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どのチームが「人」を育て強くなるのか

2019年~ドラフト候補選手100

 既に6球団が指名を公言し、佐々木には日本ハムとロッテ、西武。ヤクルトが奥川、広島が森下、中日が石川の1位指名、また、巨人とソフトバンクも1位での投手指名を公言した。

 佐々木にはパ・リーグ全球団、DeNAが森下、阪神は奥川指名が濃厚で、巨人が佐々木と奥川、楽天が佐々木と石川指名のどちらかになりそうだ。当初から、奥川指名を明言していた中日が石川に切り替えたことで、楽天がどう動くかが注目だ。

 

1位入札候補(1回目)

 佐々木朗希(大船渡高・投手)…オリックス・日本ハム・ロッテ・楽天・ソフトバンク・西武

 奥川 恭伸(星稜高・投手)…ヤクルト・阪神・巨人

 石川 昴弥(東邦高・内野手)…中日 ※楽天

 森下 暢仁(明大・投手)…広島・DeNA

1位入札候補(2回目)

 西  純矢(創志学園高・投手)…最速154キロの直球に抜群のスライダー

 河野 竜生(JFE西日本・投手)…抜群の制球力が武器の即戦力左腕

1位候補

 堀田 賢慎(青森山田高・投手)…評価急上昇中の本格右腕で1位候補に

 鈴木 寛人(霞ケ浦高・投手)…今夏の甲子園で潜在能力の高さを披露

 及川 雅貴(横浜高・投手)…左腕で150キロ超えで高い奪三振率を誇る

 宮城 大弥(興南高・投手)…総合力の高い左腕で、先発・中継ぎもOK

 森  敬斗(桐蔭学園高・内野手)…広い守備範囲をほこる俊足の遊撃手

 津森 宥紀(東北福祉大・投手)…変則右腕でプロでもクローザー候補 

 海野 隆司(東海大・捕手)…強肩強打で完成度ナンバーワンの即戦力

 佐藤都志也(東洋大・捕手)…強肩と俊足で外野も守れる打てる捕手

 太田  龍(JR東日本・投手)…最速153キロで成長著しい大型投手

 立野 和明(東海理化・投手)…152キロの若きエースで伸びしろ十分

 宮川  哲(東芝・投手)…勝てる投手でエースとして全幅の信頼を得る

 佐藤 直樹(JR西日本・外野手)…強肩と俊足で今夏から評価が急上昇中

2位候補

 井上 広輝(日大三高・投手)…安定感抜群で潜在能力の高さは折り紙つき

 東妻 純平(智弁和歌山高・捕手)…名門校で4番も任せられた強打の捕手

 井上 広大(履正社高・外野手)…甲子園で好投手を打ち崩したスラッガー

 吉田 大喜(日体大・投手)…コンスタントに150キロを投げる即戦力

 杉山 晃基(創価大・投手)…最速154キロのエースで経験も豊富な即戦力

 望月 大希(創価大・投手)…長身から投げ下ろすストレートと強い精神力

 橋本 侑樹(大商大・投手)…キレのあるストレートで今秋ノーノー達成

 郡司 裕也(慶大・捕手)…スランプが少ない抜群の安定感で全幅の信頼

 宇草 孔基(法大・外野手)…俊足に加えパンチ力もある攻撃的1番打者

 高部 瑛斗(国士館大・外野手)…俊足巧打の安打製造機で4度の3割

 柳町  達(慶大・外野手)…俊足で反対方向に打てる打撃、三塁もOK 

 小深田大翔(大阪ガス内野手)…俊足の安打製造機でナンバーワン野手

3位候補

 前 佑囲斗(津田学園高・投手)…下半身を使ったまとまりのある投球が魅力

 落合 秀市(和歌山東高・投手)…BIG4にも負けない素質でMLBも注目

 韮澤 雄也(花咲徳栄高・内野手)…天性の打撃センスでU-18でも中軸を打つ

 北山 比呂(日体大・投手)…高校時代は控えも、大学で成長を遂げる逸材

 伊勢 大夢(明大・投手)…速球が魅力の右サイドハンドのパワーピッチャー 

 坂本 裕哉(立命大・投手)…多彩な変化球で相手を打ち取る本格派左腕

 小川 一平(東海大九州・投手)…今年は不振だが潜在能力は1位級の隠し球

 勝俣 翔貴(国際武道大・内野手)…三塁守備に不安はあるが高い打撃能力

 加藤 雅樹(早大・外野手)…左右に打ち分けるシュアな打撃と長打力

 本田健一郎(JFE東日本・投手)…完成度の高い投球で都市対抗優勝投手

 浜屋 将太(三菱日立PS・投手)…速球とスライダーで打者を翻弄

 片山 勢三(パナソニック内野手)…パワーで放り込む長打力が魅力 

4位候補

 小林 珠維(東海大札幌高・投手)…エースで4番の本格派、打者でも注目

 林  優樹(近江高・投手)…制球力抜群の変化球が武器のクレバーな投球

 山瀬慎之介(星稜高・捕手)…高校ナンバーワンの強肩のレギュラー候補

 遠藤  成(東海大相模高・内野手)…名門校でも二刀流の高い身体能力

 紅林弘太郎(駿河総合高・内野手)…早くから注目されていた大型遊撃手

 黒川 史陽(智弁和歌山高・内野手)…名門校の主将も務める大型二塁手

 上野 響平(京都国際高・内野手)…抜群の遊撃守備で打撃力も急進化中

 菊田 紘和(常総学院高・外野手)…当たれば驚愕の飛距離のスラッガー

 横山  楓(国学院大・投手)…今シーズンさらなる成長を続ける本格派

 吉村貢司郎(国学院大・投手)…重い直球と落差のあるフォークが武器

 小又 圭甫(NTT東日本・投手)…150キロ連発で中継ぎなら即戦力

 原澤 健人(スバル・内野手)…体の強い長距離砲で一塁と三塁を守る

5位候補

 井上 温大(前橋商高・投手)…しなやかな腕の振りが魅力のサウスポー

 岡林 勇希(菰野高・投手)…俊足で打者としても評価が高い好素材

 玉村 昇吾(丹生高・投手)…今夏の福井大会で52奪三振の大会記録

 谷岡 楓太(武田高・投手)…県立高ながら広島の強豪を苦しめた剛腕

 浅田 将太(有明高・投手)…世界大会でも見せたハートの強さが魅力

 武岡 龍世(八戸学院光星高・内野手)…坂本2世と呼ばれる巧打者

 松田 亘哲(名古屋大・投手)…大学から野球を再開した頭脳派左腕

 米田 知弘(大阪大谷大・投手)…評価上向きのパワーピッチャー

 中村 健人(慶大・外野手)…選球眼が良くパンチ力のあるスラッガー

 阿部 陽登(日立製作所・投手)…精度の高いフォークとカットボール

 諸見里 匠(日本通運内野手)…高い身体能力を活かした守備がウリ

 長谷川凌汰(新潟アルビレックス・投手)…変化球の精度が増しプロへ 

6位候補

 米山 魁乙(昌平高・投手)…激戦区の埼玉で強豪校を苦しめた左腕

 金城 洸汰(北山高・投手)…線は細いが抜群のボディコントロール

 藤田 健斗(中京学院大中京高・捕手)…今夏甲子園ベスト4の主戦

 大西 広樹(大商大・投手)…多彩な変化球を駆使し大学通算24勝

 浦本 千広(九産大・投手)…キレのあるストレートと変化球が武器

 福森 耀真(九産大・投手)…しなやかな腕の振りから速球を投込む

 杉尾 剛史(宮崎産経大・投手)…変化球を軸にゲームメークが卓越

 菅田 大介(奈良学園大・外野手)…公式戦で投手も務める二刀流

 岡野祐一郎(東芝・投手)…制球力抜群で念願のプロ入りを目指す

 宅和健太郎(NTT西日本・投手)…テンポの良い投球が魅力の左腕

 中川 一斗(JFE西日本・投手)…ピンチで三振を獲れる抑え候補

 松岡 洸希(埼玉武蔵・投手)…サイドに転向してスライダーにキレ

下位候補

 赤塚 健利(中京学院大中京高・投手)…粗削りだが化ける可能性大

 小峯 新陸(鹿児島城西高・投手)…高い身長から投げ下ろす本格派

 持丸 泰輝(旭川大高・捕手)…卓越したキャプテンシーの左の巧打者

 渡部 雅也(日大山形高・捕手)…攻守にバランスの取れ、守備が向上

 済木 龍輝(佐賀商高・内野手)…俊足に加え高校通算20本塁打の打撃

 川野 涼多(九州学院高・内野手)…俊足のスイッチヒッターの注目株

 津留崎大成(慶大・投手)…ケガを乗り越えストレートの威力が復活

 村西 良太(近大・投手)…スリークオーターから威力のある直球

 山形 堅心(創価大・内野手)…今年開花したスラッガーも守備は苦手

 蝦名 達夫(青森大・外野手)…長打力が魅力で伸びしろもある

 金子 莉久(白鴎大・外野手)…大学屈指の韋駄天で一芸でプロ目指す

 谷川 刀麻(近大・外野手)…大学では野手に専念し打撃力が成長

 宮田 康喜(日本製鉄広畑・投手)…威力のあるストレートの隠し球

 堀田  晃(西濃運輸・投手)…抜群の身体能力で完投能力も高い

 小久保 気(西濃運輸・投手)…ストレート真っ向勝負のマウンド度胸

 柘植 世那(ホンダ鈴鹿・捕手)…リードは文句なし!打撃力も向上

 稲垣 誠也(日本通運内野手)…小柄だがパンチ力もあり俊足

 笹川 晃平(東京ガス・外野手)…確実性を増した打撃で念願のプロへ

 竹内 裕太(四国IL徳島・投手)…ストレートを軸に安定感が光る

 平間 隼人(四国Il徳島・内野手)…今季43盗塁の韋駄天で守備も巧い

 岸 潤一郎(四国IL徳島・外野手)…明徳で1年生から4番を務めた

 加藤 壮太(埼玉武蔵・外野手)…パンチ力も増し俊足で若さも魅力

 

