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どのチームが「人」を育て強くなるのか

20年ドラフト予想☆中日~強竜打線復活に向け、野手陣の強化を優先したい

●得点力不足は今年も解消されず…Aクラス争いがやっとの不本意なシーズン

 個人的に今年は中日を評価していて、優勝は難しいかもしれないが、上位争いに喰い込む可能性は十分あると思っていた。しかし今年もBクラスが定位置で、ようやく3位になったが、2位阪神から4位DeNaまで3ゲーム差内の混戦状態で、何とかAクラスを確保し、8年連続のBクラスは避けたいところだ。

 ここ数年の課題は攻撃陣で、昨年はチーム打率はリーグ1位も、機動力も長打も不足し、得点はリーグ5位と打率の高さが得点力に結びついていなかった。今年は…と言うと、チーム打率、本塁打、盗塁数、得点数すべてリーグ最下位で、打てない、一発もない、走れないのないないづくしで、これでは上位進出は厳しい。

 今シーズン理解できなかったのは、これだけ打てないにも関わらず、まったく補強をしなかったことだ。育成から外国人選手を支配下にしただけで、同じリーグは難しいにしても、ソフトバンク楽天日本ハムなど打力のあるチームには出番の少ない有力選手がおり、成立するトレードもあったと思うが…結果、巨人の独走を許す展開になってしまった。

【10/2現在のチーム成績 ※( )は昨年の成績】

 勝敗 91試合 42勝44敗5分③

 防御率…3.86④(3.72③)打率….248⑤(.263①)

 本塁打…54⑥(90⑥)盗塁22⑤(63④)

 得点327⑥(563⑤)失点375④(544①)得失点差▲48(+19)

 

 その課題の攻撃陣だが、ある解説者が中日の主力で他チームでもレギュラーになれるのは、大島洋平日本生命~09年⑤)と高橋周平(東海大甲府高~11年①)、ビシエドくらいしかいないと言っていたが、まさしくその通りだと思う。大島と高橋はともに3割を打ち、ビシエドがチームでただ一人2桁本塁打を放っている。

 規定打席にはもう一人京田陽太(日大~16年②)がクリアしているが、守備は12球団ピカ一も打率.231はリーグ最下位は物足りない。昨年ブレイクした阿部寿樹(ホンダ~15年⑤)、チームリーダーの平田良介大阪桐蔭高~05年高①)はともに不振、アルモンテは今年も故障で離脱、捕手のレギュラーは相変わらず決まっていない。

 昨年もそうだが、中日打線を見ていて思うことは、チームバッティングになっていないような気がする。個々が好き勝手に打っている印象で、広い球場でホームランバッターも少ない、盗塁も大島や京田以外に期待できないのなら、どうやって1点をもぎ取る姿勢が大事だ。

 投手陣はエース大野雄大(佛教大~10年①)が防御率2点台で7勝とチームを支えている。このほかに柳裕也(明大~16年①)と福谷浩司(慶大~12年①)、左腕の松葉貴大(大体大~12年オ①)のドラフト1位カルテットに、ルーキー岡野祐一郎(東芝~19年③)がローテーションを守っている。

 クローザーは当初は岡田俊哉智弁和歌山高~09年①)が務めていたが、不振でRマルティネスに代わり、マルティネスはリーグ2位の14セーブを挙げている。その岡田が中継ぎにまわり、祖父江大輔トヨタ自動車~13年⑤)と福敬登(JR九州~15年④)とともに勝ちパターンを担っている。

 投手陣も決して万全とは言い難いが、現状の打線を見れば、かつて落合監督が実践していた投手陣を中心に、1点を確実にもぎ取り、守り勝つ野球が必要だと思う。

【中日の補強ポイント】

 投 手…将来のエース候補(高卒左腕がベスト)、大野に次ぐ即戦力

 捕 手…正捕手候補

 内野手…即戦力の二塁手

 外野手…ポスト大島の俊足巧打の即戦力、将来の主軸候補 

 

●課題は攻撃陣の底上げで、長打力と機動力の補強を進めたい

☆投手~将来のエース候補(高卒左腕がベスト)、大野に次ぐ即戦力

 一番の関心ごとはエース大野雄のFAの去就だ。昨年、防御率1位で今年も7勝を上げ、両リーグぶっち切りの8完投が凄い。年齢は32歳だが、中日の現状を見ると何が何でも引き止めたい選手だ。

