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どのチームが「人」を育て強くなるのか

こういったトレードはいかがでしょう~パ・リーグ編

 交流戦も終わり、シーズンもいよいよ半分を過ぎようとしている。トレードの動きはないが、新たにソフトバンクデスパイネの再獲得を決め、日本ハムとい中日で2対2のトレードが成立した。

 今季はシーズン開幕後から18名の選手が新たに支配下され、ハンソン(日本ハム)とメヒア(中日)が新外国人として加入以外は、すべて育成契約からの移行になっている。うち9名が支配下登録への再移行で、新たに支配下されたのは投手では丸山翔大(ヤクルト)に松井颯(巨人)、松山晋也(中日)、野手は大里昂生とセデーニョ(オリックス)、古市尊(西武)、中村貴浩(広島)の7名しかいない。

 ちなみに開幕後、新加入がないのは阪神とロッテ、楽天の3球団のみで、今後どういった動きになるか注目していきたい。

 ※今シーズンの主力選手の〇は規定投球回数、打席数を達成している選手で、〇内の   

  数字は6/16時点での順位です。☆の数はお薦め度数です。

 

オリックス(1位)防御率2.96②(2.84②)打率,255①(,246②)

 主砲の吉田正尚がMLBへ、伏見寅威もFAで移籍し戦力ダウンが危惧されたが、FA加入した森が両選手の穴を埋め、巨人から獲得した廣岡大志にお加入で題の右の内野手不足を解消した。プロ初登板が開幕戦だった山下、育成から支配下登録された茶野の新戦力の台頭もあり3連覇に向け首位に立っている。昨年、一昨年はシーズン終盤の逆転優勝だっただけに、この時期の首位からどのような展開になるか注目したい。。

◆先発…山本由伸 宮城大弥 山岡泰輔 田嶋大樹 山崎福也 山下舜平太

◆リリーフ…平野佳寿 山崎颯一郎 ワゲスパック 本田仁海 阿部翔太

◆打者…頓宮裕真① 森 友哉⑤ 茶野篤政⑨ 中川圭太⑫ 宗 佑磨⑮ 

      ゴンザレス 紅林弘太郎 杉本裕太郎 若月健矢 小田裕也 大城滉二 

 支配下は66名と巨人と並んで最小だが、若手とベテランのバランスも良く、現状投打に大きな課題は見当たらない。いま現在トレードを急ぐ必要はなく、優勝に向けて不足のピースを見極めて埋める必要がある。

 投手陣の課題はリリーフ陣で、先発陣の防御率は12球団で1位の反面、救援陣は若干の不安を抱える。攻撃陣はチーム打率1位で、本塁打は2位、長打率も1位とロングヒッターの多い打線になっている。一方で盗塁や犠打は少なく、併殺打が多いことから良く言えば積極的な打線だが、悪く言えば細かな野球は得意としていない。

 リリーフでは左投手が少なく、現状は山田修義しかいない。他球団も決して多い訳ではないが、坂本裕哉(DeNA)に渡邊雄大阪神)、塹江敦哉(広島)は今季は出番が少なく、同一リーグだが堀瑞樹に福田俊(日本ハム)、公文克彦(西武)は攻撃力が不足しているチームだけに成立する可能性が高い。

 野手は捕手が5名と少なく、頓宮は内野が主戦場で、来年は若月のFA移籍の可能性もあり、経験を擁するポジションだけに補強が必要だ。ベテランの小林誠司(巨人)に磯村嘉孝(広島)、若手では古川裕大に梅林優貴(日本ハム)、海野隆司(ソフトバンク)、伸び悩んでいる中村奨成(広島)も環境を変えることで覚醒するかも知れない。

 ☆☆ 山足達也 ⇔ 古川裕大(日本ハム)~数的に少ない捕手の補強(若手)

 ☆☆ 漆原大晟 ⇔ 小林誠司(巨人)~    〃   (ベテラン)

 ☆  吉田 凌 ⇔ 坂本裕哉(DeNA)~左のリリーフ投手の補強

 

ソフトバンク(2位)防御率3.18⑤(昨年3,25①)打率,248②(昨年,247①)

 2年連続のV逸から今季は優勝を至上命題とし、賛否両論はあったもののFAで日本ハムから近藤、DeNAから嶺井博希を獲得。また、ロッテからオスナ、阪神からはガンケル、MLBから復帰の有原航平も復帰するなど大型補強で臨んだ。ただ、チームの成績は期待通りとは言えず、長打力不足解消のため昨季退団したデスパイネの再獲得が決まるなど、今年は何が何でも優勝するという強い決意が伝わる。

