10/2に始まった戦力外通告は、育成選手も含む138名(うち引退は12名)を数え、外国人選手も16名(退団4名含む)が自由契約になった。戦力外通告は日本シリーズ終了後翌日(阪神とオリックスは5日後)までで、明日で期間も終了する。一方で11/6からFA宣言も始まり、いよいよストーブリーグが始まる。
今年のドラフトでは、本指名72名、育成を含めて122名が指名されており、指名人数を上回る選手が戦力外になっている。ただ、昨年新しいユニフォームを着れたのは僅かに11名(うち育成4名)で狭き門だが、各球団の補強ポイント選手を挙げたい。
選手の現況は11/4時点のもので、選手名の横の年数は指名年度で、〇の数字は指名順位。※の選手は育成契約選手。太線は育成契約を打診されている選手、下線は引退選手です。
★阪神タイガース(61名+6名)
投打で主力が固定され、ファームで最多セーブの小林や16年新人王の高山が戦力外になり、望月以外は全員が現役続行を希望している。小林はファームで守護神を務め経験も十分で、左の変則リリーバーの渡邊は2度目の戦力外になったが、一昨年は32試合で10ホールドを上げており、実績のあるリリーフはどの球団も欲しがるはずだ。
野手もレギュラー陣が確立され、高山と北條、山本は今季一軍の出場がなかった。高山はファームで9本塁打と長打力を発揮しており、今年はドラフトで外野手が不足気味だっただけに、外野手補強が進まなかったチームからの需要はありそうだ。また、北條は貴重な右打ちの内野手で需要が高いと思う。
外国人選手はミエセスの残留が決まり、来季も5~6名で臨むとすれば支配下枠に余裕はない。FAにも参戦しない予定で、補強はトレードが有力になりそうだ。
【投手】
ドラフトでタイプの違う即戦力右腕を獲得しており、年齢も左右のバランスも悪くなく投手陣の補強は必要ない。強いて言えば、左のワンポイントでベテランの嘉弥真新也(ソフトバンク)はさらに投手陣の層を厚くする。若手の成田翔(ヤクルト)や池谷蒼大(DeNA)も投手育成に長けているチームでどう化けるか見てみたい。
【野手】
野手は、ドラフトで将来性のある遊撃手で山田と百崎を獲得したが、内野手は20歳~26歳の右打ちが不足し、外野手は左打ちが少ない。内野なら24歳の増田珠(ソフトバンク)、走攻守揃った上林誠知(ソフトバンク)は左の巧打者で補強ポイントに合う。また、佐藤直樹(ソフトバンク)はドラフト時に阪神も高く評価していた選手で、25歳と若く、高い守備範囲と俊足はチームにフィットすると思う。また、個人的には代打専任で銀次(楽天)や中島宏之(巨人)はチームに貢献しそうな気がする。
投 手…二保 旭(08年/ソ育②)小林慶祐(16年/オ⑤)渡邊雄大(17年/ソ育⑥)
※望月惇志(15年/④)
捕 手…なし
外野手…高山 俊(15年/①)板山祐太郎(15年/⑥)
外国人…Bケラー
【ドラフト指名選手 ※予想背番号】
①下村海翔(青学大・投手)#22 ④百崎蒼生(東海大熊本高・内野手)#56
②椎葉 剛(四国IL徳島・投手)#26 ⑤石黒佑弥(JR西日本・投手)#34
③山田脩也(仙台育英高・内野手)#52 ⑥津田淳哉(大経大・投手)#63
★広島東洋カープ(63名+5名)
投手中心の戦力外通告になるなか、3連覇を支えた一岡が引退を決め、岡田と藤井が育成契約を打診されている。ただ、トミージョン手術で4年間一軍登板がない岡田は、育成契約を保留している。野手は三好が引退を決め、ファームの主戦だった木下は一度も支配下登録されずに戦力外通告を受け、全員が現役続行を希望している。
今年は大学生投手中心に会心のドラフトで課題の投手力強化が進み、唯一の懸念材料は西川龍馬(15年/⑤)のFA移籍の判断だけで、外国人選手5名の去就は今後検討していく。現状、支配下は68名と多く、補強は限られ現有戦力の底上げが基本になる。
【投手】