 以上、100名の候補選手をリストアップしてみた。どの選手が、どこのユニフォームに袖を通し、今年もどんなドラマが展開されるか楽しみにしたい。 

埼玉西武~投手の補強が最優先!野手は主力と控えの差を埋めたい

●打って、走って、12球団ナンバーワンの打線も、投手陣は防御率が後退…

 残念ながらCS突破とはならなかったが、今年もこれまでの常識を覆すような打ち勝つ野球で連覇を達成した。昨年は2001年の近鉄以来、チーム防御率最下位での優勝を果たし、「まぁ、1年くらいだったらあるかな」と思っていたが、連覇となるとまさしく強さは本物だ。

 まして今シーズンは、エースの菊池雄星マリナーズ)がメジャー移籍し、主将で打点王の浅村栄斗(楽天)もFAで移籍し苦戦が予想された。さらに昨年最多勝の多和田真三郎は、1勝でシーズン早々離脱してしまった。

 実際にスタートから5割を維持するのがやっとで、首位ソフトバンクに最大8.5ゲーム差あったが、9月からの怒涛の反撃でソフトバンクを捕らえ、最終2ゲーム差をつけての連覇だった。

 強打の山賊打線は、チーム打率は12球団ナンバーワンの.265、盗塁134も1位で、得点が700点を超えたのも西武しかいない。打って、走れて、長打力もあり、どこからでも得点できる力があり、相手投手陣には脅威だ。

 一方で投手陣の弱さも相変わらずで、チーム防御率はさらに後退した。結局、CSでは今年も懸念された投手陣が崩壊し、ソフトバンクに1勝もできずに、2年連続で日本シリーズ出場を逃した。 

【2019年~チーム成績 ※( )は昨年の成績】

 防御率…4.35⑥(4.24⑥)打率….265①(.273①)

 本塁打…174②(196②)盗塁134①(132①)

 得点…756①(792①)失点695⑥(653⑥)得失点差+61(+139)

 

●野手は主力と控えの差が歴然…投手はエースが不在…選手層の薄さが課題

 西武の平均年齢26.7歳は若いチームで、特に破壊力抜群の野手陣は26.4歳と若く、末恐ろしいチームだ。今年は12球団最多の8名が規定打席に達し、木村文紀も2打席不足しただけで、実に1年間レギュラー9名を固定して戦えることができた。

 西武の強さは、個々がそれぞれの強みを活かして、打線として機能しているところだ。1番の秋山翔吾最多安打、2番の源田壮亮は30盗塁でリーグ2位、3番の森友哉首位打者、4番の山川穂高本塁打王、8月から4番を務めた中村剛也打点王、5番の外崎修汰は26本塁打、90打点、22盗塁で総合力の高さを見せ、栗山巧と木村を挟んで、ラストバッターの金子侑司は盗塁王である。

 20本塁打以上が山川のほか、中村、外崎、森、秋山の5名、100打点が中村、山川、森の3名、20盗塁以上が金子侑、源田、外崎がおり、チームと個人成績を見てもどこからでも得点できるスキのない打線である。

 打線とは反面、脆弱な投手陣のなかで今年の優勝の原動力になったのは、後半戦先発で11連勝を上げたニール、両リーグ最多の81試合登板の平井克典(パ・リーグ新記録)、30セーブを上げ復活した増田達至で、この3人の活躍がなければ終盤の逆転優勝はなかっただろう。

 このほか高橋光成が10勝、今井達也とルーキー松本航がともに7勝を上げたが、いずれも防御率4点台で安定感に欠けた。中継ぎ陣も50試合以上に登板したのは、平井と増田のほかには小川龍也しかおらず、本当に平井と増田には頭が下がる。

 

【西武の5年後の主力選手】

 投 手…武隈祥太・平井克典・小川龍也・多和田真三郎・本田圭佑・野田昇吾

     佐野泰雄・斎藤大将・松本 航・高橋光成・今井達也・平良海馬

 捕 手…岡田雅利・森 友哉

 内野手…水口大地・山川穂高・外崎修汰・源田壮亮永江恭平

 外野手…熊代聖人・金子侑司

 

 今から5年後は、戦力は落ちていることが予想される。今年の主戦力では、投手では榎田大樹が34歳、十亀剣が33歳、増田が32歳。野手では中村と栗山が38歳、秋山と木村が32歳を迎える。さらに秋山と十亀はFA移籍が濃厚で、5年度ではなく来シーズンが既に心配だ。

 課題の投手陣は、先発は多和田、松本航、高橋光、今井と数は揃っているが、エース候補としていずれも安定感に欠く。中継ぎ陣は佐野が一人立ちし、若手では平良も出てきたが、ファームでも結果を残した投手が少なく質量ともに不足している。

 野手は中村、栗山、秋山の後釜の育成が必要だ。DHの栗山は外国人選手で宛がえるが、中村と秋山の穴は大きい。レギュラーメンバーの力量はずば抜けているが、控えとの差がありすぎる。相撲に例えれば、三役と前頭どころか十両くらいの差がある。CS後に辻監督もコメントしていたが、短期決戦で投打に戦力の薄さが露呈した。

 また、恒例と言ってしまえばそれまでだが、毎年主力がFAで移籍しており、若手の育成と輩出スピードを上げないと、一気に戦力ダウンになってしまう可能性があるだけに今年は的確にウィークポイントを補強したい。

 

●上位は即戦力投手、野手は年齢に関係なくウィークポイントを補強

 西武の年齢バランスは申し分なく、投手では26歳に6名と集中しているのを除けば、各年齢に1~2名おり、23~24歳の不足は社会人選手で補えば問題ない。野手は年齢バランスを気にすることなく、補強ポイントに絞った指名ができる。

 とにかく西武の強さはドラフトの成功率にある。十亀、増田、高橋光、多和田、今井、松本航は全員が1位指名。野手のレギュラーでも、1位指名が森と木村(入団時は投手)、2位で山川、3位で秋山、金子侑、外崎、源田と上位指名が並び、上位指名選選手がしっかり主戦になっているのが強みだ。

 

【西武の補強ポイント】

 投 手…先発ローテを任せられる即戦力投手と将来のエース候補(左腕)

 捕 手…森のライバルになる高校生または即戦力大学生

 内野手…ポスト中村のスラッガーと内野のバックアップ要員

 外野手…秋山流失に備えて走攻守揃った即戦力

 

 今年の即戦力ナンバーワン投手は森下暢仁(明大・投手)で、素質豊かな高校生指名にもいきたいが、今年も即戦力投手のほうが良いと思う。森下のほかにも、立野和明(東海理化・投手)太田龍JR東日本・投手)の先発に、不足している左腕で河野竜生(JFE西日本・投手)が候補になる。また、クローザーで津森宥紀(東北福祉大・投手)も手薄なブルペン陣にはもってこいの選手だ。

 高校生投手のでは、不足する左腕で及川雅貴(横浜高・投手)宮城大弥(興南高・投手)は上位で消えそうだ。また、浅田将太(有明高・投手)落合秀市(和歌山東高・投手)はBIG4に劣らない素質が魅力で、鈴木寛人(霞ケ浦高・投手)堀田賢慎(青森山田高・投手)は、ドラフト直前に評価が上がっている隠し球の上位候補だ。

 野手の指名を補強ポイントの優先順位は、ポスト秋山の外野手>スラッガー候補の三塁手>内野のバックアップ>森のライバル捕手の順か。

 ポスト秋山では、宇草孔基(法大・外野手)は攻撃的1番打者で、俊足巧打の高部瑛斗(国士館大・外野手)安打製造機柳町達(慶大・外野手)は外野のほかに三塁も守れる。社会人の佐藤直樹JR西日本・外野手)は、評価が急上昇中で上位でないと獲れない。高校生では木下元秀(敦賀気比高・外野手)も走攻守三拍子揃った選手だ。

 ポスト中村の三塁手は、石川昴弥(東邦高・内野手などは西武に入団したらどんな選手になるか楽しみだ。また、勝俣翔貴(国際武道大・内野手は大学でスラッガーに成長し、同じぽっちゃり体形の片山勢三(パナソニック内野手は、イメージ的にもポスト中村にピッタリだ。

 内野のバックアップ要員では、小深田大翔(大阪ガス内野手はレギュラーを狙え、諸見里匠(日本通運内野手は守備なら即一軍レベル。高校生は将来のレギュラー候補で、森敬斗(桐蔭学園高・内野手を筆頭に、地元の韮澤雄也(花咲徳栄高・内野手紅林弘太郎(駿河総合高・内野手は強打の大型遊撃手。上野響平(京都国際高・内野手は守備に定評がある。

 こうなると捕手は下位指名になりそうで、ともに大型捕手の石塚綜一郎(黒沢尻工高・捕手)渡部雅也(日大山形高・捕手)、U-18のレギュラー水上佳(明石商高・捕手)、強肩の小藤翼(早大・捕手)は下位でも獲得できそうだ。

