ドラフトを知ると野球がもっと楽しくなる

どのチームが「人」を育て強くなるのか

20年ドラフト予想☆ソフトバンク~盤石の投手陣と、世代交代が必要な野手陣。育成指名にも注目

●今年も主力が離脱するも、圧倒的な選手層で優勝間近

 つい最近まではロッテと優勝争いしていたが、シーズン終盤に地力の差が出て、一気に19連勝でマジックを点灯させた。

 ソフトバンクの強みは何といっても選手層の厚さだ。毎年、主力の離脱が相次ぎ、今年も投手なら甲斐野央(東洋大~18年①)や高橋純平(県岐阜商高~15年①)、野手では今宮健太(明豊高~09年①)やデスパイネを欠き、投打にベストメンバーとは言えず、打線の組み合わせは90を超える猫の目打線だが、選手層の厚さで乗り切ってきた。

 その打線の軸は柳田悠岐(広島経大~10年②)で、昨年38試合出場に留まったが、今年はフルに出場を果たし得点力が上がった。同じく中村晃(帝京高~07年高③)も今年は復活を果たし、ともにチームを牽引している。ただ、他に規定打席に達しているのは、ベテランの松田宣浩(亜大~05年大社希)と今年ブレイクした栗原陵矢(春江工高~14年②)のみで多くない。

 規定打席には達していないが甲斐拓也(楊志館高~10年育⑥)が正捕手、グラシアルが4番を務め、今宮の穴は川瀬晃(大分商~15年⑥)が埋め、レギュラー不在の二塁手は周東佑京(東農大オホーツク~17年育②)がはまった。周東は序盤までは代走、守備要員だったのが、打撃力も上昇し一番打者に定着。シーズン後半の快進撃は周東が支えたと言っても過言ではない。

 ここにスーパーサブたちが加わる。勝負強い明石健志山梨学院大高~03年④)、左キラー川島慶三九州国際大~05年大社日③)、内外野守れる牧原大成(城北高~10年育⑤)、代打の切り札の長谷川勇也専大~06年大社⑤)、釜元豪(西陵高~11年育①)や真砂勇介(西城陽高~12年④)も限られた出番のなかで仕事をした。

 投手陣は盤石だが、規定投球回数をクリアしている選手はいない。ただ、東浜巨(亜大~12年①)と石川柊太(創価大~13年育①)がともに復活の8勝を挙げ、エース千賀滉大(蒲郡高~10年育④)も勝ち星で並んでいる。ベテランの和田毅早大~02年自)も7勝、ショートスターターだが笠谷俊介(大分商高~14年④)は防御率2.60と立派な成績を残している。

 リリーフ陣も森唯斗三菱自動車倉敷~13年②)がセーブ王を争い、モイネロはリーグ断トツの36ホールドを上げ、この2人が出ればまず勝利は間違いない。リーグ最多登板の高橋礼(専大~17年②)がロングリリーフを務め、左キラーの嘉弥真新也(JX-ENEOS~11年⑤)も43試合登板と鉄腕ぶりを発揮している。ここに若手の松本裕樹(盛岡大高~14年①)や泉圭輔(金沢星稜大~18年⑥)、ベテランの岩嵜翔市船橋高~07年高①)が加わり、杉山一樹(三菱重工広島~18年②)や板東湧悟(JR東日本~18年④)の若手も勝ちパターンで起用された。

 まさにチーム内の競争力が、選手層の厚さに直結している。ただ、一方で野手陣の世代交代が進んでおらず、常勝チームを維持するにはポスト松田、柳田の育成が課題になってくる。

【10/20現在のチーム成績 ※( )は昨年の成績】

 勝敗 105試合 61勝39敗5分①

 防御率…3.06①(3.63①)打率….249③(.251②)

 本塁打…115①(183①)盗塁83①(113③)

 得点462②(582④)失点356①(564①)得失点差106(18)

 

 ここ5年は高橋純を3球団、田中正義(創価大~16年①)を5球団競合のなか引き当てたがが残念ながら主戦にはなっていない。甲斐野も1年目にフル回転したものの、今年はケガで治療に専念している。ただ、高橋礼や杉山、板東、泉の18年組、今年は津森宥紀(東北福祉大~19年③)の即戦投手が期待通り戦力になっている。

 一方で野手は深刻で、ここ3年ホークスは1位で野手を指名し、17年は清宮幸太郎日本ハム)と安田尚憲(ロッテ)、18年は根尾昂(中日)と辰巳涼介(楽天)、昨年は石川昴弥(中日)を指名するも外し、実質戦力になっているのは川瀬だけで、これだけを見てもホークスの危機感が窺える。

ソフトバンクの補強ポイント】

 投 手…将来のエース候補、年齢的に大学生投手

 捕 手…甲斐の控えの即戦力捕手

 内野手…二遊間を守れる即戦力野手、ポスト松田候補

 外野手…将来の主軸候補 

 

●盤石な投手陣の反して、野手の世代交代は喫緊の課題

☆投手~将来のエース候補、年齢的に大学生投手

 盤石の投手陣は年齢バランスも取れており、大きな穴は見当たらない。39歳の和田の下は31歳の岩嵜と嘉弥真まで下がり、大きく戦力が落ちることは考えにくい。和田の年齢的な衰え、千賀がメジャー希望しており先発が二枚抜ける可能性はあるが、本来は先発の高橋礼や松本、高橋純が控え、武田翔太宮崎日大高~11年①)や大竹耕太郎(早大~17年育④)が復活すれば問題はない。

 補強ポイントは、昨年高校生投手を指名していないので、さすがに2年続けて外す訳にはいかない。19歳~22歳までで5名(うち1名はスチュアートJr)と少なく、高校生と大学生に絞った指名になる。

 早川隆久(早大は当然リストアップしているが、上位は高校生指名が良いと思う。一番の候補は山下舜平大(福岡大大濠高)で、もしかしたら単独指名の可能性ある。このほかには小林樹斗(智弁和歌山高)川瀬堅斗(大分商高、左腕の高田琢登(静岡商高)は確実に上位で獲得したい。

 中位以降でも、秋広優人(二松学舎大高)は野手指名の可能性もあり、小辻鷹仁(瀬田工高)蓼原慎仁(桐生一高平安山陽(松山聖陵高)への評価が高い。地元の若杉晟汰(明豊高)八方悠介(鹿児島城西高)もリストアップしている。

 大学生では先発陣を厚くするなら大道温貴(八戸学院大赤上優人(東北公益文化大)、左腕の森浦大輔(天理大)、リリーフ強化なら小郷賢人(東海大が候補になる。森博人(日体大宇田川優希(仙台大)、左腕の鈴木昭汰(法大)はともに先発、リリーフともに適性があり、チーム状況でどのポジションを担うか楽しみだ。

 社会人では大江克哉(NTT西日本)は先発、岡田和馬(JR西日本はリリーフもできる即戦力左腕で投手陣をさらに厚くする。個人的には長身の変則サイドハンドの川瀬航作(日本製鉄広畑)などは、ホークスどどう化けるか見てみたい投手の一人だ。

 

☆捕手~甲斐の控えの即戦力捕手

 捕手は28歳の甲斐がレギュラーだが、二番手捕手の高谷裕亮(白鴎大~06年大社③)も来年は40歳の大台に乗る。栗原は捕手登録だが、外野が主戦で、海野隆司(東海大~19年②)と九鬼隆平(秀岳館高~16年③)が候補だがともに経験が不足している。また、栗原を除けば捕手が5人しかおらず、年齢的には不要だが、第二または第三捕手の即戦力選手が必要だ。

 今年は即戦力と呼ばれる捕手が少なく、上位なら古川裕大(上武大)、中位以降なら榮枝裕貴(立命大)辻本勇樹(NTT西日本)は、ともに守備力に長けている。高校生捕手は年齢的にも優先順位は高くなく、下位また育成で植幸輔(高野山高)長谷川勝紀(近江高)が候補になる。

 

内野手~二遊間を守れる即戦力野手、ポスト松田候補

 内野手は年齢的には問題なく揃っているが、課題は世代交代の遅れだ。内野の最年長の内川聖一(大分工高~00年横①)が39歳、松田宣と川島、明石が35歳を超え、遊撃の今宮も来年は30歳になる。

 20代中盤のレギュラー候補は、二塁の24歳の周東だけで、23歳の川瀬も今ひとつ控えの枠を出ない。ファームでは21歳の三森大貴(青森山田高~16年④)が結果を残しているもの、ポスト今宮、松田候補と言えば物足りなさを感じる。喫緊は二遊間を守れる即戦力と、三塁に限っては高校生のレギュラー候補を獲得したい。

 二遊間の即戦力では、やはり牧秀悟(中大)が一番でポスト松田候補にもなる。矢野雅哉(亜大)は俊足で強肩、元山飛優(東北福祉大は守備だけなら既にプロ級だ。社会人では峯本匠(JFE東日本)は巧打の二塁手中野拓夢(三菱自動車岡崎)も俊足巧打で二遊間を守れる。05年の本多雄一以来、15年振りの社会人内野手の指名があるかもしれない。

 ポスト松田宣の三塁手候補では、井上朋也(花咲徳栄高)はイチ押しで、技術力もある右のスラッガー。高校通算34本塁打小深田大地(履正社高)のどちらかは獲得したいところだ。下位では岡本大翔(米子東高)渡部健人(桐蔭横浜大などの素質十分の大砲候補も面白い。

 

☆外野手~将来の主軸候補

 外野は32歳の柳田に24歳の栗原がレギュラーを掴んだ。本来であれば上林誠知(仙台育英高~13年④)と佐藤直樹JR西日本~19年①)がレギュラーを争ってほしいが、ともに定位置確保には至っていない。特に上林の不振は大きな誤算だったと思う。

 一番は佐藤輝明(近大)で、これほどの逸材がホークスに入ると脅威だが、個人的には柳田を手本にどんな規格外の選手になるか、是非ホークスで見てみたい選手だ。超俊足の五十幡亮汰(中大)は打撃力が上がり、周東との1~2番コンビなどは考えただけでも嫌な並びになる。

 将来の主軸候補では、来田涼斗(明石商高もチームにフィットしそうで、トリプルスリーも現実味を帯びてくる。このほかに西川僚祐(東海大相模高)元謙太(中京高)は右のスラッガー鵜沼魁斗(東海大相模高)が右のリードオフマン候補だ。

 