ドラフトで意中の常廣を獲得し、2位の高と5位の赤塚はリリーフにも適性があり、3位の滝田は1年目からでも大化けが期待できる。また、万が一にでも前田健太(ツインズ)が復帰するようになれば補強の必要はない。
先発が揃っただけに、補強するならリリーフで、嘉弥真新也(ソフトバンク)に田中健二朗(DeNA)、久保拓真(ヤクルト)は経験豊富な左腕。森唯斗(ソフトバンク)や小林慶祐(阪神)、ケガの回復次第だが鍵谷陽平(巨人)が加わると心強い。
【野手】
野手は結構深刻で、内野なら22歳~30歳の右打ちが不在で、ともにユーティリティプレーヤーの増田珠(ソフトバンク)と山田遥楓(日本ハム)は年齢的にもレギュラーを狙え、北條史也(阪神)も補強ポイントに合う。
外野は西川の去就で大きく変わり、ここにきて秋山翔吾(10年/西③)も右ひざの手術で間に合わないとなるとかなり厳しい。実績十分の西川遥輝(楽天)や福田秀平(ロッテ)、上林誠知(ソフトバンク)や高山俊(阪神)も老け込む年ではなく、状況次第では獲得を検討しても良い。
投 手…岡田明丈(15年/①)薮田和樹(14年/②)一岡竜司(11年/巨③)
藤井黎来(17年/育②)※中村来生(21年/育③)※行木 俊(20年/⑤)
捕 手…なし
内野手…三好 匠(11年/楽③)
外野手…※木下元秀(19年/育②)
【ドラフト指名選手 ※予想背番号】
①常広羽也斗(青学大・投手)#17 ④仲田侑仁(沖縄尚学高・内野手)#58
②高 太一(大商大・投手)#23 ⑤赤塚健利(中京学院大・投手)#35
③滝田一樹(星槎道都大・投手)#30
★横浜D℮NAベイスターズ(59名+6名)
引退は藤田のみで、田中健が現役続行を希望し、他の選手は未定のなか平田がドバイ新リーグでドラフト指名され、大橋はメキシカンリーグ移籍が濃厚になっている。
今年のオフは大変そうで、今永昇太(15年/①)がMLB移籍、石田健大(14年/②)と戸柱恭孝(15年/④)にもFA移籍の可能性がある。また、バウアーやウェンデルケンも他球団から熱視線が注がれ去就は未定だ。このほかの外国人選手も、年々成績が落ちているソト、ケガで22試合出場に留まったオースティンなど、最悪7選手全員が退団する可能性もあり、オフの編成が難しいことが予想される。
【投手】
今回のドラフトは大方の予想を覆し、野手指名が中心で投手は松本凌と石田のみでは不安のほうが大きい。特に先発は最悪3名のローテーション投手がいなくなることもあり、先発の候補は多くないが佐藤奨真(ロッテ)や立野和明(日本ハム)、育成のアンダースロー中川颯(オリックス)はともに25歳で伸びしろに期待できる。また、マーベル(日本ハム)は先発・リリーフ両方ともこなせる。
リリーフはエスコバーが退団になり、左腕の嘉弥真新也(ソフトバンク)や成田翔(ヤクルト)は補強ポイントに合い、左投手ではないが経験豊富な小林慶祐(阪神)、若手では堀岡隼人と小沼健太(ともに巨人)は出番が増えれば大化けの可能性がある。
【野手】
野手は社会人ナンバーワンの度会を獲得でき、補強を急ぐ状況ではない。度会は高校時代は二塁手で今後内外野で適性を見極めていく。強いて言えば、内野のユーティリティが必要で山田遥楓(日本ハム)や増田珠(ソフトバンク)の明るい性格はチームに合う気がする。また、戸柱が移籍すると捕手が若手中心になり、ベテランの炭谷銀二朗(楽天)は投打に大きな戦力になる。
【戦力外選手】
投 手…平田真吾(13年/②)田中健二郎(07年/①)笠原祥太郎(16年/中④)
池谷蒼大(20年/⑤)宮國諒丞(10年/巨②)※加藤 大(20年/育②)
捕 手…※東出直也(21年/育②)
内野手…藤田一也(04年/④)田中俊太(17年/巨⑤)
外野手…※大橋武尊(21年/育③)
外国人…エスコバー(投手)※コルデロ(投手)アンバギー(外野手)
【ドラフト指名選手 ※予想背番号】
①度会隆輝(ENEOS・外野手)#25 ④石上泰輝(東洋大・内野手)#38
