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どのチームが「人」を育て強くなるのか

20年順位予想☆ソフトバンク~選手層の厚さで今年も優勝の大本命!4年連続日本一を目指す

 2010年代は、まさにソフトバンクの時代だったと言える。2010~19年までの10シーズンでリーグ優勝5回、日本一は2018~19年の2位からの日本シリーズ進出と合わせて6回を数え、現在は3年連続日本一を継続中で、今年も文句なしで「優勝」予想した。

 昨年は終盤に西武にかわされリーグ優勝こそ逃したが、CSでは2年続けて西武を圧倒。日本シリーズでも、セ・リーグ覇者の巨人に付け入るスキを与えることなく、1stステージの楽天2戦目から10連勝でフィニッシュした。2年連続でリーグ優勝した西武の快挙を忘れるほど、最後の最後で圧倒的な強さを見せつけた。

 とにかく選手層が厚い。今年も主力に離脱や調整遅れの選手がいるが、楽しみな若手が揃っている。先発では松本裕樹(盛岡大付高~14年①)に覚醒の予感が漂い、杉山一樹(三菱重工広島~18年②)の評価も高い。昨年、リリーフで結果を出した高橋純平(県岐阜商高~15年①)も先発の座を狙う。

 リリーフ陣でも古谷優人(江陵高~16年②)は故障が癒え、ようやくスタートラインに立つことができ、ルーキーの津森宥紀(東北福祉大~19年③)や、育成から支配下登録された尾形崇斗(学法石川高~17年育①)がオープン戦で結果を出している。

 野手では周東佑京(東農大オホーツク~17年育②)が代走からレギュラーを狙い、牧原大成(城北高~10年育⑤)との1番・二塁争いが注目だ。栗原陵矢(春江工高~14年②)は打撃力が半端なく、レギュラー候補に名乗りを上げた。このほかにも走攻守揃った三森大貴(青森山田高~16年④)、支配下登録されたスラッガーのリチャード(沖縄尚学高~17年育③)、俊足強肩のルーキー佐藤直樹JR西日本~19年①)などぞろぞろと名前が出てくる。

 ソフトバンクの不安材料は、主力野手の世代交代だが、今年はこの課題が解消されるか、それともそのままウィークポイントになるか、そしてこれからも暫くソフトバンクの時代が続くのかが問われるシーズンになると思う。

【過去5年のチーム成績】

    順位   勝敗    打率 本塁打  盗塁   得点  防御率 失点 

 19年 2位 76勝62敗5分 .251  183本 113個  582点  3.63    564点

 18年 2位 82勝60敗1分 .266  202本   80個  685点  3.90  579点

 17年 1位    94勝49敗0分 .259  164本   73個  638点  3.22  483点  

 16年 2位 83勝54敗6分 .261  114本 107個  637点  3.09  479点

 15年 1位 90勝49敗4分 .267  141本   94個  651点  3.16  491点 

【過去5年のドラフトの主戦力】

 平均年齢は27.3歳で意外に高く、特に投手陣の高齢化が進んでいる。一つ上のチームを目指し、14年~17年は本指名中20名のうち16名が高校生指名だが、残念だがレギュラー候補すら現状では見当たらず、世代交代が既知として進んでいない。結果、18年~19年は即戦力指名にシフトし、本指名12名中、高校生は僅か3名とで減少した。

 18年~甲斐野央(投手~東洋大①)

 17年~高橋 礼(投手~専大②)

 16年~なし

 15年~なし

 14年~なし

 ようやく昨年主力選手が誕生したが、若手輩出のスピードが遅い。このほかにも周東くらいしか見当たらない。一番意外だったのが、田中正義(創価大~16年①)の伸び悩みで、確かに故障などもあったが3年間でプロ初勝利はおろか、11試合登板に留まることは全く想像できなかった。

 

●投手陣~主力選手の調整遅れで先発に不安が残るが、質量ともに厚いリリーフ陣

 昨年も主力選手が離脱した。先発では東浜巨(亜大~12年①)がわずか7試合登板で2勝、リリーフの石川柊太(創価大~13年育①)は故障で、登板数が42試合から2試合に減少、加治屋蓮(JR九州~13年①)も前年の登板過多がたたったか72試合から30試合登板に留まった。キング・オブ・クローザーのサファテは全休、岩嵜翔市船橋高~07年高①)も完全復活には至らなかった。

 こうなると投手陣が瓦解してもおかしくないが、なんと逆にチーム防御率は上がりリーグ1位の投手陣を形成した。エースの千賀滉大(蒲郡高~10年育④)が12勝と最多奪三振、サブマリンの高橋礼も12勝を上げ新人王を獲得した。ミランダと大竹耕太郎(早大~17年育④)が先発ローテを守り、終盤にはベテランの和田毅早大~02年自)が復活し4勝を上げた。

 リリーフ陣では、森唯斗三菱自動車倉敷~13年②)がクローザーの地位を確立し、嘉弥真新也(JX-ENEOS~11年⑤)やモイネロに、高橋純や椎野新(国士館大~17年④)の新戦力が加わった。ルーキーの甲斐野はチーム最多の65試合に登板し、日本一に大きく貢献した。

【昨年の先発ローテーション】

 ・開幕時…千賀滉大 ミランダ 高橋 礼 東浜 巨 大竹耕太郎 武田翔太

 ・後半戦…大竹耕太郎 千賀滉大 和田 毅 ミランダ 高橋 礼 松本裕樹

【19年シーズン結果】※☆は規定投球回数クリア

 ・先発…☆千賀滉大(180回1/3)☆高橋 礼(143回)大竹耕太郎(106回)

       ミランダ(86回)武田翔太(83回)和田 毅(57回2/3)

 ・救援…甲斐野央(65試合)モイネロ(60試合)森 唯斗(54試合)

       嘉弥真新也(54試合)松田遼馬(51試合)高橋純平(45試合)

 今年も残念ながら主力選手に故障が発生し、先発では千賀に高橋礼、大竹、武田翔太宮崎日大高~11年①)が出遅れており、開幕投手は12球団では一番遅いタイミングで東浜が指名された。

 ただ、その東浜も故障上がりで不安が残り、新戦力でMLB通算54勝のムーア、ベテランの和田に頼らざるを得ない状況になる。そうなるとリリーフの二保旭(九州国際大~08年育②)や松田遼馬(波佐見高~11年神⑤)の先発起用も想定され、主力が戻ってこないと先発陣は盤石と言えず、やり繰りに苦労することも想定され、松本や杉山の台頭に期待したい。

 反面、リリーフ陣は甲斐野に回復のメドが立っていないが、質量ともに豊富だ。クローザーの森、実績のあるモイネロと嘉弥真、高橋純や椎野に加え、故障からの復活を期す岩嵜と石川、変則右腕のルーキー津森も加わる。さらに川原弘之(福岡大大濠高~09年②)や古谷の両左腕、尾形に泉圭輔(金沢星稜大~18年⑥)などストレートに力のある若手投手が控えており、先発陣の不安を払拭できる布陣だ。

 強いていうなら、甲斐野が務めていたセットアッパーを誰にするかで、岩嵜の復調がベストだが、工藤監督が誰を指名するかに注目したい。もう一つは外国人枠の問題で、モイネロとデスパイネ、グラシアルは外せず、残り1枠をムーア、バンデンハーク、スチュアートJrの先発候補が争う形になり、何とも贅沢な悩みだが、先発陣が不足している状況ではさらに悩ましい…。

【今年度の予想】

 ・先発…東浜 巨 バンデンハーク ムーア 和田 毅 松本裕樹 

       千賀滉大 高橋 礼 大竹耕太郎 二保 旭 杉山一樹

 ・中継…モイネロ 高橋純平 嘉弥真新也 松田遼馬 椎野 新 津森宥紀 

      甲斐野央  石川柊太 加治屋蓮 泉 圭輔 川原弘之 古谷優人

 ・抑え…森 唯斗 サファテ 岩嵜 翔

 

●野手陣~脅威の打線で今年も本塁打を量産か!課題は一番打者と不安の多い外野守備

 昨年は外野が緊急事態に陥り、中村晃(帝京高~07年高③)が病気で開幕に間に合わず、チームの中心選手柳田悠岐(広島経済大~10年②)は開幕早々にケガ、上林誠知(仙台育英高~13年④)も不振と骨折で離脱した。このほか内川聖一(大分工~00年横①)も本調子には程遠く、今宮健太(明豊高~09年①)も離脱を繰り返した。

 その穴をベテランの福田秀平(多摩大聖ケ丘高~06年高①)や川島慶三九州国際大~05年大社日③)、若手の周東や釜元豪(西陵高~11年育①)が埋めたが、いずれもレギュラー奪取までには至らなかった。

 結果、規定打席に達したのは捕手の甲斐拓也(楊志館高~10年育⑥)に松田宣浩(亜大~05年希)、内川とデスパイネの4人のみで、チーム本塁打はリーグ1位、打率2位の好成績にも係わらず、得点数は103点も減少。得点力はリーグ4位と落ち込み、改めて柳田の存在の大きさが浮き彫りになった。ポスト内川、松田宣、柳田…このレベルの代わりになる選手はそうそういないと思うが、世代交代が喫緊の課題だ。

【19年シーズン結果(試合数/打席数)】※☆は規定打席クリア

 捕 手…☆甲斐拓也(137/454)

 内野手…☆松田宣浩(143/576)☆内川聖一(137/535)牧原大成(114/436)

       今宮健太(106/426)グラシアル(103/410)明石健志(99/315)

       高田知季(93/125)周東佑京(102/114)

 外野手…☆デスパイネ(130/519)上林誠知(99/286)釜元 豪(86/189)

     福田秀平(80/183)中村 晃(44/159)柳田悠岐(38/157)

【昨年の開幕時スタメン】 【昨年の後半戦スタメン】  

  1)牧原大成④      1)明石健志④      

  2)今宮健太⑥      2)西田哲朗⑥       

  3)柳田悠岐⑧         3)内川聖一③    

  4)デスパイネDH      4)デスパイネDH      

  5)グラシアル⑦     5)グラシアル⑦      

  6)内川聖一③      6)松田宣浩⑤     

  7)松田宣浩⑤           7)上林誠知⑨   

  8)上林誠知⑨      8)甲斐拓也②

  9)甲斐拓也②      9)牧原大成⑧  

【今シーズン予想~打順】  【今シーズン予想~守備】

  1)周東佑京④      捕 手)甲斐拓也(高谷裕亮) 

  2)今宮健太⑥      一塁手内川聖一明石健志

  3)柳田悠岐⑧      二塁手)周東佑京(牧原大成)

  4)デスパイネDH      三塁手松田宣浩

  5)バレンティン⑦       遊撃手)今宮健太(西田哲朗)

  6)グラシアル⑨     左翼手バレンティン(中村 晃)

  7)松田宣浩⑤            中堅手柳田悠岐佐藤直樹

  8)内川聖一③       右翼手)グラシアル(上林誠知)

  9)甲斐拓也②       D H)デスパイネ長谷川勇也)     

  

 今年の課題は、1番打者の確立、柳田の復調または若手の台頭、そして外野守備である。1番打者の候補は牧原と周東で、ともに打撃が課題だ。牧原は積極性が長所とも言えるが、反面それが粗さにもなっており、好不調の波も大きい。周東は打撃力自体がまだまだ貧弱で、打率.196では塁にさえ出さなければ怖さはない。この2人のレギュラー争いは、今後のチームのある意味命運を握ると思う。

 柳田が復調すれば問題はないが、柳田の不在で昨年得点力が大きく落ちたように、最低でも外野でレギュラーを獲得する選手の台頭が必要だ。それを如実に表したのが昨年のドラフトで、即戦力の佐藤を1位で獲得している。ポスト柳田の候補一番手はやはり上林で、一昨年のような活躍ができれば課題も軽減される。また、捕手ながら外野も守れる栗原が面白い存在になってきた。

 外野守備の不安は大きい。左翼バレンティンの守備のお粗末さはヤクルト時代から課題で、グラシアルもお世辞でも上手いとは言えない。柳田は肘に不安を抱えており、今年は外野守備でゲームの勝敗が左右する場面が増えるかもしれない。ここでも強肩の上林に守備力の高いルーキー佐藤との併用に注目したい。

