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どのチームが「人」を育て強くなるのか

20年ドラフト予想☆広島~意外に補強ポイントが多く、ドラフト巧者の真価が問われる

●打高投低でチームは低迷…あの暗黒時代の再来は避けたい…

 セ・リーグはシーズン前、どこのチームにも優勝の可能性(失礼ながらヤクルトは除いて…)がある混戦が予想されたが、多くの予想に反して巨人が独走状態に入った。その要因の一つが広島の低迷と言える。上位チームにいずれも負け越しし、昨年も苦手だった阪神とDeNaにはともに借金5と課題が克服されていない。

 最大の低迷の要因は、崩壊している投手陣である。チーム防御率は1点以上も悪くなり、遂にリーグ最下位まで落ちてしまった。先発・リリーフともに総崩れ状態で、そのなかでDJジョンソンを楽天に放出したのも理解に苦しむ。

 打線は悪くなく、チーム打率はリーグ2位で改善しているが、得点には結びついていない。そのためか打ち勝つチームのイメージもなく、今の広島は一言で言うと特徴のないチームになってしまっている。

 

【9/22現在のチーム成績 ※( )は昨年の成績】

 勝敗 79試合 30勝3741敗8分⑤

 防御率…4.56⑥(3.46②)打率….267②(.254③)

 本塁打…80④(140④)盗塁34④(81③)

 得点346④(591④)失点389⑤(601④)得失点差▲43(▲10)

 

 エース大瀬良大地(九共大~13年①)が故障で離脱し、今シーズンは絶望。Wエースのジョンソンは10試合に登板して防御率6点台で勝ち星なし…。現在は野村祐輔(明大~11年①)と九里亜蓮(亜大~13年②)、ルーキーの森下暢仁(明大~19年①)がローテーションを支えている。森下は防御率2.39で6勝を上げ、もし森下を獲得できていなかったらと考えると背筋が凍る思いだ。

 先発陣よりも厳しいのがリリーフ陣で、新守護神を期待されたスコットは早々と見切られ、代わりに指名された菊池保則(常磐大高~07年楽高④)も上手くいかず、現在はフランスアに落ち着いた。広島の挙げたセーブ数はフランスアが9セーブ、菊池保と一岡竜司沖データPC教育学院~11年巨③)と合わせてわずかに11セーブで、勝ちパターンが確立できていない。

 中継ぎは塹江敦哉(高松北高~14年③)がチーム最多、リーグ3番目の33試合に登板し、菊池保と薮田和樹(亜大~14年②)、島内颯太郎(九共大~18年②)が中心だが、勝ちパターンがとは言い難い。

 野手は好調で、3割打者の西川龍馬(王子~15年⑤)の離脱は痛いが、鈴木誠也二松学舎大高~12年②)に堂林翔太中京大中京高~09年②)、松山竜平九州国際大~07年大社④)、菊池涼介中京学院大~11年②)、ピレラ、田中広輔JR東日本~13年③)の6名が規定打席を超え、捕手を除くレギュラーが固定できている。

 ただ、上記のメンバー以外に若手の台頭が乏しく、坂倉将吾(日大三高~16年④)が曾澤翼(水戸短大高~06年高③)を唯一脅かしているが、他には見当たらないのが現状で、期待の小園海斗(報徳学園高~18年①)も打撃でプロの壁にぶつかっている。

 広島が3連覇しているとき、極端な育成路線になったのが気になった。16年~18年の3年間のドラフトで指名した19名中、高校生13名、大学生6名で社会人はゼロだ…。確かに鈴木を日本の4番に育て、菊池のような無名の大学生を見出したのは凄いと思うが、「策士、策に溺れる」ではないが過信は禁物だ。

【広島の補強ポイント】

 投 手…即戦力のクローザーと中継、将来のエース候補(左腕ならベスト)

 捕 手…不要だが、高校生を抑えておきたい

 内野手…ポスト菊池涼、田中広の即戦力野手(右打ちの大卒がベスト)

 外野手…ポスト鈴木の高校生スラッガー 

 

●基本は投手だが、野手ではパワーヒッターが欲しい

☆投手~即戦力のクローザーと中継、将来のエース候補(左腕ならベスト)

 ケガで今シーズンは絶望的だが、絶対的なエースの大瀬良がいる。ただ、大瀬良と九里が来年30歳を迎え、先発の柱になる後継の育成が必要だ。候補の一番手でルーキーの森下、次に21歳の遠藤淳志(霞ケ浦高~17年⑤)。同じ25歳の中村祐太(関東一高~13年⑤)と左腕の床田寛樹(中部学院大~16年③)が控えるが、次に続く投手が見当たらず、将来のエース候補を抑えておきたい。

 リリーフ陣は深刻で、ここは即戦力を獲得して層を厚くしたい。ただ、かつての勝利の方程式を担った中崎翔太日南学園高~10年⑥)も28歳、今村猛清峰高~09年①)と一岡も29歳と、老け込む歳ではなく復活を期待したい。若手では島内と塹江が今シーズン経験を積み、ファームで田中法彦(菰野高~18年⑤)が2年目ながら最多の10セーブを上げ、楽しみな若手もいる。

 崩壊状態の投手陣の立て直しの優先順位は、まずはリリーフ陣の底上げで、次に将来のエース候補を抑えておきたい。一方でさすがに年齢構成で穴はなく、補強ポイントを明確にして獲得できるのは強みだと思う。

 リリーフ陣の上位候補では、伊藤大海(苫小牧駒大)は最速153キロのストレートので大学日本代表でクローザーを務めた。このほかに155キロのストレートが武器のスリークオーター森博人(日体大、多彩な変化球で緩急自在の宇田川優希(仙台大)が候補になる。中位では打田雷樹(大商大)や、評価急上昇中の左腕の岡田和馬(JR西日本をリストアップしている。

 ただ、リストアップしている選手を見てみると、どうやら先発候補が本命のようで、高校生では高橋宏斗(中京大中京高)山下舜平大(福岡大大濠高)小林樹斗(智弁和歌山高)、大学生で早川隆久(早大大道温貴(八戸学院大、社会人では、栗林良史(トヨタ自動車大江克哉(NTT西日本)が上位候補だ。また、入江大生(明大)赤上優人(東北公益文化大)の素質型大学生もリストアップしている。

 中位では高校生主体になることが予想され、上位候補にも挙がっている川瀬堅斗(大分商高常田唯斗(飯山高)、左腕の下慎之介(健大高崎高)は早い段階で消える選手で、下位では佐伯成優(高岡一高)小牟田竜宝(青森山田高)黒田晃大(佐和高)をリストアップしている。

 

☆捕手~不要だが、高校生を抑えておきたい

 捕手は急ぐ必要がなく、正捕手で32歳の曾澤がおり、弱冠21歳の坂倉が虎視眈々とレギュラーを狙っている。3番手で経験豊富な磯村恭孝(中京大中京高~10年⑤)に、15年のドラフト1位の中村奨成(広陵高~17年①)もおり補強の必要はない。

 年齢的に大学生は不要で、二俣翔一(磐田東高)山下航汰(京都外大西高の高校生捕手がねらい目だ。ただ、豊富な捕手陣をトレード要員にするなら話も変わり、打力は発展途上だが、守備力抜群の強肩・榮枝裕貴(立命館大は広島が好みそうな選手だ。

 

内野手~ポスト菊池涼、田中広の即戦力野手(右打ちの大卒がベスト)

 内野のレギュラーは、一塁が35歳の松山、二塁が30歳の菊池涼、三塁が復活を果たした29歳の堂林、遊撃が31歳の田中広と脂の乗った選手が控え壁は厚い。ただ、昨年不振だった田中広は、今年も打率.239で規定打席29名中27位、堂林も当初はそれ程期待されたものではなく、悪く言えばレギュラーを脅かす若手が育っていない。

 ファームではともに2年目の20歳の小園や林晃太(智弁和歌山高~18年③)が中心を担っているが、レギュラーには程遠い。ただ、韋駄天の羽月隆太郎(神村学園高~18年⑦)など19~20歳には選手が揃っているので、即戦力の野手が必要だ。さらに欲を言えば、右打ちが少なく大卒または社会人の補強がベストだ。

 補強ポイントに合っているのが牧秀悟(中大)で、3年春には首位打者打点王の二冠を獲得し、守備位置も二塁と遊撃で守備力も安定している。渡部健人(桐蔭横浜大は115kgの大型三塁手で長打力に加え足も速い。平山快(JFE東日本)は一塁と三塁を守れる長距離砲で、今年は右打ちの即戦力野手が少ないため、確実に獲得したいところだ。

 あとは左打ちだが、佐藤輝明(近大)は三塁を守れ、クリーアップを打てる逸材だ。ただ、佐藤は1位以外では獲れず、守備力に定評のある元山飛優(東北福祉大、俊足で広角に打てる矢野雅哉(亜大)が候補になる。

 高校生では高校通算47本塁打井上朋也(花咲徳栄高)右打ちのスラッガー、身体能力が高く三拍子揃った中山礼都(中京大中京高)を高く評価し、度会隆輝(横浜高)奥村真大(龍谷大平安高)もリストアップしている。

 

☆外野手~将来のクリーンアップ候補 

 外野手には不動の4番・鈴木誠と巧打者の西川がおり、ともに26歳とこれからさらに脂が乗る年齢で、現段階では急ぐ必要はない。ここは将来の主軸候補を狙いたい。

 ここでも候補になるのが近大の佐藤で、力強いスイングと飛距離が魅力の将来の4番候補。高校生では西川僚祐(東海大相模高)牛島希(九州学院高)元謙太(中京高)はじっくり腰を据えて育てたいスラッガー候補だ。

 

●1位予想に迷うほど、意外に戦力が揃っていない…ドラフト巧者の真価は?

