続日本一を達成した選手層の厚さは健在だ。今年はエースの千賀が調整遅れ、新型コロナで出国できないキューバ勢を開幕に欠くが、戦力は充実している。

 先発…東浜・ムーア・和田・バンデンハーク・石川・二保(千賀・松本) 

 中継…津森・岩嵜・高橋礼・尾形・松田遼・高橋純・嘉弥真・川原(椎野・古谷)

 抑え…森(モイネロ・サファテ)

 スタメン…捕手/甲斐・一塁/内川・二塁/牧原・三塁/松田宣・遊撃/今宮 

      左翼/バレンティン・中堅/柳田・右翼/上林・DH/栗原

 控え…捕)高谷 内)高田・中村・明石・周東 外)長谷川・佐藤

   (九鬼・グラシアル・柳町・リチャード・三森・川島・デスパイネ・釜元)

 先発の6名が決まり、中継ぎも豊富だ。特に岩嵜が復調し、ロングリリーフもできる高橋礼が開幕に間に合ったのが大きい。さらにモイネロやサファテが加われば、まさしく盤石なリリーフ陣を形成できる。若手では最後まで先発枠を争った松本や売り出し中の左腕・古谷、育成から支配下になった尾形に期待したい。

 二塁以外のレギュラーは決まっており、柳田と上林の復調、覚醒を予感させる栗原の存在が頼もしい。デスパイネとグラシアルが戻ってくれば、打線はさらに厚みが増す。しいて弱点を上げるなら外野守備と、ここ数年レギュラーに変化がなく、若手の底上げが遅れていることくらいだが、周東やルーキー佐藤がその心配を払拭してくれそうだ。

 

○2位~楽天

 ソフトバンクの対抗馬に挙げたのが楽天だ。今年はFAでロッテから鈴木大、メジャーから牧田、来日3年で通算69本塁打オリックスのロメロも獲得し、オフでの積極的な補強が光った。Aクラスの翌年は最下位のジンクスを、今年こそはなくしたい。

 先発…則本昂・松井・石橋・辛島・涌井・弓削(岸・藤平・釜田・福井)

 中継…牧田・酒居・ブセニッツ・青山・宋家豪・高梨・寺岡(津留崎・瀧中)

 抑え…森原・シャギワ

 スタメン…捕手/太田・一塁/銀次・二塁/浅村・三塁/鈴木大・遊撃/茂木

      左翼/島内・中堅/辰巳・右翼/ブラッシュ・DH/ロメロ

 控え…捕)山下 内)小深田・藤田・山崎幹・内田・渡邊佳 外)小郷

   (足立・堀内・黒川・渡辺直・ウィーラー・オコエ・田中・下水流・和田)

 投手陣では先発陣にやや不安が残る。先発転向の松井は安定感に欠け、オープン戦好調だった弓削も不振、岸も本調子には程遠い。反面、牧田や酒居が加わったリリーフ陣は層が厚く、松井に代わるクローザー候補の森原とシャギワの争いにも注目だ。

 打線は強力で、開幕が遅れたことで浅村と茂木が間に合い、ソフトバンクや西武に引けをとらない強力打線を形成できた。即戦力ルーキーの小深田の守備走塁は秀逸で、レギュラーを十分に狙え、打撃好調の山崎幹や内田など楽しみな若手が多い。

 悩みは充実し過ぎている外国人選手で、投手はリリーフ、野手は右打ちのスラッガーと同じ役割の選手のハイレベルな競争が繰り広げられており、贅沢な悩みが尽きない。

 

○3位~ロッテ

 台風の目になりそうなのがロッテだ。楽天同様オフに積極的に補強し、FAで楽天の美馬、ソフトバンクから福田秀を獲得し、楽天からハーマン、元広島のジャクソン、阪神の鳥谷、黄金ルーキー佐々木朗の加入など、1974年以来のリーグ優勝も夢ではない。

    先発…石川・種市・西野・美馬・小島・二木(佐々木千・唐川・土肥・有吉・岩下)

 中継…東條・東妻・石崎・小野・中村稔・田中・ジャクソン(松永・南・チェン)

 抑え…益田・ハーマン

 スタメン…捕手/佐藤・一塁/井上・二塁/中村奨・三塁/レアード・遊撃/藤岡

      左翼/荻野・中堅/福田秀・右翼/マーティン・DH/角中

 控え…捕)柿沼 内)鳥谷・安田・平沢・福田光 外)清田・岡

   (田村・吉田・三木・細谷・西巻・藤原・菅野・高部・和田)

 先発は5人が内定し、最後の枠を25歳の二木と24歳の岩下が争っている。昨年8勝を上げた22歳の種市と、唯一の左腕24歳の小島など若手の競争に期待がかかる。リリーフ陣も充実しており、ともに2年目の東妻に中村稔、ファームで2年連続のセーブ王・小野も24歳で楽しみな若手がしのぎを削り、移籍2年目の石崎の復調も心強い。

 打線は昨年倍増した本塁打と、一昨年リーグ2位の機動力が噛み合えば破壊力のある打線になる。田村の故障は痛いが、ルーキー佐藤にチャンスが巡り、ファーム二冠王の安田や平沢のドラ1コンビも、鈴木大移籍のチャンスを掴みたい。福田光や藤原、和田などイキの良い若手の成長がシーズン通してカギを握り、ベテラン鳥谷にも注目だ。