 また、中位から下位では伸びしろにある大学生に即戦力投手を加え、ブルペン陣を強化したい。大学生では早くから松田亘哲(名古屋大・投手)をリストアップしており、稲毛田渉(仙台大・投手)大西広樹(大商大・投手)米田知弘(大阪大谷大・投手)が夏から秋に向け評価を上げた。

 即戦力投手では、萩原僚麻(NTT西日本・投手)小久保気(西濃運輸・投手)中川一斗(JFE西日本・投手)は中継ぎ・抑えタイプで、補強ポイントに合致する。 

 

【西武のドラフトを勝手にシミュレーション】

 1位…立野 和明(東海理化・投手)…本格派右腕で都市対抗優勝に貢献

 2位…宇草 孔基(法大・外野手)…パンチ力もある攻撃的一番打者

 3位…浅田 将太(有明高・投手)…気持ちを前面に出すタフネス右腕

 4位…松田 亘哲(名古屋大・投手)…大学から野球を再開した頭脳派

 5位…上野 響平(京都国際高・内野手)…守備力に定評があり打撃も成長

 6位…小久保 気(西濃運輸・投手)…ストレートで押す強気な投球

 7位…木下 元秀(敦賀気比高・外野手)…二刀流をこなす抜群の身体能力

 

 上位指名選手が着実に主戦になることにより、毎年のようにFAで主力選手が流出しても戦力を維持できたが、やはりどこかで止めなくてはならない。16年はエースの岸孝之楽天)、17年は勝ち頭だった野上亮磨(巨人)、昨年が不動の3番浅村と、ベテラン捕手の炭谷と、半分でも残っていれば…と思ってしまう。

 2年連続のCS敗退を機に、来シーズンから西武も三軍制の準備にかかる。今年は育成含め「量」を確保するドラフトになりそうだ。

 

 

巨人~隠れた逸材よりも、必要なのはエースとスター候補

●スタートからの好調を維持し、交流戦以降は首位を独走し4年振りV

 アンチ巨人のファンが避けてほしいことの一つが、原辰徳監督の再々登板だった。いろいろと賛否はあるが、勝てる監督なのは間違いなく、就任1年目で4年振りのリーグ優勝に導いた。FAで丸佳浩を獲得したが、主力のマギーが退団しており、ほぼプラスマイナスゼロのなかでの優勝で、ただただその手腕を評価するほかない。

 チーム成績は投打に変わりがない。セ・リーグのチーム防御率が今年は高く、昨年より若干改善したにもかかわらずリーグ4位。得点力は丸の加入分、本塁打と盗塁が上乗せされたが、チーム打率は昨シーズンと全く同じだ。

 今年は開幕から好調を維持し、一時期3位に後退するも、6月半ばに首位に立つとそのまま独走体制でシーズンを終えた。昨年は得失点差プラスながら借金4の3位で、チグハグな戦いだったが、今年は得失点差のプラスをしっかり勝ち星に繋げた。

【2019年~チーム成績 ※( )は昨年の成績】

 防御率…3.77④(3.79①)打率….257②(.257④)

 本塁打…183①(152③)盗塁83②(61⑤)

 得点…663①(625③)失点573③(575①)得失点差+90(+50)

 

●主力の高齢化が近づいてきており、将来に不安を感じる陣容

 巨人の平均年齢は27.4歳やや高く、特に投手陣は27.7歳で、ヤクルトに次いで高い。その投手陣だが、エース菅野智之は不振に苦しみながらも11勝を上げ、山口俊が15勝で最多勝と最高勝率のタイトルを獲得した。さらにメルセデスと、昨年まで勝ち星のなかった15年1位の桜井俊貴がともに8勝を上げた。

 開幕当初はリリーフ陣が不安定で、終盤に逆転負けすることが多かったが、そのピンチを救ったのが中川皓太で、チーム最多の67試合登板で21セーブ、17ホールドで中継ぎ陣を支えた。中川以外で50試合登板を超えたのは、田口麗斗と高木京介のみで、状況や選手の調子に応じた起用で乗り切った。

 また、ベテランの大竹寛を後半から中継ぎで起用したり、昨年6位の高校生ルーキー戸郷翔征を、終盤の大事な試合で抜擢するなど、形に捉われない用兵が冴えた。

 野手は、坂本勇人と丸、若き主砲の岡本和真、ベテランの亀井善行規定打席をクリアしチームを支えた。特に坂本勇は打率こそ昨年を下回ったものの、40本塁打94打点はキャリアハイの成績だ。丸と岡本は、打撃成績(打率・本塁打数・打点)はすべて昨年を下回ったものの、ともに要所での活躍が光った。一方で亀井は昨年より打撃成績を上げ、37歳のベテランが奮起した。

 このほか大城卓三とゲレーロが300打席を超え、シーズン通して主力として結果を残した。捕手は大城のほかに、小林誠司とFA移籍の炭谷銀仁朗を併用し、内野手では若林晃弘に山本泰寛、外野で重信慎之介の若手中堅が出番を増やし経験を積んだ。

 出場試合数は少ないが、インパクトを残したのが山下航汰で、昨年健大高崎高から入団した育成1位指名の選手が、ファームで首位打者になり、支配下→一軍デビューと階段を駆け上がった。

 

【巨人の5年後の主力選手】

 投 手…菅野智之・田原誠次・高木京介鍵谷陽平宮國椋丞・桜井俊貴

     中川皓太・今村信貴・古川侑利・田口麗斗・高橋優貴

 捕 手…小林誠司・大城卓三

 内野手…山本泰寛・若林晃弘・田中俊太・吉川尚輝・岡本和真

 外野手…丸 佳浩・重信慎之介

 

 今シーズンの優勝と裏腹に、5年後は投打に心配だ…。実績があるのが菅野と田口しかおらず、先発の桜井、古川、高橋は実績に乏しい。戸郷や高田萌生、大江竜聖と楽しみな若手がいるのが救いだが、期待値のほうが高く先発の駒は不足している。救援陣も中川、鍵谷のほか2~3枚は足りない。

 野手も主力は丸と岡本のみで、来年は坂本勇が32歳、陽岱鋼33歳、亀井は38歳になる。大城と吉川尚は主力としての活躍が期待できるが、ほかはレギュラー候補というよりは控えで層を厚くする選手だ。

 毎年、補強ポイントに合致したFA選手がいるわけでもなく、外国人選手が当たるわけでもない。補強頼みではなく、ドラフトを軸にしたチーム編成に迫られている。

 

●今年は上位でエース候補と即戦力投手、ポスト坂本勇と亀井の獲得も必要

 巨人の5年後に心配材料が多いのは、直近5年のドラフトが酷すぎた…。15年は8名中5名が大学生と偏り、17年は社会人捕手を続けて指名するなど、8名指名して高校生は1名という極端な即戦力指名。すると昨年は一転して、6名中5名が高校生指名の育成路線になるなど、その場しのぎの指名が続いている。

 そうなると年齢バランスなどあったものではない。投手は30歳と25歳に6名いるが、28~29歳は移籍してきた鍵谷のみというバランスの悪さだ。

 野手も26歳に8名、24歳に4名と集中する反面、21~23歳は岡本しかいない。27歳~30歳の全盛期の選手も、ビヤヌエバを除く5名中3名が移籍組で、人数の少なさにも驚いたが、生え抜きの少なさにもっと驚いてしまった。

 

【巨人の補強ポイント】

 投 手…将来性のあるエース候補と即戦力投手(先発・中継ぎともに右腕)

 捕 手…将来のレギュラー候補

 内野手…二遊間を守れる即戦力または高校生スラッガー

 外野手…走攻守揃ったポスト亀井

 

 今年の1位指名は、佐々木朗希(大船渡高・投手)奥川恭伸(星稜高・内野手のどちらかになるだろう。ともに将来のエース候補であり、名門チームの顔になれるスター選手だが、常に注目されるのが宿命のチームだけに、個人的には奥川のほうが合っているような気がする。

 外した場合の1位指名は、一転して野手指名があるかもしれない。森敬斗(桐蔭学園高・内野手は外野も守れる俊足で、坂本勇の後継者になれる逸材。三塁手石川昴弥(東邦高・内野手スラッガーで、岡本と石川のクリーンアップは想像しただけでも楽しみだ。また、大学生捕手ナンバーワンと言われる海野隆司(東海大・捕手)は即戦力で、状況次第では打撃の良い大城を野手で使えるようになり、攻撃力が増す打線が組める。

 また、即戦力右腕では立野和明(東海理化・投手)太田龍JR東日本・投手)は、先発型のエース候補。クローザー候補で津森宥紀(東北福祉大・投手)は、巨人にはいない変則右腕で面白い存在になりそうだ。

 2位以降の上位指名では、1位で投手を獲れなかったのであれば、将来のエース候補で高校生なら井上広輝(日大三高・投手)浅田将汰(有明高・投手)落合秀市(和歌山東高・投手)は、多くの球団がマークするスケールの大きい選手だ。

 大学生で吉田大喜(日体大・投手)は、1位で消えてもおかしくない即戦力で、杉山晃基(創価大・投手)は、素質型のまだ伸びしろもある大器だ。

 野手の上位指名は、二遊間の即戦力に絞ったほうが良い。そうなると小深田大翔(大阪ガス)しか見当たらないが、小深田が遊撃に入れば、坂本勇を負担の少ない三塁に回すことも可能になる。

 4位以降の下位指名では、戦力が充実しているうちに年齢バランスを是正したい。投手なら大学生または高卒→社会人3年目がねらい目になる。大学生では、評価上昇中の伊勢大夢(明大・投手)、未完の大器型の望月大希(創価大・投手)北山比呂(日体大・投手)の下位指名も面白い。