 今年の広島の指名は難しく、こう考えると思ったほど戦力が充実していない。シンプルに即戦力でいくなら投手なら早川隆久(早大、中日の上位指名が濃厚な栗林良史(トヨタ自動車日本ハムと相思相愛の伊藤大海(苫小牧駒大)への入札もあるかもしれない。野手ではやはり佐藤輝明(近大)で、内外野どちらでも補強ポイントに合っていて競合覚悟でも行く価値はある。

 個人的には、かつてに広島のお家芸だった社会人投手一本釣りで、栗林指名が現有戦力アップに直結すると思う。育成路線なら、高橋宏斗(中京大中京高)や成長著しい山下舜平大(福岡大大濠高)や候補になると思う。

 1位~栗林良史(トヨタ自動車・投手)…大学時代から投手に転向し、即戦力ながらまだ伸びしろも期待できる。150キロを超えるストレートと2種類のスライダーに変化球の精度も良く、強気な投球が身上で総合力が高い。日に日に評価が高まっている。

 2位~入江大生(明大・投手)…大学でのデビューが遅く、じっくり育った素材型。長身から投げ下ろすストレートは伸びがあり、変化球のレベルも高い。ゲームメークに長け先発でも良いが、リリーフなら即戦力で1年目から結果を残せる。

 3位~中山礼都(中京大中京高・内野手…山下同様に、合同練習会でさらに評価を不動のものにした。50メートル5秒9の俊足で強肩の遊撃手で実戦向きの選手。

 4位~常田唯斗(飯山高・投手)…昨夏甲子園で大舞台は既に経験。140キロ後半のストレート、キレ味抜群のスライダーが武器で、多くのチームがリストアップしている。

 5位~打田雷樹(大院大・投手)…2年春から主戦を務め、どのボールでもストライクを取れ、内角攻めが持ち味。進路はプロ一本と言い切る性格もプロ向き。

 6位~小牟田竜宝(青森山田高・投手)…故障が癒え、今春から投球を再開すると大きなフォームから150キロのストレートをバンバン投げるパワーピッチャー。

 7位~黒田晃大(佐和高・投手…夏の大会で自己最速を3キロも更新する145キロのストレートを投げるほど成長著しい。緩急を交えた投球で変化球の精度も高い。

 このほかに下位または育成候補でも高校生が主体で、投手であれば佐伯成優(高岡一高)辻垣高良(学法福島高)、野手としても評価の高い山本雄大霞ケ浦高)が候補になり、地元選手では左腕の高井駿丞(広島商高)や左のスラッガー間瀬場秋(高陽東高)、同じスラッガー牛島希(九州学院高)が候補になる。

20年ドラフト予想☆オリックス~吉田正以外のレギュラー不在の即戦力野手が優先課題

●打率、本塁打、得点…リーグ最下位の成績で課題はレギュラーの確立

 現在、借金23で首位から19ゲーム差をつけられ、ペナントレースから早々と離脱したオリックス。もはやお家芸になりつつある、シーズン途中での監督交代も起爆剤にはならなかった。確かに開幕前からAクラス予想は多くなかったが、一部の解説者からは優勝争いに加わる予想もあっただけに、ここまで悪くなることは誰も予想していなかっただろう。

 山岡泰輔(東京ガス~16年①)と山本由伸(都城高~16年④)の、リーグを代表するWエースに、ケガも癒えた田嶋大樹(JR東日本~17年①)を加えた強固な先発陣に、攻撃陣は吉田正尚青学大~15年①)を中心に、現役バリバリのメジャーリーガーのジョーンズが加入し、攻守に期待を持てる布陣で臨んだ。

 しかしながら、山岡がシーズン緒戦で故障で離脱し、山本と田嶋も防御率は悪くないが、山本は12試合で4勝、田嶋はわずかに1勝と、計算できる投手で勝ちきれない試合が多い。吉田正首位打者独走中で、一人気を吐いているが、ジョーンズは守備に難があるうえ、打率.251、本塁打10本は期待値からすると物足りない。

 ただ、最大の要因は苦手チームを2つも作ったことで、首位ソフトバンクには3勝14敗1分で借金11、2位のロッテには6連戦6連敗の屈辱的なスタートから、2勝15敗1分の借金13と、この2チームの負け越しが、そのままチームの借金になっている。

【9/14現在のチーム成績 ※( )は昨年の成績】

 勝敗 74試合 23勝46敗5分⑥

 防御率…4.29④(4.78⑥)打率….239⑥(.244⑥)

 本塁打…46⑥(102⑤)盗塁54②(122②)

 得点263⑥(544⑥)失点335⑤(637⑥)得失点差▲72(▲58)

 

 投手陣は悪くなく、チーム防御率はリーグ4位。先発陣は山本が防御率1位、田嶋は9/9の西武戦で大炎上する前はが3位をキープしており、アルバースと山崎福也(明大~14年①)がローテーションを守っているが、勝ち星は4人合わせて10勝と結果に結びついていない。

 中継ぎ陣も同様で、山田修義(敦賀気比高~09年③)がチーム最多の30試合に登板も10ホールド、新外国人のヒギンスから、ディクソンへ繋げる勝ちパターンの形はできたが、ヒギンスは11ホールド、ディクソンも9セーブと、勝ち試合に投入できていないため、数字での結果が出ていない。

 課題はやはり攻撃陣で、チーム打率、本塁打、得点がすべてリーグ最下位に低迷し、吉田正の孤軍奮闘状態で、規定打席に達しているのはほかにジョーンズとT-岡田(履正社高~05年高①)の3人だけ…。これはソフトバンクと並んでリーグ最少だ。しかしこれが今に始まったことではなく、18年は吉田正とロメロ(現楽天)、安達了一(東芝~11年①)の3人、昨年は吉田正と福田周平(NTT東日本~17年③)しかおらず、ここ3年でレギュラーと呼べるのが吉田正しかいない。

 オリックスを見て思うのは、「個」の力は悪くないのに、それが「チーム力」に反映していないように感じる。不足している戦力はある意味明確だが、それ以上に抱えている課題が大きいような感じがする。そうでなければ優勝から遠ざかること23年、ここ10年でAクラスわずかに1回に低迷するような戦力ではない。

オリックスの補強ポイント】

 投 手…即戦力の先発左腕とクローザー

 捕 手…将来のレギュラー候補の高校生と即戦力大学生

 内野手…即戦力野手(特に三塁手

 外野手…将来のクリーンアップ候補 

 

●上位指名は即戦力野手で、投手陣がリリーフ陣に厚みを持たせたい

☆投手~即戦力の先発左腕とクローザー

 先発は揃っている。3本柱の山岡が25歳、田嶋が24歳、山本は22歳と計算できる投手がこれから全盛期を迎える。さらに榊原翼(浦和学院高~16年育②)も22歳、今年初勝利を上げた鈴木優(雪谷高~14年⑨)が23歳、ブレイク間近の張奕(日本経済大~16年育①)も26歳と若手に主戦力と逸材が揃っている。

 ただ、左の先発が田嶋と山崎福しかおらず、先発に限らずトレードで飯田優也(東農大オホーツク~12年ソ育③)を獲得するなど、先発・リリーフ問わず左腕不足を解消したい。

 充実の先発陣に比べ、リリーフ陣は総じて年齢が高い。ディクソンと増井浩俊東芝~09年日⑤)が36歳で、比嘉幹貴日立製作所~09年②)の38歳を筆頭に、海田智行(日本生命~11年④)が33歳、山田も翌年30歳を迎える。

 若手では、昨年のファームのセーブ王の漆原大晟(新潟医療福祉大~18年育①)が24歳、現在ファームでクローザーを務めている26歳のK-鈴木(日立製作所~17年②)がいるが、リリーフ陣の世代交代を進めるためにもクローザー候補を抑えておきたい。

 投手陣は充実しており、戦力的に逼迫しておらず、今年のドラフトでは、野手指名が優先課題だと思う。左腕の即戦力、クローザー候補を中位でピンポイントで抑え、下位で高校生投手を抑えておきたい。

 先発左腕では、早川隆久(早大がナンバーワンだが、確実に1位入札で消える選手で獲得は難しい。3位以降の中位で獲得できそうな即戦力左腕では、佐藤宏樹(慶大)鈴木昭汰(法大)藤井聖(JX-ENEOS)は先発以外にもリリーフにも適性がある。先発候補では佐々木健(NTT東日本)がおり、ツボに入ると圧巻の投球を見せる投手で、大化けの可能性にかけてみたい選手だ。

 左腕にこだわらなければ、大道温貴(八戸学院大村上頌樹(東洋大森井紘斗(セガサミー石井聖太(JR東日本の即戦力先発候補をリストアップしている。クローザー候補では、伊藤大海(苫小牧駒大)伊藤優輔(三菱日立PS)平川裕太(鷺宮製作所はリリーフのスペシャリストだ。

 高校生投手では、中森俊介(明石商高小林樹斗(智弁和歌山高)を上位でリストアップしており、下位では蓼原慎仁(桐生一高小芝永久(千葉学芸高)加藤翼(帝京大可児高)有馬太玖登(都城東高)笠島尚樹(敦賀気比高)、左腕で阿部剣友(札幌大谷高)を高く評価しており、育成指名を含めての獲得が予想される。

 

☆捕手~将来のレギュラー候補の高校生と即戦力大学生

 捕手は深刻で、人数も年齢構成も良くない。人数はリーグ最少の6名で、正捕手は25歳の若月健矢(花咲徳栄高~13年③)だが、2番手の松井雅人(上武大~09年中⑦)は33歳で、30歳の伏見寅威(東海大~12年③)と24歳の頓宮裕真(亜大~18年②)がいるが、伏見と頓宮はともに打力を優先したい選手。頓宮を捕手で活用するなら別だが、当初の指名のように内野手で起用するなら、高校生と大学生ともに必要になる。

