ドラフトを知ると野球がもっと楽しくなる

どのチームが「人」を育て強くなるのか

2025年ドラフト寸評~阪神とロッテが会心のドラフト!大学生が史上最多の指名で世代の中心になるか

 今年一番のサプライズは佐々木麟太郎(スタンフォード大・内野手の指名で、1位指名だけでも驚きだったが、DeNAとソフトバンクの2球団が指名し、抽選の結果、ソフトバンクが交渉権を獲得した。来年MLBのドラフトにかかる可能性もあり、佐々木の今後の判断に注目が集まる。

 今年の目玉は大学屈指のスラッガー立石正広(創価大・内野手で、広島が1位指名を公表し、5~6球団は指名すると思ったが、DeNAとソフトバンクのほか、ヤクルトは立石と同じ右打ちの松下歩叶(法大・内野手、西武は事前に小島大河(明大・捕手)の指名を公表し、ともに単独指名に成功した。結果広島と日本ハム阪神の3球団が指名し、阪神が交渉権を獲得した。

 世代ナンバーワンと言われた石垣元気(健大高崎高・投手)は、地元・日本ハムにラブコールを送っていたが、ロッテとオリックスが指名し、2年連続で抽選一騎討ちとなったが、昨年に引き続きロッテが交渉権を得た。

 このほかの1位指名は、事前に指名を公表していた巨人の丸和幸(鷺宮製作所・投手)は入札がなく、同じく競合も予想されていた中西聖輝(青学大・投手)は中日がそれぞれ単独指名に成功した。楽天藤原聡大(花園大・投手)の交渉権を獲得し、同大初のプロ野球選手が誕生した。

 抽選を外したオリックスは同じ高校生の藤川敦也(延岡学園高・投手)、DeNAも小田康一郎(青学大内野手を指名し、青学大は3年連続で複数選手が1位指名を受けた。広島と日本ハム平川蓮(仙台大・外野手)で競合し、日本ハムは地元の平川を獲得したいところだったが縁がなく大川慈英(明大・投手)を指名し、1位指名12選手が出揃った。

 支配下選手の指名は、昨年より4名多い73名で、内訳は高校生19名(▲3名)、大学生は史上最多の40名(+13名)、社会人・独立リーグ14名(▲6名)で、4年連続で大学生が高校生を上回った。育成は▲11名の43名で、指名総数は116名(▲7名)になった。支配下の最多指名はヤクルトと広島、ロッテ、楽天オリックスの7名で、最少はDeNAと阪神日本ハムソフトバンクの5名。下位チームが増え、上位チームの指名が少ない形になった、

 明大が同一チーム史上最高を更新する16年連続の指名になり、来年も巧打者の榊原七斗(外野手)が既に1位候補に呼び声高く、記録はまだ伸びそうで、徳島インディゴソックスも13年連続の指名を受けている。個人予想では、指名予想の100名中64名が指名を受け、昨年と同数でした。 

【12球団ドラフトの評価】

 A…ロッテ、阪神

 B…広島、西武、楽天オリックス

 C…ヤクルト、中日、巨人、DeNA、日本ハム

 D…ソフトバンク

 E…なし

 

☆ヤクルト(C⁺)

 投打に課題の多いドラフトのなか、松下のほかにも増居と石井、飯田の社会人即戦力選手を獲得し、来季に向け戦力の上積みはできた。ただ、チームの看板でもある村上宗隆が抜けることを考えれば、スター候補としても競合覚悟で立石に行って欲しかった。

 一方で、即戦力なのか、育成なのか、重点は投手なのか野手なのかの意図が掴めず、2位で毛利(ロッテ)や斎藤(広島)など、1位指名候補だった大学生投手を指名できた状況にも拘わらず、長岡秀樹がいるなか、ポジションが重複する松川の2位指名や、3位の山崎も素材型も選手で、全体を見るとチクハグな感は否めなかった。

 ①松下歩叶(法大・内野手)      ②松川玲央(城西大・内野手) 

 ③山崎太陽(創価大・投手)      ④増居翔太(トヨタ自動車・投手) 

 ⑤鈴木蓮吾(東海大甲府高・投手)   ⑥石井 巧(NTT東日本・内野手)   

 ⑦飯田琉斗(ENEOS・投手)   育①小宮悠瞳(川崎総合科学高・投手) 

ロッテ(A)

 投打に戦力が不足し、即戦力選手が欲しいなか、将来性にシフトした指名は評価できる。世代ナンバーワンの石垣は、佐々木朗希に続くスター候補で、3位で打者としても評価の高い左腕の奥村(個人的には打者)、4位で高校通算49本塁打の櫻井、育成1位の中山も支配下指名も濃厚だった逸材で、スケール感のある会心の指名になった。

 さらに補強ポイントで優先順位の高かった左投手で毛利を2位指名でき、最速155キロの冨士を5位で獲得できたのは幸運と言え、先発・リリーフも即戦力投手を獲得できた。将来性を重視しながら、即戦力もバランスよく指名でき最高評価を付けた。

 ①石垣元気(健大高崎高・投手)  ②毛利海大(明大・投手) 

 ③奥村頼人(横浜高・投手)    ④櫻井ユウヤ(昌平高・内野手) 

 ⑤富士隼斗(日本通運・投手)   ⑥岡村了樹(富島高・捕手)

 ⑦田中大聖(ホンダ鈴鹿・投手   育①中山優人(水戸啓明高・投手)ほか2名

☆広島(B⁺)

 1位指名を公表した立石をは外したが、平川を獲得できたのは個人的には良かったと思う。立石の三塁には昨年1位の佐々木泰もおり、高齢化が進む外野で平川の出番は早いだろう。また、2位で斎藤汰、3位で勝田の即戦力を指名できたのも大きく、特に勝田は小柄な内野手が大成する広島にはピッタリな選手だと思う。

 4位以降は育成主体の指名になり、工藤と赤木はスケール感があり、7位の高木も今季の不調がなければもっと上の順位で呼ばれてもおかしくない選手で将来性を感じた。ただ、即戦力投手が少なく、反面、高校生投手の指名もなかったのが残念だった。

 ①平川 蓮(仙台大・外野手)  ②斎藤汰直(亜大・投手)   

 ③勝田 成(近大・内野手)   ④工藤泰己(北海学園大・投手)

 ⑤赤木晴哉(佛教大・投手)   ⑥西川篤夢(神村学園伊賀高・内野手

 ⑦高木快大(中京大・投手)  育①小林結太(城西大・捕手)ほか1名  

★西武(B)

 小島の1位指名表明は個人的には悪手だと思ったが、見事に単独指名に成功した。小島は森友哉のような起用ができる巧打者で、3位の秋山とともに早々に期待できる。また、2位の岩城は即戦力左腕、4位で堀越を獲得できたのも大きく、今季は不調でリーグ戦の出番が限られているが、元は1位級の素材で上位4人の顔ぶれが良い。

 一方で、今井達也と高橋光成の去就が不明のなか、即戦力投手が最低もう一人は欲しく、秋山を獲得できたなら即戦力の内野手の指名があっても良かった。また、横田のほかに、育成で新井と今岡を指名し高校生遊撃手が3人も必要だったのかは疑問だ。

 ①小島大河(明大・捕手)     ②岩城颯空(中大・投手)   

 ③秋山 俊(中京大・外野手)   ④堀越啓太(東北福祉大・投手) 

 ⑤横田蒼和(山村学園高・内野手) ⑥川田悠慎(四国銀行・外野手)

育①新井唯斗(八王子高・内野手)  育②今岡拓夢(神村学園高・内野手)ほか5名

☆中日(C)

 主力投手の高齢化による世代交代が迫り、柳裕也や松葉貴大の去就も気になるなか、先発で中西と櫻井、リリーフの篠崎と上位3名に即戦力投手を並べたのは理解できる。また、野手の指名も年齢構成の穴を埋めるピンポイントの補強ができた。

 ただ、今年は大学生野手が豊富な年で、1位で中西を獲得できたのであれば、2位で主力になり得る野手を獲得して欲しかった。5位の新保、6位の花田はともに良い選手ではあるが、どちらかというと守備走塁/チャンスメーカータイプで、能登も高校ではリードオフマンを務めており、中軸を担うスケール感のある選手が必要だと思う。

 ①中西聖輝(青学大・投手)     ②櫻井頼之介(東北福祉大・投手) 

 ③篠崎国忠(四国IL徳島・投手)  ④能登輝夢(明秀日立高・外野手)

 ⑤新保茉良(東北福祉大内野手)  ⑥花田 旭(東洋大・外野手)

育①牧野憲伸(オイシックス・投手) 育②石川大峨(掛川西高・内野手)ほか1名

楽天(B⁺)

 当初から今年は投手指名の公言通り、1位で藤原、2位で地元出身の伊藤樹の獲得に成功し、6位で今年の都市対抗橋戸賞受賞の九谷も獲得できた。安定感のある伊藤樹は即戦力だが、藤原と九谷はまだ伸びしろも期待でき、将来のエース候補で左腕の伊藤大も獲得し、投手は思い通りの指名ができた。