 社会人なら、下位では難しいが浜屋将太(三菱日立パワーシステムズ・投手)、上背はないが最速152キロの小木田敦也(TDK・投手)は、間違いなくブルぺン陣を厚くする。

 捕手は高校生は必ず1名獲得したい。強肩の山瀬慎之介(星稜高・捕手)、強打の東妻純平(智弁和歌山高・捕手)、好守巧打の藤田健斗(中京学院大中京高・捕手)はレギュラー候補で、今年豊富な高校生捕手を逃す手はない。

 内野は二遊間の即戦力以外は必要ないが、ポスト坂本勇の候補で、後輩の武岡龍世(八戸学院光星高・内野手紅林弘太郎(駿河総合高・内野手が残っていれば獲得に動いても良い。

 ポスト亀井の外野手も、投手と同じで大学生または社会人高卒3年目を狙いたい。一番は宇草孔基(法大・外野手)柳町達(慶大・外野手)だが、間違いなく上位で消える選手で、スラッガー中村健人(慶大・外野手)や走攻守揃った菅田大介(奈良学園大・外野手)、打撃センスの光る船曳海(法大・外野手)は、下位でも獲得できるチャンスがある。

 社会人なら、走攻守揃ったスラッガー佐藤直樹JR西日本・外野手)は、数少ない高卒3年目の野手で、他球団からの評価も上がってきている。 

  

【巨人のドラフトを勝手にシミュレーション】

 1位…津森 宥紀(東北福祉大・投手)…右サイドスローのクローザー候補

 2位…小深田大翔(大阪ガス内野手)…二遊間を守る俊足の安打製造機

 3位…落合 秀市(和歌山東高・投手)…メジャーも注目するエース候補

 4位…伊勢 大夢(明大・投手)…安定感抜群で先発・中継ぎもこなす

 5位…山瀬慎之介(星稜高・捕手)…鉄砲肩が自慢の将来の正捕手候補

 6位…小木田敦也(TDK・投手)…キレのあるスライダーと多彩な変化球

 7位…菅田 大介(奈良学園大・外野手)…投手もこなす高い身体能力

 

 一昨年の清宮幸太郎日本ハム)、昨年の根尾昂(中日)と、競合を避けた単独指名から、有力選手に果敢に行く姿勢は評価できる。ただ、そのあとが良くない…地味だが実力のある大学生、化ければとんでもない選手になる超素質型の高校生指名など、スカウトの自己陶酔型の指名が目立つ。

 球界の盟主として、短長期的に立った王道のドラフトの展開すれば、毎年のようなFA選手の獲得や、「下手な鉄砲数打てば当たる」で、9人も外国人選手を抱える必要もなくなると思う。ただ、アンチ巨人ファンは、このまま迷走するドラフトを望んでいるのかもしれないが…(笑)

 

 

ソフトバンク~将来のエースと主力の後継者選びで失敗のできないドラフト

●リーグナンバー1の投手陣も、柳田の離脱が痛すぎで2年連続でV逸

 ここ数年、プロ野球の新盟主になったのがソフトバンクだ。ソフトバンクダイエーの後を受け、プロ野球に参入したのが2005年。それからの15シーズン、Aクラスは実に13回、うちリーグ優勝が5回、日本一が5回(18年は2位から)と、まさしく圧倒的な強さを誇っている。

 ただ、去年今年はやや陰りが見えた印象だ。昨年はオールスターまで5割キープがやっとで、夏場から猛追したが首位には届かず、西武に独走を許した。今年は逆に前半から好調で、独走体制に入っていたが、後半勢いにのれず西武に逆転Vを許してしまった。

 最大の要因は主力選手の長期離脱が続き、今年は投手なら先発の東浜巨とバンデンハーク、中継ぎ・抑えでは石川柊太に岩嵜翔、サファテが不在だった。

 野手でも、主力中の主力である柳田悠岐に、中村晃今宮健太、上林誠知のレギュラーが離脱した。さらに夏場に絶好調だったグラシアルまでも、母国キューバ代表として一時期戦列を離れ、今年も満足のいく陣容で臨めなかった。ただ、それでも2位になるのだから、選手層が本当に厚い。

 ソフトバンクと言えば強打のイメージがあるが、今年は投手力で勝ち抜いた。チーム打率と本塁打数は前年を下回り、盗塁は増えたものの得点力が大きく後退した。相手を圧倒する強さから、勝ち方を知っている試合巧者ぶりが目立った。

【2019年~チーム成績 ※( )は昨年の成績】

 防御率…3.63①(3.90④)打率….251②(.266②)

 本塁打…183①(202①)盗塁113③(80⑤)

 得点…582④(685②)失点564①(579②)得失点差+18(+106)

 

●質量ともに豊富な投手陣に比べ、野手は主力と控えの差が埋まらず

 ソフトバンクの平均年齢は27.3歳やや高く、投手陣は26.5歳と日本ハムに次いで若いが、打撃陣は28.1歳で、ロッテに次いで高い。

 まずはリーグナンバーワンの投手陣だが、エースの千賀滉大が若い先発陣を支えた。リーグ最多の180イニングで13勝、9/6のロッテ戦ではノーヒットノーランも記録、奪三振は両リーグでただ一人200を超え、227奪三振と圧巻の投球を見せた。サブマリンの高橋礼も、規定投球回数を投げ12勝。千賀と並びエース級の活躍を見せ、文句なしの新人王候補最右翼だ。

 救援陣は、クローザーの森唯斗が35セーブを上げ、モイネロと嘉弥真新也、松田遼馬が50試合以上に登板した。そのなかでチーム最多登板だったのは、ルーキーの甲斐野央で、65試合で28ホールドは主戦級の活躍だった。

 もう一人忘れてならないのが、15年1位の高橋純平の覚醒で、昨年まで通算1試合登板が、今年は45試合17ホールドを上げ、甲斐野と高橋純の活躍が、盤石の中継ぎ陣の維持に貢献した。

 一方で野手陣は、柳田の離脱が成績に直結した。昨年は打率.352で首位打者、36本塁打102打点のチーム三冠が、今年は38試合出場に留まり、7本塁打23打点で、柳田の存在の大きさを痛感したシーズンになった。

 そのなかでデスパイネが成績を上げ、ベテランの松田宣浩内川聖一、甲斐拓也が規定打席に達した。規定打席にわずかに不足したが、グラシアルは打率.319、28本塁打の好成績を上げた。このほか、今宮と牧原大成が400打席、明石健志が300打席を超え、シーズン通して主力として結果を残した。

 若手で目立ったのは、シーズン前に育成から支配下になった周東佑京。超がつく俊足で25盗塁、代走でコールされるだけで観客を湧かす選手にまで成長した。ただ、周東以外は今ひとつ若手が伸び切れておらず、これほど主力が離脱してもレギュラーを奪取した選手はいなかった。

 

ソフトバンクの5年後の主力選手】

 投 手…岩嵜 翔・嘉弥真新也・二保 旭・東浜 巨・加治屋蓮・石川柊太

     森 唯斗・武田翔太・千賀滉大・松田遼馬・高橋 礼・大竹耕太郎

     椎野 新・甲斐野央・高橋純

 捕 手…甲斐拓也・栗原陵矢

 内野手高田知季今宮健太・牧原大成

 外野手…中村 晃・福田秀平・釜元 豪・上林誠知・周東佑京

 

 投手陣に不安はない。千賀、東浜、武田の実績もある先発陣に、高橋礼や大竹が加わり質量ともに豊富だ。中継ぎ・抑えも、今年活躍した布陣に岩嵜や加治屋、石川が復調すれば、5年後も安泰だ。

 心配なのはケガ人の多さとドラフト上位投手の不振で、14年1位~松本裕樹は1勝、15年2位~小澤怜史は育成選手になり、16年1位~田中正義はわずかに1試合登板、2位~古谷優人と17年1位~吉住晴斗はファームでも結果を出せていない。

 野手はポスト〇〇が、あちこちで発生する。来季、内川は38歳、松田宣が37歳、柳田も32歳で後継者選びが喫緊の課題になる。さらに貴重な控えの、高谷裕亮が39歳、川島慶三37歳、長谷川勇也36歳と世代交代の波がすぐそこに来ている。

 現状、ポスト柳田には上林がいるが、内川と松田宣の後継者が見当たらない。直近5年、ソフトバンクの3位指名はすべて高校生野手で、今年の野村大樹(内野手)と17年の増田珠(内野手)はまだとやかく言う年数ではないが、16年~九鬼隆平と15年~谷川原健太(ともに捕手)は出てくる気配すらない。14年の古澤勝吾は育成になり、結果として、上林以降獲得した野手が、控えにすらなれておれず、選手層の厚さは認める一方で不安要素も大きい。

 

●今年はエース候補を上位で、ポスト内川、松田、柳田の後継者を指名したい

 年齢バランスは見事の一言で、投手・野手ともにバランス良く選手がいる。強いて言えば21歳が九鬼しかいないことだが、ここは次年度の大学生選手で補強できるので問題ない。

 昨年のドラフトは、1位で小園(広島・内野手)を外し、次に辰巳(楽天・外野手)も外し甲斐野を獲得した。2位で5年ぶりに社会人投手の杉山一樹を指名したかと思えば、4位で板東湧悟、7位で奥村政稔の社会人3投手指名もまた5年振りだった。野手の主力の後継者育成と、獲得した高校生投手の伸び悩みで、珍しく危機感を感じさせるドラフトだった。

 

ソフトバンクの補強ポイント】

 投 手…将来性のあるエース候補

 捕 手…甲斐のライバルになり得る控え

 内野手…遊撃手以外の後継者探し

 外野手…長打の打てるスラッガー

 