 それ以外は盤石で、2番には守備の名手で小技も使える今宮、デスパイネバレンティン、グラシアルが並ぶ中軸は強力で、下位打線でベテランの松田宣と内川、パンチ力のある甲斐が並ぶ贅沢な打線になり、この打線を抑えるのは一苦労だ。

 控えも豪華で、内野のユーティリティープレーヤーの明石健志山梨学院大高~03年④)に勝負強い川島、外野でも中村や安打製造機長谷川勇也専大~06年大社⑤)など、他球団では間違いなくレギュラーの選手が控える。

 何度も言っているが、最大の課題は世代交代である。今年のものではないにしても、内川の38歳を筆頭に、松田宣と川島が37歳、長谷川とバレンティンが36歳を迎える。ポスト内川には中村がいるので問題ないと思うが、三塁手の松田宣の後釜が見当たらず、元気印の増田珠(横浜高~17年③)や野村大樹(早実高~18年③)のブレイクに期待したい。この他に若手では、捕手の九鬼隆平(秀岳館高~16年③)や内野手の川瀬晃(大分商高~15年⑥)が昨年ファームで結果を残している。

【今シーズンの開幕一軍候補】

 捕 手…甲斐拓也 高谷裕亮 栗原陵矢(谷川原健太)

 内野手内川聖一 周東佑京 松田宣浩 今宮健太 グラシアル

       明石健志 牧原大成(高田知季 西田哲朗 川島慶三

 外野手…バレンティン 柳田悠岐 デスパイネ

       中村 晃 上林誠知 佐藤直樹長谷川勇也) 

 

 注目の若手では、投手では地元北海道の古谷優人を挙げたい。故障が癒えようやく自慢のストレートが復活し、昨年は日本人左腕最速の160キロを記録した。課題の制球力を克服すれば強力なリリーバーになる。16年夏の北北海道大会の決勝戦で古谷を観ることができ、本調子ではなく敗退したが、今年こそは真の古谷の投球を見せてほしい。

 野手では、栗原陵矢は観ていてワクワクする。オープン戦で見せた特大ホームランやサヨナラ打など、打てる捕手として育成したいところだが、正捕手・甲斐の壁は高い。本人も言っているが、「試合に出れればどこでもやる」覚悟で臨むシーズンになり、得意の打撃で外野のレギュラーをこじ開けてほしい。

20年順位予想☆広島~リーグ随一の安定感で、悲願の日本一を目指すシーズン

 今年FAで最も成功したのは、楽天でもロッテでもなく広島だろう。獲得した選手は一人もいないが、恒例となりつつある主力選手の流失をすべて防ぐことができた。

 通算8年で71勝の野村祐輔(明大~11年①)、侍ジャパンでも正捕手を務める、打てる捕手の曾澤翼(水戸短大付高~06年高③)、巨人から移籍の長野久義(ホンダ~09年巨①)が早々と残留を決めた。ポスティングでメジャー挑戦を目指した、チームの顔とも言える菊池涼介中京学院大~11年②)も最後の最後でメジャーを断念し、残留を決め広島ファン歓喜した。

 セ・リーグは今年混戦で、ヤクルトを除く5球団に優勝のチャンスがそれぞれあると思うが、戦力が安定している広島を「優勝」予想させてもらった。ただ、パ・リーグソフトバンクが頭一つ抜けての優勝予想だが、セ・リーグは消去法での優勝予想なので戦力が抜きんでているわけではない。

 昨年はチームの顔でもあった「タナキクマル」が機能せず、チームの打撃成績が軒並み落ちて得点力が不足。終盤に阪神がまさかの6連勝をし、これもまさかのCS進出を逃してしまった。ただ、リーグを3連覇した地力は衰えておらず、大きく崩れることはないだろう。

 投手陣は、エースからチームの大黒柱に成長した大瀬良大地(九共大~13年①)とジョンソンの2本柱が支え、さらに即戦力ルーキーの森下暢仁(明大~19年①)も加わり厚みを増した。リリーフ陣は、中崎翔太日南学園高~10年⑥)にまだ不安が残るが、新外国人のスコットとDJジョンソンがオープン戦でも好投を見せ、昨年の先発ローテーション投手の岡田も中継ぎに回り層が厚くなった。 

 野手では菊池と曾澤が残留したのが大きく、侍ジャパンの4番・鈴木誠也二松学舎大付高~12年②)と合わせ、日本代表のレギュラーが3人いるのは心強い。ここに昨年もう一歩で3割だった西川や、高卒ルーキーながら58試合に出場した小園海斗(報徳学園高~18年①)も控え、一昨年のような強力打線を復活させたい。

 当然不安要素もある。主力が故障がちなリリーフ陣や、育成の広島を言われながら、この間思ったより若手が伸びておらず、レギュラーと控えの差が埋まらず選手層は決して厚いとは言えない。

【過去5年のチーム成績】

    順位   勝敗    打率 本塁打  盗塁   得点  防御率 失点 

 19年 4位 70勝70敗3分 .254  140本   81個  591点  3.46    601点

 18年 1位 82勝59敗2分 .262  175本   95個  721点  4.12  651点

 17年 1位    88勝51敗4分 .273  152本 112個  736点  3.39  540点  

 16年 1位 89勝52敗2分 .272  153本 118個  684点  3.20  437点

 15年 4位 69勝71敗3分 .246  105本   80個  506点  2.92  474点 

【過去5年のドラフトの主戦力】

 平均年齢は26.4歳で、セ・リーグでは最も若いチームだ。09年~15年まで、各年で主力選手が誕生し、16年からの3連覇の原動力になったのだが、極端な育成路線にシフトした16年以降は結果がでておらず、やや将来に不安が残る。

 18年~なし

 17年~なし

 16年~なし

 15年~岡田明丈(投手~大商大①)西川龍馬(内野手~王子⑤)

 14年~野間峻祥(外野手~中部学院大①)

 この他には昨年の小園が、高卒1年目の野手としては及第点の成績を上げ、投手ではアドゥワ誠(松山聖陵高~16年⑤)が先発・中継ぎでフル回転し、薮田和樹(亜大~14年②)はここ2年不振が続いているが17年に15勝を上げ復活が期待される。

 

●投手陣~ルーキー森下の加入で先発陣は充実!故障続きのリリーフ陣復活に期待

 昨年は大瀬良がリーグ2位の173回1/3を投げ、完投自体が珍しくなったなかで6完投は両リーグで断トツで、名実とも広島のエースの座を確固たるものにした。ジョンソンも開幕当初は不振だったが、直ぐに復調し大瀬良とともに11勝を上げた。さらに九里亜蓮(亜大~13年②)が8勝、肘の手術から復帰した床田寛樹(中部学院大~16年③)が7勝を上げ、一年間ローテーションを守った。

 リリーフ陣はクローザーの中崎が不振で中継ぎに降格。一岡竜司沖データコンピューター教育学院~11年巨③)も勤続疲労がたたって夏場から離脱した。その穴をフランスアとレグナルトの両外国人選手が埋め、楽天から移籍した菊池保則(常磐大高~07年楽高④)はチーム一番の安定感を見せた。ベテランの中村恭平(富士大~10年②)も自己最多の43試合に登板し、リリーフ陣崩壊の危機を救った。

【昨年の先発ローテーション】

 ・開幕時…大瀬良大地 床田寛樹 九里亜蓮 ジョンソン 野村祐輔 岡田明丈

 ・後半戦…九里亜蓮 アドゥワ誠 ジョンソン 大瀬良大地 床田寛樹

【19年シーズン結果】※☆は規定投球回数クリア

 ・先発…大瀬良大地(173回1/3)ジョンソン(159回2/3)床田寛樹(139回2/3)

       九里亜蓮(118回)野村祐輔(95回1/3)アドゥワ誠(91回2/3)

 ・救援…フランスア(67試合)菊池保則(58試合)レグナルト(52試合)

       中村恭平(43試合)中崎翔太(36試合)遠藤淳志(34試合)

 開幕投手は大瀬良のほかいない。一年間投手陣の柱を任せられるまさにエースで、今年はさらなる成長が期待できる。さらに左のエース格ジョンソン、実績十分の野村に九里と床田、ルーキー森下も加わり枚数は揃っている。特に森下は即戦力の触れ込み通りで、2桁勝利も夢ではなく新人王候補の最右翼だ。

 ただ、このあとに続く投手が不足している。薮田に未だ復活の気配がなく、アドゥワも先発だとなぜか結果が出ない。首脳陣の期待値が高い山口翔(熊本工高~17年②)や遠藤淳志(霞ケ浦高~17年⑤)もまだ時間がかかる感じで、主力が離脱すると一気に台所事情が厳しくなる。

 リリーフ陣の注目はやはりクローザーが誰になるかだろう。一番は中崎が復帰するのが一番だが、昨年に引き続きフランスアも候補になる。ただ、フランスアと中村恭がともに出遅れており、中崎が不振だといきなりクローザーが不在になる危険性がある。

 中継ぎ陣は先発ローテから外れたアドゥワや遠藤が控え、菊池保や先発から転向した岡田もいる。キャンプでは6年目の左腕・塹江敦哉(高松北高~14年③)の評価が高く、佐々岡新監督の抜擢が期待できる。昨季52試合登板のレグナルトが退団し、スコットとDJジョンソンが加わり不安はなさそうだが、やはり一岡や今村猛清峰高~09年①)といった、かつての勝利の方程式を務めた選手の復帰がないと安心はできない。

 若手では島内颯太郎(九共大~18年②)は、四球の多さを克服しリリーフで信頼を掴みたい。昨年ファームで結果を出している藤井皓哉(おかやま山陽高~14年④)や、背水の陣で臨む矢崎拓也(慶大~16年①)は今年のブレイクに期待したい。高橋昂也(花咲徳栄高~16年②)も肘の故障を克服し、一軍で投げる姿を早く見せてほしい。

【今年度の予想】

 ・先発…大瀬良大地 ジョンソン 九里亜蓮 床田寛樹 野村祐輔 森下暢仁

       アドゥワ誠 遠藤淳志 山口 翔 薮田和樹 

 ・中継…菊池保則 中村恭平 一岡竜司 今村 猛 スコット 岡田明丈 

      DJジョンソン 島内颯太郎 

 ・抑え…フランスア 中崎翔太

 

●野手陣~今年も1~3番の上位打線がカギ!小園を中心にした若手の成長が楽しみ

 広島の3連覇を支えた「タナキクマル」が、昨年は機能しなかった。1番の田中広輔JR東日本~13年③)は極度の不振で打率1割台、3番の丸佳浩千葉経大付・07年高③)は巨人へ移籍し、最後の最後まで3番打者に苦労した。後半はバティスタが定着するもドーピング違反で出場停止~退団し、1~3番の不振がそのまま打撃不振に直結してしまった。

 そのなかで一人気を吐いたのが4番の鈴木誠で、首位打者と最高出塁率のタイトルを獲得した。西川は打率.297で巧打者ぶりを発揮し、曾澤も打てる捕手として下位打線を支えた。ルーキー小園も大器の片りんを見せるには十分な成績だった。

 反面、期待を裏切ったのは野間で、丸の後釜を担うはずが、打率.252に2本塁打で終わり、丸の人的補償で入団した長野も打棒が復活することがなかった。実績のある中堅の安部友裕福岡工大城東高~07年高①)や堂林翔太中京大中京高~09年②)、坂倉将吾(日大三高~16年④)等に期待の若手もチャンスを掴むことができずに、結果チームの打撃成績がすべて下回った。特に広島のお家芸とも言える機動力が落ちたのは気掛かりだ。

【19年シーズン結果(試合数/打席数)】※☆は規定打席クリア

 捕 手…☆曾澤 翼(126/447)磯村嘉孝(65/117)

 内野手…☆菊池涼介(138/619)☆西川龍馬(138/585)バティスタ(103/423)

       田中広輔(97/355)松山竜平(110/327)安部友裕(114/295)

       小園海斗(58/197) メヒア(56/137)小窪哲也(51/125)

 外野手…☆鈴木誠也(140/612)野間峻祥(123/353)長野久義(72/197) 