●1位はトリプルスリーを狙える近大・佐藤か!オール野手でも今年は驚かない

 今年も野手の1位指名が濃厚で、そうなると佐藤輝明(近大)が最有力候補になる。一方で地元のエース候補の山下舜平大(福岡大大濠高)も競合の可能性があり、ここは小細工なしに競合必至でどちらかの指名になるのではないかと思う。外れた場合は、来田涼斗(明石商高井上朋也(花咲徳栄高)など、今年はオール野手指で徹底することも予想される。

【指名シミュレーション】 

 1位~山下舜平大(福岡大大濠高・投手)…自慢のストレートは153キロを超え、監督の方針で変化球はカーブだが、このカーブのキレも素晴らしい。伸びしろ十分のエース候補で、将来は160キロ超えも夢ではない。

 2位~小深田大地(履正社高・内野手…昨夏の甲子園で2年生ながら中軸を打ち全国制覇した。力強いスイングにミートも巧く高校通算34本塁打、逆方向へも打つこと井ができる技術も併せ持つ。

 3位~矢野雅哉(亜大・内野手…50メートル5秒9の俊足に強肩で、パワーこそ物足りないが、広角に打てる技術と小技も巧い。果敢に次の塁を狙う積極性も魅力。

 4位~鈴木昭汰(法大・投手)…両サイドに投げ分ける制球力が武器の左腕。大学時代は主にリリーフを務めたが、先発もこなし評価が上昇している。

 5位~秋広優人(二松学舎大高・投手)…身長2メートルの長身から投げ下ろすストレートは威力十分。打っては4番を務め、高校通算23本塁打で野手の評価も高い。

 6位~蓼原慎仁(桐生一高・投手)…最速144キロのストレートとフォークが武器の右腕で、総合力が高く将来性が評価されている。

 7位~植 幸輔(高野山高・捕手…広角に打ち分ける左の巧打者で、捕手ながらチーム事情で投手も兼任した。

 今年も地元に逸材が多く、投手なら若杉晟汰(明豊高)八方悠介(鹿児島城西高)、準硬式の大曲錬(福岡大)。捕手では誉田貴之(福岡工大城東高)坂本勇人唐津商高、外野手の牛島希(九州学院高)など原石が多く、一芸に秀でた選手の獲得にも注目したい。

20年ドラフト予想☆巨人~今年は即戦力投手が豊富で投手力強化!1位は佐藤で決まり?

●原監督のタクトが冴え、混戦予想もぶっちぎりの独走Vで連覇確実

 昨年、5年振りの優勝を果たし、巨人連覇の予想が多かったが、昨年以上の混戦も多くの解説者が予想していた。しかし蓋を開けてみると、巨人が他チームを圧倒し首位を独走。全チームに勝ち越しし、CSのないセ・リーグペナントレースは早々と消化試合化してしまった。

 巨人独走の原動力の大きな要因は、原辰徳監督の指揮に依るところが大きい。投手陣は菅野智之東海大~12年①)が開幕13連勝でまさにエースの活躍を見せ、弱冠20歳の戸郷翔征(聖心ウルスラ高~18年⑥)と左腕の田口麗斗(広島新庄高~13年③)がローテーションを守った。メルセデスとサンチェスの両外国人も、決して万全ではなかったが先発陣を支えた。

 リリーフ陣はデラロサがクローザーを務め、中川皓太(東海大~15年⑦)や高梨雄平(JX-ENEOS~16年楽⑨)、大江竜聖(二松学舎大高~16年⑥)の左腕トリオ、鍵谷陽平(中大~13年日③)やベテランの大竹寛浦和学院高~01年広①)が勝ちパターンを担った、特に先発から中継ぎに転向して復活した大竹や、フォームを変えて覚醒した大江、鍵谷や高梨はいずれもシーズン途中のトレードで獲得した選手で、適材適所の補強は見事としか言えない。

 野手陣も実は3割打者はおらず、丸佳浩(千葉経大高~07年広高③)の打率.287が最高で、チームリーダーの坂本勇人光星学院高~06年高①)と4番の岡本和真(智弁学園高~14年①)、吉川尚輝(中京学院大~16年①)の4名しか規定打席をクリアしていない。

 ここはまさに原監督の用兵が光り、捕手は大城卓三(NTT西日本~17年③)を中心に炭谷銀仁朗(平安高~05年西高①)を併用。内野はベテランの中島宏之(伊丹北高~99年西⑤)やシーズン途中加入したウィーラーなど実績のある選手に加え、北村拓己(亜大~17年④)や若林晃弘(JX-ENEOS~17年⑥)、増田大輝(四国IL徳島~15年育①)の若手が結果を出した。外野もベテランの亀井善行(中大~04年④)に松原聖弥(明星大~16年育⑤)に活きの良い若手が出てきた。

 こうしてみると、かつてはタレント集団だったチームが、「個」の力のチーム作りから、「和」のチームに変わったことを印象付けるシーズンになった。また、期中に楽天と3件のトレードを成立させ、ロッテには澤村拓一(中大~10年①)を放出した。首位独走のチームが積極的なトレードで補強を図る一方、他球団は阪神が1件のトレードを成立させただけで、何とも寂しい気持ちがした。

【10/18現在のチーム成績 ※( )は昨年の成績】

 勝敗 101試合 61勝35敗2分⑤

 防御率…3.36①(3.77④)打率….260③(.257②)

 本塁打…118②(183①)盗塁65②(83②)

 得点471①(663①)失点353①(573③)得失点差118(90)

 

 ここ5年の巨人のドラフトは決して良くない。15年は競合を避け桜井俊貴(立命大~15年①)を単独指名、17年は1位~7位まで社会人と大学生で占め、18~19年は一転して高校生中心の指名で、チームとしての方針もビジョンも感じられなかった。

 そのなかで戦力になったのは、投手では戸郷と中川、桜井と畠世周(近大~16年②)、高橋優貴(八戸学院大~18年①)も及第点を上げられる。野手では大城がレギュラーを獲得し、期待の吉川尚もようやくケガなくシーズンを乗り越えられた。育成から増田と松原も戦力になっているが、一軍半の選手が多く今後に期待したい。

【巨人の補強ポイント】

 投 手…将来のエース候補、即戦力先発とクローザー

 捕 手…大学生捕手

 内野手…二遊間の即戦力

 外野手…即戦力の右打ち 

 

●菅野の去就でドラフト戦略も大きく変わる。今年はオール投手でも良い

☆投手~将来のエース候補、即戦力先発とクローザー

 投手陣は菅野の去就で大きく変わる。巨人を熱望し1年浪人、その後はエースとしてチームを支え、今年は開幕から13連勝。代わりなど要ないが、本人が希望すればチームとしては送り出すしかないだろう。

 菅野が抜けると一気に先発陣は厳しくなる。先発陣は25歳の田口と20歳の戸郷、26歳の畠の23歳の高橋プラス外国人の編成になる。ただ、巨人のエースとしてはどうだろうと思う。単に今いるメンバーのなかで一番良い投手ではなく、巨人のエースは名実ともにリーグを代表する選手で、将来のエース候補、または即戦力投手が必要だと思う。

 リリーフは抑えはデラロサだが、選手層は厚い。26歳の中川を中心に、高木京介国学院大~11年④)と鍵谷が30歳を超えるが、28歳の高梨に21歳の大江がおり緊急性は先発に比べては低い。ただ、右のクローザー候補は必要で、極論だが今年の巨人のドラフトはオール投手でも良いと思うほど、強化が必要だ。

 将来のエース候補には、巨人が好きな右の本格派が多い。高橋宏斗(中京大中京高)中森俊介(明石商高山下舜平大(福岡大大濠高)はいずれも巨人のエース候補にふさわしい逸材だ。即戦力先発では大道温貴(八戸学院大栗林良史(トヨタ自動車は安定感が抜群で、木澤尚文(慶大)は抑えの適性もあるが、先発でもローテションに入る力がある。

 クローザー候補では、伊藤大海(苫小牧駒大)伊藤優輔(三菱日立PS)はともにストレートに力のあるパワーピッチャー。森博人(日体大はスリークオーターの右腕で、不足する役割を埋める器用さがあり上位で獲得したい選手だ。

 即戦力投手ではほかに大江克哉(NTT西日本)内間拓馬(亜大)森浦大輔(天理大)は貴重な先発左腕だ。リリーフでも鈴木昭汰(法大)山本一輝(中京大岡田和馬(JR西日本は豊富な左腕リリーバーをさらに厚くする。

 高校生投手も多くリストアップしており、育成含め指名が増えそうだ。嘉手苅浩太(日本航空石川高)内田了介(埼玉栄高)有馬太玖登(都城東高)はパワーピッチャー。蓼原慎二(桐生一高豆田泰志(浦和実高)は総合力が高く、左腕では根本悠楓(苫小牧中央高)への評価が高い。打者としても非凡な秋広優人(二松学舎大高)にも注目している。

 

☆捕手~大学生捕手

 捕手は大城が打てる捕手としてレギュラーに近づき、ベテランの炭谷に小林誠司日本生命~13年①)、24歳の岸田行倫(大阪ガス~17年②)もおり戦力的に補強は急ぐ必要はないが、捕手の支配下が5名しかおらず、20~23歳が空白なこともあり大学生捕手を獲得したい。

 打てる捕手の古川裕大(上武大)萩原哲(創価大)、強肩の榮枝裕貴(立命大)喜多隆介(京都先端科学大)が候補になる。優先度から下位指名になりそうで、萩原や喜多は獲得の可能性が高い。

 

内野手~二遊間の即戦力

 内野手はチームリーダーの坂本が30歳を超えたが、若き主砲の岡本は24歳、二塁の吉川尚は25歳で問題はない。このほかに俊足の増田大、長打力のある北村、巧打の田中俊太(日立製作所~17年⑤)、若林は外野も守れ、オープン戦でアピールに成功した湯浅大(健大高崎高~17年⑧)も控えている。

 年齢バランスも悪くなく、質量ともに豊富で、補強ポイントは故障の不安がある吉川尚の二塁と、ポスト坂本で将来性のある遊撃手を抑えておきたい。

 二塁の即戦力では牧秀悟(中大)が一番だが、守備力の高い上川畑大悟(NTT東日本)や巧打者の峯本匠(JFE東日本)は内野の層をさらに厚くする。同じ社会人で右のパワーヒッター平山快(JFE東日本)福永裕基(日本新薬の評価も高い。