 今年の1位指名は、佐々木朗希(大船渡高・投手)で間違いないだろう。投手陣は、昨年の補強があるので、中途半端に中継ぎの枚数を増やし、戦力をだぶつかせるよりは、主力になる高校生を指名したほうが良い。今年、加入したMLBドラフト1位のスチュアートとともに、佐々木が切磋琢磨し、将来日米のWエースが誕生すれば、スケールの大きいチームになる。

 外れ1位でも高校生投手に行くべきで、西純矢(創志学園高・投手)井上広輝(日大三高・投手)、左腕で宮城大弥(興南高・投手)は、佐々木を外しても遜色ない指名になる。

 一方で、昨年のような野手指名もありだ。俊足の森敬斗(桐蔭学園高・内野手や、ポスト松田で石川昴弥(東邦高・内野手、ポスト柳田で井上広大(履正社高・外野手)、さらに打てる捕手の佐藤都志也(東洋大・捕手)も十分にあり得る。

 3位以降では、補強ポイント別に述べたいと思う。高校生投手ならエース候補で、前佑囲斗(津田学園・投手)浅田将汰(有明高・投手)落合秀市(和歌山東高・投手)は上位で消える逸材。左腕の井上温大(前橋商高・投手)米山魁乙(昌平高・投手)は、下位での指名になるがスケール感のある選手だ。

 また大学生でも、望月大希(創価大・投手)吉村貢司郎(国学院大・投手)北山比呂(日体大・投手)は、まさしく未完の大学生で下位指名も面白い。

 ポスト松田の三塁手では、大学生なら勝俣翔貴(国際武道大・内野手安本竜二(法大・内野手はともにスラッガーで、松田の後継者にピッタリだ。また、柳町達(慶大・外野手)は俊足の巧打者で、本職は外野だが三塁も守れる。

 社会人では走攻守揃った小深田大翔(大阪ガス内野手スラッガー原澤健人(スバル・内野手は即戦力指名もありだ。小深田は二遊間も守れ、原澤は一塁もOKで、高いレベルで複数ポジションをこなせる。

 ポスト柳田では、右打ちの中村健人(慶大・外野手)と、左打ちの加藤雅樹(早大・外野手)はともにスラッガーで、足は早くないがパンチ力が魅力の選手。長打力は落ちるが、宇草孔基(法大・外野手)は攻撃的な一番打者で、間違いなく上位で消える選手だ。社会人外野手は今年不作だが、ともにスラッガー佐藤直樹JR西日本・外野手)前野幹博(ヤマハ・外野手)の評価が上がっている。

 甲斐のライバル捕手は年齢バランスでは、大卒→社会人がベストで、坂淳介(NTT東日本・捕手)は長打力があり補強ポイントに合致する。

 下位や育成では、ソフトバンク得意の一芸に秀でた選手の指名が楽しみだ。地元九州の翁長佳辰(日本文理大付・投手)小峯新陸(鹿児島城西高・投手)はストレートに威力があり、川野涼多(九州学院高・内野手は俊足に加えパンチ力も備わってきた。

 ほかには粗削りだが、ストレートに力のある赤塚健利(中京学院大中京高・投手)、非凡な打撃センスが評価されている持丸泰輝(旭川大高・捕手)、打てる二塁手黒川史陽(智弁和歌山高・内野手、規格外の長距離砲・菊田紘和(常総学院高・外野手)もいる。

 大学生でもパワフルな打撃が売りの大下誠一郎(白鴎大内野手に、周東並みの俊足を誇る、チームメイトの金子莉久(白鴎大・外野手)。地元の快速右腕・福森耀真(九産大・投手)杉尾剛史(宮崎産経大・投手)も楽しみな原石だ。

  

ソフトバンクのドラフトを勝手にシミュレーション】

 1位…宮城 大弥(興南高・投手)…守備も巧く総合力の高い150キロ左腕

 2位…井上 広輝(日大三高・投手)…すべての球種が一級品のセンスの塊

 3位…勝俣 翔貴(国際武道大・内野手)…アベレージも残せる長距離砲

 4位…中村 健人(慶大・外野手)…飛距離が魅力の典型的なスラッガー

 5位…望月 大希(創価大・投手)…長身から投げ下ろす角度のある投球

 6位…前野 幹博(ヤマハ・外野手)…名門で覚醒した遅咲きスラッガー

 7位…川野 涼多(九州学院高・内野手)…俊足巧打のスイッチヒッター

 

 今年も補強テーマは変わらず、ポスト内川、松田、柳田の後継者を指名したい。また、昨年FAした浅村(楽天)獲得に手を上げたように、長年不在が続いている正二塁手候補も補強ポイントになる。

 ただ、今年は投手が豊富なので、野手の上位指名の可能性を残しつつ、確実に将来のエース候補を獲得したいところだ。千賀のメジャー挑戦希望や、福田のFAなどの主力流失の可能性もあり、例年以上に失敗できないドラフトになる。

 

 

横浜DeNA~今年のドラフトは真の強さを得る分岐点になる

●チーム防御率・打率ともにリーグ5位!12球団最小の盗塁数も2位の不思議?

 今シーズンは順調なスタートをきり、開幕当初から2位だったのもつかの間、4月後半から10連敗で最下位に転落した。多くが今年の苦戦を予想したが、一つずつ勝ち星を重ね、交流戦を4位で終えると、後半は巨人を猛追して最終的に2位で終えた。

 2015年からの直近5年で、6位→3位→3位(日本シリーズ進出)→4位→2位と、着実に成績は上がってきており、1998年以来21年振りのリーグ優勝も現実味を帯びてくる。

 ただ、今年はペナントレースの成績とは裏腹に、チームの成績は決して良くなかった。チーム防御率は、昨年より改善したとは言えリーグ5位、打率は昨年より悪くなっている。本塁打数も減少、盗塁数40は12球団最小…得失点差は▲14点で、よくこの数字で2位をキープできたものだ。

 勝ち試合を、何が何でも獲りに行く結果が出たが、反面、負け試合はあっさり負ける淡白さもあり、まだ上位で安定した成績を残せる戦力は整っていない。

【2019年~チーム成績 ※( )は昨年の成績】

 防御率…3.93⑤(4.18⑤)打率….246⑤(.250⑥)

 本塁打…163③(181②)盗塁40⑥(71③)

 得点…596③(572⑥)失点611④(642③)得失点差▲14(▲70)

 

セ・リーグで一番若いチームも、ベテランの壁が厚く新旧交代が停滞

 意外と言えば申し訳ないが、横浜の平均年齢26.4歳は、日本ハムに次いで2番目に若いチームだ。主力にベテランが多く、若手の台頭も乏しいため、平均年齢の高いイメージがあるが、投打ともに若い選手が多い。

 今年も筒香嘉智、宮崎敏郎、ソト、ロペスの主力4人が及第点の結果を残し、新たに神里和毅と大和が規定打席に達し、昨年の4名から6名に増えた。今年は外国人選手の活躍が2位躍進の原動力になり、ソトは43本108打点でリーグ2冠、ロペスも本塁打、打点ともに成績を上げた。

 このほかに、伊藤光が300打席で復活を見せたが、100打席を超えた選手で若手は佐野恵太のみで、あとはベテランが多く、主力を脅かす若手の台頭とチーム打率のアップが早急な課題だ。

 また、極端な盗塁数の少なさも深刻だ。チーム最多は神里の15盗塁で、そのあとは乙坂智の6盗塁で、そもそも盗塁を決めた選手が9名しかいない。確かに盗塁はリスクのあるプレーだが、走る姿勢を見せないと相手投手への揺さぶりもできない。走力のある1~2番が確立できれば、リーグ屈指のクリーンアップも活きてくると思うが…。

 投手陣は昨年、ルーキーの東克樹以外の先発陣が崩壊し、Bクラスへ転落した。その東だが、今年は1年目の無理がたたったか、7試合の登板に留まった。そのなかで今永昇太が、今季13勝でエースに成長。また、ルーキーの上茶谷大河もシーズン通して先発ローテーションを守り7勝は立派だ。

 クローザーの山崎康晃は、昨年より試合数を61試合に増やし、30セーブでタイトルを獲得した。ただ、山崎に見られるように、先発の枚数の少なさが中継ぎ陣の負担になった。エスコバーの74試合を筆頭に、三嶋一輝も71試合、国吉佑樹とパットン、石田健大は先発から中継ぎにまわり40試合に登板した。

 昨年、チーム最多の70試合に登板した砂田毅樹は今季16試合、65試合の三上朋也が6試合と、中継ぎ陣の勤続疲労は心配の種だ。

【横浜DeNAの5年後の主力選手】

 投 手…三上朋也・武藤祐太・三嶋一輝国吉佑樹山崎康晃・石田健大

     今永昇太・大貫晋一・平良拳太郎・東 克樹・濱口遥大・砂田毅樹

     上茶谷大河・京山将弥

 捕 手…伊藤 光・戸柱恭孝・嶺井博希

 内野手中井大介・倉本寿彦・柴田竜拓・佐野恵太・伊藤裕季也

 外野手…筒香嘉智桑原将志・神里和毅・乙坂 智

 

 5年後は投手陣が質量ともに十分で、今永、東、濱口、上茶谷のドラフト1位選手が先発陣を形成し、経験もある中継ぎで国吉や砂田がおり、リーグを代表するクローザーの山崎もいる。有望な高卒選手も控えており、投手王国も期待が持てる布陣だ。