 ◆先発…大関友久③ 東浜 巨⑧ 石川柊太 藤井晧哉 和田 毅

 ◆リリーフ…オスナ モイネロ 津森宥紀 大津亮介 松本裕樹 田浦文丸 板東湧梧 

 ◆打者…中村 晃② 柳田悠岐③ 近藤健介④ 今宮健太⑩ 栗原陵矢⑭ 

     甲斐拓也 周東佑京 牧原大成 柳町 達 佐藤直樹 川瀬 晃 三森大貴

 今季はエースの千賀滉大が念願のMLBへ移籍し、クローザーの森唯斗も不振で先発とリリーフの補強が急務だった。投手陣は先発が課題で、先発の防御率3.50はリーグワーストで層の厚いリリーフ陣までなかなか回すことができていない。打線も主力選手が高齢化し、懸念されていた世代交代が上手く進まず、新外国人選手も残念ながら機能していない。本塁打リーグ4位と長打力不足を補うためデスパイネ再獲得は頷けるが、一方で盗塁数もリーグ5位と少なく結果として淡白な打線にならないか心配だ。

 一方で12球団髄一の層の厚さは健在で、大竹耕太郎(阪神)や田中正義(日本ハム)など、昨年ほとんど出番のなかった選手が移籍先で主戦として活躍しているのだから、他球団からすれば垂涎の的だろう。

 トレード要員は豊富で、投手は高橋礼に尾形崇斗、椎野新、現役ドラフトで移籍した古川侑利はファームで好投しても出番がない。野手では嶺井の加入で海野隆司が、近藤の加入で上林誠知の出番が激減しており、渡邊陸も打てる捕手で、ファームが主戦では勿体ない。さらにデスパイネの加入で外国人選手は8名となり、ガルビスやアストゥディーヨは移籍を検討して良いと思う。特に若手の尾形(24歳)や海野(26歳)、渡邊(23歳)は他球団で是非チャンスを上げて欲しい選手だ。

 ☆☆ 渡邊 陸  ⇔ 東 晃平(オリックス)~若手先発投手候補の獲得

 ☆  古川侑利  ⇔ 高梨裕稔(ヤクルト)~経験のある先発投手の獲得

 ☆  アストゥディーヨ → 金銭(ロッテ)~外国人選手と支配下の枠を空ける

 

◆西 武(6位)防御率3.13④(3,94⑥)打率,227④(,239④)

 もはやお家芸となったFA移籍で森友哉オリックスに移籍し、主砲の山川穂高は女性問題で野球選手としてプレーできるかの岐路に立つなど、18~19年に山賊打線と恐れられたいた強力打線は見る影もなくなった。ちなみに得点数、犠打数、四球数、出塁率がリーグワーストで現段階では得点能力が一番低い。好調だった投手陣にも綻びが見え始め、平良が先発へ転向したが、皮肉にもその先発陣の不振が目立ち始めてきた。

◆先発…高橋光成① 平良海馬 隅田知一郎 今井達也 エンス 松本 航

◆リリーフ…増田達至 森脇亮介 青山美夏人 佐藤隼輔 平井克典 ティノコ  

◆打者…外崎修汰⑦ マキノン⑱ 愛斗 鈴木将平 中村剛也 児玉亮涼 古賀悠斗 

    若林楽人 長谷川信哉

 正直、上がり目は乏しい。今一番の期待は39歳の中村の復帰で、野手陣の世代交代の遅れが顕在化している。野手陣で言えば、捕手が4年目の柘植と2年目の古賀が主戦で、ベテラン岡田雅利の復帰の目途が立たないなか補強が必要だ。また、外野のレギュラー不在が久しく続いており、昨年は秋山翔吾(広島)の復帰も叶わなかった。若手にチャンスを与えたが、残念ながらチャンスを掴む選手はおらず、思い切って他チームのレギュラークラスを狙った大型トレードを敢行しても良いと思う。

 現状、投手が不足で野手が豊富なのはDeNAと巨人、楽天で、特にDeNAは楠本泰史に大田泰示の外野のレギュラークラスが控え、若手では知野直人や蝦名達夫もブレイクの可能性は高い。巨人にはリードに定評があり強肩捕手の小林誠司がおり、松原聖弥は喉から手が出るほど欲しいリードオフマン候補。石川慎吾や北村拓己は右の長距離砲で山川の穴を埋めることが期待できる。楽天にもリードオフマン候補の田中和基、長距離砲の和田恋がおり、茂木栄五郎も出番が少なくなっている。