 野手も3位の繁永は広角に打ち分ける右打者で、人数の少ない捕手で地元の大栄、育成5位で島原大河(四国IL愛媛)の2名を獲得したのも大きい。ただ、リーグ最小の本塁打数のチーム状況を鑑みると、中軸候補の指名がなかったのが惜しまれる。

 ①藤原聡大(花園大・投手)   ②伊藤 樹(早大・投手) 

 ③繁永 晟(中大・内野手)   ④大栄利哉(学法石川高・捕手) 

 ⑤伊藤大晟(れいめい高・投手) ⑥九谷 瑠(王子・投手)

 ⑦阪上翔也(近大・外野手)  育①幌村黛汰(日本海L富山・外野手)ほか4名

☆巨人(C⁻)

 今年は先発投手かポスト岡本のどちらかと注目していたところ、竹丸の指名公表で先発投手にシフトすると思ったが、2位でリリーフタイプの田和、4位以降は野手指名になり中途半端なドラフトになった。その野手も4位の皆川は走攻守3拍子揃った右打者だが、同じタイプで浅野翔吾等がおり、小浜も守備力に定評がある遊撃手だが、泉口友汰がレギュラーを掴みかけているなか、即戦力の遊撃手が必要だったのか疑問が残る。

 来季に向け即戦力中心の指名は理解できるが、同じ3位でもオリックスと対照的なドラフトになり、6位でポスト岡本の候補で藤井を獲得できたのが救いだった。

 ①竹丸和幸(鷺宮製作所・投手)  ②田和 廉(早大・投手) 

 ③山師京平(亜大・投手)     ④皆川岳飛(中大・外野手) 

 ⑤小浜佑斗(沖縄電力内野手)  ⑥藤井健翔(浦和学院高・内野手

育①富重英二郎(BC神奈川・投手)育②林   燦(立正大・投手)ほか3名

オリックス(B)

 残念ながら石垣(ロッテ)獲得には失敗したが、1位の藤川から4位の窪田までオール高校生指名になり、7位でも野上を指名し、高校生5名指名は今年のドラフトで最多人数になった。上位2チームとの差は歴然で、本来であれば即戦力を指名したいところだが、素材型の高谷と石川を含め育成重視で徹底した姿勢は称賛に値し、5年後には評価が大きく変わる可能性もある見事なドラフトになった。

 また、育成の三方は大型外野手、育成2位のシャピロ一郎(日本海L富山)と4位の渡邊一生(仙台大)は即戦力投手で、支配下と育成指名のバランスも秀逸だった。

 ①藤川敦也(延岡学園高・投手)  ②森 陽樹(大阪桐蔭高・投手) 

 ③佐藤龍月(健大高崎高・投手)  ④窪田洋祐(札幌日大高・外野手)

 ⑤高谷 舟(北海学園大・投手)  ⑥石川ケニー(ジョージア大・投手)

 ⑦野上士耀(明秀日立高・捕手) 育①三方陽登(BC栃木・外野手)ほか3名

☆DeNA(C⁻)

 佐々木の指名自体は大きく評価するが、個人的には外して良かったと思っている。小田は立石(阪神)や小島(西武)の陰に隠れたが、広角に打ち分ける打撃力は秀逸で、チームには佐野恵太など手本になる選手が多く、結果を出すのは一番早いと思う。

 ただ、2位以降はオール大学・社会人で、育成の清水含めて野手はすべて内野手の偏重ドラフトになったのは残念だった。選手層が厚くない外野手は今年も指名がなく、投手に至っては4位の片山は来季27歳のオールドルーキーで、このままだと来季19~22歳が不在になり、高校生投手の育成はチームとして諦めた感さえ漂う。

 ①小田康一郎(青学大内野手)    ②島田舜也(東洋大・投手)  

 ③宮下朝陽(東洋大内野手)     ④片山晧心(ホンダ・投手)

 ⑤成瀬脩人(NTT西日本・内野手) 育①清水詩太(京都国際高・内野手) 

日本ハム(C⁻)

 来季に向けもう一つ上のチームを目指すために、育成よりも立石や平川の指名を選んだが抽選で2度外した。その後、補強ポイントであるリリーフ強化で大川を1位指名し、2位以降で再び大学生野手にシフトした。2位のエドポロはスケール感のある将来性豊かな選手で、同じ強肩の万波中正との外野を形成できれば他球団の脅威になる。

 3位の大塚は守備に定評のある遊撃手、5位の藤森は捕手以外に内外野も守れ新庄監督が好むタイプの選手で、4位の半田も高校通算24本塁打の大型遊撃手で悪くはないが、来季に向けた戦力の上積み、将来性ともどっちつかずのドラフトになった。

 ①大川慈英(明大・投手)     ②エドポロ・ケイン(大院大・外野手)

 ③大塚瑠晏(東海大内野手)   ④半田南十(日大藤沢高・内野手) 

 ⑤藤森海斗(明徳義塾高・捕手) 育①常谷拓輝(北海学園大内野手)ほか1名 

阪神(A)

 3球団競合の立石を獲得できただけで大成功だが、2位以降の指名も秀逸だった。二遊間を守れる谷端の加入で、佐藤輝明を外野に廻せる布陣が組め、3位の岡城は俊足巧打の外野手で、万が一の近本光司のFA移籍の備えもできた。4位で将来のエース候補の早瀬、5位の能登は今季のイースタンの投手4冠の即戦力で、各ポジションの補強ポイントを僅か5名の指名で見事に埋めた満点のドラフトになった。

 立石の加入で、暫くは阪神の時代が続きそうな予感を抱かせるドラフトになるが、こうなるといよいよ1位もすべてウェーバー論議も出てきそうな気がする。

 ①立石正広(創価大・内野手)    ②谷端将伍(日大・内野手)  

 ③岡崎快生(筑波大・外野手)    ④早瀬 朔(神村学園高・投手) 

 ⑤能登崇登(オイシックス・投手)育①神宮僚介(東農大オホーツク・投手)ほか1名 

ソフトバンク(D⁻)

 主力野手の世代交代が進み、チームの看板選手として佐々木を1位指名したのは理解でき、戦力層の厚いソフトバンクならではの戦略だった。また、佐々木の入団までには時間を要することから、補強ポイントの内野で高橋を指名できたのも幸運だった。

 ただ、それ以外の指名には疑問が残り、目指すチーム像からかけ離れた印象を受け、D評価とした。佐々木の指名以降は4位まで大学生で、3位の鈴木はともかく、稲川も相楽も将来性に期待する指名で、それなら高校生指名にシフトしても良く、結果は出ていないとは言え、5年連続高校生1位指名は何だったのかと思ってしまう。

 ①佐々木麟太郎(スタンフォード大・内野手)②稲川竜汰(九共大・投手) 

 ③鈴木豪太(大商大・投手)       ④相楽雅斗(岐阜協立大・投手) 

 ⑤高橋隆慶(JR東日本内野手)   育①池田栞太(関根学園高・捕手)ほか7名        

 最後に、今年は私の故郷の北海道関連の指名が多く嬉しかった。ロッテの石垣から始まり、日本ハムの藤森と常谷、オリックスの窪田と高谷、西武には秋山。セ・リーグ阪神能登と神宮、DeNAには宮下、中日の能登に広島の工藤と実に11名の選手が指名され、全員の活躍に期待したい。

2025年~ドラフト候補100名を予想してみました

 今年のドラフトも大学生に上位候補が揃い、1位指名は大学生の集中しそうだ。そのなかでも立石正広(創価大)の1位重複指名が予想され、今季の宗山塁(楽天)に西川史礁(ロッテ)、渡部聖弥(西武)の活躍を見れば人気が高まりそうだ。

 高校生では投手に上位候補が多く、世代ナンバーワンと呼ばれる石垣元気(健大高崎高)にも1位重複指名が予想される。また、今年は奥村頼人(横浜高)や江藤蓮(未来富山高)など左腕に上位候補が多いのも特徴と言える。

 社会人は丸和幸(鷺宮製作所が一気に1位指名候補に評価が急上昇し、上位候補には投手は多い。今季の伊原陵人(阪神)や石伊雄太(中日)などしっかり結果を出しており、補強ポイントとそて社会人の役割は大きい。また、オイシックスやくふうハヤテの二軍参加チームからの指名が増えるかなど注目のドラフトになる。

 

【各チームの指名予測~指名順】※( )は第一次戦力外通告選手を除いた数字です

◆ヤクルト…63名(投手29名~野手30名)

 課題はこの間と同様、投手陣強化が最優先だが、村上宗隆のMLB移籍が決定的で、投打に世代交代が迫ってきている。これまでのツケまでとは言わないが、1回のドラフトで何とかなる状況はなく、長期的視野に立った戦略の舵を取っても良いと思う。

◇ロッテ…60名(投手30名~野手30名)

 チーム強化の集大成のはずの今年、まさかの最下位になり、常勝チーム構想は振り出しに戻った。功労者とも言えるベテラン選手が戦力外になり、チームの変革を本格化させている。今年は若手野手が経験を積み、補強ポイントは投手中心になりそうだ。