【昨年の開幕時スタメン】 【昨年の後半戦スタメン】  

  1)田中広輔⑥      1)西川龍馬⑧      

  2)菊池涼介④      2)菊池涼介④       

  3)西川龍馬⑦         3)バティスタ③    

  4)鈴木誠也⑨      4)鈴木誠也⑨      

  5)松山竜平③      5)松山竜平⑦      

  6)野間峻祥⑧      6)曾澤 翼②     

  7)曾澤 翼②           7)安部友裕⑤   

  8)安部友裕⑤      8)田中広輔

  9)大瀬良大地①     9)九里亜蓮①  

【今シーズン予想~打順】  【今シーズン予想~守備】

  1)西川龍馬⑧      捕 手)曾澤 翼(坂倉将吾) 

  2)菊池涼介④      一塁手松山竜平(メヒア)

  3)鈴木誠也⑨      二塁手菊池涼介

  4)ピレラ⑦            三塁手)小園海斗(安部友裕

  5)松山竜平③         遊撃手)田中広輔(小園海斗)

  6)曾澤 翼②      左翼手)ピレラ(長野久義

  7)田中広輔⑥            中堅手)西川龍馬(野間峻祥

  8)小園海斗⑤       右翼手鈴木誠也

  9)大瀬良大地①      

  

 今年も課題は同じで、1~3番の確立がチームの浮沈を握る。1番候補は実績のある田中や俊足の野間がいるが、西川が現段階では一番フィットすると思う。守備に不安があり外野にコンバートすると否や、一気に打撃センスが開花した。天性とも言えるバットコントロールはまさしく安打製造機になる可能性十分だ。

 2番は菊池涼になるが、こうなると3番が不在だ…。バティスタが退団しており、昨年終盤のように鈴木誠を3番で使い、新外国人のピレラや松山竜平九州国際大~07年大社④)が4番を務めるか、3番にピレラやベテランの長野を入れ、鈴木を4番にするなど、どのような上位打線で臨むのか注目したい。新外国人のピレラは、三塁も守れるが、送球に不安があるため、松山と一塁と左翼を守る形になる。

 下位打線は曾澤がいるのが心強く、田中広や安部の実績のある選手に、オープン戦で三塁も務めている小園をシーズン通して使うのも将来への投資で良いと思う。このほかに打撃の良い坂倉を外野で使うプラン、堂林は三塁と左翼のほかに一塁にもチャレンジしている。野間もレギュラー候補で終わる選手ではなく、し烈なレギュラーが争い展開されそうだ。

 野手は投手と違い、若手が育ってきている。坂倉と小園を筆頭に、内野手では楽天から昨年移籍した三好匠(九州国際大高~11年③)は守備に定評があり、林晃汰(智弁和歌山高~18年③)は長打力、羽月隆太郎(神村学園高~18年⑦)はチームきっての韋駄天だ。外野手では高橋大樹龍谷大平安高~12年①)は右の代打、宇草孔基(法大~19年②)は走塁から一軍での出番を増やしチャンスを掴みたい。 

【今シーズンの開幕一軍候補】

 捕 手…曾澤 翼 坂倉将吾 磯村嘉孝石原慶幸

 内野手松山竜平 菊池涼介 小園海斗 田中広輔 安部友裕

       小窪哲也 堂林翔太 三好 匠(曽根海成 メヒア)

 外野手…ピレラ 西川龍馬 鈴木誠也

       野間峻祥 長野久義(宇草孔基 高橋大樹) 

 

 注目の若手では、投手では遠藤淳志が一押しだ。一昨年、たまたま観たTVで遠藤の画像を見たとき、一目で素晴らしい投手だと思った。期待通りに昨年一軍デビューを果たし、34試合に登板しプロ初勝利を上げた。今年は本格的に先発転向するが、残念ながら今一つ結果が出ていない。中継ぎから信頼を勝ち取り、先発ローテに定着したい。

 野手では、やはり坂倉将吾だろう。卓越した打撃センスで、昨年は外野も経験し、左の代打での出番も増えた。てっきりそのまま外野にコンバートされるかなと思ったが、佐々岡監督は曾澤に続く2番手捕手として起用する予定で、打てる捕手としての育成が本格的にスタートする。今年は守備力を上げたい。

20年順位予想☆ロッテ~積極的な補強と楽しみな若手が揃い期待が膨らむシーズン

 セ・リーグのダークホースが中日ならば、パ・リーグはまさしくロッテだろう。特に今年のオフはロッテがストーブリーグの話題を席捲した。FAで楽天から美馬学東京ガス~10年楽②)、ソフトバンクから福田秀平(多摩大聖ケ丘高~06年ソ高①)を獲得し、キャンプが始まると令和の怪物・佐々木朗希(大船渡高~19年①)の一挙手一投足に注目が集まった。そして阪神自由契約になり、去就が注目されていた鳥谷敬早大~03年神自)が入団し、話題だけではなく戦力補強が進んだ。

 順位を予想するにあたり、現時点では楽天のほうが上だと思うが「2位」予想したのは、優勝するには新加入選手の活躍、ブレイクする若手、そしてキャリアハイを残す選手が必要だが、ロッテはこの条件を達成できると予想した。成績も17年から投打ともに徐々に上がってきており、昨年も4位ながら、借金は1まで減ってきた。勢いにのれば一気に優勝まで駆けあがる地力がついてきた。

 投手陣では、エース不在の先発陣に美馬が加入し、枚数不足のリリーフ陣に元広島のジャクソン、楽天のハーマン、昨季ファームのセーブ王の小野郁(西日本短大付高~14年楽②)が加わり厚みを増した。エースの座を狙う若手では、22歳の種市篤暉(八戸工大一高~16年⑥)、24歳の岩下大輝(星稜高~14年③)、25歳の二木康太(鹿児島情報高~13年⑥)とイキの良いエース候補がそれぞれ頭角を表してきている。

 野手ではチームリーダーの鈴木大地東洋大~11年③)が楽天へ移籍したが、ファームの二冠王・安田尚憲(履正社高~17年①)が控え、大ベテラン鳥谷は、チームの精神的支柱としての役割も担え、不安より楽しみの方が大きい。さらに福田秀が加入し、昨年途中加入のマーティンもおり、各ポジションでレギュラー争いが激しくなった。

 不安なのは練習試合からオープン戦と不振が続き、「勝ちグセ」が付いていないことか…。周囲の期待値が高い分、自信をつけてシーズンに臨みたいところだ。

【過去5年のチーム成績】

    順位   勝敗    打率 本塁打  盗塁   得点  防御率 失点 

 19年 4位 69勝70敗4分 .249  158本   75個  642点  3.90    611点

 18年 5位 59勝81敗3分 .247    78本 124個  534点  4.04  628点

 17年 6位 54勝87敗2分 .233    95本   78個  479点  4.22  647点  

 16年 3位 72勝68敗3分 .256    80本   77個  583点  3.66  582点

 15年 3位 73勝69敗1分 .257    85本   71個  561点  3.69  563点 

【過去5年のドラフトの主戦力】

 平均年齢は27.4歳は、やや高いくらいでバランスはそれ程悪くはない。ここ数年は、野手の積極的な1位指名に高校生選手の上位指名に、圧倒的なクジ運の良さも相成って秀逸なドラフトを展開しているが、主戦力は中村奨のみでそろそろ結果を示したい。

 18年~なし

 17年~藤岡裕大(内野手トヨタ自動車②)

 16年~なし

 15年~なし

 14年~中村奨吾(内野手早大①)

 この他には、ルーキーの東妻勇輔(日体大~18年②)は抑えで、小島和哉(早大~18年③)は先発で及第点の成績を上げた。美馬の人的補償楽天へ移籍した酒居知史(大阪ガス~16年②)、故障からの復帰を狙う有吉優樹(九州三菱自動車~16年⑤)の即戦力投手も健闘している。野手では平沢大河(仙台育英高~15年①)が着実に試合数を重ね、昨年はレギュラー獲りが期待されたものの攻守に課題が多い。 

 

●投手陣~エース不在で若手の成長に期待!リリーフ陣も整備され上位進出を狙う

 昨年は規定投球回数をクリアした投手がいなく、エース不在の状況が続いている。開幕投手の石川歩(東京ガス~13年①)は不振で、一時期中継ぎに降格。後半は先発に復帰したものの物足りない成績に終わった。三本柱の涌井秀章(横浜高~04年西①)は、わずか3勝で楽天へ移籍、一昨年最高勝率のボルシンガーも4勝で退団してしまった。

 この先発陣崩壊のピンチを救ったのが若手投手で、種市は8勝、二木が7勝、岩下も5勝を上げ、種市と岩下は防御率も3点台にまとめた。この3人の共通点はともに高卒投手で、スケール感の大きさを感じる。

 リリーフ陣は、益田直也関西国際大~11年④)がクローザーで60試合登板で27セーブを上げ、右のスペシャリスト東條大樹(JR東日本~15年④)は自己最多の58試合、左キラー松永昂大大阪ガス~12年①)が48試合に登板した。このほかに東妻などのイキのいい若手も出てきた反面、枚数不足は否めず、接戦が多い状況のなかで終盤に逆転される試合が目立ち、リリーフ陣の整備が大きな課題になった。

【昨年の先発ローテーション】

 ・開幕時…石川 歩 ボルシンガー 有吉優樹 涌井秀章 ブランドン 小島和哉

 ・後半戦…岩下大輝 涌井秀章 小島和哉 二木康太 種市篤暉 ボルシンガー

【19年シーズン結果】※☆は規定投球回数クリア

 ・先発…二木康太(128回2/3)石川 歩(118回2/3)種市篤暉(116回2/3)

       ボルシンガー(103回)岩下大輝(96回1/3)西野勇士(70回)

 ・救援…益田直也(60試合)東條大樹(58試合)酒居知史(54試合)

       松永昂大(46試合)田中靖洋(44試合)チェン(44試合)

 開幕投手にはFA加入の美馬に決まり、当然一年間中心となってほしい投手だが、絶対的なエースではない。エースの座への返り咲きを目指す石川もいるが、期待値が高いのはやはり若手のエース争いだろう。驚異の奪三振率をほこる種市、キレのあるストレートが武器の二木、パワーピッチャーの岩下に、多彩な変化球を操る左腕の小島など楽しみな選手が多い。

 このほかにも実績のある西野勇士(新湊高~08年育⑤)、先発再挑戦の唐川侑己(成田高~07年高①)、ファームで結果を残している土肥星也(大阪ガス~16年④)など、先発の層は厚くなってきている。また、故障からの完全復帰を目指す佐々木千隼(桜美林大~16年①)や有吉はリリーフもこなせる。

 昨年は8回を任せられるセットアッパーに苦労したが、それもハーマンとジャクソンの加入で解消され、クローザーの益田へ繋げていける。また、将来のクローザー候補で東妻や小野も控えている。チーム内の競争なくして強いチームは形成できず、ロッテはその下地が出来上がったと言える。

 中継ぎには東條と松永を中心に、ベテランの田中靖洋(加賀高~05年西高④)や大谷智久トヨタ自動車~09年②)に、昨年阪神から加入した石崎剛(新日鉄住金鹿島~14年神②)も面白い存在だ。2年目の中村稔弥(亜大~18年⑤)はチェンと並んでロングリリーフを務める。

 最後はやはり佐々木朗だろう。着実に成長を遂げており、いつ一軍デビューするか分からないが、将来の日本を代表するエース誕生への期待を抱かずいられない。種市、二木、岩下、佐々木朗の高卒選手が、先発ローテーションを組むようになれば、スケールの大きい投手陣に大化けする可能性がある。

【今年度の予想】

 ・先発…美馬 学 二木康太 種市篤暉 石川 歩 西野勇士 小島和哉

       岩下大輝 唐川侑己 佐々木千隼 土肥星也 有吉優樹 

 ・中継…ジャクソン 東條大樹 松永昂大 田中靖洋 東妻勇輔 中村稔弥  

       チェン 永野将司 小野 郁 石崎 剛 大谷智久 南 昌輝

 ・抑え…益田直也 ハーマン

 

●野手陣~一昨年は機動力、昨年は長打力!し烈なレギュラー争いで打線は上向き

 一昨年はグリーンライトを合言葉に走り回り、昨年は本拠地にホームランラグーンが設置され、本塁打数は78本から158本に倍増し、リーグ2位の得点力を上げるチームになった。

 大きかったのはレアードの加入で、後半戦は失速したものの32本塁打を放ち、前半戦絶不調だった井上晴哉日本生命~13年⑤)も24本で4番の面目を保った。他にも中村奨が17本、鈴木が15本、途中加入のマーティンが14本、荻野貴司トヨタ自動車~09年①)と清田育宏(NTT東日本~09年④)が10本と2桁本塁打を放った。