 高校生なら内山壮真(星稜高)二俣翔一(磐田東高)のどちらかは確実に獲得したい。特に内山は打てる捕手で、若月を脅かす正捕手候補になる。即戦力ではやはり古川裕大(上武大)榮枝裕貴(立命館大が候補になり、榮枝以外は上位で消える可能性が高い。リストアップしている内山と二保を上位、下位で榮枝が獲得できればベストで、他に山下航汰(京都外大西高土井翔太(郡山高)も候補に挙がっている。

 

内野手~即戦力野手(特に三塁手

 現状、内野のレギュラーは不在で、二塁手の福田と遊撃も守れる大城滉二(立大~15年③)、遊撃手の安達が主戦力だ。全体、底上げが必要だが、一塁は外国人選手で賄うことができるので、長年レギュラー不在の三塁手が補強ポイントになる。

 一番の候補は今年のナンバーワン野手の佐藤輝明(近大)で、佐藤は三塁と外野を守れ、まだ発展途上ではあるが、吉田正とともにチームの顔になれる選手だ。年齢構成のバランスは悪くなく、内野手は即戦力にこだわったほうが良い。佐藤のほかには、牧秀悟(中大)は単独指名の可能性も秘めた大型内野手、俊足で守備に定評のある矢野雅哉(亜大)が候補になる。

 若手野手には楽しみな選手が多く、大田椋(天理高~18年①)や宜保翔(未来沖縄高~18年⑤)、廣澤伸哉(大分商高~17年⑦)が一軍で結果を出し、紅林弘太郎(駿河総合高~19年②)などレギュラー候補がうようよしている。

 そのなかで小深田大地(履正社高)細川凌平(智弁和歌山高)蔵田亮太郎(聖望学園高)の巧打者、将来の長距離砲の長打力のある井上朋也(花咲徳栄高)西野力矢(大阪桐蔭高)を評価しており、し烈なレギュラー争いに拍車をかける高校生野手指名も面白い。

 

☆外野手~将来のクリーンアップ候補 

 外野手には吉田正がおり、同じ24歳に走攻守優れた宗佑磨(横浜隼人高~14年②)、超韋駄天の佐野皓太(大分高~14年③)、左キラーの西村凌(スバル~17年⑤)、4番も務める中川圭太(東洋大~18年⑦)は外野も守れ、近いうちに外野陣のレギュラーも固まってくるはずだ。

 特に補強に急ぐ必要はなく、俊足で長打力もある来田涼斗(明石商高、高校通算53本塁打西川僚祐(東海大相模高)は将来のクリーンアップ候補、三河優太(大阪桐蔭高)は選球眼に優れた左の巧打者、奥野翔琉(明徳義塾高)は、オリックスの好きそうな俊足巧打の外野手で、仲三河と奥野は下位指名での獲得が予想される。

 

●1位予想は近大のスラッガー・佐藤輝!確実に即戦力野手を上位で獲得したい

 今年は、既に巨人と阪神が獲得を表明している佐藤輝明(近大・内野手指名で良いと思う。また、競合を避けて牧秀悟(中大・内野手の単独指名も面白い。2人を外した場合は、地元の来田涼斗(明石商高・外野手)指名もあり得る。

 1位~佐藤輝明(近大・外野手)…大学通算11本塁打の長打力に、内外野を守れる守備と強肩、50メートル6秒の俊足で、将来っはトリプルスリーを狙える逸材。まだ、発展途上で伸びしろもあり、吉田正と打線の中核を担ってほしい。

 2位~来田涼斗(明石商高・外野手)…恵まれた体格を活かし、左右に打球を飛ばす左の強打者。50メートル5秒9の俊足で、将来はトリプルスリーも狙える逸材。一年生のときより甲子園を経験しており、大舞台を多く経験しているのも強み。

 3位~細川凌平(智弁和歌山高・内野手…遊撃と外野を守る典型的なリードオフマン。広角に打ち分けるバットコントロールと俊足で、チームカラーにもフィットする。

 4位~二俣翔一(磐田東高・捕手…二塁送球のベストタイムは1秒79の強肩。投手でも140キロを投げ、50メートル6秒の俊足。課題の打撃も成長し通算21本塁打

 5位~森井紘斗(セガサミー・投手)…最速150キロのストレートにカットボールが武器のパワーピッチャー。高卒3年目で若く、変化球を磨けばまだまだ伸びる。

 6位~佐々木健(NTT東日本・投手)…正直、プロ入りは微妙なラインだが、どんな成長をするか見てみたい投手。緩急自在の152キロ左腕は大化けも期待できる。

 7位~小芝永久(千葉学芸高・投手)…最速146キロのストレートと縦横のスライダーが武器で、特に縦スライダーには自信を持っている。知名度は高くないが素質十分。

 オリックス育成ドラフトは近年結果を出している。今年も多くに指名が予想され、投手では技巧派右腕の笠島尚樹(敦賀気比高)、身長2メートルを超える大型左腕の阿部剣友(札幌大谷高)を高評価している。捕手では高校通算39本塁打山下航汰(京都外大西高、右の長距離砲の西野力矢(大阪桐蔭高)は将来の正三塁手候補、チームメイトの三河優太(大阪桐蔭高)も左打のスラッガー奥野翔琉(明徳義塾高)は俊足の外野手でオリックス好みの選手で、全員が本指名の可能性もある。

20年ドラフト予想☆ヤクルト~課題は投手力!即戦力投手を獲得したい

 コロナ禍で開幕が遅れたペナントレースも半分を過ぎ、10/26(月)に開催されるドラフト会議まであと1ケ月半になりました。そこで、セ・パ12球団の指名ポイントと指名予想をしてみたいと思います。是非、お付き合いください。

 

●チーム防御率に改善の兆しはなく、先発投手不足が顕著

 昨年同様、今年もスタートは良かった。多くの解説者がBクラス予想するなか、5月には一時期首位に立ち、暫くは2位をキープ。番狂わせを期待したファンもいたが、いつの間にか予想通りのBクラスに落ち着いてしまった。

 昨年まで二軍監督を務め、チーム状況を熟知している高津臣吾を新監督に迎えたが、さすがに現有戦力で優勝争いを期待するのは酷で、高津監督には恩師・野村克也監督のように3年目あたりで結果を求めるくらいのスタンスで臨んで欲しい。

 ただ、伸び悩んでいた清水昇(国学院大~18年①)や寺島成輝(履正社高~16年①)を中継ぎで起用したり、俊足巧打の山崎晃大朗(日大~15年⑤)をレギュラーに抜擢し、中軸の5番で起用するなど、随所で若手の起用が光る。

 また、既に12球団最多の51名の選手が一軍の試合に出場し経験を積んでいる。チャンスがあれば一軍に上がることを実践することにより、チーム内の競争を促し良い効果を与えると思う。

【9/8現在のチーム成績 ※( )は昨年の成績】

 勝敗 67試合 26勝36敗5分⑥

 防御率…4.60⑥(4.78⑥)打率….252④(.244⑥)

 本塁打…59⑤(167②)盗塁39②(62⑤)

 得点281④(656②)失点340⑥(739⑥)得失点差▲59(▲83)

 

 課題は誰が見ても明らかで投手陣だ。昨年12球団最下位だったチーム防御率4.78に改善の兆しはなく、今年も防御率は12球団最低の4.60で、失点で300点を超えているのはヤクルトと広島だけだ。

 決して否定はしないが、今年の開幕投手は40歳の大ベテラン石川雅規青学大~01年自)で、今年も思うように投手が育っていなんだな…と思った不安が的中してしまった。期待の高橋奎二(龍谷大平安高~15年③)の出遅れなどもあったが、既に開幕ローテーションから、石川、山田大樹(つくば秀英高~06年ソ育①)、イノーア、スアレスが外れ、特に先発を期待された新外国人のイノーアとクックのどちらも戦力にならなかったのは誤算だった。

 そのなかで小川泰弘(創価大~12年②)がノーヒットノーランも含む8勝(2敗)で健闘しているものの、高梨裕稔(山梨学院大~13年日④)が2勝、期待の高橋は1勝とまさに小川の孤軍奮闘状態。何とかルーキーの吉田大喜(日体大~19年②)が登板数を増やし、初勝利も上げているが、次に出てくる気配がない。

 一方で、脆弱な先発陣を支えた中継ぎ陣は勝ちパターンが出来つつあり、清水がリーグトップの17ホールド、マクガフも11ホールドを上げ、梅野雄吾(九産大九州高~16年③)と長谷川宙輝(聖徳学園高~16年ソ育②)がともに勝ちパターンを担い、クローザーの石山泰稚ヤマハ~12年①)もリーグ2位の9セーブを上げている。

 攻撃陣は若き主砲の村上宗隆(九州学院高~17年①)が、昨年リーグ最下位だった打率が、今年は一転して首位打者争いをするなど、大打者に向けて大きく成長している。ベテランの青木宣親早大~03年④)と守備の人と思われていた新加入のエスコバーが3割を超えている。チームの中心の山田哲人履正社高~10年①)の不振が痛いが、山崎がレギュラーに定着し、昨年はケガに泣いたベテラン坂口智隆(神戸国際大高~02年近①)の復活も心強い。

 昨年、33本塁打バレンティンの移籍で長打力は落ちたが、反面、盗塁企画数がリーグ1位と機動力を駆使した攻撃のスタイルが出来つつある。

 ただ、高い平均年齢に加え、戦力が全体的に不足するなかで、補強ポイントが多く、正直1~2年でどうなるレベルではない。

【ヤクルトの補強ポイント】

 投 手…即戦力の先発投手と高校生左腕

 捕 手…ポスト中村の即戦力捕手と高校生捕手

 内野手リードオフマンを務められる即戦力野手(二塁または遊撃)右打ちの高校生

 外野手…左打の即戦力スラッガー 

 