◆広島…63名(投手31名~野手32名)

 今年は大きな見せ場も作ることなく、再びBクラス定着の感すら出てきた…。課題は打撃陣でチームの中心になり得る選手として立石の1位指名を公言した。一方で主力投手にFA権を取得する投手が今後多く、来季以降に向け投手力強化も課題になる。

◇西武…60名(投手28名~野手32名) 

 これまでと同様、打撃陣の強化で最優先課題のなか、大方の予想に反して打てる捕手の小島大河(明大)の1位指名を表明した。一方で今井達也や高橋光成の去就が未定で、万が一移籍すると自慢の投手準にも綻びが生じ、投打に即戦力の補強が必要だ。

◆中日…61名(投手28名~野手33名)

 ここ数年は課題の貧打線解消のため、即戦力野手中心のドラフトを展開したが、思い通りの結果が出ないまま、いつの間にか強固な投手も高齢化し、投打に課題を抱えている。投手は即戦力、野手は年齢構成が悪く、高校生と大学生主体になる。

楽天…65名(投手33名~野手32名)

 外国人選手含め、戦力外が5名(うち1名は引退)と、今回のドラフト後に改めてのチーム編成になる。則本昂大や辰己涼介の主力の移籍、支配下人数の少ない捕手、左打者に偏っている外野等々課題は多く、今年はどのように解消する戦略なのか注目だ。

◆巨人…56名(投手26名~野手30名)

 主砲の岡本和真のMLB移籍は未定で、後継候補としての立石指名に加え、課題の先発強化も進めたい。今年も前田健太やFA選手獲得に色気を出しているようだが、覇権奪取に向け、投打に中心になる選手を育成する姿勢を打ち出したほうが良いと思う。

オリックス…61名(投手35名~野手26名)

 今季、打撃陣のレギュラーが固定された一方、投手陣に陰りが見えたが、現在の支配下人数は投手が多く打者が少ない。量的には野手が必要だが、質的には投手強化が課題で、どちらにウェイト置くか、即戦力か高校生中心か、今年の戦略に注目したい。

◆DeNA…61名(投手30名~野手31名)

 これまでの戦力外選手は全員投手。ジャクソンをはじめ主力の外国人選手の去就が軒並み未定と、否応なしに投手中心のドラフトになる。一方で野手も22歳以下に捕手、内野、外野に各1名しかおらず、年齢構成を考えると高校生野手の獲得も必要。

日本ハム…68名(投手37名~野手29名)

 ここ数年、ドラフト前の支配下人数は多く、ドラフトの結果を見ての編成になる。ドラフト1位は今年一番の選手の指名になるが、チーム方針の根幹である育成中心で行くか、ホークスとの差を埋めるために即戦力で層を厚くするか、方向性に注目したい。

阪神…62名(投手32名~野手30名)

 投打に安定し、7年連続Aクラス(うち優勝2回)とチームが円熟期を迎えている。日本ハム同様、将来の主力を担う高校生の育成主体になるか、近本光司の万が一のFA移籍に向け、さらなる選手層の厚さを主に即戦力で行くか楽しみなドラフトになる。

ソフトバンク…65名(投手33名~野手32名)

 連覇を果たし選手層の厚さは断トツだが、主力の高齢化と併せ、この間はFA等の補強でのチームづくりが中心になっているだけに、ドラフトの立て直しが必要だ。ドラフト1位指名選手が伸び悩むなか、6年連続で高校生1位で行くか、1位指名に注目だ。

 

【指名順位予想】

 昨年は広島のみが1位指名を公表し、今年も広島が早々と立石指名を明言し、西武も小島指名を明言した。ただ、ずば抜けた1位指名候補の選手がいなければ牽制にもなるが、昨年の宗山や金丸夢斗(中日)にはともに4球団、西川には2球団重複し、今年のに立石はドラフトの目玉で、広島指名で敢えて下りるチームはないだろう。

 むしろ西武に至っては、小島公表は裏目だと思う。打てる捕手は希少で、楽天阪神のように捕手強化が必要なチームが乗り換える可能性が高まり、楽天は今年の1位指名は投手と予想したが、西武の公表で方向転換があるかも知れない。

 先述したが、1位入札は立石と小島以外に、石垣と中西聖輝(青学大が予想され、立石は広島のほかに村上移籍のヤクルト、世代交代に迫られているソフトバンクの指名が予想される。即戦力の中西は、投手力強化が必要なロッテとDeNAの指名が予想され、左腕が少ないロッテは竹丸や山城京平(亜大)の指名も予想される。

 石垣には地元の日本ハムを予想したが、山本由伸や宮城大弥などをエースに育てたオリックス、中日も敢えて将来の主軸候補で石垣指名を予想した。本来であれば巨人なんかはいの一番で狙う投手だと思うが…。

 立石を外したチームは、同じ右の強打者である松下歩叶(法大)、両打ちのロングヒッター平川蓮(仙台大)にシフトし、中西を外したチームは即戦力で竹丸や伊藤樹(早大、評価急上昇中の藤原聡太(花園大)、石垣を外したチームは将来性で斎藤汰直(亜大)島田舜也(東洋大への指名にシフトすると予想した。

1位入札候補(1回目予想)

 立石正広(創価大・内野手)…ヤクルト、広島、巨人、阪神ソフトバンク

 石垣元気(健大高崎高・投手)……中日、オリックス日本ハム 

 中西聖輝(青学大・投手)…ロッテ、DeNA

 小島大河(明大・捕手)…西武楽天

1位候補(2回目以降)

 投手…伊藤 樹(早大)斎藤汰直(亜大)山城京平(亜大)島田舜也(東洋大

      藤原聡太(花園大)竹丸和幸(鷺宮製作所

 野手…松下歩叶(法大・内)平川 蓮(仙台大・外)

2位候補予想

 2位も即戦力選手中心の指名を予想した。櫻井や谷脇は即戦力の呼び声高く、岩城は今年一気に評価を上げた。森と堀越、毛利、小田は1位指名の可能性も高く、勝田も多くの球団がマークしている。藤川と工藤も中央では無名だが、上位指名もある逸材だ。

 投手…江藤 蓮(未来富山高)森 陽樹(大阪桐蔭高)藤川敦也(延岡学園高)

      工藤泰己(北海学園大)櫻井頼之介(東北福祉大)堀越啓太(東北福祉大

    毛利海大(明大)岩城颯空(中大)谷脇弘起(日本生命

 野手…小田康一郎(青学大・内)勝田 成(近大・内)

      エドポロ・ケイン(大院大・外)

3位候補予想

 3位予想で高校生が増え、エースで4番の奥村、TJ手術から回復した佐藤などはもう一つ上の順位で呼ばれても遜色ない。ここでも大学生が豊富で、技巧派左腕の渡邉やリリーフの大川、野手でも堅守の大塚に巧打の谷端、秋山など楽しみな選手が並ぶ。

 投手…中山優人(水戸啓明高)佐藤龍月(健大高崎高)奥村頼人(横浜高)

      渡邉一生(仙台大)大川慈英(明大)高須大雅(明大)冨士隼斗(日本通運

 野手…新井唯斗(八王子高・内)谷端将伍(日大・内)大塚瑠晏(東海大・内)

      秋山 俊(中京大・外)野間翔一郎(近大・外)

4位候補予想

 各チームの自由度が高まる4位では、スケール感のある選手を候補に挙げた。鈴木に中野、宇佐美はいずれも直球に力があり、赤木と篠崎は身長190センチの大型投手。野手も井上と垣内は打撃が評価され、西川と松川は高い遊撃の守備力に定評がある。

 投手…鈴木蓮吾(東海大甲府高)中野大虎(大阪桐蔭高)宇佐美球児(西条高)

      赤木晴哉(佛教大)田村剛平(京産大)篠崎国忠(四国IL徳島)

 野手…井上遥翔(佐野日大高・内)西川篤夢(神村学園伊賀高・内)

      垣内 凌(浦和学院高・外)小出望那(大産大・捕)松川玲央(城西大・内)

      宮崎 海(横浜商大・外) 

5位候補予想

 5位は神宮や宮下、繁永など夏以降に評価を上げてきた選手を候補に挙げ、繁永は春の不調を取り戻した。田和と鈴木はサイドハンドから150キロを投げる本格派。今岡は今夏の国際大会でも活躍し、富重はチーム初のドラフト指名を待つ即戦力左腕。

 投手…吉川陽大(仙台育英高)神宮僚介(東農大オホーツク)田和 廉(早大

      鈴木豪太(大商大)遠藤慎也(日本新薬)富重英二郎(BC神奈川)

 野手…横田蒼和(山村学園高・内)今岡拓夢(神村学園高・内)

      宮下朝陽(東洋大・内)繁永 晟(中大・内)

      村上裕一郎(ENEOS・外)天井一輝(NTT西日本・外)

5位以降の候補予想

(高校生)

 投手では早瀬は最速151キロで国際舞台でも結果を残し、松延はクセのないフォームでいかにも投手らしい選手。一方で、中西と瀧上は高校から投手を始めた逸材で伸びしろに期待でき、エースで4番の窪田は野手としての評価も高い。