 将来性のある高校生遊撃手は今年は豊作で、小深田大地(履正社高)中山礼都(中京大中京高)蔵田亮太郎(聖望学園高)はいずれも強打の遊撃手。本職は三塁だが遊撃にもチャレンジしている山村崇嘉(東海大相模高)も候補に挙がっている。

 

☆外野手~即戦力の右打ち

 外野は亀井が38歳を迎え、レギュラーは31歳の丸のみ。25歳の松原が2番に定着しているが実績には乏しく、野手では外野が最優先になる。特に22~24歳が空白で大学生と社会人、右打ちで戦力になっているのが石川慎吾(東大阪大柏原高~11年日③)しかおらず右打者ならベストだ。

 外野には野手ナンバーワン評価の佐藤輝明(近大)がおり、現状でもレギュラーを狙え、狭い東京ドームで本塁打も量産できるスラッガーで、佐藤が加われば打線にスキがなくなる。超俊足の五十幡亮汰(中大)は、ここにきて打撃力が上がりリードオフマンに十分になり得る。右打者では今川優馬(JFE東日本)は俊足強打の二番打者、向山基生(NTT東日本)は勝負強い巧打者で、今年は即戦力外野手を確実に獲得したい。

 

●1位は即戦力野手ナンバーワンで佐藤が濃厚!個人的には投手だと思うが…

 今年は早々と野手の1位指名を公言しており、佐藤輝明(近大)が最有力候補になる。ただ、菅野の去就もあり、個人的には即戦力投手で競合覚悟で早川隆久(早大や指名もあると思う。敢えて単独で栗林良史(トヨタ自動車高橋宏斗(中京大中京高)の指名もありだ。ただ、栗林以外はいずれも抽選になりそうで、現在9連敗中のクジ運にも注目したい。

【指名シミュレーション】 

 1位~大道温貴(八戸学院大・投手)…下級生時代から主戦を務め、実戦経験が豊富な完成度の高い右腕。153キロのストレートに制球力の良い変化球でゲームメークに長けており、スタミナもあり大崩れしないのが最大の魅力。

 2位~大江克哉(NTT西日本・投手)…社会人1年目より主戦を務め、社会人で習得したカーブでさらに投球術がアップした。スライダーとチェンジアップの精度も高く、打者との駆け引きが巧い。体重も増えストレートの威力が増した。

 3位~森浦大輔(天理大・投手)…ボールの出所が分からない、力を抜いたフォームからキレのあるストレートとチェンジアップを投げ込む左腕。杉内を彷彿とさせる。

 4位~根本悠楓(苫小牧中央高・投手)…中学時代に全国制覇した左腕で、スクリューのように沈むツーシーム奪三振率が高い。小柄だが強気な投球が身上。1

 5位~岡田和馬(JR西日本・投手)…今年に入り評価が急上昇した即戦力左腕で、勢いのあるストレートとスライダーを武器に、先発・リリーフともに適性がある。

 6位~平山 快(JFE東日本内野手…本職は一・三塁だが、遊撃も守れるスラッガー。右にも長打が打てるスケール感のある打撃が武器。

 7位~山村崇嘉(東海大相模高・内野手…高校通算45本塁打スラッガーで、投手も務める大黒柱。強肩を活かして、今夏は三塁、遊撃にもチャレンジしている。

 今年の巨人は、本指名では5名の予定で決して多くない。ただ、リストアップしている選手は多く、育成指名が増えそうな気がする。合同練習会で注目を浴びたシャピロ・マシュー一郎(国学院栃木高)や長打力が魅力の岡本大翔(米子東高)、俊足の奥野翔琉(明徳義塾高)、準硬式出身の大曲錬(福岡大)等の一芸に秀でた選手や、無名の逸材発掘にも注目したい。

20年ドラフト予想☆ロッテ~狙いは先発左腕だが、得点力不足解消のため即戦力野手も必要

●得失点差マイナスながら、守りを中心にしたそつない野球で優勝争いを続ける

 今年、一番健闘しているチームはどこかと聞けば、ロッテと答えるプロ野球ファンが多いのではないかと思う。

 シーズン前に、先発ローテ当確だった西野勇士(新湊高~08年育⑤)が肘の手術でシーズン絶望、FA加入の福田秀平(多摩大聖ケ丘高~06年ソ高①)も骨折で離脱した。セットアッパーのジャクソンは退団、主砲のレアードも故障で帰国、エース格の働きをしていた種市篤暉(八戸工大一高~16年⑥)も、肘の手術で今シーズンの復帰は絶望になった。

 さらに唯一の3割打者だった荻野貴司トヨタ自動車~09年①)は足のケガ、正捕手の田村龍弘光星学院高~12年③)も骨折で一時期チームを離れ、21ホールドのハーマンも故障で離脱、そして新型コロナの集団感染で主力選手の大量離脱…とまさに満身創痍の状況のなか2位をキープし、優勝争いに留まっている。

 特筆するのは得失点差で、マイナスながら2位を維持しているのは驚きだ。特に、チーム打率はリーグ最下位で得点力が不足し、野手で特筆した成績を挙げている選手がいない。井上晴哉日本生命~13年⑤)の打率.254がチーム最高で、中村奨吾(早大~14年①)、マーティン、若き4番の安田尚憲(履正社高~18年①)が規定打席に達しているだけだ。そのなかでマーティンがリーグ5位、井上が6位の打点を挙げており、少ないチャンスを活かして接戦をものにしてきた。

 接戦に強いチームの原動力になったのが投手陣で、FA加入した美馬学東京ガス~10年楽②)はチームトップの9勝、石川歩(東京ガス~13年①)とWエースを形成し、二木康太(鹿児島情報高~13年⑥)と岩下大輝(星稜高~14年③)、2年目の小島和哉(早大~18年③)がローテーションを守っている。

 リリーフ陣はリーグ屈指の布陣で、7回に唐川侑己(成田高~07年高①)、8回に復活を遂げた澤村拓一(中大~10年巨①)、9回のクローザー益田直也関西国際大~11年④)はリーグトップの29セーブを挙げ、勝利の方程式が確立した。さらにハーマンや小野郁(西日本短大高~14年楽②)、東條大樹(JR東日本~15年④)が盤石のリリーフ陣を支えている。

 井口監督は1年目に走る野球、2年目は長打を活かした野球、そして3年目にリーグ最少の失策数が示すように、そつのない堅守のチームに成長させた。また、昨年のストーブリーグに続き、シーズン前に鳥谷敬早大~03年神自)、トレードで澤村を獲得し、元中日のチェン・ウェインの入団など、話題にも事欠かなった。

【10/16現在のチーム成績 ※( )は昨年の成績】

 勝敗 101試合 55勝44敗2分②

 防御率…3.90②(3.90④)打率….237⑥(.249⑤)

 本塁打…80④(158③)盗塁77③(75④)

 得点402⑤(642②)失点414②(611④)得失点差▲12(31)

 

 ロッテはここ数年、高評価のドラフトを展開しており、クジ運の強さもあるが、平沢大河(仙台育英高~15年①)、佐々木千隼(桜美林大~16年①)、安田、藤原恭大(大阪桐蔭高~18年①)、佐々木朗希(大船渡高~19年①)と、いずれも抽選で獲得している。また、この5年の間に高校生野手を3名も1位で指名する姿勢は、常勝チームを作るための球団方針の確かさを象徴している。

 残念ながらまだ主力になりきれていないドラ1組だが、ドラフトの成果は出ている。投手では先発で種市に小島、中村稔弥(亜大~18年⑤)、リリーフで東條に有吉優樹(九州三菱自動車~16年⑤)、東妻勇輔(日体大~18年②)が結果を出している。

 野手では藤岡裕大(トヨタ自動車~17年②)が遊撃のレギュラー、菅野剛士(日立製作所~17年④)が今年一軍に定着し、ルーキーの佐藤都志也(東洋大~19年②)も打てる捕手として経験を積んでいる。 

【ロッテの補強ポイント】

 投 手…将来のエース候補(左腕)、即戦力クローザーと中継ぎ左腕

 捕 手…高校生捕手

 内野手…将来の主軸候補(右打ちがベスト)、俊足巧打の即戦力二遊間

 外野手…即戦力スラッガー(右打ちがベスト) 

 

●投手王国も夢ではない即戦力投手の獲得か、課題の得点力不足を解消したい

☆投手~将来のエース候補(左腕)、即戦力クローザーと中継ぎ左腕

 投手陣は主力が30代に差し掛かり、美馬が34歳、石川と澤村、松永昴大(大阪ガス~12年①)が32歳、益田と唐川が31歳、東條と西野も30歳になる。こう見ると心配になってくるが、世代交代が上手く進んでいる。

 先発では二木が25歳、岩下と小島、中村稔が24歳、種市が22歳と若手が主力に成長している。ファームで結果を残している20歳の古谷拓郎(習志野高~18年⑥)に、160キロ超えの佐々木朗もおり、今後に楽しみな布陣が並ぶ。リリーフ陣も小野と東妻はともに24歳で、どちらがポスト益田になるか興味は尽きず、投手王国も夢ではない布陣が固まりつつある。

 投手は幾らでもいたほうが良いのは、チーム作りの鉄則だ。ロッテに必要なのは小島しかいない先発左腕、ポスト益田のクローザー候補と、手薄な中継ぎ左腕だ。年齢バランスは決して良くはないが、25歳以下に絞れば大学生と高校生、社会人なら高卒3~4年目がベストだ。

 すでに公言しているが、1位指名は早川隆久(早大で決まった。即戦力の先発左腕で大学生、そして地元千葉出身と、すべて補強ポイントに合致している。早川を外した場合は、中森俊介(明石商高等の将来のエース候補、即戦力の先発投手で大道温貴(八戸学院大や高卒3年目の小野大夏(ホンダ)、クローザー候補で伊藤優輔(三菱日立PS)伊藤大海(苫小牧駒大)が上位候補に挙がっている。

 この間の流れから、高校生投手も1~2名は抑えておきたい。下慎之介(健大高崎高)根本悠楓(苫小牧中央高)高田琢登(静岡商高)は先発左腕候補。他にも2メートルの大型右腕の秋広優人(二松学舎大高)にパワーピッチャーの内田了介(埼玉栄高)、総合力の高い川瀬堅斗(大分商高小辻鷹仁(瀬田工高)豆田泰志(浦和実高)の評価が高い。