 昨年は何といっても、荻野と鈴木の1~2番コンビがチームを牽引した。ともに開幕スタメンは逃したが、これまで毎年のようにケガで離脱していた荻野が初の規定打席クリアし、打率.315はリーグ3位、二塁打三塁打はリーグ1位で、34歳にしてようやく本領を発揮した。鈴木も内野の全ポジションを務め、2番にピッタリとはまった。

 一方で期待の選手は結果を残せず、レギュラー不在の遊撃は、2年目の藤岡は故障で離脱を繰り返し、平沢もその穴を埋めることができなかった。レアードと並び本塁打を期待されたバルガスも日本野球に対応できず1本塁打でチームを去った。

【19年シーズン結果(試合数/打席数)】※☆は規定打席クリア

 捕 手…田村龍弘(100/321)

 内野手…☆鈴木大地(140/614)☆中村奨吾(143/586)☆レアード(139/553)

       ☆井上晴哉(129/509)藤岡裕大(81/278)三木 亮(89/145)

     平沢大河(51/108) バルガス(35/102)

 外野手…☆荻野貴司(125/569)角中勝也(108/435)清田育宏(117/377) 

     マーティン(52/228) 岡 大海(95/182)  加藤翔平(60/120)

【昨年の開幕時スタメン】 【昨年の後半戦スタメン】  

  1)藤原恭大⑧      1)荻野貴司⑧      

  2)加藤翔平⑨      2)鈴木大地③       

  3)中村奨吾④         3)角中勝也⑦    

  4)井上晴哉③      4)レアード⑤      

  5)角中勝也⑦      5)清田育宏⑨      

  6)レアード⑤      6)中村奨吾④     

  7)バルガスDH          7)井上晴哉DH   

  8)田村龍弘②      8)田村龍弘

  9)藤岡裕大⑥      9)藤岡裕大⑥  

【今シーズン予想~打順】  【今シーズン予想~守備】

  1)荻野貴司⑧      捕 手)田村龍弘(柿沼友哉) 

  2)福田秀平⑦      一塁手)安田尚憲(岡 大海)

  3)中村奨吾④      二塁手)中村奨吾(三木 亮)

  4)井上晴哉DH          三塁手)レアード(西巻賢二)

  5)マーティン⑨        遊撃手)藤岡裕大(福田光輝)

  6)レアード⑤      左翼手)福田秀平(菅野剛士)

  7)安田尚憲③            中堅手荻野貴司(平沢大河)

  8)田村龍弘②       右翼手)マーティン(清田育宏

  9)藤岡裕大⑥       D H)井上晴哉角中勝也

  

 レギュラーは固まってきてはいるが、確固たるレギュラーは捕手~田村、二塁~中村奨、三塁~レアードで、あとは井口監督が言う通り競争になる。一塁は井上と安田、遊撃は藤岡にルーキー福田光輝(法大~19年⑤)が争い、ムードメーカーの三木亮(上武大~13年③)に、楽天から移籍した西巻賢二(仙台育英高~17年楽⑥)も控える。この激戦のなか、さらに阪神から鳥谷敬も加わり、どの選手もうかうかしていられない。

 外野は荻野、福田秀、マーティン、角中勝也(四国IL高知~06年大社⑦)を中心にして、身体能力の高い岡大海(明大~13年日③)にベテランの清田が控える。ここに2年目の成長著しい藤原恭大(大阪桐蔭高~18年①)や、ファームでは敵なしの菅野剛士(日立製作所~17年④)も加わり、虎視眈々とレギュラーの座を狙っている。

 捕手も田村龍弘光星学院高~12年③)が不動のレギュラーだが、打てる捕手のルーキー佐藤都志也(東洋大~19年②)の加入は大きな刺激になるはずだ。

 1~2番の荻野と福田秀はともに俊足でパンチ力もあり、相手チームからは嫌な組み合わせになり、角中の2番という手も有り得る。3番不在が気がかりだが、ここは中村奨が信頼を取り返すしかなく、4番井上からマーティン、レアードに続く打線は破壊力がある。藤岡も昨年終盤に打率を上げ一皮むけた印象を受け、下位打線に甘んじる選手ではない。

 若手の一番の注目は安田の起用法で、昨年ファームで打点と本塁打のタイトルを獲得し確実に成長している。同じ状況で昨年いち早くブレイクした同い年のヤクルト・村上宗隆に追いつきたい。このほかに茶谷健太(帝京三高~15年ソ④)は昨年ファームの遊撃のレギュラー、まだ育成だが和田康士朗(BC富山~17年育①)は、チーム一の俊足で楽しみな選手がまだいる。

 ここに大卒ルーキーの即戦力野手が加わる。佐藤は本職の捕手以外に一塁・外野も守れ、いきなり骨折で離脱したが高部瑛斗(国士館大~19年③)は、俊足巧打のリードオフマンタイプ。このなか頭一つ抜けたのは福田光で、元々守備力には定評があったが、打撃でも結果を出しており開幕スタメンも夢でなくなった。

 心配なのは鈴木の移籍で空いたチームリーダーの存在か…。天性とも言えるリーダーシップの鈴木は、どんな場面でもチームを鼓舞した存在で、ここを埋める選手はなかなか見つからない。最後に鳥谷の加入がどうチームの作用するかも注目だ。人柄や実力は申し分なく、リーダー鈴木の穴を埋めるにも適任だが、やはりここはプレーヤーとしての鳥谷の活躍を見たい。

 今年は脚力のある荻野、福田秀、中村奨、岡が走り回り、レアードや井上、安田が本塁打を競演するようになれば、西武に匹敵する打線になる可能性も秘めている。ベテランと若手の融合で、Aクラスだけではなく優勝も狙える布陣になった。 

【今シーズンの開幕一軍候補】

 捕 手…田村龍弘 柿沼友哉 佐藤都志也(細川 亨)

 内野手井上晴哉 中村奨吾 レアード 藤岡裕大 安田尚憲

       福田光輝 西巻賢二(平沢大河 三木 亮 鳥谷 敬)

 外野手…福田秀平 荻野貴司 マーティン

       角中勝也 岡 大海 清田育宏(菅野剛士 藤原恭大) 

 

 注目の若手では、投手では楽天から入団した小野郁に注目している。高校時代からその剛腕は注目されており、いつブレイクするか楽しみにしていた選手の一人だ。一軍での実績はないが、ファームのセーブ王でリリーフの適性は抜群。奪三振率の高いパワーピッチャーで、ロッテに少ないタイプだけに一気にブレイクしたい。

 野手では、今年5年目を迎える平沢大河だ。一昨年きっかけを掴んだかと思えたが、昨年は大不振で、今年も右肘の故障で出遅れている。二軍で外野や三塁が主戦場になっているが、平沢は打ってナンボの選手。遊撃にこだわらず、セールスポイント打撃を最大限に活かすことを目標の進めることが良いと思う。

20年順位予想☆中日~7年連続Bクラスも、今年はセ・リーグの台風の目

 7年連続のBクラスで低迷中の中日だが、今年は台風の目になりそうな気配がする。昨年も5位ながらチーム打率はリーグ1位、チーム防御率は3位ながら失点数はリーグ最少で、借金も15から5に減り、着実に地力がついてきている。投打がかみ合えば優勝も十分に射程圏内で、混戦のセ・リーグのなか「2位」予想とした。

 まず野手だが、一昨年もリーグ最多の7名が規定打席をクリアし、昨年も5名がクリアし、レギュラーが固まった。一時はトレード要員とも言われた期待の高橋周平(東海大甲府高~11年①)が一人立ちし、ようやくチームの顔に成長した。また、昨年は遅咲きながら30歳の阿部寿樹(ホンダ~15年⑤)がブレイクし、打撃以外でも阿部と京田の鉄壁の二遊間が形成できた。

 本塁打ビシエド、盗塁は大島洋平日本通運~09年⑤)に頼りっきりで、本塁打と盗塁が少なく得点力には乏しいが、控えには長打力のある選手も、足が武器の選手もそれなりいる。ここ2は秀逸なドラフトを見せており、若手の成長に期待したい。

 投手陣は大野雄大(佛教大~10年①)と柳裕也(明大~17年①)の左右のエースが揃い、小笠原慎之介東海大相模高~15年①)も復帰し、ドラフト1位投手が期待通りに戦力になってきている。リリーフ陣も万全で、投手陣の層が厚くなってきており、12球団で最も少なかった失策と合わせ、堅守のドラゴンズが復活してきた。

 不安はやはり故障で、投手で離脱者はまだいないが、野手はすでにアルモンテの復帰が夏場までと時間がかかり、ただでさえ野手は主力と控えの差が大きく、これ以上の離脱者が出ると一気に戦力が落ちてしまう。 

【過去5年のチーム成績】

    順位   勝敗    打率 本塁打  盗塁   得点  防御率 失点 

 19年 5位 68勝73敗2分 .263    90本   63個  563点  3.72  544点

 18年 5位 63勝78敗2分 .265    97本   61個  598点  4.36  654点

 17年 5位 59勝79敗5分 .247  111本   77個  487点  4.05  623点  

 16年 6位 58勝82敗3分 .245    89本   60個  500点  3.65  573点

 15年 5位 62勝77敗4分 .253    71本   88個  473点  3.19  504点 

【過去5年のドラフトの主戦力】

 平均年齢は27.2歳で、12球団ではちょうど真ん中でバランスは取れている。ただ、主力に30歳以上の選手が多く、着実に迫ってきている世代交代に備えたいところだが、ここ5年での主力は京田と鈴木博のみと、結果はまだ出ていない。

 18年~なし

 17年~鈴木博志(投手~ヤマハ①)

 16年~京田陽太内野手~日大②)

 15年~なし

 14年~なし

 ただ、もう一歩で主戦力になる選手は多い。投手では梅津晃大(東洋大~18年②)がルーキーイヤーに後半だけで4勝を上げ、昨季ブレイクした柳や阿部は、真価が問われるシーズンになる。また、今季入団の石川昂弥(東邦高~19年①)は、将来4番を担うスラッガー候補。根尾昂(大阪桐蔭高~18年①)はポスト大島の一番手として、ともに将来の日本球界を背負っていく逸材が揃っており楽しみは尽きない。

 

●投手陣~先発の4番手以降に期待の若手が揃う。リリーフ陣も整備され投手王国へ

 昨年は大野雄が最優秀防御率を獲得し、柳は11勝で初の2桁勝利、8勝のロメロが一年間ローテーションを守った。ただ、4番手以降がなかなか決まらず、開幕投手を務めた笠原祥太郎(新潟医療福祉大~16年④)は病気で離脱し、復帰後も調子は戻らず悔しいシーズンになった。ロメロの次が、ベテラン山井大介の(河合楽器~01年⑥)65イニングとは寂しい限りだが、後半戦には小笠原が復帰し3勝、ルーキーの梅津が4勝、19歳の山本拓実(市西宮高~17年⑥)も3勝を上げ、期待を抱かせる若武者が頭角を表してきた。

 リリーフ陣はロドリゲスが64試合に登板し、防御率1.64の脅威的な数字を残した。福敬登(JR九州~15年④)は故障が癒え、育成から支配下に復帰し52試合に登板。岡田俊哉智弁和歌山高~09年①)は、精彩を欠いた鈴木博に代わり、後半クローザーを務め13セーブを上げた。若手の藤嶋健人(東邦高~16年⑤)も血行障害を克服し後半戦から勝ちパターンの一角を担い、14ホールドでクローザー候補に名乗りを上げた。

【昨年の先発ローテーション】

 ・開幕時…笠原祥太郎 山井大介 柳 裕也 大野雄大 吉見一起 ロメロ

 ・後半戦…大野雄大 ロメロ 柳 裕也 山井大介 笠原祥太郎 山本拓実

【19年シーズン結果】※☆は規定投球回数クリア

 ・先発…☆大野雄大(177回2/3)☆柳 裕也(170回2/3)ロメロ(111回1/3)

       山井大介(65回)小笠原慎之介(38回2/3)梅津晃大(34回2/3)

 ・救援…ロドリゲス(64試合)岡田俊哉(53試合)福 敬登(52試合)

       祖父江大輔(44試合)マルティネス(43試合)谷元圭介(38試合)