 野手では大栄は打撃がセールスポイントの強肩捕手で、藤森は内野もこなす器用さがあり、先輩・寺地隆成(ロッテ)のような活躍も期待できる。藤井は遠くへ飛ばすパワーなら群を抜いており、パワーなら留学生のセラーノ・ブレンサも負けていない。

 投手…窪田洋祐(札幌日大高)内藤優央(静清高)中西浩平(豊川高)

      瀧上春斗(穴吹高)松延 響(鳥栖工高)早瀬 朔(神村学園高)

 野手…大栄利哉(学法石川高・捕)藤森海斗(明徳義塾高・捕)

      藤井健翔(浦和学院高・内)大橋令和(オイスカ浜松国際高・内)

      エミール・セラーノ・ブレンサ(幸福の科学学園高・外)

    長瀬大來(大院大高・外)能登輝夢(明秀日立高・外)

(大学生)

 投手は伸びしろが期待できる将来性豊かな投手を候補に挙げ、高谷と山崎は真っ直ぐに力があり、沢田は190センチの長身左腕のスリークオーター。正木はフィジカルに優れ同大初のプロ指名の期待がかかり、サブマリンの渡辺は親子2代の指名を待つ。

 野手はスラッガータイプのロマン砲が多く、池田と西原は長打力が魅力で、右打ちの西原は需要が高いと思う。山形は戦後18人目の東京6大学の三冠王で、実績は申し分ない。阪上は俊足で守備範囲が広く、強肩かつ打撃もパンチ力がある。

 投手…高谷 舟(北海学園大)渡辺向輝(東大)山崎太陽(創価大)

      松永大輝(白鷗大)正木悠馬(上智大)沢田涼太(中京大

      由上 慶(京産大)大山北斗(中大準硬式)

 野手…池田彪我(東洋大・内)山形球道(立大・外)西原太一(上武大・外)

    阪上翔也(近大・外)

(社会人)

 投手は左腕に候補が多く、中澤と本間は力強い直球と鋭い変化球が武器で、先発・リリーフを担える。安定感抜群の増居は社会人3年目で、2度の指名漏れから念願が叶うか、今年の選手権で橋戸賞を受賞した九谷は異色の経歴の苦労人でともに注目したい。

 萩原は強肩と堅実な守備で、多くの球団がマークし、成瀬は堅実な二遊間守備に定評がある。高橋と大森は社会人屈指のスラッガーで、再来年からセ・リーグに導入されるDHを見越しも指名もあり、俊足巧打の田中は高卒3年目で伸びしろも期待。

 投手…増居翔太(トヨタ自動車)九谷 瑠(王子)中澤 嶺(三菱重工エスト)

      本間悠貴(大阪ガス

 野手…萩原義輝(東芝・捕)高橋隆慶(JR東日本・内)

      成瀬脩人(NTT西日本・内)大森廉也(JFE東日本・外)

      田中多聞(JFE西日本・外)      

(二軍参加・独立L)

 今年も独立リーグに逸材は多いが、最速153キロの20歳の高橋は投手育成に定評のある徳島からさらにどう飛躍するか期待したい。三方は190センチを超える大柄な体格からの長打力が魅力だが、50メートル6秒の俊足且つ強肩で身体能力が高い。

 二軍参加では、能登は今年のイースタン最多勝(12勝)投手で、知念は打率2位と2年続けて結果を残しており、今後のためにも是非とも指名して欲しい選手。牧野と宮路はともに今季からリリーフ転向で才能が開花し、左腕の牧野は需要は高いと思う。

 投手…能登崇都(オイシックス)牧野憲伸(オイシックス)宮路悠良(くふうハヤテ)

      高橋快秀(四国IL徳島)

 野手…知念大成(オイシックス・外)三方陽登(BC栃木)

 最後に、話題の佐々木麟太郎(スタンフォード大)は、ソフトバンク日本ハム阪神の上位球団ならまだしも、制度上のリスクも鑑み候補から外した。

 いよいよ明日、ドラフトが開催される。紹介した100名以外にも有望な選手はたくだんおり、今年もどんなドラマがあり、どのチームが成功し、どの選手が何処のユニフォームに袖を通すか、年に一度のこの機会を今年も楽しみたい。

25年ドラフト予想☆ソフトバンク&阪神

ソフトバンク~育たないドラフト1位で育成に翳り?】

 一時は開幕戦のスタメン全員が故障で戦列を離れ、最下位にも落ちたが、選手層の厚さでカバーし、最後は日本ハムを振り切り2年連続でペナントレースを制した。

 2年連続の優勝でチームは円熟期も、課題の一つとしてドラフトが挙げられる。直近10年のドラフト1位指名で主戦はおらず、既に半分はチームにいない。将来性重視で高校生を5年連続で1位指名しているが、前田悠伍(大阪桐蔭高~23年①)と村上泰斗(神戸弘陵高~24年①)は別にしてほぼ全滅と言え、育成に陰りがあるのも事実だ。

【過去5年のチーム成績】

    順位   勝敗   防御率(失点)   打率(得点) 本塁打  盗塁  失策

 21年 4位 60勝62敗21分   3.25①(493①).247②(564②)133①   50⑤ 57①

 22年 2位 76勝65敗 2分 3.07③(436③).255①(555①)108②   86④ 59②

 23年 3位    71勝69敗 3分 3,27④(507④).248②(536①)104②   73④ 52①

 24年 1位 91勝59敗 3分   2.53①(390①).259①(607①)114①   89③ 53①

 25年 1位 87勝53敗 4分 2.39①(389①).257①(551①)101②   98② 77⑥

ソフトバンクの補強ポイント】 

 投 手…将来のエース候補、即戦力の先発とリリーフ

 捕 手…必要なし

 内野手…将来の中軸候補

 外野手…高校生と右打ちの大学生

◆投手

 来季の先発も驚異の防御率1.46で12勝を上げたモイネロ、2年連続最多勝の有原航平(早大~14年日①)、上沢直之専大松戸高11年日⑥)、大関友久(仙台大~19年育②)の10勝カルテットが中心になる。登板は少なかったが大津亮介(日本製鉄鹿島~22年②)も防御率1点台、松本晴(亜大~22年⑤)も2点台と好成績を残しており心配はない。ただ、有原も上沢も30歳を超え若手の台頭も待ち遠しい。

 リーグ屈指のリリーフは、リーグ最多31セーブを上げた杉山一樹(三菱重工広島~18年②)、松本裕樹(盛岡大高~14年①)と藤井晧哉(おかやま山陽高~14年広④)はともに51試合登板で防御率1点台、ここにオスナが戻れば、クローザーを任せられる選手が揃う。さらに津森宥紀(東北福祉大~19年③)やヘルナンデスとポイントでタレントが揃っているのも強みだ。

【来季の予想布陣】

 先発…上沢直之 有原航平 モイネロ 大関友久 松本 晴

      東浜 巨 大津亮介 前田悠伍 前田 純

 リリーフ…津森宥紀 大江竜聖 尾形崇斗 杉山一樹 藤井晧哉 オスナ 大山 凌

      ヘルナンデス 松本裕樹

 1位候補に挙がっているのは、石垣元気(健大高崎高)斎藤汰直(亜大)毛利海大(明大)堀越啓太(東北福祉大)と素材型が多く、石垣は将来のエース候補。奪三振率の高い斎藤は伸びしろに期待できる。毛利は今年急成長を遂げた本格派左腕。最速160キロの堀越は今季不調でリーグ戦出場が少ないが、じっくり育成する余裕がホークスにはある。

 高校生では藤川敦也(延岡学園高)、甲子園にも出場した江藤蓮(未来富山高)佐藤龍月(健大高崎高)の両左腕も上位候補だ。藤川は153キロを投げる本格派右腕で、変化球の質も高く、石垣を外した際に次に名前が呼ばれる可能性もある逸材。江藤は無名校を甲子園に導いた左の本格派で、佐藤は肘の手術から回復を果たした。

 このほか、木蓮吾(東海大甲府高)内藤優央(静清高)坪眞都(大垣北高)も中央では無名だが直球に力があり、瀧上春斗(穴吹高)は高校から投手に転向しドラフト候補まで成長し、早瀬朔(神村学園高)は長身から150キロを投げ込む。

 即戦力では伊藤樹(早大はゲームメークに長け、藤原聡太(花園大)奪三振率が高く他球団も狙う上位候補。高須大雅(明大)は身長190センチから角度のある直球が武器で、都市対抗で好投した谷脇弘起(日本生命は総合力が高い。高卒2年目の篠崎国忠(四国IL徳島)は、大柄な体格から157キロを投げ込むパワーピッチャー。