 中継ぎ左腕では佐藤宏樹(慶大)伊藤将司(JR東日本は先発もこなせ、岡田和馬(JR西日本も候補になる。また、左腕ではないが山本晃希(日本製鉄かずさマジック)白石翔希(東農大)を以前より高く評価しており、指名の可能性が高い。

 

☆捕手~高校生捕手

 捕手は26歳の田村がレギュラーで、27歳の柿沼友哉(日大~15年育②)が2番手捕手を務め、ルーキー佐藤の加入でようやく駒が揃った。ただ、年齢バランスが非常に悪く、今年佐藤が入団するまでは田村が最年少という構成で、今年は高校生捕手の獲得が必須になる。

 大学生・社会人に比べ、今年の高校生捕手はまずまずの選手が揃っており、内山壮真(星稜高)を筆頭に二俣翔一(磐田東高)、地元の古谷将也(成田高)和田泰征(習志野高)と逸材が並ぶ。

 

内野手~将来の主軸候補(右打ちがベスト)、俊足巧打の即戦力二遊間

 内野手は一塁に井上、二塁に中村奨、三塁に安田、遊撃に藤岡とレギュラーは固まっているが、いずれも打撃面では物足りない。ただ、レギュラーと控えの差が大きく、平沢の伸び悩みもあり層は薄い。年齢バランスは悪くなく、有望な高校生と即戦力で二遊間を任せられる選手が候補になる。

 高校生では井上朋也(花咲徳栄高)岡本大翔(米子東高)は右打ちのスラッガー、高校通算34本塁打小深田大地(履正社高)は将来の主軸候補。逸材が揃う遊撃手では土田龍空(近江高)は守備力が高く、度会隆輝(横浜高)入江大樹(仙台育英高)の打撃力の高い選手をリストアップしている。

 即戦力野手では牧秀悟(中大)は補強ポイントに合い、渡部健人(桐蔭横浜大は飛距離が魅力な面白い選手、平山快(JFE東日本)も二塁以外は守れるいずれも右打ちのスラッガーだ。他には守備力の高い元山飛優(東北福祉大に、俊足巧打の中野拓夢(三菱自動車岡崎)は課題の二遊間の補強になる。

 

☆外野手~ 即戦力スラッガー(右打ちがベスト) 

 外野は荻野に清田育宏(NTT東日本~09年④)、角中勝也(四国IL高知~06年年大社⑦)、福田秀がいずれもの30歳を超えたが、ここも投手同様に世代交代が上手く進んでいる。菅野が頭角を表し、20歳の藤原と21歳の和田康士朗(BC富山~17年育①)が一軍で経験を積んでいる。ファームでも巧打者の高部瑛斗(国士館大~19年③)とスラッガーの山口航輝(明桜高~18年④)がともに結果を残している。

 年齢バランスも悪くなく、来田涼斗(明石商高も高く評価しており悪くはないが、藤原や和田がおり優先順位は高くないと思う。一番はやはり右打ちのスラッガーで、課題の得点力不足を解消したい。一番のおススメは今川優馬(JFE東日本)で、俊足のスラッガーに加え、明るい性格のムードメーカーで、個人的には是非獲ってもらいたい選手だ。

 この他にも高校通算53本塁打西川僚祐(東海大相模高)や荻野を目標にしている俊足の並木秀尊(独協大はともに右打ち、五十幡亮汰(中大)は、機動力を活かすロッテのチームカラーに合っている選手だ。また、来田と同じくスラッガー山本大斗(開星高)もリストアップしている。

 

●1位は早川を公言!即戦力と育成を合わせた秀逸なドラフトに今年も期待

 今年の1位指名は早川隆久(早大を公言しており、4~6球団の指名が予想され、クジ運の強さが今年も発揮できるか注目したい。早川を外した場合は、そのまま即戦力投手で大道温貴(八戸学院大伊藤優輔(三菱日立PS)、将来性で中森俊介(明石商高のどちらにシフトするか注目だ。

【指名シミュレーション】 

 1位~伊藤優輔(三菱日立PS・投手)…中大時代もドラフト候補だったが、即戦力を目指すために社会人に進んだ。最速149キロのストレートに変化球も多い総合力の高い投手で、プロではリリーバーとしての適性が高く評価されている。

 2位~内山壮真(星稜高・捕手)…名門校で1年より遊撃のレギュラーを務め、高校通算34本塁打、昨夏は4番を務め甲子園準優勝を経験した。新チームで捕手へ転向し、打力とともに、フットワークの良さとリード面の評価が高い。

 3位~小野大夏(ホンダ・投手)…社会人2年目に最速150キロを超え、まだ伸びしろを感じさせる本格派右腕。苦手の変化球もフォークやカーブが武器になってきた。

 4位~土田龍空(近江高・内野手…1年時から遊撃のレギュラーを掴み、高校生離れした守備力は抜群。50メートル6秒の俊足に、ミートの巧い打撃でバランスが良い。

 5位~下慎之介(健大高崎高・投手)…遅れて出てくる左腕から、伸びのあるストレートと鋭いスライダーを武器に奪三振能力が高い。好不調の波が大きいのが課題。

 6位~山本晃希(日本製鉄かずさマジック・投手)…恵まれた体格から威力抜群のストレートにスライダーを武器に、社会人で打たせて取る投球も身につけた。

 7位~岡本大翔(米子東高・内野手…チームでは投手も務める強肩の遊撃手。190センチの体格から繰り出すパワーが魅力だが、遠くに飛ばす技術も持ち合わせている。

 このほかに下位または育成候補では、高校生が中心になりそうで、総合力の高い常田唯斗(飯山高)嘉手苅浩太(日本航空石川高)片山楽生(白樺学園高)。野手では和田泰征(習志野高)山本大斗(開星高)が候補になる。白石翔希(東農大)もロッテが評価している右腕だ。

20年ドラフト予想☆阪神~今年は育成重視か、即戦力中心か?野手ならオール大学生でOK

●早くもストーブリーグの話題が先行…チームを支えたベテランも衰えを隠せない

 先日、中日に抜かれ現在は3位だが、しばらく阪神がずっと2位をキープしており、失礼な言い方だが、そんなに強かったかな?と不思議だった。なんせ阪神の話題と言えば、藤浪をトレードするかしないか、チーム内のルールを破ったうえでの集団コロナ感染、球団社長の辞任、そして早くもオフ恒例のストーブリーグなどの話題が占めていたので、もう少し悪い気がしていた。

 話を戻すと、リーグ屈指の投手陣は今年も健在で、先発はエース西勇輝菰野高~08年オ③)がチームトップの10勝を上げ、青柳晃洋(帝京大~15年⑤)に秋山拓巳(西条高~09年④)、左腕の高橋遥人(亜大~17年②)と勝ち星は少ないがガルシアがローテーションを守っている。

 リリーフでは、昨年活躍した藤川球児高知商高~98年①)は11試合登板で引退を表明し、島本浩也(福知山成美高~10年育②)も故障でシーズンを棒に振った。そのなかでもスアレスがクローザーを務め、岩崎優(国士館大~13年⑥)と馬場皐輔(仙台大~17年①)の3人が抜群の安定感を誇り、藤浪晋太郎大阪桐蔭高~12年①)もリリーフへの適性を見せ穴を埋めた。

 攻撃陣は大山悠輔(白鴎大~16年①)が不動の4番に成長し、昨年14本塁打だった男が、リーグトップの26本塁打を放ち、本塁打王争いをするまでに成長した。加えて新外国人のサンズが19本、ボーアが16本と課題の長打力不足が解消された。2年目の近本光司(大阪ガス~18年①)も序盤の不振を取り戻し、打率.291、23盗塁はリーグトップで得点力は着実に改善された。

 改善されていないのが失策の多さで、今年も両リーグワーストの67個のエラーは、痛いところで余計な失点に繋がっている。

【10/16現在のチーム成績 ※( )は昨年の成績】

 勝敗 98試合 48勝47敗5分③

 防御率…3.57②(3.46①)打率….247⑥(.251④)

 本塁打…98③(94⑤)盗塁66①(100①)

 得点417④(538⑥)失点398②(566②)得失点差16(▲28)

 

 阪神のドラフトは昔も今も良く分からない…。ただ、ここ5年間では1位指名の選手が主力に成長し、16年の大山と17年の馬場は今年主力に成長し、15年の高山俊(明大~①)と近本は新人王を獲得している。

 このほかにも投手では青柳と高橋遥が先発ローテーションに定着し、野手では糸原健斗(JX-ENEOS~16年⑤)に木浪聖也(ホンダ~18年③)がレギュラー、小幡竜平(延岡学園高~18年②)も頭角を表してきた。

 また、昨年は1位~5位まで高校生を指名し、これまでの阪神のドラフトと一線を画す指名には驚かされた。

阪神の補強ポイント】

 投 手…藤川に代わるクローザー候補、将来のエース候補

 捕 手…大学生捕手

 内野手…二遊間、即戦力野手と将来性のレギュラー候補

 外野手…ポスト糸井、福留の即戦力野手 

 

●外野はスラッガー、内野は守備力重視か?投手陣の強化も今後に向け必要

☆投手~即戦力先発左腕、藤川に代わるクローザー候補、将来のエース候補

 投手陣は脂の乗った世代が主力におり、西勇もまだ30歳、29歳で秋山と岩崎、岩貞祐太(横浜商大~13年①)、27歳で青柳と島本、藤浪が26歳、高橋遥と馬場が25歳と暫くはリーグ屈指の投手陣が維持できる。

 ただ、23歳以下で戦力になっているのが、大目に見ても望月惇志(横浜創学館高~15年④)しかおらず、昨年の西純矢(創志学園高~19年①)に続く将来のエース候補が欲しい。また、藤川が引退を表明し、クローザー候補の獲得も必要になる。

 将来のエース候補では、高橋宏斗(中京大中京高)を最上位に、中森俊介(明石商高小林樹斗(智弁和歌山高)が1位候補に挙がっている。即戦力のクローザー候補では、木澤尚文(慶大)伊藤大海(苫小牧駒大)が1位候補になる。

 阪神は今年はナンバーワン野手の佐藤輝明(近大)の指名が濃厚で、競合のなか獲得できれば最高だが、外したときにどちらを優先するのか注目だ。

 また、即戦力の先発もマークしており、大道温貴(八戸学院大栗林良史(トヨタ自動車に、不足する先発左腕で藤井聖(ENEOS)等も上位候補に挙がる。

 中位以降では高校生や伸びしろのある大学生が候補で、高校生では松本隆之介(横浜高)根本悠楓(苫小牧中央高)の両左腕。小辻鷹仁(瀬田工高)蓼原慎仁(桐生一高といった前評判の高い投手に、加藤優弥(金沢龍谷高)片山維(帝京五高)、左腕の福島章太(倉敷工高)など隠し玉的な選手も高く評価している。

