ドラフトを知ると野球がもっと楽しくなる

どのチームが「人」を育て強くなるのか

こういったトレードはどうでしょうか?セ・リーグ編

 最近はトレードが少なくて寂しい。現役ドラフト制度も検討されているなか、もう少しトレードが活発になっても良いのではないかと思う。ドラフトも良いが、トレードも球団の考えや思い、戦略があって興味深い。確かに好きな選手がチームを去るのは寂しいが、新天地での活躍などを見ると嬉しくなる。

 また、選手からすれば、なかなかチャンスが巡ってこないなか、トレードで活躍のチャンスの道が開くのであればウェルカムだと思う。

 そこで、まだ開幕して間もないが、チームの状況からトレード候補を考えてみました。まずは、セ・リーグからお付き合いください。

 

◆巨人

 開幕ダッシュに成功した巨人は、開幕早々に楽天からウィーラーを獲得した。在籍5年で106本塁打のウィーラーの加入はさらに打線に厚みを増した。

 現状、巨人のウィークポイントになりそうなのは投手陣だ。若手の戸郷や新外国人のサンチェスはいるが、1年間投げた実績がない。上手く機能しているうちにもう一枚欲しいところで、楽天釜田佳直(金沢高~11年②)や福井優也早大~10年広①)、オリックス東明大貴富士重工~13年②)、現在は中継ぎを務めている日本ハムの金子弌大(トヨタ自動車~04年オ自)などは実績も申し分ない。

 また、デラロサが離脱したことで抑えも不安だ。過密日程のなか救援陣は一枚でも多ければよい。実績十分のソフトバンクの松田遼馬(波佐見高~11年神⑤)やオリックスの金田和之(大院大~12年神⑤)などはファームでは勿体ない。

 一方で、他球団ならレギュラーともいえる石川慎吾(大阪大柏原高~11年日③)、俊足巧打の立岡宗一郎(鎮西高~08年ソ②)や松原聖弥(明星大~16年育⑤)など交換要員は多く、まだまだ巨人には動きがありそうだ。

 

◆DeNA

 チーム打率はリーグトップの.297も、得点は巨人に及ばず76点で今ひとつチグハグさが否めないDeNA。要因はソト、オースティン、佐野、ロペスと強打者が並ぶが長打力頼みに大味な野球になっていることか…。

 復活を期す桑原やケガで離脱していた神里が戻れば、課題の機動力も同時に克服されるが、早い段階で手を打ちたいところだ。 

 狙いはリードオフマンタイプの選手で、外野手に候補が多い。ともに外野の層が厚く出番の少ない楽天の田中和基(立大~16年③)や千葉ロッテ加藤翔平(上武大~12年④)、内外野守れる日本ハムの淺間大基(横浜高~14年③)などは戦力として申し分ない。特に左腕投手が多いチームなので、左腕不足に悩む千葉ロッテとはトレードが成立する可能性も高いと思う。

 逆にファームでは、故障も癒えた斎藤俊介(JX-ENEOS~17年④)はリリーフ陣の層を厚くするし、毎年ブレイクが期待される関根大気(東邦高~13年⑤)などは、環境が変わることで大化けする可能性があると思う。

 

◆ヤクルト

 意外(失礼…)にも健闘しているヤクルト、やはり課題は投手力だろう。チーム防御率4.29はリーグ5位で早くも心配の種だ。

 先発では巨人で述べた選手が挙げられるが、このほかに西武の相内誠(千葉国際高~12年②)、同一リーグになるが広島の中村祐太(関東一高~13年⑤)などはチームが変わることでブレイクするかもしれない。忘れてならないのは日本ハム斎藤佑樹早大~10年①)で、伸び悩んでいるうちに既に32歳…。慣れ親しんだ神宮でかつての輝きを取り戻す姿は是非見てみたい。

 野手では松本友を支配下登録し、若手への転換を進めている。元々打力はあるチームなので、心配は嶋や井野の両ベテランに頼っている捕手か。広島の磯村嘉孝中京大中京高~10年⑤)や千葉ロッテ吉田裕太(立正大~13年②)の中堅は経験値も高い。

