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どのチームが「人」を育て強くなるのか

22年新入団選手~パ・リーグ編

オリックスバファローズ(60名)

  相変わらず山本由伸と吉田正尚がチームの中心だが、昨年とは違いリリーフ陣は固定せずに相手打線や試合の流れで起用し、打順も先発オーダーが141通りとまさしく全員で勝ち取った連覇であり日本一だった。

 自慢の投手陣は、先発候補として山下舜平太やルーキーの曽谷など楽しみな若手が名を連ね、リリーフはワゲスパックが残留、中継ぎでコットンも加入した。今年ブレイクした阿部翔太に山崎颯一郎、宇田川優希が来季も活躍できれば隙のない投手陣になる。

 打線は不安が多く、吉田正と66試合で先発マスクの伏見寅威が移籍し、森が加入したものの、一人で穴を埋めるのは厳しい。中川圭太のポジション次第だが、一塁と二塁、左翼にDHとレギュラー不在のポジションは多く、若手がチャンスを掴みたい。

 外国人選手はまだ3名で、リリーフ左腕や長距離砲が候補になる。支配下枠も余裕があるが、自由契約の選手でハマる選手が見当たらず、育成には実績のある富山凌雅や阪神から移籍の小野、ルーキーで才木も控え、現有戦力の底上げが現実的になる。

【新入団選手】

 投 手…曽谷龍平(22年①/#17)斎藤響介(22年③/#26)

       日高暖己(22年⑤/#47)小野泰己(16年神②/#130)

       西濱勇星(22年育①/#030)才木海翔(22年育②/#031)

       入山海斗(22年育③/#032)

 捕 手…森 友哉(13年西①/#4)石川 亮(13年日⑧/#37)

       村上喬一朗(22年育⑤/#034)

 内野手…シュウィンデル(カブス/未定)内藤 鵬(22年②/#25)

      上野響平(19年日③/#124)セデーニョ(3Aダイヤモンドバックス/#121)

 外野手…渡邊大樹(15年ヤ⑥/#49)杉澤 龍(22年④/#33)

       茶野篤政(22年育④/#033)

 

福岡ソフトバンクホークス(67名)

 昨年、開幕8連勝と最高のスタートを切ったものの、マジック1から2連敗して優勝を逃した。その悔しさからか、今オフは積極的な補強を見せている。投手では先発で阪神からガンケル、クローザーでロッテからオスナを獲得した。野手もFAの嶺井の加入が早々に決まり、近藤もパ・リーグ5球団の大争奪戦を制した。

 来季の優勝に向け、着々と準備が進んでいるが不安要素も多い。投手陣はエース千賀がメッツに移籍し、東浜巨に石川柊太、和田毅に続く先発陣の再編が課題になるが、エース不在の状況は否めない。野手は近藤の加入と栗林陵矢の三塁コンバートで、DHを除くすべてのレギュラーポジションが埋まり、柳町達や野村勇、海野隆司等の中堅どころが控えに周ることにより、この間言われ続けていた世代交代の課題が進まない。

 来季から4軍制を敷くが支配下は既に67名。また、人数以上にFAや他球団で活躍した外国人選手で補強することで、育成から支配下、そしてレギュラーに上がるには相当狭き門になり、チームが活性化するのかは個人的には疑問を感じる。

【新入団選手】

 投 手…ガンケル(阪神/#27)オスナ(ロッテ/#54)

       古川侑利(13年楽④/#63)大津亮介(22年②/#26)

       大野稼頭央(22年④/#60)松本 晴(22年⑤/#49)

       渡辺佑樹(17年楽④/#172)赤羽 蓮(22年育①/#158)

       木村 光(22年育③/#160)内野海斗(22年育④/#161)

       岡植純平(22年育⑤/#162)佐々木明都(22年育⑥/#163)

       水口創太(22年育⑦/#164)宮崎 颯(22年育⑧/#165)

       前田 純(22年育⑩/#167)

 捕 手…嶺井博希(13年D③/#12)吉田賢吾(22年⑥/#64)

       盛島綾大(22年⑭/#171)