 先発陣は、開幕投手には大野雄が指名され、柳とロメロまでは決まりだろう。昨年やり繰りに苦労したは4番手以降は、今年は候補が多い。ともに開幕投手の経験があり、完全復活にかける小笠原と笠原の両左腕に加え、ベテランの山井や吉見一起トヨタ自動車~05年大社希)も控える。

 若手に楽しみな選手も多い。昨年後半ローテーションを守った梅津と山本に、昨年2勝の清水達也(花咲徳栄高~17年④)も先発への適性を見せた。ルーキー左腕の橋本侑樹(大商大~19年②)や、経験豊富な岡野祐一郎(東芝~19年③)の即戦力が期待通りにオープン戦でも好投を見せており、先発の層が厚くなった。

 リリーフ陣も頼もしく、岡田と鈴木博のクローザー争いに藤嶋が加わった。岡田は安定感では一番で、藤嶋も被打率が少なく、現時点ではこの2人の争いになる。セットアッパーには、新外国人のゴンサレスがオープン戦でも安定した投球を見せており、マルティネスも24歳と若くまだまだ伸びる可能性がある。

 中継ぎ陣も質量ともに豊富で、福と祖父江大輔トヨタ自動車~13年⑤)を中心に、左キラーの三ツ間卓也(BC武蔵~15年育③)が控える。また、昨年は不振だったが谷元圭介バイタルネット~08年日⑦)や田島慎二東海学園大~11年③)の中継ぎのスペシャリストが復調すれば、リーグ屈指の投手陣になる。

【今年度の予想】

 ・先発…大野雄大 柳 裕也 小笠原慎之介 梅津晃大 山本拓実 ロメロ

       岡野祐一郎 山井大介 笠原祥太郎 清水達也 橋本侑樹 

 ・中継…福 敬登 マルティネス 祖父江大輔 谷元圭介 ゴンサレス   

       又吉克樹 田島慎二 三ツ間卓也

 ・抑え…岡田俊哉 藤嶋健人 鈴木博志

 

●野手陣~レギュラー陣は万全!控えの層が薄く、主力の離脱を避けたい

 この2、3年でレギュラーが固まった。一塁~ビシエド、三塁~高橋、遊撃~京田、中堅~大島、右翼~平田良介大阪桐蔭高~05年高①)に加え、昨年は阿部が二塁のレギュラーを獲得した。素晴らしいのが守備で、阿部と京田の二遊間に、中堅~大島のセンターラインは強固で、ビシエドや平田も守備が巧く、リーグ屈指の堅守をほこる。

 大島を筆頭に、高橋と阿部が打撃10傑に名を連ねた。何といっても高橋の成長がチームのプラスになり、昨年は打率.293に59打点と中軸を任せられる選手になった。高橋の成長で、かつて中軸だった平田が1番を務め、出塁率の高い大島との1~2番コンビが形成できた。

 誤算だったのは一昨年3割を打ったアルモンテの離脱で、出場すれば結果を残すのだが故障続きで復帰は夏以降になりそうだ。ここ数年レギュラー不在の捕手も、加藤匠馬(青学大~14年⑤)が出場機会を増やしたが、レギュラー奪取までには至らなかった。また、若手の底上げが乏しく、レギュラー陣との差が縮まることがなかった。

【19年シーズン結果(試合数/打席数)】※☆は規定打席クリア

 捕 手…加藤匠馬(92/245)

 内野手…☆ビシエド(143/594)☆京田陽太(140/574)☆阿部寿樹(129/484)

       ☆高橋周平(117/471)福田永将(105/352)堂上直倫(98/217)

 外野手…☆大島洋平(143/623)平田良介(95/407)アルモンテ(49/174) 

     藤井淳志(61/154)遠藤一星(108/120)井領雅貴(55/103)

【昨年の開幕時スタメン】 【昨年の後半戦スタメン】  

  1)平田良介⑨      1)平田良介⑨      

  2)大島洋平⑧      2)大島洋平⑧       

  3)アルモンテ⑦        3)アルモンテ⑦    

  4)ビシエド③      4)ビシエド③      

  5)堂上直倫⑥      5)高橋周平⑤      

  6)高橋周平⑤      6)阿部寿樹④     

  7)福田永将④         7)京田陽太⑥      

  8)加藤匠馬②      8)木下拓哉

  9)笠原祥太郎①     9)大野雄大①  

【今シーズン予想~打順】  【今シーズン予想~守備】

  1)大島洋平⑧      捕 手)郡司裕也(加藤匠馬) 

  2)平田良介⑨      一塁手ビシエド

  3)高橋周平⑤      二塁手)阿部寿樹(三ツ俣大樹)

  4)ビシエド③      三塁手)高橋周平(石川 駿)

  5)阿部寿樹④         遊撃手)京田陽太堂上直倫

  6)福田永将⑦         左翼手福田永将(根尾 昂)

  7)京田陽太⑥         中堅手大島洋平

  8)郡司裕也②       右翼手平田良介藤井淳志

  9)大野雄大①             

   

 中日が今年優勝争いするのに欠かせない条件は、主力野手の故障による離脱がないことである。それだけレギュラー陣には力はあるが、万が一のときに補える控え選手が乏しく、かなりキツイ状況になるのは間違いない。

 1、2番を大島と平田が務め、どちらが務めても面白い。中軸は3番~高橋、4番~ビシエド、5番~阿部と続き気が抜けない。そのなかでも今年は阿部に注目していて、チーム1、2を争うスイングスピードに長打力も付いてきており、昨年以上の結果を残しそうだ。京田は打撃に課題があり下位打線が有力だが、俊足を活かして上位を打つようになればさらに厚みを増す。

 レギュラーが決まっていないのが左翼と捕手だ。左翼には福田永将(横浜高~06年高③)が有力で、ビシエドと並んで昨年はチーム最多の17本塁打を放っており、脅かすほどのライバルも見当たらなく、アルモンテ復帰までは福田で問題ない。

 混戦模様なのが捕手で、順当にいけば加藤だが、まだ全幅の信頼を得るには攻守に課題が多い。打力のある木下拓哉トヨタ自動車~15年③)が対抗馬だが、ルーキーの郡司裕也(慶大~19年④)や成長著しい石𣘺康太(関東一高~18年④)の抜擢の可能性もあり、名捕手だった伊東勤ヘッドコーチの判断に注目している。

 控えとレギュラーの差が課題としたが、控えでレギュラークラスと呼べるのは、現時点では堂上直倫愛工大名電高~06年高①)しかいない。こうなると一人でも多くの若手の台頭に期待したところで、その筆頭はやはり根尾と石川昂だろう。根尾は昨年はファームでもプロの壁にぶつかったが、着実に成長しており、今年は一年間一軍に帯同してチャンスを掴みたい。石川昂も長打力が不足しているチームの待望の長距離砲で、早い段階での一軍起用があるかもしれない。

 根尾以外の若手では、昨年スタメンも経験した伊藤康祐(中京大中京高~17年⑤)は走攻守揃った逸材。長打力では右の石垣雅海(酒田南高~16年③)と左の渡辺勝(東海大~15年育⑥)がおり、武田健吾(自由ケ丘高~12年オ④)は守備力が魅力だ。昨年ファームの首位打者の石川駿(JX-ENEOS~14年④)や井領雅貴(JX-ENEOS~14年⑥)は、既に30歳を迎えラストチャンスではないが、昨年の阿部のようなブレイクを期待したい。

【今シーズンの開幕一軍候補】

 捕 手…郡司裕也 加藤匠馬 木下拓哉(石𣘺康太)

 内野手ビシエド 阿部寿樹 高橋周平 京田陽太 福田永将

       堂上直倫 石川 駿 三ツ俣大樹 根尾 昂(石川昂弥 溝脇隼人)

 外野手…大島洋平 平田良介

       藤井淳志 井領雅貴(アルモンテ 遠藤一星 武田健吾 岡林勇希) 

 

 今年注目の若手では、投手では山本拓実が一押しだ。昨年は7試合に先発して3勝3敗、防御率2.98の成績で、高卒2年目の19歳と聞けばさらに驚きだろう。クレバーな投球術に、身長167センチの小柄な体を有効に活かした押し込むような球持ちの良さは見ていて惚れぼれする。今年は一気に飛躍するシーズンになるだろう。

 野手では、根尾や石川昴と言いたいところだが、高卒ルーキーの岡林勇希(菰野高~19年⑤)に注目している。元は投手だが、プロでは野手で勝負をする。50メートル5秒8の俊足に強肩、高校通算21本塁打を放っており、首脳陣も驚く打撃センスは本物だ。少し早い気もするが、層の薄い中日の野手陣なら一軍デビューも遠くはない。

20年順位予想☆楽天~積極的な補強で今年は優勝候補!カギを握る先発陣

 昨年、シーズン終盤までロッテとの熾烈なAクラス争いをし、最下位から3位に順位を上げた。そのロッテとはともにストーブリーグの主役を演じ、今年は優勝候補に挙げる声も大きい。スタートから勢いに乗れば独走もあるくらいの力もある一方、選手層は決して厚くなく、総合力で「3位」予想とした。

 今年はメジャーから牧田和久日本通運~10年西②)、トレードでロッテから涌井秀章(横浜高~04年西①)、同じくFAの人的補償で酒居知史(大阪ガス~16年ロ②)が投手陣に加わった。野手ではFAでロッテのチームリーダー鈴木大地東洋大~11年ロ③)を、オリックスから主砲ロメロを獲得し、優勝に向けて戦力補強が進んだ。

 12球団で1,2を争うリリーフ陣は今年も健在で、クローザーの松井裕樹桐光学園高~13年①)を先発に転向させる余裕も生まれた。昨年唯一、規定投球回数をクリアした美馬学がロッテへ移籍したが、岸孝之東北学院大~06年大社希)と則本昂大三重中京大~12年②)のWエースが機能すれば問題なく、投手陣は今年も充実している。

 野手陣は、昨年FA加入した浅村栄斗(大阪桐蔭高~08年西③)と新外国人のブラッシュで中軸が固まり、ここに鈴木大が加わり打線は厚みを増した。弱点の機動力も2年目の辰巳や、即戦力ルーキーの小深田大翔(大阪ガス~19年①)がレギュラーに定着すれば課題を克服できる。

 不安な点を挙げるとすれば、若手の突き上げが不足しており、レギュラーと控えの差が埋まっていない。また、あまり関係ないが、楽天はAクラスになった09年、13年(優勝)、17年の翌年すべて最下位になっており、そのジンクスを不安視する評価もある。

【過去5年のチーム成績】

    順位   勝敗    打率 本塁打  盗塁   得点  防御率 失点 

 19年 3位 71勝68敗4分 .251  141本   48個  614点  3.74  578点

 18年 6位 58勝82敗3分 .241  132本   69個  520点  3.78  583点

 17年 3位 77勝63敗3分 .254  135本   42個  585点  3.33  528点  

 16年 5位 62勝78敗3分 .257  101本   56個  544点  4.11  654点

 15年 6位 57勝83敗3分 .241    85本 118個  463点  3.82  612点 

【過去5年のドラフトの主戦力】

 今年はFAとトレードでベテラン選手が多く加入したので、平均年齢は27.6歳まで上がり、パ・リーグでは最も高い。ドラフト指名の主力選手は即戦力に偏っているが、新人王を獲得した田中をはじめ、森原や茂木などの主戦力が並ぶ。

 18年~辰巳涼介(外野手~立命大①)渡邊佳明(内野手~明大⑥)

 17年~なし

 16年~田中和基(外野手~立大③)森原康平(投手~新日鉄住金広畑⑤)

    高梨雄平(投手~JX-ENEOS⑨)

 15年~茂木栄五郎(内野手早大③)

 14年~なし

 一方で期待の高校生上位指名選手が戦力になっていない。藤平尚真(横浜高~16年①)は3年で7勝、安樂智大(済美高~14年①)も5年で5勝、森雄大東福岡高~12年①)は7年3勝で今年育成契約になってしまった。オコエ瑠偉関東一高~15年①)も、通算16盗塁と自慢の快足でも結果が出ておらず、ここは大きな誤算になっている。

 

●投手陣~強固なリリーフ陣は今年も隙なし!先発投手の駒不足を解消できるか

 昨年は開幕前に則本が肘の手術で離脱、岸も開幕戦で太ももを痛め、いきなりWエースを欠いた。こうなるとチームが立ちいかなくなりそうなものだが、美馬学規定投球回数を投げ8勝、辛島航(飯塚高~08年⑥)は9勝を上げ、終盤は中継ぎでも奮闘した。故障から復帰した石橋良太(ホンダ~15年⑤)も8勝を上げチームを救った。

