開幕してもうすぐ1ケ月経ちますが、早くも残り100試合を切ります。実際に始まってみると、120試合は思った以上に短いなと思いました。また、懸念されていたように例年になくけが人が増えており、補強を躊躇しているうちにペナントレースから脱落する恐れもあります。これからトレードが活発化するかもしれません。
◆楽天
一言で言えば強い!チーム打率は脅威の.277で、123得点は唯一の3桁。チーム防御率もリーグ1位の3.38で74失点はリーグ最少。課題だった機動力も解消され、リーグ2位の19盗塁と、投打に隙のないチームになった。外国人枠の関係で出場機会が減少したウィーラーを放出する余裕も頷ける充実した戦力を誇っている。
現状、補強の必要はない。投手陣では松井が再調整中で先発陣に若干不安を残すが、ベテランの青山や実績のある高梨が一軍昇格を狙っているリリーフ陣も盤石と言える。野手陣もレギュラーが確立され、ベンチには内田や山崎幹、小郷など有望な若手が控え、田中和や渡邊佳、和田が一軍に入れないほど選手層が厚くなった。
そこでファームで勿体ないと思う選手をリストアップしてみた。投手では釜田佳直(金沢高~11年②)は先発、中継ぎどちらでも問題なく、一軍での実績はないが渡邊祐樹(横浜商大~17年④)は有望な先発左腕。野手では田中和基(立大~16年③)にフェルナンド(白鷗大~14年④)、和田恋(高知高~13年巨②)がファームで好成績を残しており、ベテランの岡島豪郎(白鷗大~11年④)などはもう一花咲かせてほしい。
楽天同様、オフに大補強を行ったが、福田秀は開幕前に骨折し離脱、ジャクソンはトラブルで退団してしまい、早くも不安のほうが大きくなってしまった。開幕直後の8連勝があり2位をキープしているものの、チーム打率.234はリーグ5位、防御率4.56はリーグ最下位と、優勝を狙うなら早めの補強が必要だ。
投手ではセットアッパーの補強が急務になる。日本ハムの浦野博司(セガサミー~13年②)、DeNAの三上朋也(JX-ENEOS~13年④)に左腕の砂田毅樹(明桜高~13年育①)、中日の佐藤優(東北福祉大~15年②)、広島のDJジョンソンなど候補は多いと思う。また、西野の故障離脱に、二木の再調整など先発の補強も必要だ。阪神の藤浪晋太郎(大阪桐蔭高~12年①)、中日の松葉貴大(大体大~12年オ①)、ヤクルトのクックなど豊富な外野陣とのトレードなら実現も可能だと思う。
野手では内野の層が薄い。内野ならどこでも守れる中日の石川駿(JX-ENEOS~14年④)、巨人の北村拓己(亜大~17年③)は長打力もある。ジャクソンの退団で空いた外国人枠で、野手ではオリックスのモヤ、西武のメヒアの加入は刺激になる。
◆西武
今ひとつ波に乗れないスタートになったが、チーム状態はそれ程悪くはない。何といっても課題と言われた投手陣が良くなった。特に、ギャレットが加わったリリーフ陣はリーグ屈指の布陣に変貌した。強力打線も健在で、現状外野のレギュラーが確立しきれていないが、投打に補強を急ぐ必要はないと思う。
強いて言えば、投手陣では小川しかいない中継ぎの左腕がもう一枚欲しいところだ。野田や武隈が戻れば問題ないが、DeNAの砂田毅樹(明桜高~13年育①)や阪神の飯田優也(東農大~12年ソ育③)等が加わればさらに厚みを増す。
野手では秋山の移籍、金子の離脱で手薄になりかけている外野の補強だが、鈴木に覚醒の予感が漂い、川越や高木、愛斗など長打力のある選手も控える。ここも強いて言えば右打ちの外野手が不足しており、阪神の江越大賀(駒大~14年③)や中谷将大(福岡工大城東高~10年③)などは強力打線の西武で覚醒する可能性が十分ある。
