今週よりプロ野球キャンプも始まり、いよいよ球春到来です。そこで、今回は一軍キャンプスタートの各チームの若手有望選手(24歳以下に限定 ※ルーキー除く)を紹介したいと思います。
●パ・リーグ投打の今季のブレイク1番手はロッテのエース&4番候補
先ず、投打のブレイク候補を3名ずつ挙げてみた。投手の一番手は、やはりロッテの佐々木朗希(大船渡高~19年①)になる。史上最年少で完全試合を達成し、侍ジャパンでも主戦を担うが、まだシーズン通しての活躍がない。昨シーズンも9勝のうち6勝は前半戦に挙げたもので、吉井監督のコメントにあるように、シーズン完走できれば自ずと2桁勝利はクリアできるだろう。エース不在のチームにあって、真のエース誕生に期待したい。
2人目は西武の隅田知一郎(西日本工大~21年①)で、昨シーズンは好投しても援護に恵まれず1勝10敗で終わったが、打線との噛み合わせが良ければ逆になっていてもおかしくなく期待の2年目になる。同じ左腕で、日本ハムの根本悠楓(苫小牧中央高~20年⑤)もブレイク候補の1人だ。2年目の昨年は一軍デビューを果たし、13試合(60回)で3勝を挙げ、防御率2.52は見事な成績で、投手陣が課題のチームのなか、開幕からの先発ローテーションの可能性も高い。
打者のブレイク候補の一番手は、ロッテの山口航輝(明桜高~18④)で、昨年はチーム最多の16本塁打を放っている。逆方向にも本塁打を打てるのが強みで、多少差し込まれても遠くに飛ばすパワーは圧巻で、オフには西武の山川との自主トレで下半身を徹底的に鍛えており、今季は冗談ではなく30本以上は期待できる。
同じスラッガーで日本ハムの野村佑希(花咲徳栄高~18年②)も4番候補になる。広い札幌ドームから新球場に代わることで、本塁打も20本前後、勝負強く高い打率も残せることもでき、3割打てれば打点もついてくるだろう。課題は守備とケガで、毎年のようにケガで離脱しており、今季こそはフルシーズン出場したい。
最後は西武の渡部健人(桐蔭横浜大~20年①)で、昨年は一軍出場なしの悔しいシーズンになった。ファームで打率1割台はいただけないが、10本塁打を放ち持ち前の長打力を発揮している。中村も40歳を超え、三塁のレギュラーポジションは空いており、3年目を迎える今季ブレイクしたい。
目玉は吉田正が抜けた左翼手争いになり、俊足の渡部遼人(慶大~21年④)に長打力が魅力の元謙大(中京高~20年②)、来田涼斗(明石商高~20年③)と池田陵真(大阪桐蔭高~21年⑤)は昨季ファームで規定打席をクリアしている。現時点での本命は中川圭だと思うがが、中川圭を内野に追いやるくらいの若手の競争に注目したい。
また、ベテラン安達の後継で、野口智哉(関大~21年②)と太田椋(天理高~18年①)の二塁手争いも注目で、セールスポイントの打撃がアピールのカギになる。ともに遊撃も守ることもでき、紅林弘太郎(駿河総合高~19年②)も決して安泰とは言えず、若手の競争が確実にチームの底上げに繋がるだろう。
育成選手で、内野手の園部佳太(BC福島~21年育②)と大里昂生(東北福祉大~21年育③)、外野手の山中堯之(BC茨城~21年育①)の同期3人も一軍キャンプに抜擢されている。園部は長打力、大里は機動力が武器で、現時点で支配下選手が60名と少なく、支配下登録の可能性が高い。
投手では、昨年42試合に登板した本田仁海(星槎湘南高~17年④)は、今季のリリーフ陣が平野佳以外は白紙の状況なかで、昨年のように勝ちパターンを任いたい。プロ初勝利を上げた東晃平(神戸弘陵高~17年育②)も一軍定着を狙う。キャンプは二軍スタートだが、昨年のプレーオフで初先発の噂もあった山下舜平太(福岡大大濠高~20年①)の初登板も楽しみの一つになる。