 最大はリリーフ陣の層の厚さで、クローザーの松井をはじめ、セットアッパーの森原とブセニッツが防御率1点台で抜群の安定感を見せた。中継ぎでは復活したベテランの青山浩二(八戸大~05年大社③)に左キラーの高梨、宋家豪も防御率2点台と充実したリリーフ陣を擁し、先発陣の駒不足を補って余りある結果を残した。

【昨年の先発ローテーション】

 ・開幕時…岸 孝之 美馬 学 藤平尚真 辛島 航 福井優也 弓削隼人

 ・後半戦…菅原 秀 則本昂大 辛島 航 美馬 学 釜田佳直 石橋良太

【19年シーズン結果】※☆は規定投球回数クリア

 ・先発…☆美馬 学(143回2/3)石橋良太(127回1/3)辛島 航(117回1/3)

       岸 孝之(93回2/3)則本昂大(68回)塩見貴洋(51回1/3)

 ・救援…松井裕樹(68試合)森原康平(64試合)青山浩二 (62試合)

       ブセニッツ(54試合)ハーマン(50試合)宋家豪(48試合)

 今年の開幕投手には則本が指名され、ここに辛島と石橋、先発転向の松井が加わる。残りの2枠を、実績のある涌井や塩見貴洋(八戸大~10年①)、弓削隼人(スバル~18年④)が争い、岸が開幕前に離脱してしまったが先発の枚数は確保できている。

 ただ、不安な面もある。則本と石橋は故障上がりの不安がつきまとい、岸も故障癖に加え今年36歳を迎え、かつてのような活躍を望むのも酷だ。松井は制球力不足で長いイニングでの安定感が未知数で、涌井もここ数年結果を残せていない。昨年好投を見せた菅原秀(大体大~16年④)も、オフに肘の手術を受け復帰は5月以降になり、この不安要素を吹き飛ばすほど、藤平や安樂などの若手投手のブレイクに期待したい。

 リリーフ陣は松井のあとのクローザーを誰にするかで、森原と新外国人のシャギワの争いになる。森原は奪三振率が高く、シャギワもメジャー通算85試合すべてが救援のスペシャリストで大きな不安はない。セットアッパーは牧田が務め、牧田~森原~シャギワのリリーフ陣には大きな期待が持てる。

 中継ぎ陣も健在で、青山にブセニッツ、宋家豪に酒居、寺岡寛治(BC石川~17年⑦)と右の本格派が並び、変則左腕の高梨もおりタレントは豊富だ。さらにオープン戦で好投したルーキーの津留崎大成(慶大~19年③)や瀧中瞭太(ホンダ鈴鹿~19年⑥)も加わり、強固なリリーフ陣に隙はなさそうだ。 

【今年度の予想】

 ・先発…則本昂大 辛島 航 石橋良太 松井裕樹 涌井秀章 塩見貴洋  

       岸 孝之 弓削隼人 藤平尚真 菅原 秀 福井優也 釜田佳直 

 ・中継…青山浩二 牧田和久 ブセニッツ 宋家豪 高梨雄平 酒居知史    

       寺岡寛治 久保裕也 津留崎大成 瀧中瞭太

 ・抑え…森原康平  シャギワ

 

●野手陣~鈴木大の加入で打線は厚みを増した!強打の中軸は健在で課題は機動力

 先述したが昨年は、浅村とブラッシュの加入が大きかった。浅村はチームでただ一人全試合に出場し、33本塁打92打点と移籍1年目から存分に力を発揮した。ブラッシュも日本野球への順応を見せ、浅村と同じ33本塁打で95打点を上げ、後半戦は4番に座った。この2人が中軸を固めたことで、ウィーラーを下位打線で起用することができた。

 茂木が攻撃的1番にはまり、島内宏明(明大~11年⑥)はあらゆる打順で役割をこなし、銀次(盛岡中央高~05年高③)も巧打者ぶりを発揮し3割を残した。ルーキーの辰巳は打撃は発展途上だが、“超”がつく外野守備と俊足で何度もチームを救った。嬉しい誤算は、同じルーキーの渡邊の活躍で、一時期得点圏打率5割の負強さが光った。

 一方で本当に誤算だったのは、新人王の田中和の不振で、まさか打率.188でシーズンを終えるとは夢にも思わなかった。レギュラー不在だったのが捕手で、開幕スタメンの嶋基宏国学院大~06年大社③)は出場機会が減少し、オフにヤクルトへ移籍。堀内謙伍(静岡高~13年④)と太田光(大商大~18年②)の若手が台頭するも、ともに決め手を欠けた。 

【19年シーズン結果(試合数/打席数)】※☆は規定打席クリア

 捕 手…堀内謙伍(65/140)嶋 基宏(57/131)太田 光(55/112)

 内野手…☆茂木栄五郎(141/648)☆浅村栄斗(143/635)☆銀次(139/590)

      ☆ウィーラー(117/472)渡邊佳明(77/245)藤田一也(61/136)

 外野手…☆島内宏明(133/585)☆ブラッシュ(128/527)辰巳涼介(124/369) 

     田中和基(59/193)オコエ瑠偉(52/122)和田 恋(31/113)

     下水流昂(50/101)

【昨年の開幕時スタメン】 【昨年の後半戦スタメン】  

  1)田中和基⑧      1)茂木栄五郎⑥      

  2)茂木栄五郎⑥     2)下水流昂⑨       

  3)浅村栄斗④           3)島内宏明⑦    

  4)島内宏明⑦      4)浅村栄斗④      

  5)ウィーラー⑤     5)ブラッシュDH      

  6)銀次③        6)銀次③     

  7)ブラッシュDH      7)ウィーラー⑤      

  8)嶋 基宏②      8)堀内謙伍②

  9)オコエ瑠偉⑨     9)辰巳涼介⑧  

【今シーズン予想~打順】  【今シーズン予想~守備】

  1)小深田大翔⑥     捕 手)太田 光(堀内謙伍) 

  2)鈴木大地⑤      一塁手)銀次

  3)浅村栄斗④      二塁手)浅村栄斗(山崎幹史)

  4)ブラッシュ⑨     三塁手鈴木大地(渡邊佳明)

  5)島内宏明⑦         遊撃手)小深田大翔(茂木栄五郎)

  6)銀次③              左翼手島内宏明(和田 恋)

  7)ウィーラーDH       中堅手)辰巳涼介(田中和基)

  8)太田 光②       右翼手)ブラッシュ(下水流昂

  9)辰巳涼介⑧       D H)ウィーラー(ロメロ)      

   

 打線は昨年よりもさらにレベルアップした。茂木が体調不良で調整が遅れているが、それ以上にルーキー小深田の存在が頼もしい。茂木には打力では劣るが、俊足の小深田が一番にハマれば機動力は格段とアップし、高い守備力は茂木が復帰したあとでも遊撃で使いたい。

 昨年は二番打者が決まらず、唯一上位打線では苦労したが、鈴木大が入ることで課題が解消された。中軸は浅村~ブラッシュ~島内と並び、銀次とウィーラーに続く下位打線は息つくヒマもないほど怖く、ここに茂木が戻ってくれば隙のない打線になる。

 課題は正捕手で、今年も太田と堀内の争いになる。ともに守備、打撃とも課題があり、暫くは併用しながらの起用になり、どちらが正捕手争いを制するかは今年の注目の一つだ。遊撃に小深田が入ることで、二塁・浅村と中堅・辰巳のセンターラインが強化されており、一日でも早い正捕手の確立が急がれる。

 控えとレギュラーの差も課題の一つだが、外野には田中が控え、内野ではオープン戦で結果を出した山崎幹史(国学院大~17年③)に、ロメロはレギュラークラスの選手で、育成と補強が相なって控えの層は厚くなった。

 このほかにも、鉄壁の守備をほこるベテランの藤田一也(近大~04年横④)に内外野守れる渡邊、小技も使える下水流昂(ホンダ~12年広④)にパンチ力のある和田恋(高知高~13年②)など、勝負強い打者が揃っている。

 若手では守備と走塁に定評のある村林一輝(大塚高~17年⑦)に、昨季ファームでチーム最多の14本塁打を放った内田靖人(常総学院高~13年②)は、持ち前の打力で一軍に喰い込みたい。高卒ルーキーながら、黒川史陽(智弁和歌山高~19年②)はキャンプから一軍に帯同し評価が高い。あとは迷走中のオコエだろう…本人曰く「見えた目指すべき選手像」を実践するシーズンにしてもらいたい。

【今シーズンの開幕一軍候補】

 捕 手…太田 光 堀内謙伍(山下斐紹 足立祐一)

 内野手…銀次 浅村栄斗 鈴木大地 小深田大翔 ウィーラー

       山崎幹史 藤田一也 渡邊佳明(茂木栄五郎 村林一輝 黒川史陽)

 外野手…島内宏明 辰巳涼介 ブラッシュ

       和田 恋 田中和基 下水流昂オコエ瑠偉 ロメロ 小郷裕哉) 

 

 今年注目の若手では、投手では鈴木翔天(富士大~18年⑧)に注目している。一昨年のドラフトでは故障で評価が分かれ8位指名。入団後も腰痛で、ファームでも2試合登板に留まったが、秋季キャンプでは潜在能力の高さを見せ評価を上げた。故障さえなければ上位指名もあったポテンシャルの持ち主で、今年の一軍デビューに期待している。

 野手では楽しみなのは、やはり山崎幹史だろう。とにかく内野はライバルが多く、茂木に今年は鈴木大に即戦力の小深田も加わった。まずはセールスポイントの小技や盗塁技術などで一軍定着をはかり、オープン戦での成長を見せた好調な打撃を維持してレギュラー争いに加わりたい。

20年順位予想☆巨人~先発、リリーフともに不安が残る投手陣…連覇に早くも暗雲?

 昨年は5年振りのリーグ優勝を果たし、キャンプ当初は優勝候補の筆頭で、私も1位予想で考えていた。ただ、キャンプ終盤からオープン戦の状況(まだ途中だが…)を見て、現状では連覇は厳しく「3位」予想とした。

 順位予想を下げた最大の要因は先発投手陣の駒不足だ。青天の霹靂ではないが、昨年最多勝最多奪三振、最高勝率の投手3冠の山口俊(柳ケ浦高~05年横高①)がメジャー移籍を決めた。いくら大エースの菅野智之東海大~12年①)がいるといっても、菅野一人ではどうすることもできなく、次に先発で計算できる選手がキャンプ通じても見当たらない。

 昨年はリリーフのやり繰りに苦労したが、ここの底上げも期待通りに進んでいない。実際に防御率が年々後退しており、先発が早々と崩れ、リリーフ陣も駒不足でオープナーすら出来ない状況になると、一気に投手陣が機能不全に陥る可能性もある。

 打線はリーグナンバーワンの得点力を誇り、西武のように打ち勝つ野球が出来ない訳ではない。ただ、西武と違うのは機動力が不足しているのと、レギュラー選手の数が少なく、特にここ数年は二塁手のレギュラーが確立できていない。

 巨人の十八番であるFAでも、昨年は両獲りを狙った美馬学はロッテに、内野をどこでも守れる鈴木大地楽天への移籍を決めた。美馬が入れば山口の穴を埋めれられ、鈴木が入れば二塁または三塁のレギュラーが決まったのだが、逃した魚は結果として大きかった。

【過去5年のチーム成績】

    順位   勝敗    打率 本塁打  盗塁   得点  防御率 失点 

 19年 1位 77勝64敗2分 .257  183本   83個  663点  3.77  573点

 18年 3位 67勝71敗5分 .257  152本   61個  625点  3.79  575点

 17年 4位 72勝68敗3分 .249  113本   56個  536点  3.31  504点  

 16年 2位 71勝69敗3分 .251  128本   62個  519点  3.45  543点

 15年 2位 75勝67敗1分 .243    98本   99個  489点  2.78  443点 

【過去5年のドラフトの主戦力】

 主力にベテランやネームバリューがある選手が多いため、若いというイメージはないが、実は平均年齢26.6歳の若いチームで、特に投手陣が若い。ドラフトは、14~17年は即戦力指名が多く、18~19年は高校生主体の育成路線になるなどふり幅が大きい。

