ドラフトを知ると野球がもっと楽しくなる

どのチームが「人」を育て強くなるのか

20年ドラフト候補選手~豊作の年になる予感漂う大学生40名

 今年は大学生に目玉となる選手が多く、特に投手が豊作で上位指名候補が並ぶ。一方で野手は、全体的に即戦力が少ないため、順位を上げてでも獲得することも想定でき、各球団がチーム戦略でどんな選手を指名してくるか楽しみだ。

●投手~伊藤、早川、山崎を中心に、バラエティに富んだ有望選手が並ぶ

 特Aのドラフト1位候補の1番手は、伊藤大海(苫小牧駒大)だ。国際大会でも通用した最速154キロのパワーピッチャーで、とにかくハートが強い。大学日本代表でもクローザーを務め、プロでも抑えの適性が光る守護神候補だ。

 早川隆久(早大は、木更津総合高(千葉)時代よりドラフト上位候補で、大学でも着実でに成長した150キロ左腕だ。力で抑えるスタイルに加え、上級生になるにつれ駆け引きを覚え球術も身につけた。同じ左腕では、佐藤宏樹(慶大)にも注目だ。151キロのストレートとキレのあるスライダーが武器で、ここ一番で三振を取れる球威は、先輩の郡司裕也(中日)をして、受けるのが怖いと言わしめた。

 山崎伊織(東海大も堂々の1位候補。お手本のような整った投球フォームから、153キロのストレートに分かっていても打てないスライダーが武器で、リーグ戦で2季連続MVPを獲得しており、現在最も注目されている選手の1人だ。

 この4人に続く上位候補選手には、即戦力と伸びしろをさらに期待できる素材型が並ぶ。まず即戦力では、村上頌樹(東洋大は、智弁学園高(奈良)でセンバツ優勝したときのエースで、投手としての経験値が高い。直球で緩急をつけられ制球力が高く、抜群の安定感をほこる。

 山崎とチームメイトの小郷賢人(東海大は、150キロのストレートでグイグイ押してくる馬力のある投手で、兄の小郷裕哉(楽天)の後を追いプロ入りを目指す。森博人(日体大も速い。最速155キロのストレートで、2年続けて右の本格派を上位で送り出している日体大から、また有力選手がでてきた。無名だが赤上優人(東北公益文科大)の評価も高く、赤上も速球派で最速153キロで三振を取れるのが強みだ。

 素質型では、宇田川優希(仙台大)木澤尚文(慶大)の2人が面白い。宇田川は184センチ95キロの恵まれた体格から、真上から最速152キロのストレートに威力があり、高校時代は激戦区の埼玉で公立高ながらスカウトの注目を浴びた。木澤も長身を活かしたダイナミックなフォームから、最速154キロを計測している。ともに今年のリーグ戦の成績次第では一気に評価が上がる可能性がある。

 この後に続く中位候補では、内間拓馬(亜大)吉川貴大(大商大)は、ともに最速149キロの本格派右腕で、内間は直球と精度の高い変化球を駆使して、試合で結果を残す実戦派、吉川はストレートで押す強気なピッチングが身上だ。右腕。吉高壮(日体大は、170センチと小柄ながら、ストレートに威力があり、森と2本柱を形成している。ちなみに高校は山崎と同じ明石商高(兵庫)で、改めて明石商の育成力に驚いた。

 左腕では、鈴木昭汰(法大)山野太一(東北福祉大の評価が高く、鈴木は中学時代にU-15の日本代表で、常総学院高(茨城)時代に3季甲子園に出場しており、大舞台での経験値が高い。山野は最速149キロに加え投球術に優れ、ピンチでギアを上げたときに圧巻の投球を見せる。

  このほかの有望株では、大道温貴(八戸学院大は最速148キロの本格派右腕で、平内龍太(亜大)も最速151キロと速く、力でグイグイ押していくパワーピッチャー。高田孝一(法大)も右の本格派で、角度のあるストレートが魅力。秀岳館高(熊本)時代に、夏4強の有村大誠(立命大)も大学で着実に力をつけ、球速が150キロを超えた。