今オフに大補強を行ったチームだけに、一軍キャンプメンバーを見ても若手の有望株と呼べるのは渡邊陸(神村学園高~18年育①)と正木智也(慶大~21年②)しかいない。渡邊はFAで嶺井が加入したこもあり、海野との3番手争いになり、得意の打撃でアピールしたい。正木もFAで近藤が加入し、外野のポジションは現段階では埋まっている。柳田や近藤の休養時の少ないチャンスを争うことになり、チームに不足している右の大砲候補だけに限られたチャンスをモノにしていきたい。
投手はいずれも育成選手になるが、二軍スタートながら昨年ファームでチーム最多の7勝を挙げた重田倫明(国士館大~18年育③)、4勝の三浦瑞樹(東北福祉大~21年育④)、昨シーズン途中に支配下登録され、再昇格を目指す中村亮太(東農大オホーツク~20年育⑧)に注目したい。
野手でも内野手の緒方理貢(駒大~21年育⑤)に勝蓮大稀(興南高~19年育④)、伊藤大将(八戸学院光星高~21年育③)、外野手では川村友斗(仙台大~21年育②)と仲田慶介(福岡大~21年育⑭)が、昨年ファームで30試合以上に出場し経験を積んでおり、残り3枠の少ない支配下枠を争う形になる。
◇西武
冒頭のブレイク候補の一人で、最後まで迷ったのが渡邊勇太朗(浦和学院高~18年②)で、一昨年は後半から先発ローテーションに定着し4勝を挙げたが、昨年は僅か3試合登板で0勝1敗は意外だった。平良の先発転向で競争が激しくなったが、隅田とともに先発の一角に喰いこむ再起に期待したい。
さらに西武には、佐藤隼輔(筑波大~21年②)と浜屋将太(三菱日立パワーシステムズ~19年②)の両左腕も控える。佐藤も先発ローテーション候補で、浜屋は昨年、まさかの一軍未登板で、平良の先発転向、武隈や佐野の中継ぎ左腕の引退で、リリーフ陣が手薄になったこのチャンスを活かしたい。
野手でポジションが決まっているのは、一塁の山川に二塁の外崎、遊撃の源田だけであとはすべて白紙で若手には十分すぎるほどのチャンスがある。森のFA移籍で正捕手を柘植と争う古賀悠斗(中大~21年③)、両打ちの川野涼多(九州学院高~19年④)も昨年2試合に先発出場しプロ初安打を放っており、渡部とともに三塁を争うが、いずれは本職の遊撃でポスト源田を目指していきたい。
外野手の高木渉(真颯館高~17年育①)と西川愛也(花咲徳栄高~17年②)も、そろそろブレイクして欲しい選手で、その期待の顕われで一軍キャンプスタートになる。高木は昨季、ファームで渡部を上回る15本塁打で本塁打王、一軍で30打数0安打の西川もファームでは高打率を残しており、ファームでやることはもうないはずだ。
◇楽天
ベテランが主力のチーム状況は相変わらずで、正直なところ若手の迫力不足は否めない…。昨年のドラフトで指名した大学・社会人ルーキー6名中5名が一軍スタートのなか、投手では昨年支配下登録された小峯新陸(鹿児島城西高~19年育②)と、ファームで防御率1点台の松井友飛(金沢学院大~21年⑤)に期待がかかる。松井友は先発が基本線だと思うが、ロングリリーフも面白いと思う。小峯は昨年の6試合登板を自信にして、一昨年のような鉄壁のリリーフ陣の一角を担いたい。
野手では、昨年開幕マスクの安田悠馬(愛知大~21年②)に注目で、開幕早々コロナ感染で離脱したのち、そのまま一軍復帰できずにシーズンを終えた。炭谷に太田とライバルは多いが、持ち前の長打力を武器に正捕手を狙いたい。