 ファームではベテランの川端慎吾(市和歌山商高~05年③)や藤井亮太(シティライト岡山~13年⑥)が結果を残しており、新天地での復活劇など見てみたい。特に、川端は指名打者もあるパ・リーグなら復活も期待できるのではないかと思う。

 

◆広島

 チーム打率.280と本塁打17本はリーグ2位、チーム防御率4.20もリーグ4位で悪くはないが、なぜか勝ちきれないスタートになってしまった。数字だけを見るとそれほど悪くなく、ベテランと若手がうまく融合しており、現有戦力の底上げで行けると思う。

 投手陣では、先発陣は野村や中村祐が二軍調整中で問題ないが、心配なのはやはりリリーフ陣になる。クローザーに指名された新外国人のスコットは、早々と抑え失格の烙印を押され、現在は菊池保が抑えを務めている。

 中崎や一岡、フランスアが復調すれば課題も解消されるが、早々に補強したいポイントでもある。本調子であればクローザーを任せられる日本ハム浦野博司セガサミー~13年②)などは面白いと思う。

 野手は投手以上に、補強の必要はないと思うが、捕手の磯村嘉孝中京大中京高~10年⑤)や、守備力の定評のある内野手の三好匠(九州国際大高~11年楽③)、外野のポジションが埋まっている高橋大樹龍谷大平安高~12年①)は、他球団なら出番が増えそうで勿体ない気がする。

 

◆中日

 期待された臨んだシーズンも、状況は昨年と変わらず、チーム打率.258はリーグ4位も、本塁打セ・リーグで唯一の一桁9本、課題の機動力も盗塁はリーグ最少の3で得点力不足が早くも露呈している。まぁ、野手を全部使い切って、投手の代打を送るなど自滅の部分もあるが…チーム防御率がまずまずだけに打撃面を強化したい。

 ここは中日得意の大型トレードで、一気にチームの雰囲気を変えても良いと思う。長打力のある楽天の内田靖人(常総学院高~13年②)や、ユーティリティプレーヤーの日本ハム杉谷拳士(帝京高~09年⑥)、俊足のオリックスの小田裕也(日本生命~14年⑧)などは、ベンチを温めるには惜しい選手だ。

 この他にも先述した楽天の田中和やロッテの加藤、長打力のある阪神の中谷将大(福岡工大城東高~10年③)、地元出身のDeNAの関根大気(東邦高~13年⑤)や、日本ハム谷口雄也愛工大名電高~10年⑤)は経験も申し分ない。実績はないが西武の愛斗(花咲徳栄高~15年④)、ソフトバンクの真砂勇介(西城陽高~12年④)なども出番があればブレイクする可能性が高い。

 

阪神

 チーム打率.221に41得点…、チーム防御率5.01に73失点は、いずれもリーグワーストで、チーム防御率5点台(さすがにどこかで解消されるが…)は阪神のみで、自慢の投手陣まで不振に陥り、投打ともに早めの補強が必要だ。既に外国人選手8名を抱える状況からトレードに活を見出すしかない。課題は昨年からの課題の打撃力の改善だ。ただ、阪神の場合、誰を獲るのかも大事だが、誰をだすのかが重要だ。

 その代表株がかつてのエース藤浪晋太郎大阪桐蔭高~12年①)で、トレードで環境を変えることで復活するのではないかの声は大きい。高校時代にバッテリーを組んだ森のいる西武、トレードで選手を復活させるのが得意な日本ハム、先発が不足している千葉ロッテのいずれも、期待の若手も揃っており悪くないトレードになると思う。

 野手では走攻守揃った江越大賀(駒大~14年③)で、なぜこの選手が一軍で通用しないのかが分からない。外野の層を厚くしたいチームなら成立する可能性が高く、長打力のある中谷将大(福岡工大城東高~10年③)、俊足の島田海吏(上武大~17年④)なども新天地で花開く可能性が高い。互いに満足のいくトレードになると思う。