●ドラフトよりも最優先課題は小川と山田哲の残留

☆投手~即戦力の先発投手(左右)と高校生左腕の獲得

 まず絶対に避けたいのは小川のFA移籍で、勝ち頭の小川が抜けるとチーム戦略が根底から狂ってしまう。来年41歳を迎える石川にこれ以上期待するのも酷で、小川の残留に全力を尽くすことが最優先課題になる。

 小川に次ぐ先発投手の確立が課題だが、現時点で期待できるのは高梨と高橋しかおらず、次いでルーキーの吉田喜と大西広樹(大商大~19年④)が候補になる。ファームでも先発の軸は山田大やクックで、台頭する若手が見当たらない。

 一方でリリーフ陣は清水が24歳、寺島と長谷川の両左腕が22歳、梅野は21歳で、このままリリーフで終わる選手ではないと思うが、石山もまだ32歳でリリーフ陣は何とかなりそうだ。

 今年のドラフトでは何が何でも即戦力の先発投手に行くべきで、左右に関係なく2枚は必要だ。また、左の若手投手が不足しているので高校生左腕も1人抑えておきたいところだ。

 上位では早川隆久(早大を筆頭に、森博人(日体大木澤尚文(慶大)村上頌樹(東洋大小郷賢人(東海大、社会人の伊藤優輔(三菱日立パワーシステムズを上位でリストアップしており、このなかの一人は確実に獲得したいところだ。特に早川は貴重な先発左腕、村上も先発に適性がある。

 また、藤井聖(JX-ENEOS)伊藤将司(JR東日本、評価急上昇中の岡田和馬(JR西日本山本一輝(中京大等の左腕も中位で抑えておきたい。

 当然、将来性のある中森俊介(明石商高高橋宏斗(中京大中京高)小林樹斗(智弁和歌山高)などもマークしているが、昨年、未来のエース奥川恭伸(星稜高~19年①)を獲得できているので、現状を鑑みると育成路線よりは即戦力を獲得することがベストだと思う。

 高校生指名は3位以降で良く、不足気味の左腕では高田琢登(静岡商高)がいるが、さすがに下位指名では難しく、ともに180センチを超える長身左腕の下慎之介(健大高崎高)上田洸太朗(享栄高)が候補になる。

 このほかに豆田泰志(浦和実高)嘉手納浩太(日本航空石川高)常田唯斗(飯山高)小辻鷹仁(瀬田工高)、合同練習会で評価を上げたシャピロ一郎(国学院栃木高)等も高く評価している。

☆捕手~ポスト中村の即戦力捕手と高校生捕手

 レギュラーの中村悠平福井商高~08年③)以降の2番手捕手は、ベテランの井野卓東北福祉大~05年楽大社⑦)と西田明央(北照高~10年③)が務めているが、ともに控え捕手の域を脱していない。

 22歳の古賀優大(明徳義塾高~16年⑤)も抜擢されたが、打率.081で全く打てず、楽天自由契約された嶋基宏東洋大~06年楽大社③)を獲得するなど、捕手不足も深刻だ。

 年齢的には24~25歳の社会人捕手が欲しいところだが、今年は残念ながら候補者が見当たらず、即戦力では阪神が指名濃厚な榮枝裕貴(立命館大が候補になる。ただ、榮枝もどちらかというと守備型の捕手で、補強ポイントとは合わない。

 年齢的にはむしろ高校生捕手のほうが必要で、上位で確実に消えることが予想される、強肩の二俣翔一(磐田東高)、走攻守揃った古谷将也(成田高)のどちらかは確実に獲得したい。

内野手リードオフマンを務められる即戦力野手(二塁または遊撃)右打ちの高校生

 小川同様、山田哲のFA移籍を頭に入れての対応になる。村上が一人立ちし、廣岡大志(智弁学園高~15年②)と宮本丈(奈良学園大~16年⑤)がレギュラー候補が控え、西村直亨(法大~13年②)や荒木貴裕(近大~09年③)のベテランも健在だ。

 年齢的なバランスは悪くないので、山田哲移籍に備えた即戦力二塁手と、左打の多い布陣なので右打ちの高校生あたりを補強したいところだ。

 一番の候補は牧秀悟(中大)だが、投手を上位で指名した場合2位で残っていることいは考え難く、高校生指名が現実的か。そうなると一番の候補は井上朋也(花咲徳栄高)が一番手で、村上と左右強力なクリーンアップを形成することが期待できる。

 中位では小深田大地(履正社高)度会隆輝(横浜高)蔵田亮太郎(聖望学園高)と素質豊かな選手が揃っており、ヤクルトファンは是非親子二代のヤクルト・度会に期待したいだろう。ただ、井上以外は全員左打ちで、右打ちでは井上のほかに、奥村真大(龍谷大平安高)は下位でも獲得できる可能性があり、兄・奥村展征日大山形高~13年④)と兄弟でのプレーにも期待がかかり、今年のドラフトに浪漫を感じる。

☆外野手~左打の即戦力スラッガー

 青木や雄平(東北高~02年①)のベテラン頼みの布陣から、ようやく山崎がレギュラーの座を掴んでいるが、毎年期待を裏切っている塩見泰隆(JX-ENEOS~17年④)や2年目の中山翔太(法大~18年②)も出てくる気配がなく、世代交代を急ぐ必要がある。

 欲しいのはやはりスラッガーで、大学ナンバーワン野手の佐藤輝明(近大)は三塁と外野を守れ補強ポイントと一致するが、間違いなく1位で消え、投手を優先するなら獲得は無理で、今年は佐藤以外のスラッガーは外野手ではいない。

 そこで候補になるのが五十幡亮太(中大)で、打力に課題はあるものの、陸上競技の経験もある超韋駄天の脚力は既に一軍クラスで、機動力を活かすチーム戦略にフィットする。五十幡も上位で消えそうだが、同じ俊足の並木秀尊(独協大は、下位でも十分に獲得のチャンスがある。

 高校生では、渡辺翔大(昌平高)が補強ポイントに合致している。レベルの高い埼玉で高校通算46本塁打の左打ちスラッガーで、しかも俊足で将来の主軸になる可能性が十分にある。

 

●1位予想は早大の左腕エース・早川!今年は育成よりも即戦力を上位で獲りたい

 今年は早川隆久(早大・投手)の入札で良いと思う。間違いなく競合するが、補強ポイントの一番合致する。外れ1位でも今年は即戦力に行くべきで、伊藤大海(苫小牧駒大・投手)やポスト山田哲で牧秀悟(中大・内野手を獲得したい。

 1位~早川隆久(早大・投手)…早川が獲得できれば、9割成功と言える。早大のエースで、最速151キロのストレートに、変化球で緩急をつける総合力の高い投手で、ゲームメークに長けている。先発投手が不足しているなか、開幕ローテを期待できる。

 2位~五十幡亮太(中大・外野手)…このままチームの順位が上がらなければ、2巡目の指名が早いので獲得のチャンスがある。代走だけでも十分食っていける選手だが、着実にパワーもつけており、手薄な外野のレギュラーとリードオフマンを期待できる。

 3位~村上頌樹(東洋大・投手)…抜群の制球力に加え、強気に内角を攻める投球で、戦国東都で勝てる投手に成長した。ゲームメークに長けた先発型。

 4位~嘉手納浩太(日本航空石川高・投手)…身長190センチで100キロを超える大型投手で、最速147キロの本格派右腕。スケールの大きい将来のエース候補。

 5位~山本一輝(中京大・投手)…最速147キロのキレのあるストレートが武器の左腕で、今夏より一気に評価を上げた投手。まだ伸びしろもある素質型の大学生。

 6位~古谷将也(成田高・捕手)…1年秋からレギュラーで、遠投120メートル、二塁送球2秒を切る強肩。高校通算25本のパワーも魅力だが、50メートル6秒の俊足。

 7位~奥村真大龍谷大平安高・内野手…走攻守に堅実なプレーがウリだが、最大の魅力は思い切りの良い勝負強い打撃で、兄・展征を超える活躍も期待できる。

 昨年は育成選手を獲得しなかったが、今年は戦力を厚くするためにも、是非とも育成ドラフトを活用したい。投手では、評価が上がっている大曲錬(福岡大)やリストアップしている高瀬翔悟(中京学院大、野手では先述した渡邊翔大(昌平高・外野手)が候補になる。 

こういったトレードはどうでしょうか?パ・リーグ編

 開幕してもうすぐ1ケ月経ちますが、早くも残り100試合を切ります。実際に始まってみると、120試合は思った以上に短いなと思いました。また、懸念されていたように例年になくけが人が増えており、補強を躊躇しているうちにペナントレースから脱落する恐れもあります。これからトレードが活発化するかもしれません。

 

楽天

 一言で言えば強い!チーム打率は脅威の.277で、123得点は唯一の3桁。チーム防御率もリーグ1位の3.38で74失点はリーグ最少。課題だった機動力も解消され、リーグ2位の19盗塁と、投打に隙のないチームになった。外国人枠の関係で出場機会が減少したウィーラーを放出する余裕も頷ける充実した戦力を誇っている。

 現状、補強の必要はない。投手陣では松井が再調整中で先発陣に若干不安を残すが、ベテランの青山や実績のある高梨が一軍昇格を狙っているリリーフ陣も盤石と言える。野手陣もレギュラーが確立され、ベンチには内田や山崎幹、小郷など有望な若手が控え、田中和や渡邊佳、和田が一軍に入れないほど選手層が厚くなった。