◆野手

 今季は牧原大成(城北高~10年育⑤)が、唯一3割をキープし育成初の首位打者になり、柳町達(慶大~19年⑤)も初の規定打席クリアで打率リーグ2位の成績を残した。

 捕手は海野隆司(東海大~19年②)が正捕手の足掛かりを築き、同い年の谷川原健太(豊橋中央高~15年③)とベテランの嶺井博希(亜大~13年D③)が控え問題ない。

 内野は一塁が山川穂高(富士大~13年西②)と中村晃(帝京高~07年③)、二塁に牧原大、三塁には栗原陵矢(春江工高~14年②)がおり、遊撃は今宮健太(明豊高~09年①)の不振を野村勇(NTT西日本~21年④)と川瀬晃(大分商高~15年⑥)が埋めた。外野はケガさえなければ柳田悠岐(広島経大~10年②)と近藤健介(横浜高~11年日④)、周東佑京(東農大オホーツク~17年育②)がおり、柳町と正木智也(慶大~21年②)も控え層は厚い。

 ただ、柳田と中村、山川、今宮がいずれも35歳を超えており、世代交代が確実に迫っている。

【来季の予想布陣】

 捕手…渡邉 陸 嶺井博希 谷川原健太 海野隆司

 内野…川瀬 晃 ダウンズ 山川穂高 今宮健太 中村 晃 牧原大成 栗原陵矢

      廣瀬隆太 野村 勇   

 外野…近藤健介 柳田悠岐 周東佑京 佐藤直樹 正木智也 柳町 達 緒方理貢

 他球団同様、立石正広(創価大)が1位候補で、チームには見倣う選手が多いだけにさらなる成長が期待できる。このほか、ともに二塁手勝田成(近大)繁永晟(中大)、外野手の平川蓮(仙台大)で、勝田は俊足でパンチ力があり、繁永は堅実な守備の中距離打者で、ポスト牧原大を期待できる。平川も左右に長打が打て、立石を外した際の指名が有力で、捕手の小出望那(大商大)もリストアップされている。

 高校生では遊撃手の大橋令和(オイスカ浜松国際高)今岡拓夢(神村学園高)が候補に挙がり、大橋は守備力が高く、今岡は高校通算17本塁打スラッガーで、左打ちの遊撃手が多い状況から、今岡のほうが補強ポイントにハマる。

 2人のドミ二カン留学生(ともに幸福の科学学園高)にも注目で、エミール・セラーノ・ブレンザはチームに欲しい右打ちの外野手、ユニオール・エルイン・ジャケスは強肩の捕手で、ともに高い身体能力とパワーがどう開花するか注目したい。

阪神~ドラフト上位選手が主力になり投打に盤石】

 今季は主力の離脱もなく、投打にメンバーが固定でき、史上最速に加え全チームから勝ち越しの完全優勝で、CSでもDeNAに3連勝で強さを見せつけた。

 Aクラスはこれで7年連続となり、この間のドラフトの成功が結果に結びついている。特に20年は、佐藤輝明(近大~20年①)から始まり、伊藤将司(JR東日本~20年②)、村上頌樹(東洋大~20年⑤)、中野拓夢(三菱自動車岡崎~20年⑥)、石井大智(四国IL高知~20年⑧)が加入し、チームの基盤ができた神ドラフトになった。

【過去5年のチーム成績】

    順位   勝敗   防御率(失点)   打率(得点) 本塁打  盗塁  失策

 21年 2位 77勝56敗10分   3.30②(508②).247④(541⑤)121⑤ 114① 86⑥

 22年 3位 68勝71敗 4分 2.67①(428①).243⑤(498⑤)  84⑤  110①   86⑥

 23年 1位 85勝53敗 5分 2,66①(424①).247③(555①) 84⑤   79① 85⑥

 24年 2位 74勝63敗 6分 2.50②(420③).242⑤(485④) 67⑤   41⑤ 85⑤

 25年 1位 85勝54敗 4分 2.21①(352①).245④(496②) 93②  100①   57①

阪神の補強ポイント】 

 投 手…将来のエース候補、即戦力のリリーフ

 捕 手…左打ちの打てる捕手

 内野手…将来の中軸候補、即戦力の遊撃手

 外野手…近本に代わるリードオフマン候補

◆投手

 来季も最多勝の村上と、最高防御率の才木浩人(須磨翔風高~16年③)を中心に、伊藤や大竹耕太郎(早大~17年ソ育④)の両左腕に、伊原陵人(NTT西日本~24年①)と高橋遥人(亜大~17年②)も控え層は厚い。デュプランティエの去就が不明だが、仮に退団したも補えるだけの選手は揃っている。

 盤石のリリーフ陣は、50試合連続無失点の日本記録を樹立した石井、チーム最多66試合登でも防御率0点台の及川雅貴(横浜高~19年③)から、岩崎優(国士館大~13年⑥)に繋ぐ形ができた。湯浅京己(BCL富山~18年⑥)も復活し、桐敷拓馬(新潟医療福祉大~21年③)も鉄腕ぶりを発揮しており先発同様に層は厚い。

【来季の予想布陣】

 先発…伊原陵人 デュプランティエ 才木浩人 村上頌樹 大竹耕太郎

      伊藤将司 高橋遥人 門別啓人 早川太貴 ビーズリー      

 リリーフ…岩崎 優 岩貞祐太 工藤泰成 及川雅貴 桐敷拓馬 湯浅京己 石井大智

     ドリス ネルソン

 1位候補では他球団と同様に高校生なら石垣元気(健大高崎高)森陽樹(大阪桐蔭高)、大学生では中西聖輝(青学大伊藤樹(早大藤原聡太(花園大)、社会人では丸和幸(鷺宮製作所の名前が挙がる。

 左腕の先発が多く、才木のMLB移籍の可能性もあり、中西と伊藤、藤原は即戦力右腕で補強ポイントに合う。石垣と森は将来のエース候補として、じっくりと育成に時間をかけることができる。

 上位指名では、堀越啓太櫻井頼之介(ともに東北福祉大島田舜也(東洋大、左腕の山城京平(亜大)が候補に挙がり、櫻井は即戦力の呼び声高く、島田と山城は粗削りな部分はあるがポテンシャル十分。藤川敦也(延岡学園高)への評価も高い。

 高校生は中山優人(水戸啓明高) 中西浩平(豊川高)モレチ・アレンシャンドレ(誉高)中野大虎(大阪桐蔭高)がリストアップされ、中山は県大会で完全試合を達成し、中野は大舞台でも経験十分。中西は高校から投手に転向し、モレチは身長194センチの大側右腕。左腕では、佐藤龍月(健大高崎高)江藤蓮(未来富山高)、馬力のある宇佐美球児(西条高)が候補に挙がる。

 大学生では、工藤泰己(北海学園大相楽雅斗(岐阜協立大)、由上慶(京産大はストレートに力があり、田村剛平(京産大)と藪野哲也(桐蔭横浜大、左腕の渡邉一生(仙台大)はゲームメーク能力が高い。赤木晴哉(佛教大)河上晃大(大阪観光大)は身長190センチを超え、大山北斗(中大)は準硬式で150キロを超える隠し玉だ。

 社会人では川原嗣貴(ホンダ鈴鹿本間悠貴(大阪ガス篠崎国忠(四国IL徳島)がリストアップされ、本間はストレートに力がある本格派左腕。川原と篠崎は粗さはあるものの素材は一級品で将来性に期待できる。 

◆野手

 1番の近本光司(大阪ガス~18年①)から始まり、2番・中野、3番・森下翔太(中大~22年①)、4番・佐藤輝、5番・大山悠輔(白鷗大~16年①)が固定され、中野以外は全員ドラフト1位で強さも頷ける。好守の要の坂本誠志郎(明大15年②)、遊撃手はレギュラー不在ながら木浪聖也(ホンダ~18年③)に小幡竜平(延岡学園~18年②)とドラフト上位選手が並ぶ。

 強固なレギュラー陣で控えの出番は多くないが、熊谷敬宥(立大~17年③)が30歳でキャリアハイの成績を残し、レギュラー不在の左翼手は前川右京(智弁学園高~21年④)に、内野手の高寺望夢(上田西高~20年⑦)と捕手の中川勇斗(京都国際高~21年⑦)も守り大きな不安は見当たらない。野手転向の西純矢(創志学園高~19年①)にも期待したい。

【来季の予想布陣】

 捕手…梅野隆太郎 坂本誠志郎 中川勇斗

 内野…木浪聖也 大山悠輔 熊谷敬宥 佐藤輝明 糸原健斗 小幡竜平 中野拓夢

      高寺望夢 

 外野…森下翔太 近本光司 前川右京 小野寺暖 豊田 寛

 野手は立石正広(創価大)が1位候補で、立石が加入すれば佐藤輝を外野に起用することもでき攻守に層を厚くする。立石を外しても強打の松下歩叶(法大)や広角に打てる谷端将伍(日大)も控える。

 補強ポイントで見てみると、捕手は小島大河(明大)がピッタリで、支配下の捕手が全員右打ちで、打撃力の定評のある小島は33歳の坂本、35歳の梅野隆太郎(福岡大~13年④)の後継候補になる。このほか小出望那(大産大も候補に挙がる。

 内野手はレギュラー不在の遊撃手で大塚瑠晏(東海大松川玲央(城西大)石井巧(NTT東日本)が候補に挙がり、いずれも守備力に定評がある。ただ、木浪や小幡と同じタイプ(全員左打ち)だけに選択が難しい。

