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どのチームが「人」を育て強くなるのか

20年ドラフト候補選手~投手は右の本格派、野手は大卒2年目が多い社会人35名

 昨年は社会人には厳しいドラフトになった。指名人数は一昨年の19名から11名に減少し、特に野手は佐藤直樹ソフトバンク)と小深田大翔(楽天)の2人の1位指名はあったものの、全体で3名と低調だった。

 今年も残念ながら、現時点では豊作とは言えず、即戦力としてどのチームにフィットするか強みをアピールしていきたい。特に投手は本格派右腕の候補が多く、数少ない実戦で結果を残さないと厳しい。

●投手~栗林、森井と右の本格派がズラリ、即戦力として実戦で結果を残したい

 現時点で1位候補として名前が挙がるのが、栗林良史(トヨタ自動車で、名城大で投手に転向。最速153キロのストレートを軸に、選手層の厚いチームで1年目から登板機会を掴み、都市対抗準優勝に貢献した。

 栗林に次いで評価が高いのが、森井紘斗(セガサミーだ。板野高(徳島)時代より注目された右腕で、高卒3年目でのプロ入りを目指す。150キロ超のストレートと鋭いカットボールを軸に、力で押す投球は将来性も十分だ。

 同じ高卒3年目では、小野大夏(ホンダ)松本竜也(ホンダ鈴鹿も上位候補になる。小野は上半身に頼ったフォームが社会人で修正され、球速が150キロを超え制球力が増し、先発・抑えのどちらでも行けるのも強みだ。松本は140キロ中盤のストレートが武器で、低めに決まる伸びのあるボールは球速以上と言われ、まだまだ伸びしろを感じさせる。山本隆広(日本生命は、172センチと小柄だが150キロの直球は威力十分。関大時代には、リーグ戦20勝に完全試合も達成した。

 この後に続く有力選手では、山本晃希(日本製鉄かずさマジック)平川裕太(鷺宮製作所はともに最速150キロを超える本格派右腕だ。山本は伸びのある直球とフォークが武器、平川も直球の質が素晴らしく、リリーフとして1年目からフル回転した。森田駿哉(ホンダ鈴鹿も本格派左腕で、富山商高で甲子園で活躍しドラフト候補に挙がるも法大へ進学、残念ながら大学では結果を残せなかったが素質は申し分ない。

 評価が分かれるのが、152キロ左腕の佐々木健(NTT東日本)で、打者のタイミングを崩すチェンジアップの精度も高い。ただ、安定感に乏しく、良いときは手も足も出ないが、ダメなときも多い…。いわゆるロマン枠(化ければ凄い選手)で、大卒2年目の社会人選手としては、コンスタントに結果を残さないと候補で終わってしまう。

 このほかにも本格派右腕が並ぶ。小山台高(東京)で都立勢初のセンバツ出場経験を持つ伊藤勇輔(三菱日立パワーシステムズは、最速150キロの直球で押すパワーピッチャーで、馬場康一郎(シティライト岡山)も最速151キロと速い。菅野秀哉(東京ガス山上大輔(日本新薬はともに直球と多彩な変化球が武器で、菅野は長身から投げ下ろす直球が150キロを超え、山上は恵まれた体格から放つ直球の球質が重い。須永悦司(JR東日本も、190センチの長身からの150kキロを超える直球が魅力、チームメイトの西田光汰(JR東日本も最速147キロの直球を武器に、昨年ドラフト候補だったが不調で指名漏れし、今年はプロ入りを果たしたい。

 青野善行(日立製作所は、国際武道大でリーグ通算13勝を上げた球持ちの良いピッチングは健在、青島凌也(ホンダ)カットボールなどの変化球の精度が高く、釘宮光希(日本通運もキレのあるスライダーでさらに成長を続けている。大江克哉(NTT西日本)は、140キロ後半の直球と変化球を巧みに操るスリークオーター、川瀬航作(日本製鉄広畑)は変則のサイドスロー右腕だ。 

 

●野手~峯本、今川とJFE東日本勢に注目!大卒2年目で悲願のプロ入りを目指す

 捕手では、神戸国際大高(兵庫)から強打で注目されていた猪田和希(JFE東日本)は、社会人でも打てる捕手として着実に成長している。保坂淳介(NTT東日本)も強肩強打の社会人屈指の捕手で、昨年に続き候補に名を連ねている。

 内野手では峯本匠(JFE東日本)の評価が高い。大阪桐蔭高には高3夏の甲子園で香月一也(ロッテ)等とともに全国制覇を経験し、立大時代にはケガで結果を残せなかったが、社会人で見事に打撃の天才が復活した。1年目から二塁のレギュラーを獲得し、昨夏の都市対抗では打率.412でチーム初優勝に貢献した。

 峯本とチームメイトの平山快(JFE東日本)も上位候補の一人で、東海大時代の4年秋のリーグ戦では三冠王を獲得し、勝負強い打撃で社会人1年目から4番に座っている。岩城駿也(西濃運輸スラッガーで、九産大時代は通算19本塁打を放ち、社会人でもその強打は変わらない。

 吉田叡生(ホンダ)は、中大4年春にリーグ戦首位打者を獲得した巧打者で、強豪ホンダでも1年目からレギュラーを獲得し、内外野守れるのも強みだ。高瀬雄大明治安田生命は、社会人で伸びた選手で、巧打の遊撃手としてチームのリードオフマンを務める。岡田耕太(JFE東日本)は右の巧打者、諸見里匠(日本通運は身体能力の高さを活かした守備力が評価されている。

 外野手では今川優馬(JFE東日本)は、超攻撃的2番打者のパワーヒッターで、逆方向にも伸びのある打球を放つ打撃技術も向上した。昨夏の都市対抗では峯本とともに若獅子賞を受賞し、初優勝に貢献した。2人のリードオフマンにも注目で、向山基生(NTT東日本)は50メートル6秒の俊足で、走攻守揃った右打ちの外野手。逢澤峻介(トヨタ自動車も、1年目から不動の1番打者として都市対抗準優勝に貢献した。

 長沢吉貴(東芝も50メートル5秒6の俊足にミートの巧い巧打者で、楠研次郎(東京ガスも富士大時代にリーグ通算102安打を放った。越智達矢(日本生命はパンチ力のある右の大砲で、都市対抗では4番に座った。