②松本凌人(名城大・投手)#28 ⑤石田裕太郎(中大・投手)#46
③武田陸玖(山形中央高・外野手)#34 ⑥井上絢斗(四国IL徳島・外野手)#53
★読売ジャイアンツ(58名+5名)
昨年は12名の選手を支配下から育成契約にしたが、今年はゼロで移籍1年目の松田が引退を決め、昨シーズン中にトレード加入の小沼は自由契約になった。育成の阿部が現役続行を希望しトライアウト受験を表明しているが、残りの選手は未定だ。ファームで好投していた鍬原や堀岡の戦力外には驚いたが、ベテランの中島や鍵谷、高木などチームに貢献したベテランが戦力外になり若手への世代交代を印象づけた形になった。
一方、外国人選手の去就は未定だが、先発のグリフィンとメンデス、リリーフのビーディとバルドナード以外は成績的に厳しい。現状、ドラフト選手を加えても63名と支配下には余裕があり、今オフはFA参戦もありそうで、忙しいオフになりそうだ。
【投手】
ドラフトでは先発候補を獲得し、西舘はリリーフに回るプランもある。ただ、投手力強化は優先課題だけに、先発・リリーフともに強化したい。先発ではと佐藤奨真(ロッテ)が面白く、同じ軟投派の大竹耕太郎(阪神)が移籍して活躍したように、セ・リーグにフィットするかもしれない。また、立野和明(日本ハム)も候補に挙げたい。
リリーフでは資金力が豊富なだけに、森唯斗(ソフトバンク)獲得の障害はなく、層が厚く出番が限られた小林慶祐(阪神)や吉田凌(オリックス)も狙い目だと思う。
【野手】
今回のドラフトで、課題の捕手の指名がなく、支配下人数も5名と少なく補強が必要だ。出戻りになるが炭谷銀二朗(楽天)は若手投手の成長を促すには最適な選手。若手では九鬼隆平(ソフトバンク)や梅林優貴(日本ハム)の獲得を検討しても良い。
また、レギュラー不在と言われている外野手は候補が多く、実績十分の西川遥輝(楽天)や上林誠知(ソフトバンク)、長打力が魅力の正随優弥(楽天)、スピード重視なら佐藤直樹(ソフトバンク)など魅力ある選手が並ぶ。
投 手…鍵谷陽平(12年/日③)鍬原拓也(17年/①)高木京介(11年/④)
田中豊樹(15年/日⑤)三上朋也(13年/D④)小沼健太(20年/ロ育②)
堀岡隼人(16年/育⑦)※高田竜星(21年/育②)※奈良木陸(20年/育⑨)
※太田 龍(19年/②)※阿部剣友(20年/育⑧)※山本一輝(19年/⑥)
※谷岡竜平(16年/③)
捕 手…なし
内野手…中島宏之(00年/西④)松田宣浩(05年/ソ希)香月一也(14年/ロ⑤)
外野手…※保科広一(19年/育⑪)
【ドラフト指名選手 ※予想背番号】
①西舘勇飛(中大・投手)#17 ④泉口友汰(NTT西日本・内野手)#23
②森田駿哉(ホンダ鈴鹿・投手)#21 ⑤又木鉄平(日本生命・投手)#46
③佐々木俊輔(日立製作所・外野手)#30
★東京ヤクルトスワローズ(58名+5名)
12球団ワーストのチーム防御率の結果から、育成選手含めて大量8投手が戦力外になった。嘉手刈は育成契約を打診され、大下が引退を決めたが、他の投手の去就は不明だ。野手はベテランの荒木が引退を決め、外野手の戦力外通告は無かった。
外国人選手では既にケラとエスピナルが自由契約になり、オスナ以外は1年契約のなか、サンタナには既に残留要請を行っている。外国人選手を6名で想定しても支配下に余裕はあり、昨年は最多の3選手を戦力外から獲得しており、再生工場と呼ばれるチームだけに今年も眠っている宝を見出したい。
【投手】
ドラフトで即戦力投手3名を上位で獲得しているが、クローザーの田口麗斗(13年/巨③)にFA移籍の可能性もありさらに補強が必要だ。既に嘉弥真新也(ソフトバンク)の獲得調査を行っており、実現すれば貴重なリリーバーが加入することになる。