 大関竜斗(白鷗大)も大学で素質を開花させた投手で、スリークオーターから放つスライダーが生命線、重川恵詩(東京国際大)も監督からの勧めで、サイドスローへ転向し、持ち前のストレートの威力が増した。面白いのはアンダースロー中川颯(立大)で、柔軟性がありキレのあるボールを投げ込む。桐光学園高(神奈川)時代は強打者として活躍するなど野球センスが高く、大学では投手に専念しさらに成長を遂げている。

 左腕にも有力選手が多い。今西拓弥(早大は身長2メートルの大型左腕で、振りかぶった時の威圧感と、異次元の角度から投げ下ろす球はまさに大器だ。一方で武次春哉(関西国際大)は、身長164センチと小柄ながら、ストレートの最速は今西と同じ147キロ。キレのあるストレートと変化球に、スタミナもあるタフな投手。

 加藤三範(筑波大)も多彩な変化球で勝負する完成度が高く、長谷部銀次(慶大)はしなやかな腕の振りからキレのあるストレートを投げ込み、森浦大輔(天理大)最速148キロの本格派だ。佐藤奨真(専大は140キロ中盤でも、打者の手元で伸びるストレートが武器。藤村哲之(横浜商大も大学で球速が伸び、主戦として成長著しい。東邦高(愛知)時代に同級生の藤嶋健人(中日)とエースの座を争った松山仁彦(東海大は、試合のカギを握る終盤の大事な場面で起用されることが多く、プロでもリリーフとしての適性がある。

●野手~古川と佐藤の1位候補に、守備職人やスピードスターの一芸選手も面白い

 昨年、豊作だった大学生捕手は、今年はやや寂しい。そのなかでも、古川裕大(上武大)は、堂々のドラフト1位候補の1人だ。昨年、大学日本代表で先輩を押しのけて、海野隆司(ソフトバンク)に次ぐ2番手捕手として選出され、二塁送球1.8秒、遠投100メートルの強肩だが、とにかく打撃が素晴らしく、遊撃手へのコンバートもプランもあり正真正銘の打てる捕手だ。岡澤智基(大商大)智弁学園高(奈良)に、東洋大の村上とバッテリーを組み全国制覇した経験を持つ。

 内野手では、牧秀悟(中大)が目玉選手の一人だ。昨年の日米大学選手権で4番を打ち、戦国東都リーグで4割を打ち首位打者も獲得した。広角に打ち分ける屈指の打撃力に、二塁守備も堅実で上位で間違いなく消えるだろう。山優飛(東北福祉大もクセのないスイングから、シュアな打撃で広角に打つ技術が高く、遊撃の守備も安定感があり大学球界屈指のショートストップ

 遊撃の守備だけなら瀬戸西純(慶大)は大学トップクラスで、的確なポジショニングから、捕球して送球までの安定感が抜群で、打撃が課題だが守備だけでも飯が食える名手。矢野雅哉(亜大)も堅い守備の遊撃手で、50メートル5秒9の俊足が魅力だ。

 ブランドン大河(東農大北海道オホーツク)は、高校時代は二刀流で注目され、大学では野手に専念し、高い身体能力を活かしたパワーに加え、スピードのあるプレースタイルにさらに磨きがかかっている。公家響(明大)は中学時代に全日本の4番を務め、横浜高(神奈川)~明大でプレーするまさに野球エリートのスラッガーだ。

 外野手では佐藤輝明(近大)は、大注目の選手の1人だ。1位入札競合も予想される大学ナンバーワン野手で、ずば抜けた身体能力を活かして逆方向でもスタンドインできるスラッガーだ。特にパワーはケタ違いで、既にリーグ通算11本塁打を放ち、打った瞬間に外野手が諦める弾道は驚異だ。足もあり守備も巧く、将来はトリプルスリーを狙える逸材で、既に阪神が1位指名を明言している。。

 五十幡亮汰(中大)の魅力は足で、とにかく速い。佐野日大高(栃木)時代から俊足は注目され、中学時代に陸上競技サニブラウンに勝ったのは有名な話だ。どれだけ速いかといういと、三塁到達タイムが周東佑京(ソフトバンク)よりも速く、打撃力と苦手な盗塁のスタートが向上すれば、驚異のリードオフマンになる。並木秀尊(独協大も、高校時代は捕手だったが、俊足と強肩を活かして外野手へ転向した成長株だ。