 FA移籍の可能性もある近本の代わりのリードオフマンも必要だが、リストアップされているのは平川蓮(仙台大)秋山俊(中京大山形球道(立大)西原太一(上武大)村上裕一郎(ENEOS)スラッガータイプが多いなか、俊足巧打の野間翔一郎(近大)山崎照英(BCL兵庫)は補強ポイントに合う。エドポロ・ケイン(大院大)も候補で、広い甲子園で強肩は特長を活かせる。

 このほか小田康一郎(青学大勝田成(近大)は他球団もマークしている上位候補で、井上遥翔(佐野日大高)は強打の三塁手、外野手の長瀬大來(大院大高)は投手としての評価も高い。

【指名シミュレーション】    

     ソフトバンク】             【阪 神】

 1位~毛利海大(明大・投手)         小田康一郎(青学大内野手)   

 2位~佐藤龍月(健大高崎高・投手)      藤川敦也(延岡学園高・投手)      

 3位~勝田 成(近大・内野手)           大塚瑠晏(東海大内野手)    

 4位~篠崎国忠(四国IL徳島・投手)     赤木晴哉(佛教大・投手)    

 5位~早瀬 朔(神村学園高・投手)       中野大虎(大阪桐蔭高・投手)         

 6位~エミール・ブレンザ(幸福の科学高・外野手)西原太一(上武大・外野手)

25年ドラフト予想☆日本ハム&DeNA

日本ハム~今年の一番は石垣か、立石か?】

 終盤までソフトバンクと激しいデッドヒートを繰り広げ、2年連続の2位ながら83勝を上げたチーム力は本物だ。特筆できるのは、防御率、打率など投打に成績が改善していることで、日本ハムの真骨頂の“育てながら勝つ“が新庄監督のもと結実した。

 新庄監督の1年目は全員がトライアウトでほぼ全選手が一軍出場を果たし、結果を出した選手が主力に成長した。今季はさらに主力の絞り込みが進んだ一方で、若手にも一軍昇格後にすぐにチャンスを与え、将来の主力候補の活躍も目立った。

【過去5年のチーム成績】

    順位   勝敗   防御率(失点)   打率(得点) 本塁打  盗塁  失策

 21年 5位 55勝68敗20分   3.32③(515④).231⑥(454⑥)  78⑥   77④ 76⑥

 22年 6位 59勝61敗 3分 3.46⑤(534⑤).234④(463⑥)100④   95③ 86⑥

 23年 6位 60勝82敗 1分 3,08③(496③).231⑥(464⑤)100④   75③ 94⑥

 24年 2位 75勝60敗 8分 2.94③(485③).245③(532③)111②   91① 75⑤

 25年 2位 83勝57敗 3分 2.53②(409②).248③(548②)129①   79④ 73⑤

日本ハムの補強ポイント】 

 投 手…将来のエース候補、即戦力のリリーフ

 捕 手…年齢構成で高校生

 内野手…将来の中軸候補

 外野手…年齢構成で大学生(左打ちならベスト)

◆投手

 先発は2年連続最多勝の伊藤大海(苫小牧駒大~20年①)、防御率1点台の北山亘基(京産大~21年⑧)を中心に、加藤貴之(新日鉄住金~15年②)と山崎福也(明大~14年オ①)の両ベテランが控える。

 さらに今季の開幕投手の金村尚真(富士大~22年②)、CSでも好投した達孝太(天理高~21年①)に福島蓮(八戸西高~21年育①)などの若手に古林睿煬も控え、将来性も兼ね備え層は厚い。

 一方でリリーフは型が決まらず、クローザーはシーズン当初は田中正義(創価大~16年ソ①)が務めたが、その後は柳川大晟(九州国際大高~21年育③)、終盤には斎藤友貴哉(ホンダ~18年神④)になるなど固定できなかった。

 セットアッパーも同様で、前半戦を支えた河野竜生(JFE西日本~19年①)が不調で戦列を離れたあとは、金村をリリーフに回し対応したが、田中と斎藤以外でシーズンを完走したのは玉井大翔(新日鉄住金~16年⑧)と課題を残した。

【来季の予想布陣】

 先発…加藤貴之 北山亘基 達 孝太 伊藤大海 山崎福也 金村尚真

      細野晴希 柴田獅子 古林睿煬 福島 蓮 孫易磊

 リリーフ…生田目翼 玉井大翔 上原健太 宮西尚生 田中正義 河野竜生 斎藤友貴哉

     池田隆英 山本拓実 柳川大晟

 日本ハムはその年の1番の選手を指名するのが戦略で、投手なら石垣元気(健大高崎高)になり、最速155キロの直球が武器に、早い段階でクローザーに抜擢される可能性もある。地元・北海道出身と言うこともあり、チームの看板選手になり得る逸材。 

 中西聖輝(青学大伊藤樹(早大も上位候補だが、石垣指1位指名なら上位で消える可能性が高いく、2位以降で即戦力リリーフを狙いたいたい。堀越啓太(東北福祉大大川慈英(明大)サイドスロー田和廉(早大は、大学でリリーフを務めており堀越は先発への適性もある。

 このほか、大学生では藤原聡太(花園大)高須大雅(明大)渡辺向輝(東大)櫻井頼之介(東北福祉大がリストアップされ、神宮僚介(東農大オホーツク)はここに来て評価が高まっており、育成に長けたチームでどう成長するか見てみたい。社会人では遠藤慎也(日本新薬の名前が挙がっている。

 石垣以外の高校生では、森陽樹(大阪桐蔭高)は上位候補。左腕の江藤蓮(未来富山高)佐藤龍月(健大高崎高)内藤優央(静清高)もリストアップされている。

 最後に今年は地元候補が多く、石垣に神宮のほかに、最速159キロの工藤泰己(北海学園大は上位指名の可能性もあり、チームメイトの高谷舟木村駿太(ともに北海学園大も候補に挙がる。窪田洋祐(札幌日大高)は打者としての評価も高い。

◆野手

 意外かも知れないが、今季規定打席をクリアしたのはレイエス清宮幸太郎早実高~17年①)、万波中正(横浜高~18年④)しかおらず、あとは臨機応変の起用でシーズンを勝ち抜いた。

 捕手は田宮裕涼(成田高~18年⑥)と伏見寅威(東海大~12年オ③)、一塁は野村佑希(花咲徳栄高~18年②)、二塁・石井一成(早大~16年②)、三塁は郡司裕也(慶大~19年中④)が主に守り、清宮は一塁と三塁の併用で起用された。遊撃は水野達稀(JR四国~21年③)がメインも、ルーキーの山縣秀(早大~24年⑤)が攻守に躍動した。

 外野は水谷瞬(石見智翠館高~18年ソ⑤)と五十幡亮汰(中大~22年②)がレギュラー間近で、投手の矢澤宏太(日体大~22年①)も出番を増やした。

【来季の予想布陣】

 捕手…マルティネス 伏見寅威 郡司裕也 進藤勇也 吉田賢吾 田宮裕涼

 内野…上川畑大悟 野村佑希 清宮幸太郎 石井一成 有薗直輝 水野達稀 

    山縣 秀 奈良間大己 レイエス

 外野…松本 剛 淺間大基 矢澤宏太 五十幡亮太 水谷 瞬 今川優馬 万波中正

 野手の一番は立石正広(創価大)で、内野手スラッガータイプが少ないだけに、立石の加入は打線に厚さを増し、外した場合は宮下朝陽(東洋大も期待できる。

 野手のポジションで優先順位はないが、捕手なら高校生が必要で、外野も守れる藤森海斗(明徳義塾高)は複数ポジション起用のチームカラーに合う。

 内野手井上遥翔(佐野日大高)横田蒼和(山村学園高)、大学生はリードオフマン型の松川玲央(城西大)勝田成(近大)がリストアップされているが、強打の井上、二塁の勝田は補強ポイントに合う。 

 外野手は大学生が欲しく、長打力が魅力の平川蓮(仙台大)宮崎海(横浜商大エドポロ・ケイン(大院大)が候補に挙がる。両打ちの平川は地元出身、エドポロは遠投120メートルの強肩で万波と守る外野を見てみたい。高校生では能登輝夢(明秀日立高)もリストアップされている。

【DeNA~外国人選手の退団でチーム再編が加速】

 昨年、3位から日本シリーズ制覇を果たし、98年以来のリーグ優勝を目指したが、首位阪神から13ゲーム差の完敗だった。元々打撃の良いチームに、投手力も年々改善しているが、数字以上に阪神との差は大きく、三浦大輔監督は在任5年で4回のAクラスを維持したが今年度の退任が決まった。