 内野手…アストゥディーヨ(マーリンズ/#4)イヒネ・イツア(22年①/#36)

       山下恭吾(22年育②/#159)佐藤航太(22年育⑪/#168)

       飛田悠成(22年育⑫/#169)西尾歩真(22年育⑬/#170)

 外野手…近藤健介(11年日④/#3)ホーキンス(米独立L#10)

       甲斐生海(22年③/#37)重松凱人(22年育⑨/#166)

       オスーナ(育成未定)

 

埼玉西武ライオンズ(66名)

 今季はチームが激変し、4年連続リーグ最下位のチーム防御率が、一気にリーグ1位に改善した。反面、山賊打線と呼ばれた強力打線は鳴りを潜め、山川穂高が打撃2冠とひとり気を吐いたが、チーム打率は最下位と投高打低のチームに変わってしまった。

 投手陣は平良海馬が本人の強い意思もあり先発転向が決まり、リリーフ陣の再編が課題のなか、森の人的補償で移籍した張奕、新外国人のティノコも加入した。ただ、状況によっては、増井浩俊や三上朋也など経験豊富なベテランの獲得があるかも知れない。

 不安なのは野手陣で、森が抜けた正捕手は、今季スタメンマスク31試合の柘植世那と20試合の古賀悠斗が候補になる。また、秋山翔吾(広島)移籍以降不在の一番打者、レギュラー不在の外野手、主軸の中村剛也栗山巧も40歳を迎えるなど課題は多く、若手がこのチャンスを掴まないと厳しい。そんななか的確な補強が光り、ペイトンとルーキー蛭間は外野のレギュラーと一番打者候補、レギュラー不在の三塁手はマキノンと外野も守れる陽川が加わり、競争がチームの底上げになることを期待したい。 

【新入団選手】

 投 手…張 奕(16年オ①/#47)ティノコ(レンジャース/#54)

       青山美夏人(22年④/#29)山田陽翔(22年⑤/#36)       

       三浦大輝(22年育③/#121)

 捕 手…野田海人(22年③/#38)是澤涼輔(22年育④/#122)

 内野手…佐藤龍世(18年西⑦/#58)陽川尚将(13年神③/#52)

       マキノン(アスレチックス/#30)児玉亮涼(22年⑥/#0)

       野村和輝(22年育①/#118)

 外野手…ぺイトン(3Aホワイトソックス/#10) 蛭間拓哉(22年①/#9)

       古川雄大(22年②/#33)日隈モンテル(22年②/#119)

 

東北楽天ゴールデンイーグルス(67名)

 石井監督が述べたように、現役ドラフトで今オフの補強は終えたと言える。今シーズンは最大18の貯金を吐き出し、終わってみれば借金2の歴史的な大失速でBクラスに沈んだ。その最大の要因は投手陣で、チーム防御率はリーグ最下位と先発、リリーフともに課題は多い。そういった状況から、今年のドラフトでは本指名6名中5名を投手が占め、しかも全員が大学生・社会人の即戦力で固めたところに危機感が顕われている。

 経験豊富な小孫や制球力が武器の渡辺は、デビューが早そうで、技巧派左腕のバニュエロスと合わせて先発候補になる。リリーフは20歳中盤の安楽智大や西口直人、宮森智志が安定感を増し、松井裕樹に繋ぐ形を確立したい。

 野手は課題の右打者で、内外野守れる阿部にメジャー通算130本のフランコが加入し、平良も小柄ながら長打力と機動力を備えている。スタメンに右打者が浅村栄斗、捕手の炭谷銀仁朗または太田光しかいない打線も変わるだろう。12球団トップの守備も含め、優勝を狙える戦力が揃っており、投手陣中心に守り切る試合を増やしたい。

【新入団選手】

 投 手…バニュエロス(パイレーツ/#13)荘司康誠(22年①/#19)

       小孫竜二(22年②/#22)渡辺翔太(22年③/#31)

       伊藤茉央(22年④/#41)林 優樹(22年⑥/#64)

       古賀康誠(22年育②/#130)竹下瑛広(22年育③/155)