一方で、リリーフに転向の相内誠(千葉国際高~12年②)、打力のある愛斗(花咲徳栄高~15年④)、守備職人の永江恭平(海星高~11年④)は、二軍では勿体ない。
開幕ダッシュに失敗し、まさかの苦戦を強いられているホークス。ここ数年主力が揃ったことがなく、投手では武田やサファテが間に合わず、ムーアも離脱してしまった。野手でも内川が二軍スタートで長谷川が故障離脱、デスパイネとグラシアルもコロナの影響でチームに合流できず、いまは我慢の時かもしれない。元々、選手層の厚いチームなので、楽天や西武同様に急いで補強に走る必要はないと思う。
ここは楽天同様、勿体ない選手をリストアップしてみた。投手では椎野新(国士館大~17年④)や松田遼馬(波佐見高~11年神⑤)は先発、リリーフのどちらでも行けるし、加治屋蓮(JR九州~13年①)は実績もあるリリーバーだ。
野手では、高田知季(亜大~12年③)と川瀬晃(大分商高~15年⑥)はともに内野守備に定評があり、釜元豪(西京高~11年育①)に真砂勇介(西城陽高~12年④)の両外野手は、走攻守に高いレベルで一軍にいないのは本当に勿体ないと思う。
かつてホークスは、アッと言わせるような大型トレードを成立させており、個人的にそろそろ期待したい気持ちもある。
序盤ロッテに6連敗を喫し、一時期どん底を経験したオリックス。Wエースの山岡が離脱するなど、どうなるかと思ったがチームを建て直してきた。チーム打率.246、防御率3.77はいずれもリーグ2位、機動力も健在でリーグ最多の21盗塁で状態は良い。
補強ポイントは先発投手で、若手が出てきてはいるが山岡の代役は必要だ。阪神の藤浪晋太郎(大阪桐蔭高~12年①)、ベテラン左腕の岩田稔(関大~05年希)は実績がありまだまだ出来るし、広島の中村祐太(関東一高~13年⑤)の若手も面白い。ただ、それ以上にファームには張奕や本田、村西などの有望な若手が揃っており心配する必要はないのかもしれない。
野手にもタレントが揃っており、T-岡田が見事復活。ジョーンズやロドリゲスの新外国人選手も、徐々に順応し始めてきて心配は日に日に小さくなっている。補強ポイントは、若月に頼らざるを得ない手薄な捕手で、大ベテランの広島の白濱裕太(広陵高~03年①)、中堅では千葉ロッテの吉田裕太(立正大~13年②)、若手では日本ハムの石川亮(帝京高~13年⑧)などは強力なリザーブになると思う。
◆日本ハム
投打に精彩を欠いているのが日本ハムで、チーム打率.211は12球団で最下位。76得点はリーグ最小、防御率4.48は何とか最下位は免れたが、103失点はリーグワーストだ。本塁打も盗塁もリーグ最下位で、投打に全く良いところがない。直ぐにでも補強を進めないと、このままズルズルいってしまう可能性が高い。
投手の課題は昨年同様に先発投手だ。残念ながらファームで若手も苦戦しており、西武の十亀剣(JR東日本~11年①)や楽天の福井優也(早大~10年①)のベテラン、巨人の今村信貴(太成学院高~11年②)など、実績にある選手が欲しい。
野手は内野手が深刻で、期待の野村がケガで離脱したことで、一塁を除くすべてのポジションが不安になった。西武の山田遥楓(佐賀工高~13年④)や地元の佐藤龍世(富士大~18年⑦)はパンチ力も備えた三塁手、広島の三好匠(九州国際大高~11年楽③)や阪神の北條史也(光星学院高~12年②)は、したたかなチームカラーにもフィットしそうな感じがする。また、楽天の藤田一也(法大~04年横④)などは若手の多いチームのなかで、貴重なベテランとして重宝されそうな気がする。