投手は全般的に強化が必要だが、先発は枚数は豊富なだけにリリーフ強化に舵を取って良い。小沼健太(巨人)と小林慶祐(阪神)はともにファームでタイトルを獲得したこともあり、高橋純平(ソフトバンク)は制球難で結果を残せなかったが、先発・リリーフともにこなせる選手で、再生工場のヤクルトで見てみたい選手の一人だ。
【野手】
実は野手も結構ピンチで、特に外野手不足は深刻だ。個人的にはドラフトで1位競合した高山俊(阪神)やFAで争奪戦を演じた福田秀平(ロッテ)が面白いかなと思っていたが、西川遥輝(楽天)の獲得調査を行っている。また、楽天からは和田恋と正随優弥の長打力のある若手では仲三河優太(西武)は年齢構成の空白も埋める。
また昨年、三ツ俣大樹(10年/オ②)を獲得したように右の内野手が不足しており、ユーティリティの山田遥楓(日本ハム)や、長打力ならブランドン(西武)も面白い。
【戦力外選手】
投 手…吉田大喜(19年/②)杉山晃希(19年/③)市川悠太(18年/③)
成田 翔 (15年/ロ③)久保拓真(18年/⑦)大下佑馬(17年/②)
嘉手刈浩太(20年/⑥)※鈴木裕太(17年/⑥)
捕 手…※松井 聖(19年/育③)
内野手…奥村展征(13年/巨④)荒木貴裕(09年/③)松本 友(18年/育②)
外野手…なし
外国人…ケラ(投手)エスピナル(投手)
【ドラフト指名選手 ※予想背番号】
①西舘昂汰(専大・投手)#11 ④鈴木 叶(常葉菊川高・捕手)#40
②松本健吾(トヨタ自動車・投手)#28 ⑤伊藤琉偉(BC新潟・内野手)#00
③石原勇輝(明大・投手)#35
★中日ドラゴンズ(55名+6名)
球団初の2年連続最下位に沈み、投手では谷元、野手は大野奨に堂上、福田が引退を決め、岡野は現役続行希望で伊藤はトライアウト参加を表明している。
また、岡田に近藤、森山の左投手3名に、野手ではともに2年目の星野と福元が育成契約を打診されている。森山はケガをしたとは言え、1年目で昨年のドラフト3位。福元はファームで打率3割、OPSは7割を超えており、星野も有望株の選手で何故育成契約なのか疑問で、今年のドラフト同様、チーム編成の意図が見えない。
外国人選手ではすでにアキーノとアルモンテが退団になったが、国内FA資格を獲得したビシエドが来季日本人選手扱いになる。外国人選手の補強があと1~2名あったとしても、現状は61名と支配下には余裕があり野手中心に補強を進めたい。
【投手】
投手は来季のFA移籍の可能性や主力の高齢化など、課題を挙げればキリがないが、今回のドラフトで十分に賄えられており、強いて言えば、先発左腕が不足しており、出戻りだが笠原祥太郎(DeNA)や佐藤奨真(ロッテ)が候補になる。また、地元出身の高橋純平(ソフトバンク)は、再起に目掛け獲得を検討してもらいたい選手だ。
【野手】
野手はこの3年間、ドラフトで重点的に獲得しており、実績のある選手に絞って良いと思う。実績なら西川遥輝(楽天)、走攻守三拍子揃った上林誠知(ソフトバンク)や福田秀平(ロッテ)、勝負強いベテランの中島宏之(巨人)に銀次(楽天)、復活を目指す高山俊(阪神)や全力プレーのペイトン(西武)など候補は多い。
一軍での実績は不足しているが、菅野剛士(ロッテ)と松本友(ヤクルト)はファームでタイトル経験もあり、和田恋と正随優弥(ともに楽天)、香月一也(巨人)は長打力が魅力で、とにかく可能性のある選手を育成でも良いので多めに獲得したい。
投 手…谷元圭介(08年/日⑦)岡田俊哉(09年/①)岡野祐一郎(19年/③)
森山暁生(22年/③)近藤 廉(20年/育①)※松田亘哲(19年/育①)
捕 手…大野奨太(08年/日①)
内野手…溝脇隼人(12年/⑤)福田永将(06年/③)星野真生(21年/⑤)
堂上直倫(06年/①)
外野手…福元悠真(21年/⑥)伊藤康祐(17年/⑤)
外国人…ロドリゲス(投手)アキーノ(内野手)アルモンテ(外野手)
【ドラフト指名選手 ※予想背番号】
①草加 勝(亜大・投手)#14 ④福田幸之介(履正社高・投手)#36