 18年~高橋優貴(投手~八戸学院大①)

 17年~大城卓三(捕手~NTT西日本③)

 16年~なし

 15年~なし

 14年~岡本和真(内野手智弁学園高①)

 このほかには、投手の中川皓太(東海大~15年⑦)と、内野手の山本泰寛(慶大~15年⑤)が及第点の成績を上げている。ただ、即戦力選手を多く獲得したにも関わらず、レギュラーがゼロというのは、物足りないなんてものではない。

 

●投手陣~山口のメジャー移籍で、先発陣で頼りは菅野のみ…先発不足が課題

 昨年は菅野が腰痛に悩まされ、3度の登録抹消がありながら防御率3.86、11勝を上げエースの意地を見せた。その菅野に代わりエース級の活躍を見せたのが山口で、防御率2.94、最多勝の15勝を上げ優勝に大きく貢献したが、ポスティングでわずか3年の在籍でチームを去ってしまった。

 この他にはメルセデスが8勝、ルーキーの高橋が5勝を上げ、防御率3点台で先発の役割を果たした。プロ未勝利だった桜井俊貴(立命大~15年①)も8勝を上げた。

 リリーフ陣はやり繰りに苦労し、クローザー候補のクックは懸念されていた故障が癒えず、13試合6セーブで早々と離脱した。前半戦は中川がクローザーを務め16セーブ、後半戦は途中入団のデラロサが8セーブを上げて乗り切った。

 中継ぎは、謹慎から復帰した高木京介国学院大~11年④)が55試合に登板して見事に復活。中継ぎの層が薄いと見るや、日本ハムから鍵谷陽平(中大~12年日③)をトレードで獲得、先発の田口麗斗(広島新庄高~13年③)と大竹寛浦和学院高~01年広①)を中継ぎで起用し乗り切った手腕はさすがだった。

【昨年の先発ローテーション】

 ・開幕時…菅野智之 ヤングマン 畠 世周 山口 俊 メルセデス 高橋優貴

 ・後半戦…桜井俊貴 山口 俊 メルセデス 菅野智之 今村信貴 古川侑利

【19年シーズン結果】※☆は規定投球回数クリア

 ・先発…☆山口 俊(170回)菅野智之(136回1/3)メルセデス(120回1/3)

       桜井俊貴(108回1/3)高橋優貴(93回)今村信貴(81回2/3)

 ・救援…中川皓太(67試合)田口麗斗(55試合)高木京介 (55試合)

       澤村拓一(43試合)大竹 寛(32試合)宮國椋丞(28試合)

 とにかく先発投手が不足しており、現状では菅野しかいない。その菅野も決して万全とは言えず、先発の復帰する田口までは何とか計算できるが、今年は先発のやり繰りにも苦労しそうだ。メルセデスが故障で開幕に間に合わず、新外国人のサンチェスもオープン戦で打ち込まれ不安要素のほうが大きい。高橋はスタミナが課題で、イニング後半には球威が落ち、桜井もローテーション当確までの信頼感はまだない。

 山口の穴を埋める期待の選手で、昨年初勝利を上げた戸郷翔征(聖心ウルスラ高~18年⑥)の名前が挙がるが、昨年2試合登板で1勝の20歳の若手に頼らざるを得ない状況が、先発陣の厳しさを表している。

 リリーフ陣も底上げが進んだとは言えない。クローザーのデラロサは健在だが、セットアッパーの中川が出遅れており、7~8回を誰に任せるかが課題になる。新外国人のビエイラは球は早いが制球力に難があるため、実績のある大竹や鍵谷、澤村拓一(中大~10年①)、左腕の高木が候補になる。

 若手では、昨年楽天からトレードで加入した古川侑利(有田工高~13年④)は、中継ぎ起用だが、状況によっては先発もこなせる。昨年もファームで結果を出した高田萌生(創志学園高~16年⑤)は、もうそろそろブレイクしても良い頃だ。

 育成選手でも、オープン戦で好投を続けている沼田翔平(旭川大高~18年育③)や、支配下登録復活を狙う與那原大剛(普天間高~15年③)などが結果を出し、支配下登録の可能性を残している。 

【今年度の予想】

 ・先発…菅野智之 高橋優貴 田口麗斗 戸郷翔征 サンチェス  

       メルセデス 桜井俊貴 今村信貴 古川侑利 畠 世周

 ・中継…高木京介 澤村拓一 ビエイラ 鍵谷陽平 戸根千明  

       大竹 寛 宮國椋丞 田原誠次 鍬原拓也 太田 龍

 ・抑え…デラロサ  中川皓太

 

●野手陣~坂本ー丸ー岡本の怖い上位打線!ベテランと若手の融合進み強力打線へ

 昨年はFAで広島から移籍した丸佳浩(千葉経大高~07年高③)の加入が大きなプラスになった。丸は打率こそ3割に届かなかったものの、27本塁打、89打点で3番打者にピッタリと嵌まった。

 丸が3番に入ることで、坂本勇人光星学院高~06年高①)を2番に据えることができた。現在、メジャーでは2番に最も良い打者を置く戦法が主流だが、そういったなかで坂本は適任だと思う。ベテランの亀井善行(中大~04年④)が後半戦1番に定着、若き4番の岡本も全試合に出場し、強固な上位打線を形成できた。

 若手の成長も著しく、故障でわずか11試合出場に留まったが、開幕スタメンの吉川尚輝(中京学院大~16年①)が.390の高打率を残し、打撃が評価されていた大城も出場機会を増やした。育成出身の増田大輝(四国IL徳島~15年育①)は、チームナンバーワンの15盗塁を上げた。

【19年シーズン結果(試合数/打席数)】※☆は規定打席クリア

 捕 手…大城卓三(109/329)小林誠司(92/236)阿部慎之介(95/192)

       炭谷銀仁朗(58/138)

 内野手…☆坂本勇人(143/639)☆岡本和真(143/628)若林晃弘(77/273)

      ビヤヌエバ(73/235)山本泰寛(92/212)田中俊太(62/176)

 外野手…☆丸 佳浩(143/631)☆亀井善行(131/503)ゲレーロ(101/333) 

     陽 岱鋼(110/231)重信慎之介(106/174)  

【昨年の開幕時スタメン】 【昨年の後半戦スタメン】  

  1)吉川尚輝④      1)亀井善行⑦      

  2)坂本勇人⑥      2)坂本勇人⑥       

  3)丸 佳浩⑧           3)丸 佳浩⑧    

  4)岡本和真③      4)岡本和真③      

  5)陽 岱鋼⑨      5)陽 岱鋼⑨      

  6)亀井善行⑦      6)若林晃弘④     

  7)田中俊太⑤         7)ビヤヌエバ⑤      

  8)小林誠司②      8)炭谷銀仁朗

  9)菅野智之①      9)桜井俊貴①  

【今シーズン予想~打順】  【今シーズン予想~守備】

  1)吉川尚輝④      捕 手)小林誠司炭谷銀仁朗) 

  2)坂本勇人⑥      一塁手)大城卓三(中島宏之

  3)丸 佳浩⑧      二塁手)吉川尚輝(山本泰寛)

  4)岡本和真⑤      三塁手)岡本和真(田中俊太)

  5)パーラ⑨          遊撃手)坂本勇人

  6)亀井善行⑦         左翼手亀井善行(石川慎吾)

  7)大城卓三③         中堅手)丸 佳浩(増田大輝)

  8)小林誠司②      右翼手)パーラ(陽 岱鋼)

  9)菅野智之①           

   

 今年は一番打者に誰を据えるか、岡本の後を打つ5番打者の確立、そして一塁、二塁のレギュラーを誰にするかが課題になる。

 まずは一番打者だが、候補の一番手は吉川尚だ。毎年期待されながら故障でシーズンを棒に振る年が続いているが、試合に出れば攻守に結果を残しており、今年こそは期待に応えたい。吉川尚が離脱すると、また亀井に落ち着きそうだが、亀井が下位打線または代打の切り札でいる打線は怖い。吉川尚がシーズンを完走できれば、一番打者そして二塁手の課題が一気に埋まり、今年の優勝のカギを握るキーマンになる。

 5番打者は新外国人のパーラが有力だが、パーラはどちらかというと中距離打者で、長打力よりは繋ぎの5番になる。ただ、残念ながら現状で長打力があり、クリーンアップを任せられる選手が見当たらず、同じタイプで亀井や大城、チャンスに強い陽岱鋼(福岡一高~05年日①)との争いになる。

 内野は坂本以外は流動的だ。岡本が一塁に入る布陣も予想されるが、そうなると三塁手は田中俊太(日立製作所~17年⑤)や湯浅大(健大高崎高~17年⑧)になるが、レギュラーとしてはまだ物足りない。やはり岡本を三塁に据えて、一塁で亀井や大城、ベテランの中島宏之(伊丹北高~00年西⑤)、ファームの4番~北村拓己(亜大~17年④)を起用したほうが打線は厚くなる。

 二塁は吉川尚がまた離脱するようなことになれば、今年も山本泰寛(慶大~15年⑤)や若林晃弘(JX-ENEOS~17年⑥)との争いになり、いずれもチャンスがあり誰がレギュラーに近づくか注目したい。

 外野は層が厚く、順当にいけば丸とパーラ、亀井または陽がレギュラーだが、外野も守れる大城と若林もいる。俊足の増田大や重信慎之介(早大~15年②)も控え、問題はなさそうだ。 

 昨年のファームでは、北村のほかに俊足巧打の松原聖弥(明星大~16年育⑤)、ルーキーながら昨年ファームで首位打者になった山下航汰(健大高崎高~18年育①)は一軍デビューも果たし、育成が着実に進んでいる感がある。

【今シーズンの開幕一軍候補】

 捕 手…小林誠司 炭谷銀仁朗 大城卓三(岸田行倫)

 内野手中島宏之 吉川尚輝 岡本和真 坂本勇人

      若林晃弘 増田大輝 山本泰寛 田中俊太(北村拓己 湯浅 大)

 外野手…亀井善行 丸 佳浩 パーラ 陽 岱鋼

       石川慎吾(重信慎之介 山下航汰) 

 

 今年注目の若手では、投手ではやはり戸郷翔征だろう。戸郷は18年のU-18代表の壮行試合に宮崎選抜で登板し、そのときの好投が目に留まりドラフト指名を手繰り寄せた。順位も6位で入団時は注目を浴びなかった投手が、昨年終盤に先発してプロ初勝利を上げた。チャンスを確実にモノにする強さがあり、今回はローテ入りのチャンスを狙う。

 野手では楽しみな選手が多いが、そのなかでも増田大輝を挙げたい。魅力はチーム随一の俊足で、昨年は途中出場ながら、チーム最多の15盗塁を記録した。まずは代走、守備固めからの出番になりそうだが、内外野どこでも守れ、小技の得意な選手で、与えられた役割をこなすことで、大きなチャンスが回ってくると思う。

20年順位予想☆西武~秋山の抜けた穴は大きく、若手や新戦力の台頭がないと厳しい

 12球団ナンバーワンの破壊力をほこる“超”がつく強力打線で、昨年もリーグ最下位の防御率ながら、終盤にソフトバンクを抜き去り、2年連続のリーグ優勝を果たした。ただ、投手力の弱さは短期決戦では致命的で、これもまた2年連続でCS出場を逃してしまった。

 当然、今年はリーグ3連覇!そして悲願の日本一を達成したいところだが、最大の強みである強力打線から、主力中の主力である秋山翔吾(八戸大~10年③)が抜けた。一方で弱みである投手陣は、残念ながら底上げが進んでいない。

 そのためかオフは戦力補強に動いたが、FAで秋山の後任に打って付けだった福田秀平はロッテに、NPBに復帰した牧田和久は、西武に戻らず楽天への入団を決め、ライバルチームに欲しい選手を持っていかれた。結果、戦力補強もままならず「4位」予想とした。

 強みの打線だが、秋山がメジャーに移籍した穴は大きすぎる。不動のリードオフマンで、昨年も打率.303で最多安打のタイトルを獲得、20本塁打で長打力もある。俊足で守備も巧く、何といっても5年連続全試合出場するタフな選手で正直代わりはいない…。