 大学生では村上頌樹(東洋大高田孝一(法大)は先発、左腕の高野脩汰(関大)はリリーフでもいけ、阪神は早くから注目していた伸びしろのある逸材だ。また、即戦力リリーバーの左腕、相馬和磨(日本通運も高野同様に早くからマークしている。

 

☆捕手~大学生捕手

 レギュラーは梅野隆太郎(福岡大~13年④)だが、捕手の年齢バランスが悪く、26歳~29歳に5名おり、26歳の長坂拳弥(東北福祉大~16年⑦)の下がルーキーの藤田健斗(中京学院中京高)で、20歳~25歳まで空白世代になっており、ここの年代は埋めたい。欲を言えば、捕手7名中6名が右打ちで、左打ちだとなお良い。

 年齢的には大学生捕手がベストで、古川裕大(上武大)は左打ちの打てる捕手、榮枝裕貴(立命館大は強肩のディフェンス型でどちらもチームの補強ポイントに合っている。高校生は年齢的に必要ないと思うが、関本勇輔(履正社高)二俣翔一(磐田東高)内山壮真(星稜高)の打てる捕手の獲得を目指している。

 

内野手~二遊間、即戦力野手と将来性のレギュラー候補

 内野手は二塁に糸原、三塁に大山、遊撃には北條史也光星学院高~12年②)を抑え木浪が控える。ただ、大山以外は攻守に決して万全とは言えず、20歳の小幡、25歳の熊谷敬宥(立大~17年③)が出番を増やしている。失策も多いことから守備力に特化した選手の獲得も必要で、捕手と同様に年齢バランスが悪く、大学生野手が候補の一番手になる。

 守備力を優先にすると矢野雅哉(亜大)元山飛優(東北福祉大小川龍成(国学院大)はいずれも堅守の遊撃手、瀬戸西純(慶大)は打撃は今ひとつも守備は抜群だ。社会人の上川畑大悟(NTT東日本)は、抜群の守備力を誇る遊撃手で、いまの阪神にはピッタリの補強だと思う。

 当然、ワンランクアップのチームを狙うには素質豊かな高校生も必要だ。高校通算34本塁打小深田大地(履正社高)や俊足の細川凌平(智弁和歌山高)、巧打者の度会隆輝(横浜高)スラッガー阪本和樹(松阪商高)をリストアップしている。

 

☆外野手~ポスト糸井、福留の即戦力野手 

 外野のレギュラーは26歳の近本のみで、福留孝介日本生命~98年中①)は41歳、糸井嘉男(近大~03年日自)も39歳になりさすがに衰えは隠せない。期待の伊藤隼太(慶大~11年①)も31歳、高山は年々試合数を減らしており、ここは即戦力野手が是が非とも必要だ。野手の年齢バランスがすべて悪く、外野手も大学生が欲しい。

 既にほぼ公言状態だが、佐藤輝明(近大)を早くから1位候補に挙げている。広い甲子園を苦にしない長打力が最大の魅力だ。他には俊足の五十幡亮汰(中大)をマークしているが、今年は外野手に候補者が少なくともに上位でしか獲得できない。

 高校生も同様で、将来トリプルスリーを狙える来田涼斗(明石商高)、ともにスラッガー西川僚祐(東海大相模高)元謙太(中京高)山本大斗(開星高)への評価が高い。

 

●1位は佐藤でほぼ間違いなし!昨年の育成重視ドラフトが今年はどう変わるか

 今年の1位指名は佐藤輝明(近大)で間違いなく、高校生投手では高橋宏斗(中京大中京高)を挙げているが、ともに1位未入札で消える選手で、外れ指名でどういった戦略で行くか注目だ。即戦力野手なら牧秀悟(中大)、将来性で来田涼斗(明石商高、投手なら小林樹斗(智弁和歌山高)木澤尚文(慶大)へシフトしそうだ。

【指名シミュレーション】 

 1位~小林樹斗(智弁和歌山高・投手)…昨夏の甲子園よりさらに成長を遂げ、ストレートの最速も152キロを計測した。元々の直球の伸びに加え制球力も高く、チェンジアップやスライダーの変化球も抜群で、先発・リリーフともに適性がある。

 2位~藤井 聖(ENEOS・投手)東洋大時代はリリーバーで目立たなかったが、社会人でその素質が開花し、本格派左腕に成長した。分かっていても打てないストレートは150キロを超え、先発・リリーフともに大きな戦力補強になる。

 3位~松本隆之介(横浜高・投手)…身長188センチを超える大型左腕で、最速150キロも超えた。変化球の精度も高い器用さも持ち合わせつ将来のエース候補。

 4位~榮枝裕貴(立命大・捕手)…守備力はアマ球界トップクラスで、確実性のある送球に高い盗塁阻止率を誇る。長打力には乏しいが、打撃も着実に成長している。

 5位~小辻鷹仁(瀬田工高・投手)…古豪・瀬田工高で成長した伸びしろ十分の右腕。スリークオーターから、低めに集める最速146キロのストレートが武器。

 6位~高野脩汰(関西大・投手)…角度にある147キロストレートと2種類のスライダーが武器で奪三振能力が高い。昨秋のリーグ戦では4勝負けなしでMVPを獲得。

 7位~相馬和磨(日本通運・投手…社会人1年目より救援で活躍し、上背はないがカーブにスライダー、フォークを駆使して打者を打ち取る即戦力左腕。

 このほかに下位または育成候補では、高校生が中心で150キロサイドハンドの加藤優弥(金沢龍谷高)片山維(帝京五高)。打てる捕手の関本勇輔(履正社高)阪本和樹(松阪商高)山本大斗(開星高)スラッガーをリストアップしている。大学生では最速155キロの高田孝一(法大)は粗削りながら、まだ伸びしろのある本格派右腕が候補になる。

20年ドラフト予想☆楽天~野手は問題なし。課題は先行き不透明な投手陣

●強打で圧倒する打力を誇るが、接戦に弱く逆転負けが多いのは投手力

 今年の序盤戦の楽天は強かった。投げてはエースの則本昴大(三重中京大~12年②)とロッテから移籍した涌井秀章(横浜高~04年西①)が勝ち星を重ね、松井裕樹桐光学園高~13年①)が先発転向し、新守護神の森原康平(新日鉄住金広畑~16年⑤)が試合を締めた。

 打っては茂木栄五郎(早大~15年③)から始まる打線は、2番はロッテからFA加入の鈴木大地東洋大~11年ロ③)、島内宏明(明大~11年⑥)、浅村栄斗(大阪桐蔭高~08年西③)、ロメロと続く打線は強力で、このまま独走するのはないかと思った。

 主戦だった高梨雄平(JX-ENEOS~16年⑨)やウィーラーを放出するほど選手層が厚くなり、今年のドラフトは育成中心でオール高校生で良いと思ったくらいだ。

 ただ、少しずつ歯車が狂い始め、森原やブラッシュが不振で離脱し、則本や松井、茂木も再調整でチームを離れた。期待の2年目、辰巳涼介(立命大~18年①)や太田光(大商大~18年②)も序盤は良かったが、レギュラー定着とはならず、優勝戦線から後れを取ってしまっている。

【10/14現在のチーム成績 ※( )は昨年の成績】

 勝敗 99試合 48勝47敗4分③

 防御率…4.16⑤(3.74②)打率….259①(.251②)

 本塁打…101②(141④)盗塁58⑥(48⑤)

 得点459①(614③)失点428④(578②)得失点差31(+36)

 

 楽天日本ハム同様、その年のナンバーワン選手に行くのが基本方針だ。しかも12年の森雄大東福岡高~12年①)から8年連続して高校生を1位入札指名している。ただ、とにかくクジ運が悪く、ここ5年間でも17年の藤平尚真(横浜高~17年①)以外はすべて外している。

 ただ、その姿勢は成果に結びついており、投手では石橋良太(ホンダ~15年⑤)に弓削隼人(スバル~18年④)の先発に、リリーフでは森原と高梨と社会人選手が結果を残している。今年のルーキー瀧中瞭太(ホンダ鈴鹿~19年⑥)が先発で1勝を上げ、津留崎大成(慶大~19年③)もリリーバーとしての適性を見せている。

 野手では茂木を筆頭に、今年は小深田大翔(大阪ガス~19年①)がレギュラーを獲得する勢いを見せ、捕手は太田に堀内謙伍(静岡高~15年④)、足立祐一(パナソニック~15年⑥)がしのぎを削っている。外野はさらに激戦で、新人王も獲得した田中和基(立大~16年③)に、辰巳や渡邊佳明(明大~18年⑥)、小郷裕哉(立正大~立正大~18年⑦)がレギュラーを争い、ここ5年のドラフトは成果に結びついている。

楽天の補強ポイント】

 投 手…将来のエース候補

 捕 手…必要なし

 内野手…将来のレギュラー候補

 外野手…将来のレギュラー候補、大学生スラッガー 

 

●野手よりも今年は投手狙いが最適か、先発と中継ぎ左腕、クローザーも必要

☆投手~将来のエース候補

 投手陣は世代交代の波が近づいている。先発では岸孝之東北学院大~06年西・大社希)が36歳、涌井が34歳、塩見貴洋(八戸大~10年①)も32歳、則本と辛島航(飯塚高~08年⑥)が30歳代に突入した。リリーフ陣を見ても、今年NPBに復帰した牧田直久(日本通運~10年②)も36歳、青山浩二(八戸大~05年大社③)は37歳と主力がいずれもベテランの域に達している。

 20歳代で先発で一人立ちしている投手は弓削くらいで、リリーフもはロッテより人的補償で入団した酒居知史(大阪ガス~16年ロ②)と質量ともに不足がちだ。とにかく期待のドラフト1位が伸びきれていない。安樂智大(済美高~14年①)は、リリーフへ転向?するも、大事な場面での起用には成り得ておらず、近藤弘樹(岡山商大~17年①)は4試合、藤平は1試合登板に留まっている。

 今後のチーム編成でポイントとなるのが、松井の起用法だ。25歳の松井は間違いなく今後の楽天を背負う選手だが、先発かリリーフの選択肢が付く。今年は先発に転向するも4勝に終わり、9月からはリリーフに配置転換されている。

