ドラフトを知ると野球がもっと楽しくなる

どのチームが「人」を育て強くなるのか

22年新入団選手~セ・リーグ編

東京ヤクルトスワローズ(66名)

 2年連続2桁勝利ゼロの先発陣に、即戦力ルーキーの吉村とエスピナル、左腕ピーターズの加入で先発陣は厚みを増した。痛かったのは、クローザーのマクガフの退団で、清水昇や石山泰稚、新外国人のケラを候補に、リリーフ陣の再編は喫緊の課題になる。実績は乏しいが、新加入の尾仲(阪神)や左腕の成田(ロッテ)にも期待したい。

 2年連続12球団トップの得点数をたたき出した強力打線は健在で、懸念されていたサンタナも残留を決めた。オフの補強も的確で、右打者が不足している内野手でルーキーの北村と中日から三ツ俣を獲得し、19歳~22歳がゼロの外野手に澤井と大西が加わり課題を解消した。唯一、心配なのは支配下が5名しかいない捕手で、育成からの支配下登録、捕手が豊富なソフトバンクやロッテ、広島とのトレードはアリだと思う。

 投手の補強はほぼ終了と言え、支配下から育成契約になった近藤弘樹や、巨人から移籍の沼田も控え補強の必要はない。一方で野手はあと3名程度が予想され捕手を補強したい。外国人選手は6名(投手4/野手2)だが、野手はあと1名は欲しいところだ。 

【新入団選手】

  投 手…尾西祐哉(17年D⑥/#52)成田 翔(15年ロ③/#49)

        エスピナル(レッズ/#99)ピーターズ(パイレーツ/#63)

        ケラ(3Aドジャース#11)吉村貢司郎(22年①#21)

        坂本拓己(22年④#56)沼田翔平(18年巨育③/#015)

  捕 手…橋本星哉(22年育①/#023)

  内野手…三ツ俣大樹(10年オ②/#66)北村恵吾(22年⑤#50)

  外野手…西村瑠伊斗(22年②#36)澤井 廉(22年③#42)

 

★横浜D℮NAベイスターズ(63名)

 今季は投手陣が改善を見せ、さらに失策数はリーグ最少と、一発頼みの大味な野球から接戦をモノにできるチームに生まれ変わり、オフの補強も明確な意思を感じる。

 投手陣は復活した山崎康晃の残留が大きく、昨年フル回転したリリーフ陣強化で、新外国人のウェンデルケンにドラフトで橋本を獲得。また、不足気味の先発右腕で即戦力の吉野、中日から移籍の笠原は先発は勿論のこと、左の中継ぎとしても期待できる。

 野手ではレギュラー不在の遊撃に、守備の名手・京田が加入した。強力打線のなかで京田に求められるのは“繋ぎ”の役割で良いチームに加入したと思うし、森敬斗への刺激にもなる。唯一、不安なのは捕手で、毎年レギュラーが流動的ななか、嶺井博希がFAでソフトバンクに移籍した。松尾は時間は必要で、育成の上甲にもチャンスがある。

 現状、支配下は63名で、投手は外国人選手や育成からの支配下登録になるだろう。野手も補強を急ぐ必要はないが、全体的に年齢バランスが悪く、捕手ならロッテ、内野手なら阪神とのトレード、楽天から戦力外の内田靖人はピースにハマる選手だ。

【新入団選手】

 投 手…笠原祥太郎(16年中④/#47) ウェンデルケン(3Aリノ/未定)

       吉野光樹(22年②/#24)森下瑠大(21年④/#36)

       橋本達弥(22年⑤/#35)今野瑠斗(22年育③/108)

       渡辺明貴(22年④/106)草野陽斗(22年育⑤/101)

 捕 手…松尾汐恩(22年①/#5)上甲凌大(22年育①/127)

 内野手京田陽太(16年中②/#98) 林 琢真(22年③/#00)

       西巻賢二(17年楽⑥/#129)鈴木 蓮(22年育②/100)