 そこでファームで勿体ないと思う選手をリストアップしてみた。投手では釜田佳直(金沢高~11年②)は先発、中継ぎどちらでも問題なく、一軍での実績はないが渡邊祐樹(横浜商大~17年④)は有望な先発左腕。野手では田中和基(立大~16年③)にフェルナンド(白鷗大~14年④)、和田恋(高知高~13年巨②)がファームで好成績を残しており、ベテランの岡島豪郎(白鷗大~11年④)などはもう一花咲かせてほしい。

 

千葉ロッテ

 楽天同様、オフに大補強を行ったが、福田秀は開幕前に骨折し離脱、ジャクソンはトラブルで退団してしまい、早くも不安のほうが大きくなってしまった。開幕直後の8連勝があり2位をキープしているものの、チーム打率.234はリーグ5位、防御率4.56はリーグ最下位と、優勝を狙うなら早めの補強が必要だ。

 投手ではセットアッパーの補強が急務になる。日本ハム浦野博司セガサミー~13年②)、DeNAの三上朋也(JX-ENEOS~13年④)に左腕の砂田毅樹(明桜高~13年育①)、中日の佐藤優東北福祉大~15年②)、広島のDJジョンソンなど候補は多いと思う。また、西野の故障離脱に、二木の再調整など先発の補強も必要だ。阪神藤浪晋太郎大阪桐蔭高~12年①)、中日の松葉貴大(大体大~12年オ①)、ヤクルトのクックなど豊富な外野陣とのトレードなら実現も可能だと思う。

 野手では内野の層が薄い。内野ならどこでも守れる中日の石川駿(JX-ENEOS~14年④)、巨人の北村拓己(亜大~17年③)は長打力もある。ジャクソンの退団で空いた外国人枠で、野手ではオリックスのモヤ、西武のメヒアの加入は刺激になる。

 

◆西武

 今ひとつ波に乗れないスタートになったが、チーム状態はそれ程悪くはない。何といっても課題と言われた投手陣が良くなった。特に、ギャレットが加わったリリーフ陣はリーグ屈指の布陣に変貌した。強力打線も健在で、現状外野のレギュラーが確立しきれていないが、投打に補強を急ぐ必要はないと思う。

 強いて言えば、投手陣では小川しかいない中継ぎの左腕がもう一枚欲しいところだ。野田や武隈が戻れば問題ないが、DeNAの砂田毅樹(明桜高~13年育①)や阪神の飯田優也(東農大~12年ソ育③)等が加わればさらに厚みを増す。

 野手では秋山の移籍、金子の離脱で手薄になりかけている外野の補強だが、鈴木に覚醒の予感が漂い、川越や高木、愛斗など長打力のある選手も控える。ここも強いて言えば右打ちの外野手が不足しており、阪神の江越大賀(駒大~14年③)や中谷将大(福岡工大城東高~10年③)などは強力打線の西武で覚醒する可能性が十分ある。

 一方で、リリーフに転向の相内誠(千葉国際高~12年②)、打力のある愛斗(花咲徳栄高~15年④)、守備職人の永江恭平(海星高~11年④)は、二軍では勿体ない。

 

ソフトバンク

 開幕ダッシュに失敗し、まさかの苦戦を強いられているホークス。ここ数年主力が揃ったことがなく、投手では武田やサファテが間に合わず、ムーアも離脱してしまった。野手でも内川が二軍スタートで長谷川が故障離脱、デスパイネとグラシアルもコロナの影響でチームに合流できず、いまは我慢の時かもしれない。元々、選手層の厚いチームなので、楽天や西武同様に急いで補強に走る必要はないと思う。

 ここは楽天同様、勿体ない選手をリストアップしてみた。投手では椎野新(国士館大~17年④)や松田遼馬(波佐見高~11年神⑤)は先発、リリーフのどちらでも行けるし、加治屋蓮(JR九州~13年①)は実績もあるリリーバーだ。

 野手では、高田知季(亜大~12年③)と川瀬晃(大分商高~15年⑥)はともに内野守備に定評があり、釜元豪(西京高~11年育①)に真砂勇介(西城陽高~12年④)の両外野手は、走攻守に高いレベルで一軍にいないのは本当に勿体ないと思う。

 かつてホークスは、アッと言わせるような大型トレードを成立させており、個人的にそろそろ期待したい気持ちもある。

 

オリックス

 序盤ロッテに6連敗を喫し、一時期どん底を経験したオリックスWエースの山岡が離脱するなど、どうなるかと思ったがチームを建て直してきた。チーム打率.246、防御率3.77はいずれもリーグ2位、機動力も健在でリーグ最多の21盗塁で状態は良い。

 補強ポイントは先発投手で、若手が出てきてはいるが山岡の代役は必要だ。阪神藤浪晋太郎大阪桐蔭高~12年①)、ベテラン左腕の岩田稔(関大~05年希)は実績がありまだまだ出来るし、広島の中村祐太(関東一高~13年⑤)の若手も面白い。ただ、それ以上にファームには張奕や本田、村西などの有望な若手が揃っており心配する必要はないのかもしれない。

 野手にもタレントが揃っており、T-岡田が見事復活。ジョーンズやロドリゲスの新外国人選手も、徐々に順応し始めてきて心配は日に日に小さくなっている。補強ポイントは、若月に頼らざるを得ない手薄な捕手で、大ベテランの広島の白濱裕太広陵高~03年①)、中堅では千葉ロッテ吉田裕太(立正大~13年②)、若手では日本ハムの石川亮(帝京高~13年⑧)などは強力なリザーブになると思う。

 

日本ハム

 投打に精彩を欠いているのが日本ハムで、チーム打率.211は12球団で最下位。76得点はリーグ最小、防御率4.48は何とか最下位は免れたが、103失点はリーグワーストだ。本塁打も盗塁もリーグ最下位で、投打に全く良いところがない。直ぐにでも補強を進めないと、このままズルズルいってしまう可能性が高い。

 投手の課題は昨年同様に先発投手だ。残念ながらファームで若手も苦戦しており、西武の十亀剣JR東日本~11年①)や楽天福井優也早大~10年①)のベテラン、巨人の今村信貴(太成学院高~11年②)など、実績にある選手が欲しい。

 野手は内野手が深刻で、期待の野村がケガで離脱したことで、一塁を除くすべてのポジションが不安になった。西武の山田遥楓(佐賀工高~13年④)や地元の佐藤龍世(富士大~18年⑦)はパンチ力も備えた三塁手、広島の三好匠(九州国際大高~11年楽③)や阪神北條史也光星学院高~12年②)は、したたかなチームカラーにもフィットしそうな感じがする。また、楽天の藤田一也(法大~04年横④)などは若手の多いチームのなかで、貴重なベテランとして重宝されそうな気がする。

こういったトレードはどうでしょうか?セ・リーグ編

 最近はトレードが少なくて寂しい。現役ドラフト制度も検討されているなか、もう少しトレードが活発になっても良いのではないかと思う。ドラフトも良いが、トレードも球団の考えや思い、戦略があって興味深い。確かに好きな選手がチームを去るのは寂しいが、新天地での活躍などを見ると嬉しくなる。

 また、選手からすれば、なかなかチャンスが巡ってこないなか、トレードで活躍のチャンスの道が開くのであればウェルカムだと思う。

 そこで、まだ開幕して間もないが、チームの状況からトレード候補を考えてみました。まずは、セ・リーグからお付き合いください。

 

◆巨人

 開幕ダッシュに成功した巨人は、開幕早々に楽天からウィーラーを獲得した。在籍5年で106本塁打のウィーラーの加入はさらに打線に厚みを増した。

 現状、巨人のウィークポイントになりそうなのは投手陣だ。若手の戸郷や新外国人のサンチェスはいるが、1年間投げた実績がない。上手く機能しているうちにもう一枚欲しいところで、楽天釜田佳直(金沢高~11年②)や福井優也早大~10年広①)、オリックス東明大貴富士重工~13年②)、現在は中継ぎを務めている日本ハムの金子弌大(トヨタ自動車~04年オ自)などは実績も申し分ない。

 また、デラロサが離脱したことで抑えも不安だ。過密日程のなか救援陣は一枚でも多ければよい。実績十分のソフトバンクの松田遼馬(波佐見高~11年神⑤)やオリックスの金田和之(大院大~12年神⑤)などはファームでは勿体ない。

 一方で、他球団ならレギュラーともいえる石川慎吾(大阪大柏原高~11年日③)、俊足巧打の立岡宗一郎(鎮西高~08年ソ②)や松原聖弥(明星大~16年育⑤)など交換要員は多く、まだまだ巨人には動きがありそうだ。

 

◆DeNA

 チーム打率はリーグトップの.297も、得点は巨人に及ばず76点で今ひとつチグハグさが否めないDeNA。要因はソト、オースティン、佐野、ロペスと強打者が並ぶが長打力頼みに大味な野球になっていることか…。

 復活を期す桑原やケガで離脱していた神里が戻れば、課題の機動力も同時に克服されるが、早い段階で手を打ちたいところだ。 

 狙いはリードオフマンタイプの選手で、外野手に候補が多い。ともに外野の層が厚く出番の少ない楽天の田中和基(立大~16年③)や千葉ロッテ加藤翔平(上武大~12年④)、内外野守れる日本ハムの淺間大基(横浜高~14年③)などは戦力として申し分ない。特に左腕投手が多いチームなので、左腕不足に悩む千葉ロッテとはトレードが成立する可能性も高いと思う。

 逆にファームでは、故障も癒えた斎藤俊介(JX-ENEOS~17年④)はリリーフ陣の層を厚くするし、毎年ブレイクが期待される関根大気(東邦高~13年⑤)などは、環境が変わることで大化けする可能性があると思う。

 