 ちなみに直近10年でAクラス7回(うち2位が3回)と安定した成績を残しているが、中々優勝までは届かないなか、主力の高齢化も進み世代交代に迫られている。

【過去5年のチーム成績】

    順位   勝敗   防御率(失点)   打率(得点) 本塁打  盗塁  失策

 21年 6位 54勝73敗16分   4.15⑥(624⑥).258②(559②)136③   31⑥ 73③

 22年 2位 73勝68敗 2分 3.48③(534③).251②(497④)117③   49⑤ 64①

 23年 3位 74勝66敗 3分 3,16③(496②).247②(520④)105③   33⑥ 69②

 24年 3位 71勝69敗 3分 3.07⑤(503⑤).256①(522①)101②   69① 96⑥

 25年 2位 71勝66敗 6分 2.94②(456②).247②(510①)110①   66③ 69③

【DeNAの補強ポイント】 

 投 手…即戦力の先発と高校生(左腕ならベスト)

 捕 手…必要ないが、強いて言えば年齢構成で高校生

 内野手…即戦力の中軸候補と高校生

 外野手…右打ちの高校生と大学生

◆投手

 今季の先発の柱は、東克樹(立命大~17年①)とジャクソン、ケイ、バウアーの4名で、バウアーの退団が決定的で、最悪外国人3名が抜ける可能性が高い。次に続くのが石田裕太郎(中大~23年⑤)と大貫晋一(新日鉄住金鹿島~18年③)、平良拳太郎(北山高~13年巨⑤)になり、ジャクソンやケイの去就が大きく影響する。

 リリーフは入江大生(明大~20年①)がクローザーを務め、実績十分の伊勢大夢(明大~19年③)に森原康平(新日鉄住金広畑~16年楽⑤)に加え、宮城滝太(滋賀学園高~18年育①)がキャリアハイの成績を上げ、ここにウィックが残留すればリリーフ陣に大きな心配はない。

 とにかく外国人投手の去就が来季に与える影響が大きく、即戦力の先発と小園健太(市和歌山高~21年①)以降の19~22歳が不在で、大学生と高校生も必要だ。

【来季の予想布陣】

 先発…東 克樹 ジャクソン 石田裕太郎 平良拳太郎 ケイ バウアー

      竹田 祐 大貫晋一 小園健太 藤浪晋太郎 吉野光樹 若松尚輝  

 リリーフ…伊勢大夢 坂本裕哉 入江大生 橋本達哉 中川 颯 佐々木千隼 宮城滝太

    森原康平  ウィック 岩田将貴 中川虎大 マルセリーノ

 現在の戦力外(引退と育成再契約を含む)はすべて投手で9名を数え、投手中心のドラフトになりそうだ。

 1位候補には石垣元気(健大高崎高)中西聖輝(青学大伊藤樹(早大島田舜也(東洋大斎藤汰直(亜大)が挙がり、中西と伊藤はゲームメーク能力に長けた即戦力で、最速150キロ超の島田、斎藤はフォークを武器に奪三振能力が高くリリーフもこなせる右の本格派で、チーム状況からも確実に獲得したい。

 世代ナンバーワンの石垣もチームを背負う投手になると思うが、歴史的に高卒1位投手の育成が下手なチームで、1位指名で大成した投手はおらず、黒歴史に終止符を打つのか、指名を避けるのか注目したい。

 大学生では藤原聡太(花園大)堀越啓太(東北福祉大櫻井頼之介(東北福祉大高須大雅(明大)田村剛平(京産大の評価が高く、藤原は奪三振能力が高く、堀越は非公式ながら160キロも計測した。櫻井と田村は多彩な変化球と制球力に長けてゲームメークに長けており、1~2位で即戦力と素質型を獲得できれば理想だ。このほか、正木悠馬(上智大)はフィジカルに秀でており、遠藤慎也(日本新薬はスタミナと安定感抜群の先発候補。

 DeNAのもう一つの課題が左腕不足で、今回の戦力外で岩田将貴(九産大~20年神育①)の27歳以下に選手が不在。即戦力では渡邉一生(仙台大)と本間悠貴(大阪ガスがリストアップされ、高校生でも佐藤龍月(健大高崎高)江藤蓮(未来富山高)は上位候補で、吉川陽大(仙台育英高)住日翔夢(日大鶴ケ丘高)木蓮吾(東海大甲府高)宇佐美球児(西条高)と意識しているのが分かる。左腕ではないが窪田洋祐(札幌日大高)は、右打ち野手で補強ポイントに合う。

 今年は地元に逸材が多く、甲子園でお馴染みの奥村頼人(横浜高)は4番を打ち投打に評価が高い。桐光学園高を破り注目された大竹倖太郎(大師高)もリストアップされ、最速150キロの富重英二郎(BC神奈川)はチーム初のプロ入りを目指す。

◆野手

 捕手は山本祐大(BC滋賀~17年⑨)を中心に若手の松尾汐恩(大阪桐蔭高~22年①)とベテランの戸柱恭孝(NTT西日本~15年④)が控え問題はない。

 内野はオースティンの退団が濃厚で、宮崎敏郎(セガサミー~12年⑥)も年齢的に厳しくなる。牧秀悟(中大~20年②)と佐野恵太(明大~16年⑨)以外のレギュラーは白紙で、林琢真(駒大~22年③)に柴田竜拓(国学院大~15年③)、三森大貴(青森山田高~16年ソ④)などユーティリティは多いが決め手に欠ける。課題の遊撃も京田陽太(日大~16年中②)と石上泰輝(東洋大~23年④)はともに打撃に課題だ。

 外野は桑原将志福知山成美高~11年④)が規定打席をクリアし、蝦名達夫(青森大~19年⑥)も一番に定着した。ここに筒香嘉智(横浜高~09年①)や昨年活躍した梶原昂希(神奈川大~21年⑥)、期待の度会隆輝(ENEOS~23年①)が控え層は厚い。

【来季の予想布陣】

 捕手…松尾汐恩 戸柱恭孝 伊藤 光 山本祐大

 内野…林 琢真 牧 秀悟 オースティン 森 敬斗 京田陽太 三森大貴 

      柴田竜拓 石上泰輝 宮崎敏郎 井上絢登 ビシエド

 外野…桑原将志 度会隆輝 佐野恵太 神里和毅 筒香嘉智 梶原昂希 蝦名達夫

      関根大気 

 野手の優先は内野手で、ポスト宮崎と遊撃手が欲しい。今年は三塁手に逸材が多く、立石正広(創価大)松下歩叶(法大)小田康一郎(青学大が候補で、右打ちスラッガーの立石と松下が加入すれば課題が解消する。投手優先で上位で獲得できない場合は、リーグ通算9本塁打池田彪我(東洋大も候補に挙がる。

 遊撃は新井瑛斗(八王子高)大橋令和(オイスカ浜松国際高)西川篤夢(神村学園伊賀高)大塚瑠晏(東海大がリストアップされ、いずれも守備力が高い左打ち。打撃面では、大塚と西川が期待でき、大橋は俊足が魅力、新井は2年冬から遊撃手に転向した潜在能力の高さが評価されている。

 このほか、勝田成(近大)は俊足とパンチ力があり二塁に勝田が入れば、牧のコンバートも可能になる。外野手は層が厚いためか候補は少なく能登輝夢(明秀日立高)がリストアップされ、捕手は藤森海斗(明徳義塾高)萩原義輝(東芝の名前が挙がる。

【指名シミュレーション】    

      日本ハム】              【DeNA】

 1位~森 陽樹(大阪桐蔭高・投手)   島田舜也(東洋大・投手)   

 2位~工藤泰己(北海学園大・投手)   渡邉一生(仙台大・投手)        

 3位~高須大雅(明大・投手)        江藤 蓮(未来富山高・投手)    

 4位~宮下朝陽(東洋大内野手)    大橋令和(オイスカ浜松国際高・内野手)    

 5位~神宮僚介(東農大オホーツク・投手)   正木悠馬(上智大・投手)         

 6位~能登輝夢(明秀日立高・外野手)  窪田洋祐(札幌日大高・投手)

25年ドラフト予想☆オリックス&巨人

オリックス~充実した野手陣で、投手力強化が課題】

 今季は連覇を支えた強力投手陣に陰りが見えたが、レギュラーが固定され打線が活発だった。ただ、上位チームとの差は大きく、首位ソフトバンクから13.5ゲーム、2位日本ハムからも9ゲーム差と順位以上に力の差が生じたシーズンになった。

 連覇中は将来を見据えた見事なドラフトを展開していたが、期待の若手が伸び悩み、山本由伸など主力が抜けた穴を埋めることができず、投手は先発、リリーフともに即戦力、捕手と外野手は年齢構成で高校生が必要で、補強ポイントの多いドラフトになる。

【過去5年のチーム成績】

    順位   勝敗   防御率(失点)   打率(得点) 本塁打  盗塁  失策

 21年 1位 70勝55敗18分   3.31②(500②).247①(551②)133①  50⑤ 75⑤

 22年 1位 76勝65敗 2分 2.84②(458②).246②(490④)  89⑥   62⑤ 75④

 23年 1位 86勝53敗 4分 2,73①(428①).250①(508③)109①   52⑥ 60②

 24年 5位 63勝77敗 3分 2.82②(448②).238⑤(402⑤)  71⑤   61⑥ 78⑥

 25年 3位 74勝66敗 3分 3.37⑤(519④).255②(502③)100②   58⑥ 64①

オリックスの補強ポイント】 

 投 手…即戦力の先発及びリリーバー、高校生または大学生左腕

 捕 手…年齢構成で大学生

 内野手…左打ちの大学生または社会人

 外野手…高校生と即戦力の右打ち

◆投手

 来季の先発はエースの宮城大弥(興南高~19年①)を軸に九里亜蓮(亜大~13年広②)、曽谷龍平(白鷗大~22年①)、田嶋大樹(JR東日本~17年①)が中心になり、エスピノーザの残留も決まり計算できる投手が控える。