 外野手…なし

 

阪神タイガース(69名)

 12球団ナンバーワンの防御率、チーム打率と得点はリーグ5位、そして7年連続のリーグワーストの失策数と課題は明白だ。ドラフトは高校生中心に育成を重点に置き、現有戦力の底上げと今季機能しなかった外国人選手での補強を行った。

 鉄壁の投手陣はFAの西勇輝に岩崎優、最後まで悩んだ岩貞祐太も残留を決めた。今季固定できできなかったクローザーは湯浅京己に目途が立ちそうななか、リリーフでビーズリー、先発候補でB・ケラーと左腕の大竹が加わり投手陣はさらに厚みを増した。

 課題の野手は、獲得した選手がすべて右打者と徹底した補強になった。日本ハムから加入した渡邊はストレートにめっぽう強く、ノイジーは広角に打てる三塁手で二塁や外野も守れ、外野はともにスラッガーの森下とミエセスが加入した。ただ、ミエセスは三振が多く、渡邊とノイジーは守備が巧いとは言えず、課題の解消には疑問が残る。

 支配下は既に69名で補強は終了と言え、あとは交換トレードになるが、野手の最年長が31歳の原口文仁になり、若いチームを鼓舞するベテランの存在が必要だと思う。

【新入団選手】

 投 手…大竹耕太郎(17年ソ育④/#49) ビーズリー(3Aパイレーツ/#99 )

       ブライアン・ケラー(3Aレッドソックス/#24))門別啓人(22年②/#30)

     茨木秀俊(22年④/#48)富田 蓮(22年⑥/#50)     

 捕 手…なし

 内野手…渡邊 諒(13年日①/#25)高濱祐仁(14年日⑦/#43)

       ノイジー(3Aアススレチックス/#7)戸井零士(22年⑤/#44)       

 外野手…ミエセス(3Aレッドソックス/#55)森下翔太(22年①/#1)

     井坪陽生(22年③/#40)野口恭佑(22年育①/#121)

 

読売ジャイアンツ(55名)

 現在、支配下は12球団最小の55名…。例年通り支配下から多くの選手を育成契約にしたが、一軍クラスは、投手なら高橋優貴に中川晧太、平内龍太と高木京介。野手は梶谷隆幸と立岡宗一郎しかおらず、全員が支配下になっても61名。現状、外国人選手は4名で、例年ならば、あと3~4名が加わると思うが編成の遅さは否めない。

 リーグワーストの防御率本塁打頼みの大味な打線、昨季リーグ最少の失策数もリーグ5位に後退し、課題山積のなか補強らしい補強がない。ともに大ベテランの松田と長野が加入したが、戦力というよりはチームの引き締めの役割が強いように感じる。

 丸佳浩の右翼コンバートに備え、オコエのような難しい選手を含む中堅候補を多く獲得したが、既に白紙に戻す報道もあり、補強にチグハグさを感じる。育成選手を見ても今季のドラフトで9名中8名が高校生で時間はかかり、今オフのFAに参戦することすらできず、補強が既知として進まないなかファン以外でも大丈夫かと思ってしまう。

【新入団選手】

 投 手…ビーディー(3Aインディアナポリス/#33)メンデス(MEXモンテレイ/#65)

       ロペス(メッツ/#99)田中千晴(22年③#48)

       船迫大雅(22年⑥/#58)松井 颯(22年育①/#021)

       田村朋輝(22年育②/#023)吉村優聖歩(21年育③/#026)

       北村流音(22年育⑦/#027)森本哲星(22年育⑧/#034)

 捕 手…なし

 内野手松田宣浩(05年ソ希望/#23)門脇 誠(22年④/35)

       中田歩夢(22年育③/#002)相沢白虎(22年育④/#008)

 外野手…長野久義(09年巨①/#7)オコエ瑠偉(15年楽①/#50)

       浅野翔吾(22年①/#51)萩尾匡也(22年②/#12)      