◆ヤクルト

 意外(失礼…)にも健闘しているヤクルト、やはり課題は投手力だろう。チーム防御率4.29はリーグ5位で早くも心配の種だ。

 先発では巨人で述べた選手が挙げられるが、このほかに西武の相内誠(千葉国際高~12年②)、同一リーグになるが広島の中村祐太(関東一高~13年⑤)などはチームが変わることでブレイクするかもしれない。忘れてならないのは日本ハム斎藤佑樹早大~10年①)で、伸び悩んでいるうちに既に32歳…。慣れ親しんだ神宮でかつての輝きを取り戻す姿は是非見てみたい。

 野手では松本友を支配下登録し、若手への転換を進めている。元々打力はあるチームなので、心配は嶋や井野の両ベテランに頼っている捕手か。広島の磯村嘉孝中京大中京高~10年⑤)や千葉ロッテ吉田裕太(立正大~13年②)の中堅は経験値も高い。

 ファームではベテランの川端慎吾(市和歌山商高~05年③)や藤井亮太(シティライト岡山~13年⑥)が結果を残しており、新天地での復活劇など見てみたい。特に、川端は指名打者もあるパ・リーグなら復活も期待できるのではないかと思う。

 

◆広島

 チーム打率.280と本塁打17本はリーグ2位、チーム防御率4.20もリーグ4位で悪くはないが、なぜか勝ちきれないスタートになってしまった。数字だけを見るとそれほど悪くなく、ベテランと若手がうまく融合しており、現有戦力の底上げで行けると思う。

 投手陣では、先発陣は野村や中村祐が二軍調整中で問題ないが、心配なのはやはりリリーフ陣になる。クローザーに指名された新外国人のスコットは、早々と抑え失格の烙印を押され、現在は菊池保が抑えを務めている。

 中崎や一岡、フランスアが復調すれば課題も解消されるが、早々に補強したいポイントでもある。本調子であればクローザーを任せられる日本ハム浦野博司セガサミー~13年②)などは面白いと思う。

 野手は投手以上に、補強の必要はないと思うが、捕手の磯村嘉孝中京大中京高~10年⑤)や、守備力の定評のある内野手の三好匠(九州国際大高~11年楽③)、外野のポジションが埋まっている高橋大樹龍谷大平安高~12年①)は、他球団なら出番が増えそうで勿体ない気がする。

 

◆中日

 期待された臨んだシーズンも、状況は昨年と変わらず、チーム打率.258はリーグ4位も、本塁打セ・リーグで唯一の一桁9本、課題の機動力も盗塁はリーグ最少の3で得点力不足が早くも露呈している。まぁ、野手を全部使い切って、投手の代打を送るなど自滅の部分もあるが…チーム防御率がまずまずだけに打撃面を強化したい。

 ここは中日得意の大型トレードで、一気にチームの雰囲気を変えても良いと思う。長打力のある楽天の内田靖人(常総学院高~13年②)や、ユーティリティプレーヤーの日本ハム杉谷拳士(帝京高~09年⑥)、俊足のオリックスの小田裕也(日本生命~14年⑧)などは、ベンチを温めるには惜しい選手だ。

 この他にも先述した楽天の田中和やロッテの加藤、長打力のある阪神の中谷将大(福岡工大城東高~10年③)、地元出身のDeNAの関根大気(東邦高~13年⑤)や、日本ハム谷口雄也愛工大名電高~10年⑤)は経験も申し分ない。実績はないが西武の愛斗(花咲徳栄高~15年④)、ソフトバンクの真砂勇介(西城陽高~12年④)なども出番があればブレイクする可能性が高い。

 

阪神

 チーム打率.221に41得点…、チーム防御率5.01に73失点は、いずれもリーグワーストで、チーム防御率5点台(さすがにどこかで解消されるが…)は阪神のみで、自慢の投手陣まで不振に陥り、投打ともに早めの補強が必要だ。既に外国人選手8名を抱える状況からトレードに活を見出すしかない。課題は昨年からの課題の打撃力の改善だ。ただ、阪神の場合、誰を獲るのかも大事だが、誰をだすのかが重要だ。

 その代表株がかつてのエース藤浪晋太郎大阪桐蔭高~12年①)で、トレードで環境を変えることで復活するのではないかの声は大きい。高校時代にバッテリーを組んだ森のいる西武、トレードで選手を復活させるのが得意な日本ハム、先発が不足している千葉ロッテのいずれも、期待の若手も揃っており悪くないトレードになると思う。

 野手では走攻守揃った江越大賀(駒大~14年③)で、なぜこの選手が一軍で通用しないのかが分からない。外野の層を厚くしたいチームなら成立する可能性が高く、長打力のある中谷将大(福岡工大城東高~10年③)、俊足の島田海吏(上武大~17年④)なども新天地で花開く可能性が高い。互いに満足のいくトレードになると思う。 

20年~セ・リーグ順位予想

 今年のセ・リーグは、超がつく混戦模様で、どこが優勝してもおかしくない状況だ。解説者やスポーツ各紙でも優勝予想が見事にバラけている。

 試合数や登録人数等は変わらないが、セ・リーグは今年CS開催を断念している。4球団がドーム球場本拠地のパ・リーグに比べ、セ・リーグは巨人と中日の2チームのみで、転向による日程消化の難しさがあり開催を断念した。CSがなくなることで、早々と脱落して優勝の可能性がなくなることは各チームとも避けたいところで、今年はスタートが肝心なシーズンになる。

 セ・リーグの順位予想は、ヤクルトを除く5球団すべてが優勝候補と言える。投手力に優るDeNAを優勝とし、以下は地力のある巨人と広島をAクラス、打力が課題の阪神、発展途上の中日の順にし、ヤクルトを最下位に予想した。

 

○1位~DeNA

 昨年はチーム防御率5位だったが、投手陣は先発、リリーフともに質量とも豊富だ。4番の筒香がメジャーに移籍したが、新戦力に目途がたち、エースの今永、クローザーの山崎、2年連続本塁打王のソトなど主軸がしっかりしており優勝予想した。

 先発…今永・濱口・平良・石田・坂本・ピープルズ(大貫・上茶谷・桜井・中川) 

 中継…伊勢・三嶋・平田・武藤・国吉(井納・進藤・斎藤・砂田・エスコバー

 抑え…山崎・パットン

 スタメン…捕手/伊藤光・一塁/ロペス・二塁/ソト・三塁/宮崎・遊撃/大和 

      左翼/オースティン・中堅/梶谷・右翼/佐野

 控え…捕)戸柱・嶺井 内)中井・倉本・柴田 外)桑原・乙坂・楠本・蝦名

   (伊藤裕・石川・百瀬・神里・楠本・関根)

 一昨年の新人王の東が今季絶望、上茶谷も開幕に間に合わなかったが心配はない。エース今永に経験のある石田がおり、濱口も調子が戻りつつある。ここにルーキー坂本も加えると先発左腕が充実している。若手の桜井や中川も先発候補で、新外国人のピープルズも控えている。リリーフ陣も経験のある選手が多く、連戦に耐えられる布陣だ。

 筒香の抜けた新4番には佐野が指名され、新外国人のオースティンもオープン戦で結果を残した。ソトやロペスの長距離砲、巧打者の宮崎や梶谷を合わせた打線は破壊力抜群で脅威だ。心配なのは機動力不足がチームの課題だが、走れる選手の桑原はレギュラーに復帰できず、神里は開幕一軍から外れ、課題を克服することができなかった。

 

○2位~広島
 
昨年、4連覇を逃したが、今年も優勝候補の一角に変わりない。FA移籍の可能性のあった野村と曾澤、菊池涼が残ったのが大きく、ルーキー森下の加入もプラスだが、他に大きな戦力補強はなく、新外国人と若手の台頭がチームの浮沈を握る。

 先発…大瀬良・Kジョンソン・床田・薮田・森下・遠藤(九里・野村)

 中継…今村・塹江・菊池保・高橋樹・アドゥワ・フランスア(岡田・一岡・中村恭)

 抑え…スコット・中崎(DJジョンソン)

 スタメン…捕手/曾澤・一塁/堂林・二塁/菊池涼・三塁/安部・遊撃/田中広

    左翼/ピレラ・中堅/西川・右翼/鈴木誠

 控え…捕)石原慶・坂倉 内)小窪・三好・小園 外)長野・野間・高橋大

   (曽根・上本・メヒア・宇草・松山)

 先発は大瀬良とジョンソンの2枚看板が健在で、床田と森下が確定した。最後の2枠を昨年8勝の九里、復活を期す薮田、成長株の遠藤が争う。リリーフ陣では、ベテランの今村と菊池保を軸に、塹江や高橋樹の若手両左腕、新加入のDJジョンソンの新たな戦力に期待がかかり、クローザーも中崎に代わり新外国人のスコットが務める。

 課題は昨年低迷した打線。日本の4番・鈴木誠は別格で、実績のある曾澤と菊池涼、西川は心配ない。ポイントは昨年大不振だった田中広の復調と、新外国人ピレラの出来になる。毎年、期待がかかるが今ひとつ伸びきれていない坂倉や高橋大、誰もが復活を期待する堂林、2年目の小園がレギュラー争いに加わるとチーム力はアップする。 
 

3位~巨人

 昨年、リーグ制覇した巨人だが、オフでFA補強に失敗し、ドラフトも2年連続で高校生主体の指名になり、戦力補強よりもチーム力の底上げで今シーズンを戦うことになる。投手三冠の山口がメジャー移籍したことで、連覇のカギは投手陣が握っている。

 先発…菅野・田口・サンチェス・メルセデス・戸郷・桜井・古川(高橋・畠)

 中継…澤村・鍵谷・鍬原・中川・ビエイラ・高木・田原(大竹・藤岡・宮國)