 課題の投手陣はどうかと言うと、今年も質量ともに不足している。ドラフトで即戦力投手を獲得したが、現在のところ課題の解消になるほどの期待値はない。確かに常勝チークを形成するには強力打線が必要だが、防御率4点台の投手陣では打線への依存が高く、打線が不振に陥ると一気に弱みが膨らんでしまう。

【過去5年のチーム成績】

    順位   勝敗    打率 本塁打  盗塁   得点  防御率 失点 

 19年 1位 80勝62敗1分 .265  174本 134個  756点  4.35  695点

 18年 1位 88勝53敗2分 .273  196本 132個  792点  4.24  653点

 17年 2位 79勝61敗3分 .264  153本 129個  690点  3.53  560点  

 16年 4位 64勝76敗3分 .264  128本   97個  619点  3.85  618点

 15年 4位 69勝69敗5分 .263  136本   66個  631点  3.69  573点 

【過去5年のドラフトの主戦力】

 西武は若いチームで平均年齢26.6歳と、主力選手にも若い選手が多く一気にチーム力が落ちる心配がない。さらに主力選手のほとんどが1~3位の上位指名選手で、上位争いを継続できるチームを形成している。

 18年~松本 航(投手~日体大①)

 17年~なし

 16年~源田壮亮内野手トヨタ自動車③)平井克典(投手~ホンダ鈴鹿⑤)

 15年~多和田真三郎(投手~富士大①)野田昇吾(西濃運輸③)

 14年~外崎修汰(内野手~富士大③)

 高校生の主力選手が、最近では森友哉大阪桐蔭高~13年①)しかいないのが気がかりだが、今井達也(作新学院高~16年①)は3勝、高橋光成前橋育英高~14年①)は1勝基準値に不足しただけで、十分に成功と言える。結果、直近で戦力になっていない1位選手は斎藤大将(明大~17年①)のみで、スカウトセンスの高さに脱帽する。

 

●投手陣~着実に若手が成長してきているが、駒不足は否めず…新戦力に期待

 昨年はエースの菊池雄星花巻東高~09年①)がメジャー移籍し、一昨年最多勝の多和田が1勝のみと、先発陣は崩壊寸前だった。このピンチを救ったのがニールで、後半11連勝を含む12勝を挙げた。若手の高橋が2桁10勝、今井とルーキーの松本航も7勝、ベテランの十亀剣JR東日本~11年①)もシーズン中盤から先発に復帰して6勝を上げた。それぞれ防御率4点台と課題は残したが、粘り強い投球で打線の援護を待ちゲームを作った。

 リリーフ陣は平井の大車輪の活躍に尽きる。平井は歴代2位の81試合に登板し、決して本調子ではなくても力投を続けた。クローザーの増田達至(NTT西日本~12年①)も、防御率1.81、30セーブと見事復活を果たした。中継ぎでは小川龍也(千葉英和高~09年②)が55試合登板で奮闘、後半には弱冠20歳の平良海馬(八重山商工高~17年④)がすい星のように登場し、158キロのストレートを武器に26試合で8ホールドを記録し、楽しみな投手が出てきた。

 ただ、投手陣の駒不足は否めず、一昨年活躍したマーティンとヒースは、安定感を欠きオフに退団。FAの人的補償で移籍した内海哲也東京ガス~03年巨自)は登板なしと期待に応えられず、若手の台頭も平良以外は見当たらなかった。

【昨年の先発ローテーション】

 ・開幕時…多和田真三郎 今井達也 高橋光成 ニール 武隈祥太 本田圭佑

 ・後半戦…今井達也 十亀 剣 本田圭佑 高橋光成 多和田真三郎 ニール

【19年シーズン結果】※☆は規定投球回数クリア

 ・先発…今井達也(135回1/3)高橋光成(123回2/3)十亀 剣(102回)

       ニール(100回)本田圭佑(91回1/3)松本 航(85回1/3)

 ・救援…平井克典(81試合)増田達至(65試合)小川龍也 (55試合)

       佐野泰雄(44試合)マーティン(41試合)ヒース(34試合)

 開幕投手にはニールが指名され、2カード目の初戦は高橋が務め、今年はこの2人が中心になる。このほかに今井と松本航が開幕ローテーション当確で、ドラフト1位投手が主力に成長している。

 5~6番手には十亀、抜群の制球力で昨年6勝を挙げた本田圭佑東北学院大~15年⑥)が順当だが若い投手が多い。実績のある榎田大樹東京ガス~10年神③)や内海の両左腕、14年振りに復帰した松坂大輔(横浜高~98年①)も加わり、ベテランがローテの谷間を埋められれば枚数は揃ってくる。ただ、残念なことに多和田に復帰のメドが立たないのは厳しい。

 リリーフ陣は増田のクローザーは問題ないが、その前の継投が課題になる。平井の疲労がどこまで回復しているかで、確かに連投も厭わないが、昨年のような使いかたではなく、勝ちパターンで起用しパフォーマンスを上げたい。ここに若手の平良や左腕の小川、野田昇吾(西濃運輸~15年③)が加わってくる。

 西武の投手陣のカギを握るのが新戦力投手だ。そのなかで期待できるのが、ドラフト2位の浜屋将太(三菱日立PS~19年②)で、安定感抜群の投球を見せ、日に日に評価が高まっている。西武には現時点で先発左腕がおらず、浜屋が加わる可能性は高い。ドラフト1位の宮川哲(東芝~19年①)は、中継ぎ起用が有力だ。

 新外国人ではギャレットがオープン戦でも結果を出しており、156キロのストレートが武器のパワーピッチャーで、平井と並んでセットアッパー候補になる。外国人枠の関係で微妙だが、技巧派左腕のノリンも先発候補の一角で、投手で昨年ファームで目立った成績を挙げた選手もおらず新戦力への期待は大きい。

【今年度の予想】

 ・先発…ニール 高橋光成 今井達也 松本 航 十亀 剣  

       本田圭佑 ノリン 榎田大樹 松坂大輔 與座海人 浜屋将太

 ・中継…小川龍也 平良海馬 佐野泰雄 野田昇吾 宮川 哲 ギャレット 

       森脇亮介 國場 翼 武隈祥太 相内 誠

 ・抑え…増田達至  平井克典

 

●野手陣~秋山の穴を誰が、どう埋めるか…レギュラーを脅かす若手の成長も課題

 昨年はほぼレギュラー9人で戦い抜いた。1番~秋山は最多安打、3番~森友哉首位打者、4番~山川穂高(富士大~13年②)は本塁打王、6番~中村剛也大阪桐蔭高~01年②)が打点王、ラストバッターの金子侑司(立命大~12年③)が盗塁王とタイトルホルダーを5人も抱える。さらに鉄壁の守備を誇る源田、外崎は本塁打26本、打点96で移籍した浅村の穴を埋めた。正直、昨年は出来過ぎだと思う。レギュラー全員がケガなく1年機能し、浅村の穴は外崎で埋まり、ここ数年不振だった中村が復調し、栗山巧(育英高~01年④)も規定打席に達した。

 反面、若手は強固なレギュラー陣に風穴を開けることはできず、メヒアを除けば試合数では佐藤龍世(富士大~18年⑦)の52試合、打席数では岡田雅利(大阪ガス~13年⑥)の78が最高で、レギュラーと控えの差が開くばかりで厳しい。

【19年シーズン結果(試合数/打席数)】※☆は規定打席クリア

 捕 手…☆森 友哉(135/573)

 内野手…☆山川穂高(143/626)☆外崎修汰(143/621)☆源田壮亮(135/609)

       ☆中村剛也(135/557)メヒア(75/147)

 外野手…☆秋山翔吾(143/678)☆金子侑司(133/524)☆栗山 巧(123/486) 

     木村文和(130/441)  

【昨年の開幕時スタメン】 【昨年の後半戦スタメン】  

  1)金子侑司⑦      1)秋山翔吾⑧      

  2)源田壮亮⑥      2)源田壮亮⑥       

  3)秋山翔吾⑧           3)外崎修汰④    

  4)山川穂高③      4)山川穂高③      

  5)森 友哉②      5)森 友哉②      

  6)外崎修汰④      6)中村剛也⑤     

  7)栗山 巧DH       7)栗山 巧DH      

  8)中村剛也⑤      8)金子侑司⑨

  9)木村文紀⑨      9)鈴木将平⑦  

【今シーズン予想~打順】  【今シーズン予想~守備】

  1)スパンジェンバーグ⑦ 捕 手)森 友哉(岡田雅利) 

  2)源田壮亮⑥      一塁手山川穂高

  3)森 友哉②      二塁手)外崎修汰(山野辺翔)

  4)山川穂高③      三塁手中村剛也(佐藤龍世)

  5)外崎修汰④         遊撃手)源田壮亮永江恭平

  6)中村剛也⑤         左翼手)スパンジェンバーグ(川越誠司)

  7)栗山 巧DH       中堅手)金子侑司(鈴木将平)

  8)木村文紀⑨      右翼手)木村文紀(愛斗)

  9)金子侑司⑧      D H)栗山 巧(メヒア)     

     

 とにかく秋山の代わりをどうするかが最大の課題で、一番打者であれば金子と新外国人のスパンジェンバーグが候補になる。金子は昨年の開幕時も一番打者としてのスタートだったが、打率・出塁率ともに不振で定位置の9番に落ち着いた。スイッチヒッター盗塁王、一番打者としては適任だが、やはり打てないとどうしようもない。

 スパンジェンバーグは左打のアベレージヒッターで、長打力はそれほどでもないが、昨年は3Aで打率.309の成績を残しており、現時点ではスパンジェンバーグのほうが攻撃力は増すと思う。

 秋山の守っていた中堅には金子が入るので、左翼が空く。スパンジェンバーグは内外野守れるので、本職の二塁のカバーや中村を指名打者にして三塁でも使える。そうなると一番の候補は売り出し中の川越誠司(北海学園大~15年②)で、投手から野手へ転向し、昨年ファームで8本塁打、台湾のウィンターリーグでもMVPを獲得し、使ってみたくなる選手だ。このほかに打撃の確実性が増した愛斗(花咲徳栄高~15年④)、俊足の鈴木将平(静岡高~16年④)が候補になる。

 他のポジションは盤石と言える。二番~源田、三番~森、山川も今年は1年間4番を守りたい。5番~外崎、6番~中村までの並びは変わらない。7番の指名打者で栗山かメヒアがはまり、8番~木村文紀(埼玉栄高~06年高①)と怖いバッターが揃う。

 守備は78失策とリーグ最多だが、数字以上の脆さは感じない。外崎と源田の二遊間は鉄壁で、守備範囲の広い金子が中堅でセンターラインがしっかりしており、若手野手がレギュラー陣に割って入るハードルは高い。

 控えで面白いのが山野辺翔(三菱自動車岡崎~18年③)と佐藤龍世の2人で、山野辺はファームで12本塁打、29盗塁と脚力に加え長打力も兼ね備えている。佐藤は一発長打を秘めたスラッガーだが、とにかく明るくチームのムードメーカーの役割も果たしており、そこは熊代聖人(王子製紙~10年⑥)から学んでほしい。

 昨年のファームでは、西川愛也(花咲徳栄高~17年②)は広角に打てる巧打者、戸川大輔(北海高~14年育①)は守備を除けば打撃は一軍クラスで、虎視眈々とレギュラー陣を脅かす逸材が揃っている。

【今シーズンの開幕一軍候補】

 捕 手…森 友哉 岡田雅利(柘植世那)

 内野手山川穂高 外崎修汰 中村剛也 源田壮亮 メヒア

      山野辺翔 佐藤龍世(永江恭平 水口大地 森越祐人)

 外野手…金子侑司 スパンジェンバーグ 木村文紀 栗山 巧

       川越誠司 愛斗 鈴木将平(熊代聖人 岸潤一郎)  

 今年注目の若手では、投手では與座海人(岐阜経済大~17年⑤)がイチオシだ。肘の故障で一時期育成契約になり、トミージョン手術を経て昨年9月に復帰し支配下登録された。西武にはいないサブマリンで、駒不足の先発陣に喰い込めば面白い存在になる。

 野手では、阪神から移籍したベテラン森越祐人(名城大~10年中④)を応援したい。2度の戦力外通告を経て、昨年のトライアウトで合格した苦労人。本職の二遊間に加え外野も守れる守備職人で、まずは守備の控えでの出番になるが、一流打者ひしめく西武から学ぶことは大きく、最後のひと花を咲かせてほしい。