 

○4位~西武

 2年連続リーグ優勝の西武だが、連覇は難しい。2年連続リーグ最下位の投手陣に大きな改善が見られず、自慢の強力打線も、攻守の要だった秋山移籍の穴は大きい。また、レギュラーが強固が故に控えの層が薄く、主力の離脱がチーム力に直結する。

 先発…ニール・高橋光・今井・松本・與座・ノリン(十亀・本田・榎田・松坂)

 中継…宮川・浜屋・平井・森脇・小川・ギャレット・平良(野田・伊藤)

 抑え…増田

 スタメン…捕手/森・一塁/山川・二塁/外崎・三塁/中村・遊撃/源田

      左翼/スパンジェンバーグ・中堅/金子侑・右翼/木村・DH/栗山

 控え…捕)岡田 内)山野辺・佐藤・呉念庭・森越・メヒア 外)鈴木・川越

   (柘植・水口・愛斗)

 先発ローテは内定し、練習試合でも好投した與座に、新外国人左腕のノリンが間に合った。開幕投手はニールだが、好投を続ける今井にエース誕生を予感させる。リリーフ陣は平井の疲労回復が心配だが、新人王を狙う平良や、開幕に間に合ったルーキー宮川が穴を埋めてくれそうだ。ただ、層の薄さは解消されておらず不安は尽きない。

 野手では秋山の抜けた一番が課題で、スパンジェンバーグと金子侑が候補になる。今年で37歳を迎える中村と栗山のベテランに代わる若手の成長もカギで、長打力が魅力の佐藤や川越、俊足巧打の山野辺や鈴木の出番が増えそうで、レギュラー陣を脅かす活躍を見せれば、今年も山賊打線は健在だ。

 

○5位~オリックス

 順位は5位予想だが、山岡と山本のWエースに、主砲の吉田正と投打に軸となる選手がおり、自慢の投手力と積極的な若手の起用優勝争いに絡んでくるチャンスは十分にある。まだ発展途上中のチームで、間違いなく今後に繋がっていくシーズンになる。

 先発…山岡・山本・アルバース・田嶋・K-鈴木・荒西・村西(竹安・榊原・張奕)

 中継…山崎福・吉田一・近藤・比嘉・海田・漆原(ヒギンス・澤田・山田・神戸)

 抑え…ディクソン・増井

 スタメン…捕手/若月・一塁/モヤ・二塁/福田・三塁/中川・遊撃/安達

      左翼/吉田正・中堅/ジョーンズ・右翼/宗・DH/ロドリゲス

 控え…捕)松井雅・頓宮 内)勝俣・大城 外)後藤・Tー岡田・小田

   (山崎勝・白崎・西野・山足・小島・宜保・西浦・西村・佐野・杉本)

 山岡と山本の全日本クラスのエースが2人いることで、大型の連敗は考えにくく、左腕の田嶋、アルバースも開幕に間に合ったのが大きく、ルーキー村西を加えた先発陣は豊富だ。課題はクローザーで、ディクソンと増井はともに安定感に欠け、終盤の継投がポイントになる。昨年ファームのセーブ王・漆原にもチャンスがあるかもしれない。

 課題は攻撃陣でレギュラーが吉田正と福田、若月しかいない布陣で期待がかかるのは外国人選手の活躍だ。外国人選手はシーズンが始まってみないと分からない部分があるが、現役メジャーリーガーのジョーンズ、長打のロドリゲスはチームの浮沈を握る。T-岡田や安達のベテラン勢、宗や大城、中川との若手のレギュラー争いに注目したい。

 

○6位~日本ハム

 昨年のドラフトで即戦力選手を多く獲得した以外は目立った補強がなく、得意のトレードも、お家芸とも言える若手の成長株も見当たらない…。伝統の堅守やそつのない野球も年々影を潜めており、今年も厳しいシーズンになりそうだ。

 先発…有原・上沢・マルティネス・河野・バーヘイゲン・杉浦(吉田輝・村田)

 中継…金子・宮西・堀・西村・鈴木健・公文・玉井(生田目・井口・浦野)

 抑え…秋吉・石川直

 スタメン…捕手/宇佐見・一塁/中田・二塁/渡邊諒・三塁/ビヤヌエバ・遊撃/石井

     左翼/近藤・中堅/西川・右翼/大田・DH/王伯融

 控え…捕)清水・郡 内)杉谷・清宮・横尾 外)谷口・松本

   (鶴岡・中島・平沼・谷内・万波)

 昨年は実質、有原しか先発がおらず、栗山流オープナーの活用でやり繰りしたが、今年は上沢とマルティネスが戻り、ルーキー河野や新外国人のバーヘイゲンが加わり、昨年よりは駒が揃った。ただ、層は決して厚いとは言えず、昨年同様に今年もオープナーを活用しながら、継投で乗り切るシーズンになる。

 攻撃陣は1番から西川、大田、近藤、中田までの上位打線は怖いが、下位打線の弱さは相変わらずで、王伯融とビヤヌエバの両助っ人の活躍がないと厳しい。清水や渡邊にレギュラー奪取の期待がかかるが、最も期待されている清宮も今ひとつで、日ハム伝統の育成法で、有望な若手を我慢して使い続ける成長株の出現に期待したい。