 とにかくこの間のドラフト1位投手が今一つで、加えて期待の選手の故障が目立つ。1位投手では、柳は合格点で福谷も復活した。ただ、鈴木翔太聖隷クリストファー高~13年①)に小笠原慎之介東海大相模高~15年①)、鈴木博志(ヤマハ~18年①)はいずれも2軍調整中で戦力になり切れていない。

 期待の若手でも、昨年開幕投手も務めた笠原祥太朗(新潟医療福祉大~16年④)、プロでその才能を開花させた梅津晃大(東洋大~18年②)はともに故障で離脱。クローザー候補の藤嶋健人(東邦高~16年⑤)に、先発で期待された清水達也(花咲徳栄高~17年④)に山本拓実(市西宮高~17年⑥)も伸び悩んでいる。何と言っても、ファームで規定投球回数に達しているのが、36歳の元エースの吉見一起トヨタ自動車~05年大社希)では泣けてくる…。

 年齢バランスは悪くなく、実績を残した選手がコンスタントに結果を残せば強固な投手陣になるのだが、選手の好不調にムラがあり、必要なのは即戦力投手と大野雄に次ぐエース候補の獲得になる。

 即戦力では早川隆久(早大伊藤大海(苫小牧駒大)の大学生の両雄が候補になるが、最近の中日は地元優先の指名になるので、即戦力投手なら地元の栗林良史(トヨタ自動車が1位候補になるだろう。

 このほかの上位候補では、将来のエース候補で中森俊介(明石商高小林樹斗(智弁和歌山高)山下舜平大(福岡大大濠高)に、即戦力では評価の高い森博人(日体大木澤尚文(駒大)、社会人で大江克哉(NTT西日本)松本竜也(ホンダ鈴鹿を上位でリストアップしている。

 中位以降では、左腕の藤村哲之(横浜商大は手薄な先発左腕候補、同じ左腕の山本一輝(中京大松向輝(日本製鉄東海)は地元の隠し玉の逸材。リリーフでは150キロ右腕の平川裕太(鷺宮製作所打田雷樹(大商大)の評価が高い。

 年齢バランスを崩さないためにも、高校生投手は1~2名は抑えておきたい。北信越まで範囲を広げると地元に今年は逸材が多く、高田琢登(静岡商高)を筆頭に、石川にには嘉手納浩太(日本航空石川高)加藤優弥(金沢龍谷高)、岐阜には加藤翼(帝京大可児高)、長野に常田唯斗(飯山高)、富山の佐伯成優(高岡一高)、福井には笠島尚樹(敦賀気比高)、地元の愛知に上田洸太朗(享栄高)と各地に逸材は揃っている。このほかに豆田泰志(浦和実高)小牟田竜宝(青森山田高)松木平優太(精華高)への評価が高い。

 

☆捕手~正捕手候補

 現在は木下拓哉トヨタ自動車~15年③)が頑張っているが、ここ数年正捕手と呼ばれる選手が不在だ。FAで加入した大野奨太東洋大~08年日①)に、昨年最もマスクを被った加藤匠馬(青学大~14年⑤)もレギュラーを獲得することはできていない。

 今年は昨年と違い捕手に即戦力が少なく、打力を優先するなら古川裕大(上武大)がいるが、昨年、郡司裕也(慶大~19年④)を獲得しており、高校生にシフトするほうが良いと思う。内山壮真(星稜高)二俣翔一(磐田東高)の地元の逸材の上位候補、足もある古谷将也(成田高)に強打の土井翔太(郡山高)のいずれかは獲得したいところだ。

 

内野手~即戦力の二塁手

 内野のレギュラーには、同じ26歳の高橋と京田がおり、期待のドラ1コンビの根尾昂(大阪桐蔭高~18年①)と石川昴弥(東邦高~19年①)が次に控え、三塁と遊撃の補強は急ぐ必要はない。課題はやはり二塁手で、牧秀悟(中大)は即戦力の強打の二塁手、しかも右打ちと補強ポイントに見事に合致する。

 年齢バランスでも23~25歳がおらず、大学生と社会人の即戦力に絞り指名すべきだと思う。守備だけなら既にプロレベルの元山飛優(東北福祉大瀬戸西純(慶大)、強打の公家響(明大)の大学生に、社会人ではともにヒットメーカーの峯本匠(JFE東日本)中野拓夢(三菱自動車岡崎)は俊足でチームの盗塁数不足解消にもなる。