 反面、野手は心配だ…捕手は何とかなりそうだが、内外野ともに不足している。乙坂はレギュラー候補から抜け出せず、柴田と佐野もレギュラー獲得のチャンスを活かしきれていない。大きな悩みのひとつは、走力もあるリードオフマンの桑原で、打撃不振の出口が見えないほど重症に陥っている。

 来シーズンは、ロペスが最年長の37歳、石川雄洋34歳、大和33歳、宮崎と梶谷隆幸も32歳で、新旧入れ替えの大事な時期を迎えている。

 

●年齢構成は悪くないが、高校生指名の少なさと今季の退団で量的に不足気味…

 投手はすべての年齢に穴がないが、19~23歳に左腕が一名しかおらず補強が必要だ。野手の年齢バランスは悪くないが、育成期の19歳~22歳が不足している。また、捕手は28歳の嶺井のあとに、21歳の山本祐大まで空きがあり、優先事項ではないが、即戦力捕手が欲しいところだ。

 横浜のここ数年のドラフトの特徴は、1~3位までは即戦力の大学生または社会人中心(昨年の1位指名は小園だが…)で、4位以降で高校生、下位で独立リーグがある意味パターン化している。どうしても高校生指名が下位になるため、質量ともに不足している状況に陥ってしまった。

 歴史的に即戦力投手の上位指名志向の強いチームだが、09年の筒香のように、補強ポイントに関係ない思い切った指名も時には必要だと思う。

【横浜DeNAの補強ポイント】

 投 手…将来性のあるエース候補と左腕の補強

 捕 手…攻守に秀でたレギュラー候補

 内野手…走攻守三拍子揃った高校生(二塁手と遊撃手)

 外野手…しいて言うなら高校生(長打力or俊足)

 

 1位候補は、他球団と同じで佐々木朗希(大船渡高・投手)奥川恭伸(星稜高・投手)森下暢仁(明大・投手)が軸になる。現状、投手陣に大きな心配がないので、佐々木の育成も十分にできる時間的余裕もあり、好みは森下だと思うが、11年以来の高校生1位指名があるかもしれない。

 一方で、競合を避けての即戦力投手の一本釣りの可能性もあるが、一本釣りするなら地元の森敬斗(桐蔭学園高・内野手が一押しだ。補強ポイントに合致した三拍子揃った高校ナンバーワン遊撃手で、外野も守れ将来の一番打者候補だ。ポスト筒香で、スラッガー石川昴弥(東邦高・内野手指名も面白い。

 2~3位では、投手では先発を任せられる即戦力、高校生投手のどちらでも良い。即戦力なら吉田大喜(日体大・投手)や杉山晃基(創価大・投手)、左腕の坂本裕哉(立命大・投手)太田龍JR東日本・投手)は先発に厚みをもたらし、年齢バランス的にもピッタリだ。

 高校生なら井上広輝(日大三高・投手)は2位以内間違いなくで消える選手で、左腕の宮城大弥(興南高・投手)林優樹(近江高・投手)、他球団の動向次第では及川雅貴(横浜高・投手)もチャンスがある。1位で森、2位で及川などは、想像しただけでゾクゾクする。

 1位で投手を指名するなら、2~3位では即戦力の遊撃手、または今年豊富な捕手を指名したい。遊撃手なら小深田大翔(大阪ガス内野手、捕手なら佐藤都志也(東洋大・捕手)郡司裕也(慶大・捕手)は、いずれもウィークポイントの解消になる。また、走力のある高部瑛斗(国士館大・外野手)は、典型的な一番打者で、現在の横浜に必要な選手だ。

 4位以降は、高校生ならどのポジションでも問題なく、即戦力なら捕手と二塁または遊撃手が補強ポイントになる。

 高校生では、小林珠維(東海大札幌高・投手)谷岡颯太(武田高・投手)、左腕の井上温大(前橋商高・投手)は、この順位でも獲得のチャンスがあり、金城洸汰(北山高・投手)吉田力聖(光泉高・投手)も高い評価をしている。

 野手では遊撃手の遠藤成(東海大相模高・内野手上野響平(京都国際高・内野手川野涼汰(九州学院内野手と、下位でも逸材が揃っている。また、ソトが二塁を守っている現状から、黒川史陽(智弁和歌山高・内野手あたりも候補になる。

 外野手では巧打の木下元秀(敦賀気比高・外野手)スラッガー菊田紘和(常総学院高・外野手)は、どちらを指名しても面白い。

 また、上位で即戦力捕手を外したなら、U-18の山瀬慎之介(星稜高・捕手)水上桂(明石商・捕手)藤田健斗(中京学院大中京高・捕手)の有望な高校生捕手を獲得したい。

 即戦力投手では、国学院大コンビの横山楓吉村貢司郎、サイドハンドの速球派村西良太(近大・投手)に、左腕の高橋佑樹(慶大・投手)は下位で残っていたら抑えておきたい投手だ。

 野手では、保坂淳介(NTT東日本・捕手)小林遼(JX-ENEOS・捕手)は打てる捕手、守備に定評のある遊撃手の諸見里匠と、俊足の二塁手稲垣誠也日本通運コンビも大きな戦力になる。

 

【横浜DeNAのドラフトを勝手にシミュレーション】

 1位…森  敬斗(桐蔭学園高・内野手)…走攻守が魅力のスピードスター

 2位…杉山 晃基(創価大・投手)…ゲームメークに長けた右の本格派

 3位…高部 瑛斗(国士館大・外野手)…ミート力に優れた典型的一番打者

 4位…小林 珠維(東海大札幌高・投手)…4番打者も務める二刀流右腕

 5位…村西 良太(近大・投手)…サイドハンドから投げる速球が武器

 6位…藤田 健斗(中京学院大中京高・捕手)…自慢は巧打と鉄砲肩

 7位…金城 洸汰(北山高・投手)…抜群の変化球を操る沖縄の原石

 

 今年は少ない19歳~22歳の育成型選手の上位指名が必要だと思う。ベテランの主力が頑張っているうちに、じっくり若手を育て新旧の入れ替えを図りたい。

 投手の上位指名、特に即戦力獲得はリスクがないようで実は高い。ここ最近では、野手の上位指名のほうが結果が出ている。

 昨年、抽選で外れはしたが小園海斗(広島)の1位指名は、欲しい選手に果敢に行く姿勢と、即戦力投手1位指名の脱却を評価した。その後、パターン化したのは残念だったが、今年こそは新たなドラフト戦略を期待したい。

 

 

東北楽天~今年は地元有望選手が多数!期待と悩みの多いドラフト

●下馬評は高くなかったが、昨年の最下位から3位まで躍進

 今年はエースの則本昴大が開幕に間に合わず、昨年最下位だったこともあり、前評判は決して高くなかったが、序盤はソフトバンクと首位争いを繰り広げた。交流戦以降、連敗もあり順位を落としたが、後半は粘り強く戦い、ロッテとのCS争いを制して2年振りにCS進出を決めた。

 昨年、最下位に沈んだチームをシーズン途中から指揮を執り、今シーズン3位まで成績を上げた平石監督の手腕は素直に評価できる。決定ではないとは言え、CS争いの渦中の大事な時期に退任報道が出たのは意外だった。

 今年は投打ともにチームの成績が上がった。防御率と失点数は、ソフトバンクに次いでいずれもリーグ2番目の成績で、Wエース岸孝之と則本が長期間離脱したにも係わらず、この成績は改めて投手陣のレベルの高さを証明した。

 昨年、リーグ最下位だった課題の打撃陣も、チーム打率はソフトバンク日本ハムと並び同率2位、得点数も3位まで改善した。本塁打数は微増、盗塁数減少のなかで、この得点数は、チャンスに畳みかける粘り強い打線が機能したと言える。

 ただ、盗塁数の少なさは課題だ。昨年の69盗塁も少なかったが、今年はさらに減り48盗塁は、日本ハムを並びリーグ最少だ。機動力が身に付けば、さらに攻撃力が増し怖い打線になる。

【2019年~チーム成績 ※( )は昨年の成績】

 防御率…3.74②(3.78③)打率….251②(.241⑥)

 本塁打…141④(132④)盗塁48⑤(69⑥)

 得点…614③(520⑥)失点578②(583③)得失点差+36(▲63)

 

●新戦力の活躍が光ったが、ここ数年結果を出せていないドラフト上位選手

 楽天の平均年齢27.0歳は、12球団のちょうど真ん中で、投手27.1歳、野手26.9歳とバランスが取れている。

 今年は新加入の選手の活躍がチーム力の底上げになった。FAで獲得した浅村栄斗は、全試合に出場し、打率こそ.263で物足りないが、33本塁打92打点と結果を出した。新外国人のブラッシュも日本野球への順応を見せ、本塁打は浅村と同じ33本、打点95で破壊力のある中軸を形成できた。

 大卒ルーキーの活躍も外せない。1位の辰巳涼介(外野手)は打撃こそ課題を残したものの、高い守備力に加え、13盗塁はチーム1位で十分に期待に応えた。2位の太田光(捕手)も55試合にマスクを被り、6位の渡邊佳明(内野手)は得点圏打率が一時期5割を超るなど、チャンスに強い打撃を見せた。

 このほかに、チームリーダーの銀次が打率4位、島内宏明が10位に名を連ね、茂木栄五郎とウィーラーの6名(昨年4名)が規定打席に達した。誤算は昨年の新人王・田中和基の不振で、走れた選手だけにチーム盗塁数の減少に直結した。 

 投手陣では、美馬学規定投球回数をクリアし8勝、ケガから回復した石橋良太も8勝、辛島航が9勝を上げ、いずれも100イニングを超え先発の役割を果たし、岸と則本の穴を埋めた。