 また、若手の切り替えのなか逆行するが、炭谷銀仁朗楽天)や中島宏之(巨人)の古巣復帰はファンは涙すると思う。更に外国人選手が機能しておらず、ガルビスやアストゥディーヨ(ソフトバンク)や元ロッテのマーティン獲得も面白いと思う。

 ☆☆ 公文克彦 ⇔ 楠本泰史(DeNA)~外野のレギュラー候補

 ☆☆ 田村伊知郎⇔ 田中和基(楽天)~外野のレギュラー&リードオフマンの獲得  

 ☆  森脇亮介 ⇔ 小林誠司&松原聖弥(巨人)~捕手とリードオフマン候補 

 

◆楽 天(5位)防御率3.57⑥(昨年3,40④)打率,224⑥(昨年,243③)

 チームの総年俸は12球団3位と、ここ数年は大型補強でチームを強化してきたが、優勝に届かず、結果として主力選手が軒並み30歳を超えた。大型補強のあおりを受けた若手の台頭も遅れ今季は開幕から下位に低迷し、石井監督の休養説まで最近は出てきている。チーム防御率と打率がリーグ最下位と投打に奮わず、救援陣の3.94は断トツのワースト、失策数も多く、数字だけ並べてみても低迷が頷ける。

 ◆先発…田中将大⑨ 則本昂大 早川隆久 荘司康誠 瀧中瞭太 藤平尚真    

 ◆リリーフ…松井裕樹 酒居知史 西口直人 安楽智大 鈴木翔天 内 星龍

 ◆打者…浅村栄斗⑬ 小深田大翔⑰ 山崎 剛⑲ フランコ㉑ 島内宏明㉒ 

       岡島豪郎 辰巳涼介 鈴木大地 小郷裕哉 伊藤裕季也 田中和基 

       太田 光 安田悠馬

 先発は相変わらず田中将に岸、則本のベテラン頼りで若手の成長に乏しい。ポテンシャルはあるがデビューには時間が必要と言われたルーキーの荘司に頼らざるを得ない現状が物語っており、リリーフも松井に繋ぐ形が確立できていない。先発なら若手の有望株か中堅で出番の限られている選手。リリーフはセットアッパーが欲しい。

 先発の候補は京山将弥(DeNA)に東晃平(オリックス)、中堅では中村祐太(広島)や岡野祐一郎(中日)、高橋礼(ソフトバンク)は今季出番が少ない。個人的には地元の吉田輝星(日本ハム)も一軍未登板で、トレードを打診しても良いと思う。

 救援陣では馬場皐輔(阪神)に鈴木博志(中日)、同一リーグになるが国吉佑樹(ロッテ)に堀瑞樹に井口和朋(日本ハム)はいずれもセットアッパーの経験がある。ただ、支配下は67名で外国人選手も4名しかおらず、外国人選手の獲得を目指しても良く、NPP経験のある外国人投手の獲得も検討して良いと思う。

 攻撃陣は右打者が不足と言われているが、33名の野手のうち半分の16名が右打者で数の問題ではない。どちらかうと言うと長距離打者よりは、チャンスメークもポイントゲッターになる打者が欲しく、経験豊富な西浦直亨(ヤクルト)に山足達也(オリックス)、山野辺翔(西武)など候補は多く、成長著しい郡拓也(日本ハム)も面白い。

 ☆☆ 田中和基 ⇔ 鈴木博志(中日)~セットアッパー候補の獲得

 ☆☆ 西川遥輝 ⇔ 山野辺翔(西武)~右打ちユーティリティ野手の獲得

 ☆  茂木栄五郎⇔ 吉田輝星(日本ハム)~将来を見据えたエース候補の補強

 

◆ロッテ(3位)防御率3.10③(3,67⑤)打率,230③(,239④)

 吉井監督を新監督に迎え、シーズン前の下馬評は高くなかったが、首位に1.5ゲーム差の3位と健闘している。チーム防御率は3位で、特に先発投手は2.78はオリックスと並んでリーグ1位で、失策数はリーグ最少で守りの野球が確立できている。野手陣は本塁打がリーグ最少と派手さはないが、四球数に犠打、犠飛がリーグ1位、盗塁は2位と弱者の野球ではないが、粘り強く1点を獲りにいく姿勢が結果に繋がっている。

 ◆先発…種市篤暉④ 小島和哉⑥ メルセデス 西野勇士 佐々木朗希

 ◆リリーフ…益田直也 澤村拓一 ペルドモ 西村天裕 坂本光士郎

 ◆打者…安田尚憲⑧ 中村奨吾⑳ ポランコ 山口航輝 藤岡裕大 藤原恭大

       岡 大海 平沢大河 佐藤都志也 茶谷健太 田村龍弘 友杉篤輝   

 現状、投手では先発の石川歩の二木康太、リリーフの小野郁に東條大樹、野手ではリードオフマン荻野貴司と高部瑛斗が戦列を離れベストメンバーは組めていないが、現状は早期復帰の声も聞こえず、優勝を狙うには補強が必要だ。