もう一人期待なのが黒川史陽(智弁和歌山高~19年②)で、その実力と期待値の高さは誰もが認めるところだが、二塁には浅村がおり、さらに今季は中日から阿部も加入した。また、内野は茂木に鈴木大、山崎等々…同じタイプの左打者が多く、率直に言って気の毒な気さえする。
最後にともに一軍経験はないが、3年目の投手・内星龍(履正社高~20年⑥)と内野手の入江大樹(仙台育英高~20年⑤)が一軍スタートしており、どこまで一軍に食らいついていけるか注目したい。
◇ロッテ
冒頭で山口をイチ推しで挙げたが、このほかにもスケールの大きい打者が控える。ルーキーながら70試合に先発出場した松川虎生(市和歌山高~21年①)は、昨年は守備が評価されたが、元々は野手指名も検討されたスラッガーで、今季は打撃のほうも期待したい。また、山本大斗(開星高~20年育③)は、昨年ファーム2番目の12本塁打を放ち、西川僚祐(東海大相模高~20年⑤)もイースタンでナンバーワンの長打率を残しており、スケール感のあるスラッガーが着実に育ちつつある。
さらに、安田尚憲(履正社高~17年①)が、昨年ようやく2桁本塁打の足掛かりを掴み、藤原恭大(大阪桐蔭高~18年①)は5年目を迎え、今季結果を残さないとズルズルいってしまいそうで、吉井監督が言うように長打を狙うよりも得意の足を活かしたモデルチェンジができるかに注目したい。即戦力として期待されながら、不本意な成績に終わった池田来翔(国士館大~21年②)もポスト中村奨の一番手として、攻守にアピールしたいところだ。
今季のロッテは、一軍と二軍が分けられていないが、投手で注目なには中森俊介(明石商高~20年②)で、昨季ファームで初登板を果たし、先発、リリーフと起用法はこれからだが、3年目の今シーズン一気にブレイクする予感も漂う。また、キャンプ初戦の先発に抜擢された秋山正雲(二松学舎大高~21年④)に、同じく候補の一人だった森遼大朗(都城商高~17年育②)にも期待がかかる。
◇日本ハム
昨年一年間、全員がトライアウトの言葉通り、一軍キャンプでも期待の若手選手が並ぶ。最初の紅白戦で先発したのは、昨年1試合登板の2年目の畔柳亨丞(中京大中京高~21年⑤)で、ルーキーながら昨年開幕投手も務めた北山亘基(京産大~21年⑧)のように期待がかかる。その北山も昨年はルーキーながらハードな役割を経験して、疲労もあっただろうが、今季は決められた役割のなかでしっかりと結果を残したい。
このほか、先発候補では根本のほかに北浦竜次(白鷗大足利高~17年⑤)がおり、吉田輝星(金足農高~18年①)は先発かリリーフか、今季は判断しても良いタイミングと言える。また、西武から移籍の松岡洸希(BC武蔵~19年西③)は、昨年はファームで好投したものの一軍は未登板で終えたが、今年は出番が増えそうな気配だ。長谷川威展(金沢学院大~21年④)は左のリリーフとしての期待がかかる。
野手は野村とやはり清宮幸太郎(早実高~17年①)だろう。昨年は初めて規定打席に達し、18本塁打でようやく大器の片りんを見せ、今季真価が問われるシーズンと言っても過言ではない。また、万波中正(横浜高~18年④)も昨年はキャリアハイの成績を残しており、ポテンシャルの高さを活かして今季はレギュラーを確立したい。
また、ともに指名順位が4位のアベレージヒッターの細川凌平(智弁和歌山高~20年④)と、長打力が魅力の阪口楽(岐阜一高~21年④)とタイプの違う内野手も一軍キャンプに抜擢されており、まさかの開幕スタメンもあるかも知れない。