       三塚琉生(22年育⑤/#031)大城 元(22年育⑥/#044)

 

広島東洋カープ(67名)

 夏場に投手陣が息切れすると、長打力と機動力不足のちぐはぐな戦いのまま終戦。特に、盗塁数わずかに26個と機動力がお家芸だったチームとは思えない結果になった。

 課題の一つは投手陣で、先発は大瀬良大地に九里亜蓮、森下暢仁、床田寛樹に次ぐ選手が必要で、リリーフは栗林良史に繋ぐセットアッパーが必要になる。そんななか巨人から戸根を獲得できたのはプラスだが、即戦力ルーキーの益田と河野、左腕の長谷部のうち、1~2名が期待通り戦力にならないと、大きな上積みがない分厳しい。

 打線の課題の長打力は、新外国人のデビッドソンはメジャー通算54本塁打スラッガーで、今季捕手に専念する坂倉将吾が抜けた三塁の候補になる。また、機動力は俊足の久保を獲得したが、チーム全体で走塁に対する意識を高めないと改善にはならない。

 現状、67名で計算できる先発投手が欲しいところだが、ここ数年トレードに積極的ではなく、あっても外国人選手の補強になりそう。野手では育成の木下元秀の評価が高く、二俣に続いて支配下契約の可能性があり、シーズン中の補強になりそうだ。

【新入団選手】

 投 手…戸根千明(14年巨②/#49)斎藤優汰(22年①/#47)

       益田武尚(22年③/#26)河野 佳(22年⑤/#46)

       長谷部銀次(22年⑥/#39)辻 大雅(22年育③/#125)

 捕 手…清水叶人(22年④/#62)

 内野手…デビッドソン(3Aラスベガス/#95)内田湘大(22年②/#63)

       二俣翔一(20年育①/#99)※支配下登録

 外野手…久保 修(22年⑦/#56)名原典彦(22年育①/#121)

       中村貴浩(22年育②/#123)

 

中日ドラゴンズ(64名)

 大した補強もないまま迎えた今シーズンは、大方の予想通りと言えばそれまでだが最下位に沈んだ。強力投手陣は先発陣に陰りが見え、課題の打線は1試合平均2.9得点は12球団最低で、本塁打も12球団ワーストだった。

 やはり課題は打線で、特にクリーンアップの編成がポイントになる。昨年、首位打者争いをした大島洋平と、最多安打の岡林勇希の1・2番コンビを擁しても点数に繋がらないのは、3~5番が機能しなかったからで、ビシエドを中心に再編成する必要がある。4番候補の石川昂弥をはじめ、昨年のドラフトや現役ドラフトでは細川を獲得し、右の大砲候補だけは数多くおり、1人でも2人でもこのチャンスを掴んで欲しい。

 今オフは賛否両論のあるトレードで話題には事欠かない。そのなかで、先発陣の整備が課題のなか涌井の加入は大きい。37歳の年齢がネックだが、単年で見れば間違いなく戦力になる。不安なのは捕手で、木下拓哉に続く2番手捕手が見当たらない。阪神の長坂拳弥やロッテの柿沼友哉、日本ハムの清水優心はトレードで狙い目だと思う。

【新入団選手】

 投 手… 涌井秀章(04年西①/#20)砂田毅樹(13年D育①/#39)

     仲地礼亜(22年①/#31)森山暁生(22年③/#40)

          福島章太(20年④/#64)※支配下登録

     松山晋也(22年育①/211)野中天翔(22年育②/212)                

 捕 手…山浅龍之介(22年④/#57)

 内野手…カリステ(MEXモンテレイ/未定)村松開人(22年②/#5)

       濱将乃介(22年⑤/#37)田中幹也(22年⑥/#2)

       福永裕基(22年⑦/#68)樋口正修(22年育③/#213)

 外野手…細川成也(16年D⑤/#0)アルモンテ(モンテレイ/未定)

       アキーノ(レッズ/未定)