 捕 手…なし

 内野手…阿部寿樹(15年中⑤/#4)フランコ(ナショナルズ/#23)

       平良竜哉(22年⑤/#30)ウレーニャ(巨人/#138)

       辰見鴻之介(22年育①/#146)永田颯太郎(22年育④/#131)

 外野手…正髄優弥(18年広⑥/#67)

 

千葉ロッテマリーンズ(65名)

 今季は主力が軒並み不振で、投打に世代交代が進むシーズンになった。結果は5位に終わったが期待の持てる若手が台頭してきた。

 投手陣は佐々木朗希が、来季1年間ローテーションを守れれば待望のエース誕生へ期待が持てる。実績のあるメルセデスが加入し、岩下大輝や種市篤暉が完全復活を果たせば層は厚くなる。課題はオスナが移籍したクローザーだが、吉井監督は抑えから投手陣の編成を進めるプランを練っており、どういった形になるか起用に注目したい。個人的には、前レッドソックス澤村拓一の復帰などは感涙ものなのだが…。

 課題の打線は安田尚憲と山口航輝、佐藤都志也も目途が立ち、今季の高部瑛斗のようにそろそろ期待の若手を卒業したい。レギュラー不在の遊撃は、今年のドラフトで友杉が加入し、藤岡裕大や茶谷健太と消去法ではなくレベルの高い争いに期待したい。長打を打てる外国人選手の補強も必須で、あと1~2名は外国人選手の補強が見込まれ、ポランコのほかヤクルトのギブレハンや阪神のマルテ獲得もアリだと思う。

【新入団選手】

 投 手…メルセデス(巨人/未定)カスティーヨ(タイガース/未定)

     菊地吏玖(22年①/#28)田中晴也(22年③/#35)

       高野脩汰(22年④/#34) 吉川悠斗(22年育①/#127)

       白濱快起(22年育②/#128)

 捕 手…なし

 内野手…大下誠一郎(19年オ育⑥/#39)友杉篤輝(22年②/#10)

       金田優太(22年⑤/#68)勝又琉偉(22年育③/#129)

       黒川凱星(22年育④/#130)

 外野手…ポランコ(巨人/未定)

 

北海道日本ハムファイターズ(66名)

 今季は全選手トライアウトの方針のなか、投手の高卒ルーキーと怪我のガント以外、全選手が一軍を経験した。ただ、層の薄さは否めず、一度も最下位から抜け出せないままシーズンを終えたこともあり。今オフは積極的な補強を進めている。

 投手陣の課題は防御率リーグ最下位のリリーフ陣で、来季は伊藤大海のクローザー転向の報道もあるが、トレードで獲得した斎藤友と斎藤綱、現役ドラフトの松岡、ルーキーの宮内といずれもリリーバーで補強ポイントが明確になっている。

 一方で打線は、お世辞にも主力に取って代わる若手が育たないまま世代交代が進んでいる。松本剛首位打者を獲得し、清宮幸太郎も自己最多の本塁打を記録するなど明るい話題もあるが、近藤の穴を埋めるには十分ではなく厳しい戦いが予想される。

 現状66名で、近藤の人的補償で1名移籍することを想定すれば、オフの補強は終了した。ただ、トレードの可能性はまだあり、捕手が8名と数的にも余裕があり、捕手不足のヤクルトやDeNA,巨人とリリーバーまたは外野手を補強しても良いと思う。

【新入団選手】

 投 手…斎藤友貴哉(18年神④/#48)斎藤綱記(14年オ⑤/#67)

       松岡洸希(19年西③/#68)矢澤宏太(22年①/#12)

          金村尚真(22年②/#24)安西叶翔(22年④/#54)

     宮内春輝(22年⑥/#62)中山晶量(22年育②/#126)

        山本晃大(22年育④/#128)

 捕 手…伏見寅威(12年オ③/#23)マルティネス(中日/未定)

 内野手…山田遥楓(14年西⑤/#49)加藤豪将(22年③/#3)

       奈良間大己(22年⑤/#58)      

 外野手…江越大賀(14年神③/#37)藤田大清(22年育①/#125) 

       山口アタル(22年育③/#127)