 楽天の強固な投手陣を形成しているのは、リーグ屈指の中継ぎ陣だ。クローザーの松井裕樹は、チーム最多の68試合に登板し、38セーブで最多セーブ。セットアッパーの森原康平も64試合登板で33ホールド、ベテランの青山浩二が62試合、ハーマンとブセニッツの両外国人も50試合登板を超えた。特に、松井と森原、ブセニッツは防御率が1点台で、質量ともに中継ぎ陣の厚さを見せつけた。

 ブセニッツは今年の新外国人選手で、在籍人数は少ないが、楽天の外国人選手のスカウトセンスの高さには脱帽する。

楽天の5年後の主力選手】

 投 手…則本昴大・辛島 航・森原康平・石橋良太・高梨雄平・近藤弘樹

     松井裕樹・藤平尚真

 捕 手…足立祐一・太田 光・堀内謙伍

 内野手…浅村栄斗・茂木栄五郎・渡邊佳明

 外野手…島内宏明・田中和基・和田 恋・辰巳涼介・オコエ瑠偉

 

 今年の成績とは裏腹に、5年後は投打に戦力不足が懸念される。とにかくドラフト1位選手が松井(13年)以外、ほとんど期待に応えられていない。投手では17年の近藤、16年の藤平、14年の安樂智大は、今シーズンいずれも登板数が10試合にも届かず未勝利で終わり、野手でも15年のオコエも打率.182で、今年も結果を残せなかった。

 1位だけではなく、2~3位の上位指名も同じで、16年の田中和、15年の茂木以外は戦力になり切れていない。

 投手では則本に続くエース候補だけではなく、先発の枚数が足りない。野手では内野手が不足し、スラッガーは浅村のみと、4番候補の育成も必要で課題が多い。直近5年のドラフトの低迷が、大きな影を落としそうで、投打に対策が急務だ。

  

●年齢バランスが悪く、なぜか偏るドラフト。育成と補強の二兎を追う

 将来的な戦力不足を懸念したが、年齢バランスも悪い。投手陣は23歳から30歳までは満遍なくいるが、19歳~22歳の育成期に投手が3名しかいない…これは12球団最小で、高校生投手の指名不足のツケが回ってくる可能性が高い。

 野手は27歳~30歳の全盛期世代に浅村と島内しかおらず、22歳~25歳の間に15名もいる反面、22歳以下は2名しかいない。さすがにバランスが悪すぎで、これを是正するだけでも暫くかかりそうで、ここ数年は育成と補強のどっちも優先する難しいドラフトを強いられそうだ。

楽天の補強ポイント】

 投 手…将来性のあるエース候補と即戦力の先発左腕

 捕 手…ポスト嶋の育成(太田と堀内のライバル)

 内野手…長打の打てる三塁または俊足の遊撃手

 外野手…長打または俊足の高校生

 

 順位予想の前に、今年も東北に逸材が並ぶ。令和の怪物・佐々木朗希(大船渡高)をはじめ、高校生では成長著しい堀田賢慎(青森山田高・投手)、大型捕手の石塚綜一郎(黒沢尻工高・捕手)渡部雅也(日大山形・捕手)、坂本2世の武岡龍世(八戸学院光星高・内野手がいる。

 即戦力でも津森宥紀(東北福祉大・投手)や東北出身の宮川哲(東芝・投手)郡司裕也(慶大・捕手)佐藤都志也(東洋大・捕手)と上位候補が並び、地元指名だけでも豪華なドラフトのなる。

 昨年、吉田輝星(日本ハム)の指名をスルーしたこともあり、地元の逸材・佐々木指名に行きたいが、戦力的には即戦力投手で行きたいのが本音だと思う。そうなると奥川恭伸(星稜高・投手)森下暢仁(明大・投手)を軸に、河野竜生(JFE西日本・投手)が候補になる。

 一方で野手の一本釣りの可能性もありだ。スラッガーでは三塁手石川昴弥(東邦高・内野手と外野手の井上広大(履正社高)は補強ポイントに合致する。また、森敬斗(桐蔭学園内野手は俊足の遊撃手で、森がレギュラーになれば、茂木を本職の三塁で使うことができる。

 2~3位では、投手では先発を任せられる即戦力、野手なら素質ある高校生を獲得したい。即戦力の先発投手では、太田龍JR東日本・投手)は伸びしろ十分のパワーピッチャー。大学生でも吉田大喜(日体大・投手)望月大希(創価大・投手)は、上位で確実に消える投手だ。また、左腕では坂本裕哉(立命大・投手)も上位候補で、ノーヒッターの橋本侑樹(大商大・投手)も高く評価している。

 野手では地元の武岡をはじめ、韮澤雄也(花咲徳栄内野手遠藤成(東海大相模高・内野手など、素質ある遊撃手を獲得したい。また、原澤健人(スバル・内野手片山勢三(パナソニック内野手は強打の三塁手中村健人(慶大・外野手)楽天が欲しいスラッガーだ。

 4位以降の中~下位は、高校生なら投手と長打力のあるスラッガー、即戦力なら捕手と俊足の野手がねらい目だ。

 高校生投手は、最低でも1名は毎年確保したいところで、地元の堀田に加え、左腕の玉村昇吾(丹生高・投手)米山魁斗(昌平高・投手)は実力も兼ね備えており、下位でも獲得のチャンスがある。また、白川恵翔(池田高・投手)翁長辰佳(日本文理大付高・投手)金城洸汰(北山高・投手)の素質型の指名も面白い。

 スラッガーでは、先述した石塚や菊田紘和(常総学院・外野手)が候補で、スラッガーではないが藤田健斗(中京学院大中京高・捕手)持丸泰輝(旭川大高・捕手)はともにリーダーシップが評価されており、ポスト嶋の可能性も秘めている。

 また、上野響平(京都国際高・内野手は堅実な守備が魅力の遊撃手、木下元秀(敦賀気比高・外野手)は走攻守揃った逸材で、年齢バランス的にも高卒の外野手は1名獲得しておきたい。

 即戦力の野手では、保坂淳介(NTT東日本・捕手)は長打力もある大型選手、同じ捕手の小林遼(JX-ENEOSは、地元仙台出身で、高い総合力が武器で、嶋と太田~堀内の間を埋める選手になる。

 内外野では、安本竜二(法大・内野手勝俣翔貴(国際武道大・内野手は、ともに強打の三塁手で、上位で三塁手を獲得できかった場合は、必ず抑えておきたい選手。また、稲垣誠也(日本通運内野手佐藤デシャーン広之(日本通運・外野手)はともに俊足の即戦力だ。

 

楽天のドラフトを勝手にシミュレーション】

 1位…石川 昴弥(東邦高・内野手)…U-18の打の主軸で将来の4番候補

 2位…吉田 大喜(日体大・投手)…キレのあるストレートが武器の本格派

 3位…武岡 龍世(八戸学院光星高・内野手)…3拍子揃った坂本2世

 4位…橋本 侑樹(大商大・投手)…先発・中継ぎのどちらでもいける実力派

 5位…堀田 賢慎(青森山田高・投手)…昨年から球速UPし150キロ右腕へ

 6位…保坂 淳介(NTT東日本・捕手)…一発が魅力の強肩大型捕手

 7位…菊田 紘和(常総学院高・外野手)…名門で4番を打つ将来の大器

 

 今年は上位候補に投手が多いが、昨年、藤原(ロッテ)→辰巳と野手で攻めた姿勢は評価できる。ただ、野手はすべて大学生で5人指名…そのうち太田を除いて4人が左打の巧打者タイプなど、なぜか偏りが多いのも事実。

 今回も勝手に予想した野手のうち、3人がスラッガータイプで偏ってしまい、改めてバランスは大事だな~と思った。有望な地元選手も含め、楽天がどのような指名を見せるか注目して見てみたい。

 

 

広島~得意のドラフトで、来シーズンはペナント奪還

●最終戦に勝ちきれず、V4どころか逆転でCS進出を逃した

 チーム初の3連覇を果たし、悲願の日本一に臨んだシーズン。今年は開幕から波に乗れずにスタートは躓いたが、4月中旬から怒涛の連勝街道をひた走り、5月には首位に立ち4連覇も見えた。しかし交流戦が大きな落とし穴となり、まさかの5勝12敗1分で最下位に沈むと、リーグ再開後も5割維持がやっとで、優勝争いに絡むことができなかった。

 しかも勝てばCS進出が決まった最終戦を落とし、阪神がまさかの6連勝で逆転でCS進出を決めた。結果、4年ぶりのBクラスへ転落し、緒方監督が辞任した。今思えば、CS進出を込める大事な試合に、緊張感の欠けた引退試合を行う必要があったのか悔やまれる。

 今年はチームの主軸“タナキクマル”の丸佳浩がFAで巨人へ移籍し、田中広輔は不振にあえいだ。さらに夏場に好調を維持していたバティスタのドーピング違反での出場停止も重なり、攻撃力が一気に落ちた。チーム打率.254は昨年を大きく下回り、本塁打数と盗塁数も減少、得点は100点以上も落ちた。

 一方で投手陣は、チーム防御率は大きく改善したものの、得点力不足で勝ちに繋がらなかった。昨年盤石だった中継ぎ・抑えも、ジャクソンの退団や、クローザー中崎翔太の不振もあり、勝ちパターンが決まらず、逆転される試合も目立った。

【9/28現在のチーム成績 ※( )は昨年の成績】

 防御率…3.68②(4.12③)打率….254③(.262③)

 本塁打…140④(175②)盗塁81③(95①)

 得点…591④(721①)失点601④(651④)得失点差▲10(+70)

 