 松井を先発で使うなら、即戦力のクローザーが必要になるし、クローザーで使うなら5年は安泰で、ベテランの主力がいるうちに将来のエース候補を育成したい。年齢バランスでも昨年高校生を獲得しておらず、今年は高校生指名を外せない。

 将来のエース候補では、中森俊介(明石商高高橋宏斗(中京大中京高)山下舜平大(福岡大大濠高)が1位候補で、特に中森への評価が高い。他球団の動向にもよるが、高橋は中日や広島、山下もソフトバンク指名が狙っており、単独で中森を獲得できる可能性もある。

 一方でけが人が続出し、先発ローテが厳しくなった現状から即戦力の先発も必要だ。森博人(日体大赤上優人(東北公益文化大)宇田川優希(仙台大)、不足している先発左腕の補強で佐藤宏樹(慶大)も上位候補になる。

 松井を先発で起用するなら、即戦力のクローザーで伊藤大海(苫小牧駒大)木澤尚文(慶大)小郷賢人(東海大が候補になり、伊藤は日本ハムが指名確実と見られていたが、野手の佐藤輝明(近大)が急浮上しており、伊藤の単独1位指名もあり得る。

 他に左の中継ぎが不足しており、ここは鈴木昭汰(法大)藤村哲之(横浜商大岡田和馬(JR西日本をリストアップしている。

 中位から下位の高校生では、不足する左腕で高田琢登(静岡商高)松本隆之介(横浜高)下慎之介(健大高崎高)の評価が高く、嘉手苅浩太(日本航空石川高)や小牟田竜宝(青森山田高)など馬力のある投手をリストアップしている。

 

☆捕手~必要なし

 レギュラーはケガで離脱したが太田が一番手で、31歳の足立、26歳の下妻貴寛(酒田南高~14年②)、今年は出番が少ないが堀内も23歳で、年齢バランスも取れており緊急性はそれほど高くないように思える。

 強いて言えば打てる捕手が不足し、打てる捕手でリストアップすれば古川裕大(上武大)萩原哲(創価大)は打てる即戦力捕手だ。

 

内野手~将来のレギュラー候補

 ケガさえなければ内野手に心配はない。主力の浅村が30歳、鈴木大も脂ののりきった31歳、茂木が26歳で、遊撃のレギュラーを掴みつつある小深田も25歳と3~4年は安泰だ。ベテランの銀次(盛岡中央高~05年高③)に若手でも右のスラッガー内田靖仁(常総学院高~13年②)に勝負強い渡邊佳、巧打者の黒川史陽(智弁和歌山高~19年②)も控えており、当面心配は少ない。

 ここは将来のレギュラー候補に、年齢で空きのある大学生野手を抑えておきたい。さすがに補強の優先順位が低いのか、リストアップしている選手が少なく土田龍空(近江高)度会隆輝(横浜高)に、地元の有望選手で入江大樹(仙台育英高)がいる。即戦力野手では、牧秀悟(中大)楽天に不足している右打ちのスラッガー、また守備力に定評のある上川畑大悟(NTT東日本)への評価が高い。

 

☆外野手~将来のレギュラー候補、大学生スラッガー

 内野手に比べ、外野手は豊富そうに見えるが補強の優先順位は高い。唯一のレギュラーの島内も30歳を迎え、田中和や辰巳の一人立ちがないと厳しい。リーグ最下位の盗塁数もこの2人がレギュラーを獲得できれば課題も解消される。

 外野の狙いは当然、佐藤輝明(近大)はマークしているが、課題は投手力アップなので、2位以下の指名が予想される。ポイントは2点で、主力が和田恋(高知高~13年巨②)しかいない右打ちと将来のレギュラー候補の獲得だ。

 右打ちの外野手では、今川優馬(JFE東日本)は俊足のスラッガーで、チームの補強ポイントと合致する。ほかには俊足の並木秀尊(独協大や巧打者の向山基生(NTT東日本)がいる。

 将来のレギュラー候補で、来田涼斗(明石商高は、状況次第では2位での獲得も可能だ。右打者に絞ると元謙太(中京高)石川慧亮(青藍泰斗高)、強打者の西川僚祐と俊足の鵜沼魁斗東海大相模高のコンビも将来性十分だ。

 

●不足している左腕で早川?それとも将来のエース候補に行くか…注目の1位指名

 今年の1位指名は投手で良いと思う。競合覚悟で即戦力左腕の早川隆久(早大で行くか、中日が指名見え見えの高橋宏斗(中京大中京高)も競合必至で、もう一人の超高校級の中森俊介(明石商高)の単独指名もあるかもしれない。

【指名シミュレーション】 

 1位~中森俊介(明石商高・投手)…高校2年生のときよりエースとして活躍し、春夏甲子園4強の実績も光る世代ナンバーワン投手。ストレートの速さはもちろんのこと、変化球の精度も高く、先発、リリーフともに高いポテンシャルを秘める。

 2位~今川優馬(JFE東日本・外野手)…昨年の都市対抗では超攻撃型2番打者として、若獅子賞を獲得。迷いのないフルスイングが魅力のスラッガーだが、俊足かつ強肩で走攻守に優れている。明るい性格も魅力で看板選手になれる可能性大。

 3位~宇田川優希(仙台大・投手)…ゆったりしたフォームから投げ込む直球は球速以上の速さがあり、奪三振率が高い本格派。先発・リリーフどちらも問題ない。

 4位~赤上優人(東北公益文化大・投手)…中央では無名だが、早くから注目されていた右の本格派。野手で入学したのち投手に転向してドラフト候補になった逸材。

 5位~元 謙太(中京高・外野手)…昨夏の甲子園4強の原動力になった。元々は投手だが、プロでは野手で挑戦する。遠くに飛ばす力のある正真正銘のスラッガー

 6位~上川畑大悟(NTT東日本内野手…小柄だが堅実な守備で二遊間を守り、安定したスローイングも魅力。守備で食べていける選手で、藤田の後継者に最適。

 7位~萩原 哲(創価大・捕手…高校時代より強肩で注目を浴びており、守備では直ぐにでも戦力になる。思い切りの良い打撃はパンチ力も十分。

 このほかに下位または育成候補では、左腕の藤村哲之(横浜商大は先発・リリーフともに適性があり、150キロ右腕の佐藤蓮(上武大)もリストアップしている。

20年ドラフト予想☆DeNA~二遊間とクローザーの補強が上位進出のカギ

●チーム防御率も打率も悪くないが、成績は低迷…

 個人的に今年は優勝予想していたので、まさかAクラスまで危うくなるとは思っていなかった。 

 攻撃陣は打率.272で29本塁打、79打点の筒香嘉智(横浜高~09年①)がメジャー移籍した穴が不安視されたが、ラミレス監督の抜擢に佐野恵太(明大~16年⑨)が見事に応え、打率.335で現在首位打者、15本塁打で63打点と見事に穴を埋めた。

 佐野に負けじとベテランも結果を出し、梶谷隆幸(開星高~06年高③)が打率2位で16本塁打、宮崎敏郎(セガサミー~12年⑥)が4位で打率3割を超えている。2年連続本塁打王のソトは19本塁打と期待値よりは物足りないものの、リーグ2位の本塁打数を放ち、攻撃陣は強化されている。

 投手陣はエースの今永昇太(駒大~15年①)が、9試合登板5勝で離脱し今季絶望、序盤活躍した平良拳太郎(北山高~13年巨⑤)も離脱、上茶谷大河(東洋大~18年①)も出遅れた。ただ、大貫晋一(新日鉄住金鹿島~18年③)が8勝、濱口遥大(神奈川大~16年①)とベテランの井納翔一(NTT東日本~12年③)も6勝を上げ、今永の穴を埋めている。

 日本代表のクローザー山崎康晃(亜大~14年①)も6セーブと精彩を欠いているが、三嶋一輝(法大~12年②)が代わりを務め、リリーフ陣は昨年に続きエスコバーとパットン、石田健大(法大~14年②)がフル回転しており、リーグ3位の防御率は数字が示す通り改善している。

 こうなるとラミレス監督の謎采配がクローズアップされてしまうが、数字だけを見ればそれもあながち間違いではないと思ってしまう。

【10/11現在のチーム成績 ※( )は昨年の成績】

 勝敗 98試合 45勝48敗5分④

 防御率…3.84③(3.93⑤)打率….268①(.246⑤)

 本塁打…112②(163③)盗塁23⑤(40⑥)

 得点423③(596③)失点393④(611⑤)得失点差30(▲15)

 

 ここ5年のドラフトは、隔年で一本釣りが多く、15年の今永、17年の東克樹(立命館大~17年①)、19年森敬斗(桐蔭学園高~19年①)と競合を避ける傾向があるが、これが当たっている。また、外れ1位ながら16年の濱口、18年の上茶谷とドラフト1位の大学生投手が着実に戦力になっている。

 このほか投手では大貫、野手では捕手の戸柱恭孝(NTT西日本~15年④)に守備力に定評のある柴田竜拓(国学院大~15年③)、俊足の外野手・神里和毅(日本生命~17年②)が戦力になり、主砲の佐野は9位指名だ。

 即戦力選手がそれなりに戦力になってはいるが、主力としての物足りなさを感じるのも事実だ。高校生の育成は既知として進まず、合格点は投手では砂田毅樹(明桜高~13年育①)、野手では桑原将志福知山成美高~11年④)と乙坂智(横浜高~11年⑤)くらいで、主力となると筒香まで遡らなくてはならず、今ひとつチームに強さを感じないのはこういうところかもしれない。

 ここまで高校生選手が育たないのなら、できないことを無理をしないで、即戦力中心の指名のほうが良いのではないかと思ってしまう。

【DeNAの補強ポイント】

 投 手…将来のエース候補、山崎に代わるクローザー候補、左の中継ぎ

 捕 手…打てる即戦力捕手

 内野手…一塁を除く全ポジション(年齢的に高校生、大学生、社会人)

 外野手…高校生スラッガー(右打ちがベスト)足のスペシャリスト 

 

●山崎に梶谷、ソト、ロペスと去就が不明な主力が多く、今年は即戦力路線か?