 高校生では、井上朋也(花咲徳栄高)小深田大地(履正社高)入江大樹(仙台育英高)、地元の中山礼都(中京大中京高)への評価が高い。ただ、彼らは当然良い選手だが、石川はファームで首位打者、根尾もリーグ2位の打点を挙げており、この2人を獲得しているのであれば、高校生指名は今年は見送って良いと思う。

 

☆外野手~ポスト大島の俊足巧打の即戦力、将来の主軸候補

 外野手はかなり深刻だ。レギュラーの大島が35歳、主力の平田に福田永将(横浜高~06年高③)がともに32歳を迎え、ファームではルーキーの岡林勇希(菰野高~19年⑤)が結果を出しているが、世代交代が緊急の課題になる。特に打率・盗塁ともにチームナンバーワンの大島の代わりを見つけるのは難しく、早急に後継者の獲得が必要だ。

 一番の候補は佐藤輝明(近大)で、俊足かつ長打力もあり、中日の弱点を一気に補える。時間は要するが来田涼斗(明石商高も、佐藤に負けず劣らずの素質があり、将来に向けて大きな指名になると思う。

 中日の弱点は長打力と機動力だ。長打では今川優馬(JFE東日本)は佐藤と同じ俊足のスラッガー赤尾光祐(東海大札幌は右のパワーヒッターだ。高校生では元謙太(中京高)牛島希(九州学院高)は将来の中軸候補。機動力を活かすなら、五十幡亮汰(中大)並木秀尊(独協大は、ともに超がつく俊足、逢澤崚介(トヨタ自動車長澤吉貴(東芝はさらに巧打を加えた即戦力のリードオフマン候補だ。

 

●今年は地元指名にこだわらず、即戦力野手に行くべき

 この間1位指名地元志向が強く、安全策で栗林良史(トヨタ自動車の単独指名の可能が高いが、弱点は打撃陣で競合覚悟で佐藤輝明(近大)に行くべきだと思う。栗林は外れ指名でも獲得できる可能性があり、ここは佐藤にチャレンジして欲しい。

 佐藤・栗林を外した場合は、3年連続になるが牧秀悟(中大)五十幡亮汰(中大)、将来性豊かな来田涼斗(明石商高の野手指名で良いと思う。

【指名シミュレーション】 

 1位~牧 秀悟(中大・内野手…走攻守三拍子揃った二塁手で、3年のリーグ戦で首位打者を獲得したシュアな打撃力は一級品。大学ジャパンで3、4番の中軸を担い、主将も務めたキャプテンシーもあり、内野の要になれる。

 2位~井上朋也(花咲徳栄高・外野手)…一年生のときに中軸として、夏の甲子園で全国制覇を果たした。高校通算47本塁打の長打力も魅力だが、本塁打はヒットの延長だとして安打を狙う姿勢は評価できる。本職は外野だが、三塁も守ることができる。

 3位~元山飛優(東北福祉大内野手…遊撃の守備は既にプロレベルと評価が高く、リーグ戦で首位打者1度、打点王2度を獲得しており、京田のライバルになれる。

 4位~松本竜也(ホンダ鈴鹿・投手)…高卒3年目で、まだまだ伸びしろのある速球派。今年に入り、球速が5キロも更新し151キロをマークしている。

 5位~豆田泰志(浦和実高・投手)…昨年の県大会で、強豪・浦和学院高を完封して注目を集めた。投手としては小柄だが、制球力も良い本格派右腕のエース候補。

 6位~平川裕太(東北福祉大・投手)…大学時代に数々のタイトルを獲得して注目された投手。小柄ながら最速151キロでストレートで強気に攻めるリリーバー候補。

 7位~上田洸太朗(享栄高・投手…180センチを超える左腕で、140キロのストレートを軸にスライダーとカットボールが武器。

 このほかに下位または育成候補では捕手指名は必要で、土井翔太(郡山高)は下位でも獲得できる。高校生ではほかに松木平優太(精華高)内星龍(履正社高)入江大樹(仙台育英高)は中日が高く評価している選手だ。

 大学生・社会人では、打撃に課題はあるが瀬戸西純(慶大)はまさに守備の名手、最速148キロ左腕の松向輝(日本製鉄東海)の一芸に秀でている選手の指名も可能性が高い。