 抑え…デラロサ

 スタメン…捕手/大城・一塁/中島・二塁/吉川尚・三塁/岡本・遊撃/坂本

      左翼/パーラ・中堅/丸・右翼/亀井

 控え…捕)小林・炭谷 内)増田大・若林・北村・湯浅 外)陽・石川

   (岸田・田中俊・山本・陽・重信・松原)

 とにかく先発投手が不足しており、菅野と田口以外は流動的になりそうだ。新外国人のサンチェスは安定感に欠け、メルセデスも故障明け、ホープの戸郷もまだ2年目の19歳で過度な期待は酷だ。リリーフ陣では中川が復調すれば心強いが、デラロサまでどう繋いでいくかが課題で、鍵谷や高木、澤村など経験豊富な中継ぎの役割が重要になる。

 野手陣には大きな心配はない。坂本と丸、岡本の主軸に大城にレギュラーの目途がたち、中島も復調した。吉川尚は故障がなければ一番打者は安泰で、新外国人のパーラ含め心配はあるが、増田大や石川が控え、大きな戦力ダウンになることはない。野手の注目株は3年目の湯浅で、ドラフト8位がポスト坂本に名乗りを上げた。

 

○4位~阪神

 今年は阪神を優勝候補に上げる声も大きい。その最たる理由が投手力で、特にリリーフ陣はリーグ随一の布陣だ。課題は昨年、リーグ最下位の得点力だった打線で、機動力を活かしたスモールベースボールが理想だが、そのためには失策の多さを解消したい。

 先発…西勇・青柳・ガルシア・秋山・岩貞・ガンケル(中田・岩田・高橋遥)

 中継…能見・守屋・望月・桑原・小川・岩崎・島本(高野・飯田・エドワーズ)

 抑え…藤川・スアレス

 スタメン…捕手/梅野・一塁/ボーア・二塁/糸原・三塁/マルテ・遊撃/木浪

      左翼/大山・中堅/近本・右翼/糸井

 控え…捕)坂本・原口 内)上本・北條・陽川・植田 外)高山・福留

   (長坂・熊谷・サンズ・島田・中谷・板山)

 先発では高橋遥が開幕に間に合わなかったが、新外国人のガンケルがその穴を埋め、ガルシアの復調も心強い。リリーフ陣は岩崎、ソフトバンクから移籍したスアレス、藤川の並びが決まり、スアレスがしり上がりに調子を上げている。さらに実績十分の守屋や島本、ドラフト6位の小川も開幕一軍を決めさらに層が厚くなった。

 レギュラー陣も固まり、木浪と北條の熾烈な遊撃手争いはシーズン中も続く。起用が未定なのが大山で、オープン戦から好調だが、同じ三塁のマルテも絶好調で、慣れない左翼には福留が控え、大山をどう起用するか贅沢な悩みになる。課題は控えの層の薄さで、梅野や糸原、近本が離脱するようなことに陥るとかなり厳しくなる。

 

○5位~中日

 順位は5位予想だが、中日を優勝に推す声も多い。若手が成長してきている発展途上のチームだが、一気に優勝争いに加わる地力もある。昨年リーグ最少失点の投手陣はさらに強みを増し守備は鉄壁で、守り勝つ野球で今年こそはAクラスに喰い込みたい。

 先発…大野雄・柳・小笠原・梅津・山本・吉見(山井・清水・ロメロ)

 中継…橋本・又吉・祖父江・福・岡野・ゴンサレス・藤嶋(谷元・福谷・マルティネス)

 抑え…岡田・鈴木博

 スタメン…捕手/加藤・一塁/ビシエド・二塁/阿部・三塁/高橋周・遊撃/京田

      左翼/福田・中堅/大島・右翼/平田

 控え…捕)木下・郡司 内)高松・石川駿 外)井領・武田・アルモンテ・シエラ

   (石𣘺・根尾・溝脇・遠藤・渡辺)

 昨年8勝のロメロが故障で間に合わないが、大野雄と柳の左右のエースに、小笠原が復調し、昨年4勝の梅津と3勝の山本の期待の若手で固まった。さらにルーキーの橋本や岡野、ベテランの吉見と山井も控え層は厚い。クローザーは岡田が務めるが、鈴木博や藤嶋の力のある投手に、経験値の高い中継ぎが多く投手陣は昨年同様万全だ。

 攻撃陣はレギュラー未定は捕手だけで、ほかは固まっており、阿部と京田の鉄壁の二遊間に、中堅の大島のセンターラインも強固だ。課題は相変わらずの決定力不足で、練習試合も打率は高いが得点は少ない課題が解消されていない。また、控えの層が薄くレギュラークラスは福田くらいしかおらず、主力の離脱が戦力に即影響する。

 

○6位~ヤクルト

 残念ながらヤクルトを優勝予想した解説者は見当たらない。練習試合でも12球団最下位に沈み、打てない守れないと、課題が浮き彫りになった。高津新監督には厳しいシーズンになりそうで、開幕から本拠地15連戦の地の利を活かしたいところだ。

 先発…石川・小川・高梨・イノーア・スアレス・山田大(清水・吉田大・高橋)

 中継…中尾・近藤・マクガフ・梅野・大西・五十嵐・今野(杉山・風張)

 抑え…石山・長谷川

 スタメン…捕手/中村・一塁/坂口・二塁/山田哲・三塁/村上・遊撃/エスコバー

     左翼/塩見・中堅/青木・右翼/雄平

 控え…捕)西田・嶋 内)西浦・廣岡・太田・吉田大 外)山崎

   (松本・古賀・宮本・藤井・荒木・中山・上田・濱田)

 開幕投手を40歳の大ベテラン石川に託すほど、若手の押し上げがない。小川は不振で心配を残したまま開幕を迎え、高橋は先発ローテから外れ、イノーアとスアレスの新外国人に期待するしかない。この状況でドラフト1位の原や寺島、清水の名が出ないのが寂しい。リリーフ陣ではソフトバンクから移籍の長谷川に期待がかかる。

 野手では昨年33本塁打バレンティンの穴がぽっかり空いたままだ。エスコバースラッガータイプではなく、守備は一級品だが打撃面では早くも苦労している。期待の若手で名前が挙がるのも吉田大のみで、36歳の雄平と坂口、38歳の青木のベテランを脅かす若手も当たらない。なぜ、涌井やロメロ、鳥谷を獲得しなかったのだろう…。 

 

 最後に各解説者の予想を要約すると、セ・リーグは混戦で巨人と広島を優勝候補に推す声が多く、DeNAと阪神も評価が高い。中日は大穴で、ヤクルトはAクラスも厳しい予想が大半を占めた。

 パ・リーグではソフトバンク以上に楽天の評価が高く、オープン戦と練習試合ともの首位の西武を推す声が高まってきた。大穴でオリックス日本ハムを挙げる声が多く、オフの補強で春先に評価が高かったロッテはかなりトーンダウンしている。

 どちらにしろ、待ちに待ったプロ野球がようやく始まります。予想はあくまで予想で、自分のファンのチーム優勝を信じて応援しましょう。    

20年~パ・リーグ順位予想

 いよいよ待ちに待ったプロ野球が開幕する。交流戦が中止になり、レギュラーシーズンは143試合から120試合に縮小される。一方でオールスター戦も中止になることで、夏場のオールスター休みがなく連戦が続く。

 また、新型コロナウィルス感染拡大防止策で、地域間の移動を最小限にするために、パ・リーグでは、序盤に同一チーム6連戦も組まれている。一軍登録に外国人登録、ベンチ登録人数の拡大、延長戦は10回までなど、特例ルールが採用され後にも先にも前例のないシーズンが始まる。

 順位予想は難しいが、3つのポイントで予想してみた。1つ目は選手層の厚さ、2つ目に投手力、最後にベテラン選手の存在である。

 今年は過密日程のうえ、慣れない日程による調整の難しさでケガが増える可能性がある。レギュラーといえども、適度に休養を入れる必要があるし、パ・リーグの同一カード6連戦は、まさしく短期決戦型になり、選手層の厚さが勝敗を左右する。

 2つ目の投手力では、多くの選手が実戦から遠ざかっているため、序盤は投手が有利になる。打者は活きたボールを見ないと調整は難しく、打者の目が慣れるまでは投手力のあるチームが優位になる。また、中継ぎ陣の負担が予想され、質量ともにリリーフ層の豊富さが要求される。

 最後は各選手とも開幕までの3ケ月のブランクは大きく、コンディション調整が難しい。シーズンを勝ち抜くうえでは、若手の台頭ももちろん必要だが、今年はより経験豊富なベテラン選手の重要性が増してくると思う。

 そこでパ・リーグの順位予想は、本命はソフトバンク、対抗は楽天、大穴でロッテとオリックスが面白い。2年連続優勝の西武は今年は苦戦が予想され、日本ハムは良くてもAクラスで優勝は厳しいと予想した。

 

○1位~ソフトバンク

 ここ数年、主力の相次ぐ離脱に悩まされていたなか、3年連続日本一を達成した選手層の厚さは健在だ。今年はエースの千賀が調整遅れ、新型コロナで出国できないキューバ勢を開幕に欠くが、戦力は充実している。

 先発…東浜・ムーア・和田・バンデンハーク・石川・二保(千賀・松本) 

 中継…津森・岩嵜・高橋礼・尾形・松田遼・高橋純・嘉弥真・川原(椎野・古谷)

 抑え…森(モイネロ・サファテ)

 スタメン…捕手/甲斐・一塁/内川・二塁/牧原・三塁/松田宣・遊撃/今宮 

      左翼/バレンティン・中堅/柳田・右翼/上林・DH/栗原

 控え…捕)高谷 内)高田・中村・明石・周東 外)長谷川・佐藤

   (九鬼・グラシアル・柳町・リチャード・三森・川島・デスパイネ・釜元)