☆投手~将来のエース候補、山崎に代わるクローザー候補、左の中継ぎ

 先発はエース今永が27歳、大貫が26歳、平良に濱口、東が25歳、上茶谷が24歳とこれから全盛期を迎える選手が揃っているが、いかんせん故障が多く、全員が揃えば屈指の先発陣を形成となるが、なかなか難しそうだ。一方で、22歳以下の若手は伸び悩んでおり、今シーズンは京山将弥(近江高~16年④)の3試合登板の1勝が最高で、先発陣の底上げが遅れている。

 リリーフ陣はクローザー候補の獲得が急務になる。山崎のメジャー移籍の可能性もあるが、それ以前に今までどれだけ山崎に依拠していたのか、今シーズンは痛いほど味わった。

 結果、エスコバーがリーグ最多の48試合、パットンが45試合、石田と山崎が39試合、三嶋が37試合、国吉佑樹秀岳館高~09年育①)も36試合、平田真吾(ホンダ熊本~13年②)は31試合と30試合以上登板はリーグ最多の7名を数える。昨年も三嶋とエスコバーの登板数は70試合を超え、18年にフル回転した砂田や三上朋也(JX-ENEOS~13年④)は回復が遅れ、登板過多は選手層の薄さの表れとも言える。

 年齢的なバランスは悪くなく、投手の優先順位は山崎に代わるクローザー候補、即戦力の先発投手、中継ぎ左腕、高校生投手と言ったところか。

 クローザー候補であれば木澤尚文(慶大)伊藤大海(苫小牧駒大)伊藤優輔(三菱パワーシステムズ)は即戦力で、間違いなくリリーフ陣に厚みを与え、小郷賢人(東海大宇田川優希(仙台大)は2~3位で獲得できる可能性もある。

 即戦力の先発ではやはり早川隆久(早大大道温貴(八戸学院大栗林良史(トヨタ自動車が1位候補になる。このほかの上位候補では森博人(日体大大江克哉(NTT西日本)小野大夏(ホンダ)、左腕では佐藤宏樹(慶大)伊藤将司(JR東日本をリストアップしている。

 中継ぎ左腕では藤井聖(ENEOS)は先発・リリーフどちらでもOKで、補強ポイントに合っており、他には長谷部銀次(慶大)今西拓弥(早大岡田和馬(JR西日本などがおススメ候補だ。

 高校生投手は補強の順位からすれば下位指名になりそうで、中位で根本悠楓(苫小牧中央高)川瀬堅斗(大分商高、下位では秋広優人(二松学舎大高)常田唯斗(飯山高)小牟田竜宝(青森山田高)を高く評価している。

 

☆捕手~打てる即戦力捕手

 18年は嶺井博希(亜大~13年③)、昨年は伊藤光(07年~オ高③)、そして今年は戸柱が最も多くの試合でマスクを被っているが、いずれも規定打席には達していない。ここ3年はレギュラーが決まらないまま、3人が代わる代わる主戦を務めている。

 2年連続で高校生捕手を獲得しているが、育成に時間がかかるポジションだけに、今年は即戦力捕手を獲得したい。打てる捕手が理想で、一番の候補は古川裕大(上武大)で、遊撃手転向もあったほど打撃面での評価が高い。今年は昨年と違い即戦力捕手が少なく、そのなかでも萩原哲(創価大)辻本勇樹(NTT西日本)は、ともに打撃面の評価も高い。

 

内野手~一塁を除く全ポジション(年齢的に高校生、大学生、社会人)

 内野手の補強は喫緊の課題になる。特に、二塁と遊撃のセンターラインのレギュラー不在はチームとして厳しい。一塁のロペスは既に37歳で退団が濃厚、内外野守れる本塁打王のソトも、今シーズンで契約満了を迎え去就が不明、三塁の宮崎も32歳で後継の育成が必要だ。

 一塁には元々本職の佐野がいるが、二塁の柴田、遊撃の倉本寿彦(日本新薬~14年③)と大和(樟南高~05年神④)ともに打力に乏しく、二遊間は打てる即戦力、三塁は将来のレギュラー候補を抑えておきたい。

 二遊間の即戦力なら牧秀悟(中大)は打って付けで、大学選抜の4番も務める右の大砲。このほかにシュアな打撃に、守備も巧い上川畑大悟(NTT東日本)中野拓夢(三菱自動車岡崎)、パンチ力もある峯本匠(JFE東日本)福永裕基(日本新薬はチームで4番を務める二塁手だ。

 遊撃には昨年のドラフト1位の森がおり、二塁手ほど即戦力を要してはいない。期待の伊藤裕季也(立正大~18年②)も控えており、三塁手同様に将来性のある高校生で良いと思う。三塁では井上朋也(花咲徳栄高)小深田大地(履正社高)山村崇嘉(東海大相模高)は遊撃にも挑戦しているスラッガー。遊撃では攻守にセンス抜群の度会隆輝(横浜高)や守備に定評のある土田龍空(近江高)、長打力が魅力の蔵田亮太郎(聖望学園高)が候補になる。

 

☆外野手~高校生スラッガー(右打ちがベスト)足のスペシャリスト

 外野はFAで去就が微妙の梶谷と神里がおり、桑原の復活や、ファームで結果を残している細川成也(明秀日立高~16年③)が台頭すれば、内野よりは緊急性が低い。

 課題は梶谷と神里に頼りっきりの機動力と、19~21歳の外野手が不在で、9名中6名が左打者という偏った構成で、高校生なら右打ちがベストだ。

 足のスペシャリストでは、五十幡亮汰(中大)並木秀尊(独協大逢澤峻介(トヨタ自動車はともに超がつく俊足で、今川優馬’(JFE東日本)は加えて長打力もあり、並木と今川は右打ちで補強ポイントにも合う。このほか、1位競合必至の佐藤輝明(近大)も候補に挙がっており、ここは果敢に挑んで良いと思う。また、巧打者の鈴木聖歩(JR東日本東北)への評価も高い。

 高校生スラッガーでは、来田涼斗(明石商高は将来トリプルスリーを狙える上位候補で、元謙太(中京高)渡邊翔太(昌平高)スラッガー、地元の鵜沼魁斗(東海大相模高)は、パンチ力もある俊足のリードオフマンで、来田以外であれば下位でも獲得できるチャンスがある。

 

●投手では早川と伊藤、野手では佐藤…日本ハムが選ぶナンバーワン選手は?

 今年は投手であれば早川隆久(早大栗林良史(トヨタ自動車、クローザー候補で木澤尚文(慶大)が1位候補で、早川を獲得できれば左腕王国が出来る。野手では佐藤輝明(近大)は外野のレギュラーを担える逸材で、早川と栗林、佐藤は競合の可能性が高い。

 そうなると敢えてウィークポイントに焦点を当てた補強で、他球団外れ1位指名見え見えの木澤や、補強ポイントに合う牧秀悟(中大)の単独指名なども、DeNAなら仕掛けてきても不思議ではない。 

【指名シミュレーション】 

 1位~木澤尚文(慶大・投手)…最速155キロのストレートで押し込む速球と、140キロで小さく落ちるカットボールが武器の球が速い変化球投手。奪三振率は脅威の13.10とクローザー向きと言える。

 2位~古川裕大(上武大・捕手)…1年時より公式戦に出場し、定評のあるインサイドワークに強肩も魅力だ。守備と同じくらい魅力なのが打撃力で、首位打者や最多本塁打、最多打点、最高出塁率など、打撃タイトルのほとんどを獲得している。

 3位~小郷賢人(東海大・投手)…最速155キロのストレートに、低めに決まるスライダーとフォークが武器の即戦力リリーバー。大学では2年からクローザーを務める。

 4位~蔵田亮太郎(聖望学園高・内野手…走攻守でパフォーマンスの高い、長身の高い大型遊撃手で守備も遜色なく、スケール感の漂う逸材で森のライバルになる。

 5位~伊藤将司(JR東日本・投手)…球の出どころの見づらい独特のフォームで、ストレートこそ140キロ半ばだが、変化球を駆使してゲームメークに長けている。

 6位~福永裕基(日本新薬内野手…社会人でようやく素質の開花した大型の二塁手で、長打力が魅力でチームでは4番を任せれている。

 7位~鈴木聖歩(JR東日本東北・外野手…左の巧打者で、入社1年目からレギュラーを獲得している。チームでは主に三番を担っている。

 このほかに下位または育成候補では、本格派左腕の長谷部銀次(慶大)や2メートルの大型サウスポーの今西拓弥(早大、同じ早大で長打力が魅力の外野手・瀧澤虎太朗(早大なども高く評価している。

20年ドラフト予想☆日本ハム~地元の逸材多し!優先するのは投手力か、攻撃力強化か?

●タレントが豊富でチーム防御率、打率とも2位も成績はなぜか低迷…

 チーム防御率、打率ともにリーグ2位。投手では有原航平(早大~14年①)と上沢直之専大松戸高~11年⑥)の甲乙つけがたい2人のエースピッチャーを抱え、宮西尚生関西学院大~07年大社③)という日本を代表するリリーバーがいる。

 攻撃陣も近藤健介(横浜高~11年④)と西川遥輝智弁和歌山高~10年②)、大田泰示東海大相模高~08年巨①)が3割を超え、渡邊諒(東海大甲府高~13年①)と合わせ最多の4人が打撃10傑に名を連ねる。主砲の中田翔大阪桐蔭高~07年高①)は打率は低いものも、現在打点王本塁打もリーグ2位につけている。近藤は出塁率得点圏打率が1位、西川も得点圏打率は同率1位で、盗塁は2位、大田も得点圏打率が3割を超える。

 これだけの個人成績を残すタレント集団にもかかわらず、チーム成績は5位と沈み、数字以上の強さを感じないのが、いまのファイターズだ。

【10/4現在のチーム成績 ※( )は昨年の成績】

 勝敗 92試合 41勝48敗3分⑤

 防御率…4.01②(3.76③)打率….254②(.251②)

 本塁打…74④(93⑥)盗塁51⑥(48⑤)

 得点391③(560⑤)失点404④(586③)得失点差▲13(▲26)

 

 かつて楽天を率いた野村克也監督は、「日本ハムはチームが勝つために、一人ひとりの選手が何をすべきか知っているチーム」と賛辞を贈った。守り勝つ野球でAクラスの常連だったチームが今は見る影もない。それを象徴するのが失策数で、リーグワーストの58個、捕逸も8個と守備の乱れから痛い失点をするケースが目立つ。伝統の堅守もいまは昔の話になってしまった。