 優先順位は野手で、安田や山口の本格的な覚醒に期待したいが、現状は長打力のある選手が欲しい。投手力が課題の巨人やDeNA、楽天、先発陣の補強が必要なソフトバンクとも成立する可能性はある。

 スラッガーでは石川慎吾や北村拓己(巨人)、和田恋(楽天)がおり、楠本泰史(DeNA)に上林誠知(ソフトバンク)はパンチ力のあるクラッチヒッターでレギュラーを狙え、巧打の松原聖弥(巨人)はチームにフィットしそうな気がする。また、外国人選手の補強も手で、二軍調整中のアストゥディーヨ(ソフトバンク)やアキーノ(中日)、マーティンの復帰なども起爆剤になると思う。

 投手は救援陣の層を厚くしたい。特に主力投手が30歳を超え、将来を見据えて若手または中堅を獲得したい。馬場皐輔(阪神)に中村祐太(広島)、鈴木博志(中日)加え、同一リーグだが椎野新(ソフトバンク)に大曲錬(西武)は狙い目で、不足している左腕で塹江敦哉(広島)に笠谷俊介(ソフトバンク)も欲しい選手だ。 

 ☆☆☆国吉佑樹 ⇔ 石川慎吾(巨人)~右の長距離砲の補強

 ☆  柿沼友哉 ⇔ 大曲 錬(西武)~若手のリリーフ候補の獲得

 ☆  菅野剛士 ⇔ 鈴木博志(中日)~セットアッパー候補の獲得 

 

日本ハム(4位)防御率2.75①(3,32③)打率,225⑤(,231⑥)

 意外と言っては失礼だが、最下位予想がほとんどのなか交流戦も勝ち越し4位と上位を狙える位置にいる。スタートこそ苦戦したものの、5月からは投手陣が整備され、リーグ防御率は1位、先発もリリーフ陣ともに防御率2点台は日本ハム阪神だけだ。一方で攻撃陣はリーグ打率こそ最下位ながら、本塁打は2位、犠打も多く得点能力高い。課題は出塁率が唯一2割台、失策数はリーグ最多で守備面の改善が求められる。

◆先発…加藤貴之② 上沢直之⑤ 伊藤大海⑦ 鈴木健矢 北山亘基

◆リリーフ…田中正義 宮西尚生 ロドリゲス 池田隆英 河野竜生 玉井大翔

◆打者…松本 剛⑥ 万波中正⑪ 野村佑希⑯ 上川畑大悟 マルティネス 江越大賀

    伏見寅威 アルカンタラ 矢澤宏太

 今季の新庄監督の「優勝しか目指さない」の言葉を疑う声が多かったが、近藤のFA移籍で獲得した田中をクローザーに据え、阪神から移籍の江越も覚醒させた。開幕前にロッテの福田光輝(⇔西村天裕)、オリックスから斎藤鋼記(⇔石川亮)をトレードで獲得し、新外国人でハンソンとマーベルを獲得した。さらに先日、中日の郡司裕也と山本拓実(⇔宇佐見真吾&斎藤鋼記)とのトレードを成立させ、ここに来て上位3チームを脅かす台風の目になりつつある。

 今回の中日とのトレードは日本ハムに分がある。捕手として課題はあるが、打撃の良い郡司は攻撃陣の補強になり、23歳の山本の獲得は将来的に見てもプラスになり、短期的な視点での補強の中日とは対照的だ。さらなるトレードも十分に考えられ、補強は攻撃力アップと二遊間の強化が課題になり、投手38名、野手31名の質量ともに豊富な投手陣が軸になる。

 二遊間強化では、田中俊太(DeNA)に若林晃弘(巨人)、山野辺翔(西武)は内外野守れるユーティリティ、西浦直亨(ヤクルト)と柴田竜拓(DeNA)、三好匠(広島)、山足達也(オリックス)は堅実な守備に定評がある。支配下69名と残る支配下枠は一つしかないが、アッと言わせるトレードがまだあるかも知れない。

 ☆☆ 井口和朋 ⇔ 柴田竜拓(DeNA)~二遊間の補強(守備職人)

 ☆☆ 杉浦稔大 ⇔ 茂木栄五郎(楽天)~打線強化と正三塁手候補 

 ☆☆ 古川裕大 ⇔ 山野辺翔(西武)~内外野のユーティリティ選手の獲得