 先発の6名が決まり、中継ぎも豊富だ。特に岩嵜が復調し、ロングリリーフもできる高橋礼が開幕に間に合ったのが大きい。さらにモイネロやサファテが加われば、まさしく盤石なリリーフ陣を形成できる。若手では最後まで先発枠を争った松本や売り出し中の左腕・古谷、育成から支配下になった尾形に期待したい。

 二塁以外のレギュラーは決まっており、柳田と上林の復調、覚醒を予感させる栗原の存在が頼もしい。デスパイネとグラシアルが戻ってくれば、打線はさらに厚みが増す。しいて弱点を上げるなら外野守備と、ここ数年レギュラーに変化がなく、若手の底上げが遅れていることくらいだが、周東やルーキー佐藤がその心配を払拭してくれそうだ。

 

○2位~楽天

 ソフトバンクの対抗馬に挙げたのが楽天だ。今年はFAでロッテから鈴木大、メジャーから牧田、来日3年で通算69本塁打オリックスのロメロも獲得し、オフでの積極的な補強が光った。Aクラスの翌年は最下位のジンクスを、今年こそはなくしたい。

 先発…則本昂・松井・石橋・辛島・涌井・弓削(岸・藤平・釜田・福井)

 中継…牧田・酒居・ブセニッツ・青山・宋家豪・高梨・寺岡(津留崎・瀧中)

 抑え…森原・シャギワ

 スタメン…捕手/太田・一塁/銀次・二塁/浅村・三塁/鈴木大・遊撃/茂木

      左翼/島内・中堅/辰巳・右翼/ブラッシュ・DH/ロメロ

 控え…捕)山下 内)小深田・藤田・山崎幹・内田・渡邊佳 外)小郷

   (足立・堀内・黒川・渡辺直・ウィーラー・オコエ・田中・下水流・和田)

 投手陣では先発陣にやや不安が残る。先発転向の松井は安定感に欠け、オープン戦好調だった弓削も不振、岸も本調子には程遠い。反面、牧田や酒居が加わったリリーフ陣は層が厚く、松井に代わるクローザー候補の森原とシャギワの争いにも注目だ。

 打線は強力で、開幕が遅れたことで浅村と茂木が間に合い、ソフトバンクや西武に引けをとらない強力打線を形成できた。即戦力ルーキーの小深田の守備走塁は秀逸で、レギュラーを十分に狙え、打撃好調の山崎幹や内田など楽しみな若手が多い。

 悩みは充実し過ぎている外国人選手で、投手はリリーフ、野手は右打ちのスラッガーと同じ役割の選手のハイレベルな競争が繰り広げられており、贅沢な悩みが尽きない。

 

○3位~ロッテ

 台風の目になりそうなのがロッテだ。楽天同様オフに積極的に補強し、FAで楽天の美馬、ソフトバンクから福田秀を獲得し、楽天からハーマン、元広島のジャクソン、阪神の鳥谷、黄金ルーキー佐々木朗の加入など、1974年以来のリーグ優勝も夢ではない。

    先発…石川・種市・西野・美馬・小島・二木(佐々木千・唐川・土肥・有吉・岩下)

 中継…東條・東妻・石崎・小野・中村稔・田中・ジャクソン(松永・南・チェン)

 抑え…益田・ハーマン

 スタメン…捕手/佐藤・一塁/井上・二塁/中村奨・三塁/レアード・遊撃/藤岡

      左翼/荻野・中堅/福田秀・右翼/マーティン・DH/角中

 控え…捕)柿沼 内)鳥谷・安田・平沢・福田光 外)清田・岡

   (田村・吉田・三木・細谷・西巻・藤原・菅野・高部・和田)

 先発は5人が内定し、最後の枠を25歳の二木と24歳の岩下が争っている。昨年8勝を上げた22歳の種市と、唯一の左腕24歳の小島など若手の競争に期待がかかる。リリーフ陣も充実しており、ともに2年目の東妻に中村稔、ファームで2年連続のセーブ王・小野も24歳で楽しみな若手がしのぎを削り、移籍2年目の石崎の復調も心強い。

 打線は昨年倍増した本塁打と、一昨年リーグ2位の機動力が噛み合えば破壊力のある打線になる。田村の故障は痛いが、ルーキー佐藤にチャンスが巡り、ファーム二冠王の安田や平沢のドラ1コンビも、鈴木大移籍のチャンスを掴みたい。福田光や藤原、和田などイキの良い若手の成長がシーズン通してカギを握り、ベテラン鳥谷にも注目だ。

 

○4位~西武

 2年連続リーグ優勝の西武だが、連覇は難しい。2年連続リーグ最下位の投手陣に大きな改善が見られず、自慢の強力打線も、攻守の要だった秋山移籍の穴は大きい。また、レギュラーが強固が故に控えの層が薄く、主力の離脱がチーム力に直結する。

 先発…ニール・高橋光・今井・松本・與座・ノリン(十亀・本田・榎田・松坂)

 中継…宮川・浜屋・平井・森脇・小川・ギャレット・平良(野田・伊藤)

 抑え…増田

 スタメン…捕手/森・一塁/山川・二塁/外崎・三塁/中村・遊撃/源田

      左翼/スパンジェンバーグ・中堅/金子侑・右翼/木村・DH/栗山

 控え…捕)岡田 内)山野辺・佐藤・呉念庭・森越・メヒア 外)鈴木・川越

   (柘植・水口・愛斗)

 先発ローテは内定し、練習試合でも好投した與座に、新外国人左腕のノリンが間に合った。開幕投手はニールだが、好投を続ける今井にエース誕生を予感させる。リリーフ陣は平井の疲労回復が心配だが、新人王を狙う平良や、開幕に間に合ったルーキー宮川が穴を埋めてくれそうだ。ただ、層の薄さは解消されておらず不安は尽きない。

 野手では秋山の抜けた一番が課題で、スパンジェンバーグと金子侑が候補になる。今年で37歳を迎える中村と栗山のベテランに代わる若手の成長もカギで、長打力が魅力の佐藤や川越、俊足巧打の山野辺や鈴木の出番が増えそうで、レギュラー陣を脅かす活躍を見せれば、今年も山賊打線は健在だ。

 

○5位~オリックス

 順位は5位予想だが、山岡と山本のWエースに、主砲の吉田正と投打に軸となる選手がおり、自慢の投手力と積極的な若手の起用優勝争いに絡んでくるチャンスは十分にある。まだ発展途上中のチームで、間違いなく今後に繋がっていくシーズンになる。

 先発…山岡・山本・アルバース・田嶋・K-鈴木・荒西・村西(竹安・榊原・張奕)

 中継…山崎福・吉田一・近藤・比嘉・海田・漆原(ヒギンス・澤田・山田・神戸)

 抑え…ディクソン・増井

 スタメン…捕手/若月・一塁/モヤ・二塁/福田・三塁/中川・遊撃/安達

      左翼/吉田正・中堅/ジョーンズ・右翼/宗・DH/ロドリゲス

 控え…捕)松井雅・頓宮 内)勝俣・大城 外)後藤・Tー岡田・小田

   (山崎勝・白崎・西野・山足・小島・宜保・西浦・西村・佐野・杉本)

 山岡と山本の全日本クラスのエースが2人いることで、大型の連敗は考えにくく、左腕の田嶋、アルバースも開幕に間に合ったのが大きく、ルーキー村西を加えた先発陣は豊富だ。課題はクローザーで、ディクソンと増井はともに安定感に欠け、終盤の継投がポイントになる。昨年ファームのセーブ王・漆原にもチャンスがあるかもしれない。

 課題は攻撃陣でレギュラーが吉田正と福田、若月しかいない布陣で期待がかかるのは外国人選手の活躍だ。外国人選手はシーズンが始まってみないと分からない部分があるが、現役メジャーリーガーのジョーンズ、長打のロドリゲスはチームの浮沈を握る。T-岡田や安達のベテラン勢、宗や大城、中川との若手のレギュラー争いに注目したい。

 

○6位~日本ハム

 昨年のドラフトで即戦力選手を多く獲得した以外は目立った補強がなく、得意のトレードも、お家芸とも言える若手の成長株も見当たらない…。伝統の堅守やそつのない野球も年々影を潜めており、今年も厳しいシーズンになりそうだ。

 先発…有原・上沢・マルティネス・河野・バーヘイゲン・杉浦(吉田輝・村田)

 中継…金子・宮西・堀・西村・鈴木健・公文・玉井(生田目・井口・浦野)

 抑え…秋吉・石川直

 スタメン…捕手/宇佐見・一塁/中田・二塁/渡邊諒・三塁/ビヤヌエバ・遊撃/石井

     左翼/近藤・中堅/西川・右翼/大田・DH/王伯融

 控え…捕)清水・郡 内)杉谷・清宮・横尾 外)谷口・松本

   (鶴岡・中島・平沼・谷内・万波)

 昨年は実質、有原しか先発がおらず、栗山流オープナーの活用でやり繰りしたが、今年は上沢とマルティネスが戻り、ルーキー河野や新外国人のバーヘイゲンが加わり、昨年よりは駒が揃った。ただ、層は決して厚いとは言えず、昨年同様に今年もオープナーを活用しながら、継投で乗り切るシーズンになる。

 攻撃陣は1番から西川、大田、近藤、中田までの上位打線は怖いが、下位打線の弱さは相変わらずで、王伯融とビヤヌエバの両助っ人の活躍がないと厳しい。清水や渡邊にレギュラー奪取の期待がかかるが、最も期待されている清宮も今ひとつで、日ハム伝統の育成法で、有望な若手を我慢して使い続ける成長株の出現に期待したい。