 昨年は先発不足から、「栗山流オープナー」なる投手起用が賛否をよんだ。今年は先発の数は揃ったと思うが、起用法が決まっているのは、先発では有原と上沢、杉浦稔大国学院大~13年ヤ①)と新外国人のバーヘイゲンだけで、マルティネスは一時期抑えに回り、ベテランの金子弐大(トヨタ自動車~04年オ自)も中継ぎから先発、加藤貴之(新日鉄住金~15年②)も相変わらず打順2回りまでで、現在は中継ぎで起用法が安定していない。

 中継ぎも同様で勝ちパターンが確立できておらず、宮西をクローザーに据えているが、その宮西まで繋ぐパターンが決まっていない。玉井大翔(新日鉄住金~16年⑧)や秋吉亮(パナソニック~13年ヤ③)、左腕の堀瑞樹(広島新庄高~16年①)に公文克彦大阪ガス~12年巨④)などは、何となく場当たり的な起用が目立ち、見ていて気の毒に思うことがある。

 野手陣では怖いのは先述した西川、大田、近藤、中田、渡邊の5人だけで、下位打線の弱さは相変わらずだ。ようやく平沼翔太(敦賀気比高~15年④)が打撃でアピールをしているが、期待の清宮幸太郎早実高~17年①)は攻守に精彩を欠き、捕手と三塁手のレギュラーも決まらないままだ。

 かつて育成の日本ハムと呼ばれ、次々と有力選手が台頭してきたが、過去5年のドラフトのなかで主戦に成長したのは、加藤と堀、玉井だけ。ただ、いずれも先発でもリリーフ陣の柱に成り切れておらず、物足りなさは否めない。

 野手陣に至ってはレギュラーを獲得した選手はおらず、育成にも翳りが見える。広島ではないが、日本ハムも知らないうちに過信や慢心が生まれたのかもしれない。その証拠ではないが、昨年は社会人と大学生が各3名、高校生1名と即戦力路線に転換したが、河野竜生(JFE西日本~19年①)の2勝のみは誤算だっただろう。

 コロナ禍で微妙になったが、エース有原とチームの盗塁数の半分を稼いでいる西川が揃ってポスティングでMLB挑戦を希望しており、この2人が抜けるとチームの戦力は大幅に落ちてしまい、若手の台頭が喫緊の課題になる。 

日本ハムの補強ポイント】

 投 手…将来のエース候補、即戦力のクローザー候補

 捕 手…必要なし

 内野手…三塁と遊撃の即戦力(俊足)

 外野手…(西川流失に備えた)即戦力と将来の主軸候補 

 

●強化するのは投手力?攻撃力?かつての守り勝つ野球を復活させたい

☆投手~将来のエース候補、即戦力のクローザー候補

 一番の関心ごとは、MLB挑戦を希望しているエース有原の去就で、今年は勝ち星こそ伸びていないが、1年間ローテーションを守れる大黒柱がいるいないとではまるで違う。その有原と杉浦、加藤が28歳、上沢と覚醒を予感させる上原健太(明大~15年①)が26歳、河野は22歳と駒は揃いつつあり、吉田輝星(金足農高~18年①)や北浦竜次(白鷗大足利高~17年⑤)の若手も控えている。

 リリーフ陣の駒は多く、玉井に秋吉、井口和朋(東農大オホーツク~15年③)に西村天裕(NTT西日本~17年②)、故障で離脱中だが石川直也(山形中央高~14年④)もいる。左腕も豊富で宮西に堀、公文が控え大きな穴はない。ただ、元々セットアッパーの37歳の宮西をクローザーに据えるのは、裏を返せば抑えを任せられる投手がいない証で、クローザーの確立は喫緊の課題だ。

 今年は、地元出身の伊藤大海(苫小牧駒大)と相思相愛と言われている。伊藤は先発もこなすが、大学日本代表でクローザーを務めており補強ポイントにはピッタリだ。伊藤以外の上位では早川隆久(早大に、エース候補として中森俊介(明石商高小林樹斗(智弁和歌山高)が候補になる。

 年齢的なバランスは悪くなく、左右にも偏りがない。即戦力で先発候補を厚くするなら赤上優人(東北公益文化大)内間拓馬(亜大)が候補になり、森博人(日体大木澤尚文(慶大)、宇田川優希(仙台大)、左腕の鈴木昭汰(法大)は先発でも抑えでもいけ、地元の河村説人(星槎道都大)は伸びしろもある。社会人では伊藤将司(JR東日本西田光汰(JR東日本をリストアップしている。

 高校生投手は昨年指名がないので、今年は確実に抑える必要がある。高田琢登(静岡商高)川瀬堅斗(大分商高を上位候補に据え、今年は地元北海道に有力選手が多く根本悠楓(苫小牧中央高)阿部剣友(札幌大谷高)の両左腕、片山楽生(白樺学園高)がおり、今年は地元枠の指名に困ることはなさそうだ。このほかに左腕の松本隆之介(横浜高)上田洸太朗(享栄高)、2メートルの大型投手秋広優人(二松学舎大高)に総合力の高い常田唯斗(飯山高)の評価が高い。

 

☆捕手~必要なし

 現在、コーチ兼任の鶴岡慎也三菱重工横浜~02年⑧)を含め8名おり人数的にも補強の必要はない。24歳の清水優心(九州国際大高~14年②)と27歳の宇佐見真吾(城西大~15年巨④)が正捕手候補で、石川亮(帝京高~13年⑧)も控えており、質量ともに問題はない。

 

内野手~三塁と遊撃の即戦力(俊足)

 内野のレギュラーには、一塁の中田はまだ31歳でまだまだ衰える年ではなく、4番一塁を競う清宮にとっては攻守に超える壁が高い。二塁には25歳の渡邊がいるので、やはり三塁と遊撃になる。

 ただ、今年ケガで離脱したものの20歳の清水祐希(花咲徳栄高~18年②)が序盤戦活躍し、渇望していたレギュラー候補が出てきた。遊撃は平沼と26歳の石井一成(早大~16年②)がレギュラー争いをしており、中島卓也(福岡工高~08年⑤)も健在で、三塁はレギュラー候補、遊撃は将来の主力になり得る選手の獲得を目指したい。また、機動力強化のために俊足の選手も必要だ。

 三塁の即戦力は佐藤輝明(近大)が一番の候補で、広い札幌ドームをも苦にしない長打力を秘めている。外野も守れることから、西川の後継者としても起用の幅は広がりそうだ。現状、三塁には横尾俊健(慶大~15年⑥)やビヤヌエバもおり、将来性を見越した指名でスラッガー井上朋也(花咲徳栄高)山村崇嘉(東海大相模高)、巧打者の小深田大地(履正社高)は将来レギュラーをはれる逸材だ。

 遊撃手では牧秀悟(中大)はレギュラー候補になるし、堅守が売りの上川畑大悟(NTT東日本)は失策の多い内野陣では貴重な戦力になる。将来性なら土田龍空(近江高)は堅い守備に俊足のバランスの取れた選手、スラッガー中山礼都(中京大中京高)蔵田亮太郎(聖望学園高)などが候補になる。

 

☆外野手~(西川流失に備えた)俊足の即戦力と将来の主軸候補

 西川が残留するなら外野陣は鉄壁の布陣で、近藤27歳、西川28歳、大田も30歳で数年は安泰だ。ただ、この代わりになるのが松本剛(帝京高~11年②)と内外野守れる杉谷拳士(帝京高~08年⑥))のみで、即戦力を獲得して控えの層を厚くしたい。盗塁数が少ないので、俊足の選手が理想だ。

 先述した佐藤以外に、五十幡亮汰(中大)並木秀尊(独協大長沢吉貴(東芝は超がつく俊足。足だけでも飯が食える選手で、長沢は守備力にも定評がある。今年は地元選手に逸材が多い話をしたが、今川優馬(JFE東日本)も道産子で俊足も兼ねたスラッガーで補強ポイントに合う。

 一方で、強固なレギュラーがいる間に、将来の主軸になる選手をじっくり育成するのも手で、そうなると来田涼斗(明石商高西川僚祐(東海大相模高)が双璧で、3~4年後はクリーンアップを任せられる逸材だ。また、プロ志望合同練習会で評価を高めた石川慧亮(青藍泰斗高)を高く評価している。

 

●投手では早川と伊藤、野手では佐藤…日本ハムが選ぶナンバーワン選手は?

 日本ハムは、その年1番の選手に行くのがチームの揺るがない方針だ。今年で言えば投手では早川隆久(早大伊藤大海(苫小牧駒大)中森俊介(明石商高に野手の佐藤輝明(近大)のいずれかが候補になる。ただ今年は、地元出身で先発、クローザーどちらもこなせる相思相愛の伊藤の指名が濃厚だ。

【指名シミュレーション】 

 1位~伊藤大海(苫小牧駒大・投手)…大学2年より大学選抜に選出され、クローザーを務めた剛腕。155キロの威力のあるストレートに、多彩な変化球で制球力も申し分ない。それより打者に立ち向かうハートの強さが評価され、リリーフの適性が高い。

 2位~西川僚祐(東海大相模高・外野手)…名門校で1年生より4番を務め、高校通算53本塁打の右の大砲。詰まりながらもスタンドまで運ぶパワーが魅力の選手で、じっくり育てれば清宮と4番争いをするライバルになり得る。

 3位~川瀬堅斗(大分商高・投手)…長身から投げ下ろす角度のあるストレートを武器に、スライダーやチェンジアップの変化球も一級品。

 4位~高田琢登(静岡商高・投手)…中央では無名だが、最速148キロのストレートに変化球で緩急をつけた巧みな投球術が武器の完成度の高いサウスポー。

 5位~内間拓馬(亜大・投手)…最速149キロのストレートと精度の高いカーブやスライダー、ツーシームが武器の本格派右腕で、まだ伸びしろを期待させる大器。

 6位~並木秀尊(独協大・外野手)…50メートル5秒台の俊足で、守備も定評がある。課題の打撃も発展途上中で、ミートに長けた広角に打ち分ける技術がある。

 7位~片山楽生(白樺学園高・投手…肘を柔らかく使ったフォームから、伸びのある速球はキレがあり、昨秋の神宮大会で結果を残した。打撃も良く4番を務める。

 このほかに下位または育成候補では、本格派右腕の西田光汰(JR東日本はリリーフの層を厚くするし、高校生では完成度の高い常田唯斗(飯山高)、大型左腕の阿部剣友(札幌大谷高)は育成でもプロ入りを熱望している。スラッガー石川慧亮(青藍泰斗高)も下位や育成で獲得し、育ててみたい選手だ。