●若い投手陣の逸材が並ぶ!心配なのはFAでの主力の流失

 広島の平均年齢26.7歳は、育成主眼のチームだけあって若いチームだ。特に投手は26.2歳で日本ハムと並んで最も若い投手陣で、今年の成績から来シーズンに向けても期待が持てる。

 今年は丸の抜けた穴がとにかく大きかった。昨年39本塁打、10盗塁の3番打者の流失が、そのままチームの成績に直結してしまった。そのなかで鈴木誠也が大奮闘し首位打者を獲得、西川龍馬もレギュラーを掴み.297で打撃10傑に名を連ねた。

 このほか、正捕手の曾澤翼とタナキクマル菊池涼介規定打席に達したものの、先述した田中以外に、松山竜平野間峻祥も成績を落とし、昨年6名いた規定打席到達者が4名に減ってしまった。

 野間の穴は西川で埋められたが、丸と田中広、松山と一気に空いた4つの穴を埋めることは、いくら育成の広島でもカバーすることができなかった。 

 投手陣ではジョンソンが昨年と同じ11勝を上げ、最後まで防御率のタイトル争いを続け、エースの大瀬良大地は、昨年より防御率が1点弱後退したが、11勝は十分に役目を果たした。他に九里亜蓮が8勝、ケガから復活した床田寛樹も7勝を上げるなど、先発陣は結果を残した。

 一方で抑えはフランスアの12セーブが最高で、昨年32セーブを上げた中崎は9セーブで中継ぎに回るなど、最後まで形にならなかった。フランスアが最多の67試合に登板、あとはレグナルトと楽天から移籍した菊池保則が50試合に登板し、主力が欠けたブルペン陣を支えた。

【広島の5年後の主力選手】

 投 手…野村祐輔・菊池保則・中村恭平・大瀬良大地・九里亜蓮・今村 猛

     一岡竜司中崎翔太・薮田和樹・岡田明丈・床田寛樹・アドゥワ誠

     遠藤淳志

 捕 手…磯村嘉孝・中村奨成

 内野手田中広輔安部友裕菊池涼介堂林翔太・三好 匠・西川龍馬

     曽根海成・小園海斗

 外野手…野間峻祥鈴木誠也

 

 5年後はポスト曾澤の育成が急務だが、それ以外は大きな心配はない。投手陣は大瀬良を軸に、野村、九里、床田、薮田、岡田と実績を残した若手もおり、今村と一岡、中崎が復活すれば抑えも安泰だ。アドゥワと遠藤は先発も中継ぎもできる。

 野手では鈴木を軸に、菊池涼と田中がセンターラインを固め、ルーキー小園が成長し、堂林が復調すれば、安部や野間、西川と結果を残した選手がおり、大きく戦力が落ちることはない。

 ただ、そうはすんなり進まないのが広島で、FAでの移籍が囁かれているのが、投手では野村、野手で曾澤と菊池涼、田中も名前が出ている。“たられば”だが、ここが抜けるとチームは一気に戦力ダウンし、98年~12年の15年連続Bクラスの暗黒時代へ逆戻りする心配もある。

  

●年齢バランスは問題なし!育成の輩出スピードをあげたい

 さすがに育成の広島だけに、年齢バランスは悪くない。投手の空き年齢はなく、19歳と25歳が1名だけだが、あとの年代は2名以上おり、さすがの指名である。野手も問題なく、20歳~22歳の内外野がゼロだが、捕手の坂倉将吾が外野を守れ、大きなマイナスになっていない。

 心配なのはここ2年のドラフトである。2017年は12球団で唯一、その年に獲得した選手の一軍出場がなく、今年も1位の小園と、2位の島内颯太郎だけで、育成が重点は分かるが、あまりにも輩出のスピードが遅すぎる。

 育成重点または隠し球的な選手の上位指名など、広島のドラフトはいつも感心する。ただ自信は良いが、過信は禁物だ。「策士、策に溺れないよう」に、目に見える形での成果も必要だと思う。

【広島の補強ポイント】

 投 手…即戦力投手と将来を担うエース候補

 捕 手…ポスト曾澤または中村奨のライバル

 内野手…二遊間の即戦力(特に菊池流失に備えた二塁手

 外野手…走攻守兼ね備えた即戦力

 

 2年連続で高校生野手を1位指名し、16年1位の矢崎拓也も出てくる気配がない。今年は、広島のかつてのお家芸である、即戦力の社会人投手指名が、06年以来あるかもしれない。

 社会人ナンバーワンは、左腕の河野竜生(JFE西日本・投手)で、外れ1位では獲得できないと言われるほど評価が上がってきている。150キロの本格派・宮川哲(東芝・投手)は、経験豊富な右腕で間違いなく即戦力になれる。

 また、大学ナンバーワンの森下暢仁(明大・投手)や、高校BIG4のなかでは完成度一番の奥川恭伸(星稜高・投手)、地元の西純矢(創志学園高・投手)に加え、令和の怪物・佐々木朗希(大船渡高・投手)など、最後まで1位指名の選択に悩みそうだ。

 昨年は野手中心のドラフトだったので、上位指名は投手に集中するかもしれない。広島は投手でも、走攻守揃ったアスリート型の選手の指名が基本だ。そうなるとUー18で指名打者もこなした浅田将太(有明高・投手)は、広島の理想的な選手と言える。

 このほかにも高校生投手の上位候候補では、井上広輝(日大三高・投手)宮城大弥(興南高・投手)は、2位までには間違いなく消える選手で、鈴木寛人(霞ケ浦高・投手)も高く評価している。

 即戦力投手では、吉田大喜(日体大・投手)望月大希(創価大・投手)、左腕の坂本裕哉(立命大・投手)は、森下に次ぐ評価を得ている。社会人ではともにJR東日本太田龍は先発、西田光汰は中継ぎ・抑え候補で、西田はデビューも早そうだ。

 野手に行くなら二遊間の補強が最優先で、小深田大翔(大阪ガス内野手はどらも守れるヒットメーカー、遠藤成(東海大相模高・内野手は、投手と遊撃手をこなし広島が好むアスリート型選手だ。柳町達(慶大・外野手)は走攻守揃った外野の即戦力で、鈴木しかレギュラーのいない外野陣の補強に繋がる。

 3位以降の中位では、高校生なら投手に絞って良い。落合秀市(和歌山東高・投手)に、地元の谷岡颯太(武田高・投手)は、最速152キロの右の本格派。技巧派左腕の林優樹(近江高・投手)も、将来のエースが期待できる楽しみな選手だ。また林勇希(菰野高・投手)は、実兄(広島・育成)が今オフに戦力外になったが、兄の悔しさを晴らしたい。

 即戦力なら、年齢バランスを考えるなら、大卒と大卒→社会人投手(左腕ならベスト)、高卒→社会人3年目の内外野手を獲得できれば、年齢バランスがさらに良くなる。あとはポスト曾澤の即戦力捕手や、二遊間の強化を図りたい。

 この条件に見合う投手では、伊勢大夢(明大・投手)や左腕の橋本侑樹(大商大・投手)は、即戦力候補だが伸びしろもある。隠し球的な選手が松田亘哲(名古屋大・投手)で、大学から硬式野球に取り組み、140キロ後半を投げるまで成長した左腕だ。

 社会人投手では、都市対抗優勝投手の本田健一郎(JFE東日本・投手)、150キロの速球派・小又圭甫(NTT東日本・投手)、安定感抜群の嘉陽宗一郎(トヨタ自動車・投手)は文句なしの即戦力だ。

 ポスト曾澤は、磯村と中村奨が候補だが、大学生なら強肩の小藤翼早大・捕手)、長打が魅力の保坂淳介(NTT東日本、総合力の高い小林遼(JX-ENEOS・捕手)は、捕手陣の層をさらに厚くする。

 野手では、諸見里匠(日本通運内野手土谷恵介(鷺宮製作所内野手は、走攻守揃った即戦力で、小豆澤誠(JX-ENEOS内野手は守備だけで飯を食っていける選手だ。

 最後に広島が好む投手×野手の二刀流アスリート型選手を紹介すると、高校生なら小林珠維(東海大札幌高・投手)は高校通算30本塁打スラッガーサンドゥ・シャーンタヒル(津田高・外野手)は、抜群の身体能力に恵まれポテンシャルが高い。

 大学生では菅田大介(奈良学園大・外野手)は、リーグ戦で投手としても活躍し、身体能力は抜群だ。社会人でも下石涼太(トヨタ自動車内野手は、大学時代に野手に転向した選手で、広角に打てる打撃センスはまだ伸びしろがある。

 

【広島のドラフトを勝手にシミュレーション】

 1位…河野 竜生(JFE西日本・投手)…制球力抜群の150キロ左腕

 2位…宮川  哲(東芝・投手)…力のあるストレートが武器の本格派

 3位…鈴木 寛人(霞ケ浦高・投手)…長身から投げ下ろす威力ある速球

 4位…諸見里 匠(日本通運内野手)…遊撃守備に絶対的自信を持つ

 5位…谷岡 颯太(武田高・投手)…3年間で球速20キロもアップした素質

 6位…小林  遼(JX-ENEOS・捕手)…経験豊富な巧みなリードと強肩

 7位…サンドゥ・シャーンタヒル(津田高・外野手)…伸びしろ十分の未完の大器

 

 育成主体に進めてきたが、今年は主力と控えの差を痛感したシーズンになった。育成も大事だが、今年は即戦力の上位指名でチーム力をアップさせたい。FAでの移籍を想定するなど難しいドラフトになるが、そこはドラフト巧者の広島。今年もアッと言わせる指名の期待している。