 ただ、このあとに続く投手がおらず、山下舜平太(福岡大大濠高~20年①)と東晃平(神戸弘陵高~17年育②)は、今季ともに1勝と過度な期待はかけられず、若手の台頭がないと厳しい。

 リリーフはチーム最多セーブのマチャドが残留するも、最多ホールドのペルドモの去就は未定、山岡泰輔(東京ガス~16年①)のFA移籍の可能性もあり、実績のある山崎颯一郎(敦賀気比高~16年⑥)や古田島成龍日本通運~23年⑥)、岩嵜翔市船橋高07年ソ①)に山田修義(敦賀気比高~09年③)、今季ブレイクした才木海翔(大経大~22年育②)を中心に再編を余儀なくされる。

【来季の予想布陣】

 先発…エスピノーザ 曽谷龍平 宮城大弥 九里亜蓮 田嶋大樹 高島泰都

    山下舜平太 東 晃平 寺島成騎 椋木 蓮 斎藤響介 東松快征  

 リリーフ…山岡泰輔 山崎颯一郎 古田島成龍 岩嵜 翔 マチャド  片山楽生

      横山 楓   山田修義 ペルドモ 川瀬堅斗 才木海翔

 即戦力の先発では中西聖輝(青学大櫻井頼之介(東北福祉大、リリーフなら大川慈英(明大)が候補になり、堀越啓太(東北福祉大は先発への適性も見せており、中西以外は単独指名の可能性もある。ただ、若手が順調に育っていれば、石垣元気(健大高崎高)江藤蓮(未来富山高)など、素質豊かな高校生を躊躇なく1位指名できたと思うと、改めてドラフトは難しいと感じる。

 このほか投球能力の高い松永大輝(白鷗大)水崎康平(九産大遠藤慎也(日本新薬も候補に挙がり、左腕の松永は補強ポイントに合う。最速152キロの由上慶(京産大は力のあるストレートが評価されている。また、上位は即戦力が予想されるなか、江藤や佐藤龍月(健大高崎高)の両左腕、今夏の県大会で完全試合を達成した中山優人(水戸啓明高)が獲得できれば将来性もプラスできる。

◆野手

 今季はレギュラーが固定され、一塁・頓宮裕真(亜大~18年②)、二塁・大田椋(天理高18年①)、遊撃・紅林弘太郎(駿河総合高~19年②)、外野は中川圭太(東洋大~18年⑦)に杉本裕太郎(JR西日本~15年⑩)、廣岡大志(智弁学園高~15年ヤ②)が規定打席クリアしており、6名はリーグ最多である。

 西川龍馬(王子~15年広⑤)もケガさえなければ首位打者で、捕手の若月健矢(花咲徳栄高~13年③)、三塁の宗佑磨(横浜隼人高~14年②)も規定打席に僅かに届かず、固定メンバーでシーズンを乗り切った。

 一方の若手はファームで鍛えられているが、期待の横山聖哉(上田西高~23年①)や内藤鵬(日本航空石川高~22年②)、堀柊那(報徳学園高~23年④)は打率が2割台前半と主力を脅かす成績を残せておらず、主力と控えの差が大きいのが課題と言える。

【来季の予想布陣】

 捕手…若月健矢 森 友哉 福永 奨 頓宮裕真 山中陵真

 内野…宗 佑磨 西野真弘 野口智哉 大城滉二 廣岡大志 太田 椋 紅林弘太郎

      内藤 鵬 横山聖哉 大里昂生 中川圭太 

 外野…渡部遼人 西川龍馬 麦谷祐介 来田涼斗 池田陵真 茶野篤政 杉本裕太郎

 優先順位は昨年同様に外野手強化で、平川蓮(仙台大)秋山俊(中京大野間翔一郎(近大)が上位候補。特に評価が高いのが野間で、俊足に加え勝負強い打撃にパンチ力も備えている。平川は両打ちのスラッガーで左右に長打が打て、秋山は本塁打と打点のタイトルを2度獲得している。

 社会人ではタイプの違う選手が候補で、天井一輝(NTT西日本)は走攻守揃ったリードオフマン村上裕一郎(ENEOS)は恵まれた体からの長打力が武器で、ともに補強ポイントに合う。年齢構成で高校生も必要で、能登輝夢(明秀日立高)は俊足と長打力を兼ね備える。

 捕手は若月と森がおり、質的にが問題ないが、頓宮は内野起用が主で数的にが不足で、小出望那(大産大萩原義輝(東芝はともに強肩で守備力に定評がある。

 内野手は補強の優先度は高くないなか、松下歩叶(法大)小田康一郎(青学大が上位候補に挙がるが、松下の三塁には宗と廣岡、小田の一塁には頓宮と大田が居り急ぐ必要はない。一方で、遊撃守備に定評のある松川玲央(城西大)、広い守備範囲と俊足の二塁手勝田成(近大)は補強ポイントに合う。高校生では堅守の西川篤夢(神村学園伊賀高)と長打が魅力の清水詩太(京都国際高)がリストアップされている。

 

【巨人~先発投手の再編と打線の得点力アップが課題】

 連覇を目指したシーズンも、昨季15勝の菅野智之の穴は大きく、シーズン通して先発ローテーションを確立できなかった。打線も得点力が乏しく、何とか貯金1で3位に滑り込んだが、雪辱を期したCSもDeNAに連敗しシーズンを終えた。過去10年でリーグ優勝3回も、Bクラスも3回あり、日本一は12年を最後に遠ざかっている。

 この間の課題は打線で、今季も犠打はリーグ4位、盗塁はリーグ最小と長打頼みの大味な野球は相変わらずで、目指す野球との乖離は大きい。

【過去5年のチーム成績】

    順位   勝敗   防御率(失点)   打率(得点) 本塁打  盗塁  失策

 21年 3位 61勝62敗20分   3.63④(541④).242⑤(552④)169①   65④ 45①

 22年 4位 68勝72敗 3分 3.69⑥(589⑥).242⑥(548③)163②   64④ 82⑤

 23年 4位 71勝70敗 2分 3,39⑤(507④).252①(523③)164①   48④ 54①

 24年 1位 77勝59敗 7分 2.49①(381①).247②(462④)  81③   59④ 58①

 25年 3位 70勝69敗 4分 2.95③(461③).250①(463③)  96②   53⑥ 78⑥

【巨人の補強ポイント】 

 投 手…先発の高校生と即戦力 ※左投手ならベスト

 捕 手…戦力的には必要ないが、年齢構成で高校生と大学生

 内野手…ポスト岡本候補、即戦力の一塁または三塁手(左打ちならベスト)

 外野手…   〃   、年齢構成で高校生

◆投手

 来季も山崎伊織(東海大~20年②)と戸郷翔征(聖心ウルスラ高~18年⑥)が中心になるが、戸郷が今季のような成績だと厳しい。故障がちなグリフィンは計算が立たず、赤星優志(日大~21年③)と井上温大’(前橋商高~19年④)、横川凱(大阪桐蔭~18年④)も中心選手にならないといけない年齢とキャリアだが、今季も勝ち星の貯金が出来ず、層の薄さは否めない。

 一方、リリーフ陣ば万全でリーグ最多の46セーブのマルティネス、46ホールドの大勢(関西国際大~21年①)に、中川晧太(東海大~15年⑦)と田中瑛斗(柳ケ浦高~17年日3⃣)は60試合に登板し防御率2点台、船迫大雅(西濃運輸~22年⑤)に石川達也(法大~20年D育①)を加えた勝ちパターンが形成されている。 

【来季の予想布陣】

 先発…山崎伊織 戸郷翔征 グリフィン 赤星優志 森田駿哉 井上温大

    田中将大 西舘勇飛 又木鉄平 横川 凱 堀田賢慎  

 リリーフ…大勢 ケラー 馬場皐輔 中川晧太 田中瑛斗 バルドナード 高梨雄平

      宮原駿介 船迫大雅 石川達也 平内龍太 マルティネス

 投手の優先課題は先発陣で、短期的に見れば即戦力が欲しい。ただ、過去10年のドラフトで大卒投手6名を1位指名しているが、主力と呼べるのは大勢のみで、じっくりチームの中心選手を育てる意味でも、石垣元気(健大高崎高)森陽樹(大阪桐蔭高)を1位指名しても良いと思う。このほか本格派左腕の江藤蓮(未来富山高)、今夏の県大会で完全試合を達成した中山優人(水戸啓明高)の上位指名もあり得る。

 即戦力では安定感抜群の中西聖輝(青学大奪三振率の高い斎藤汰直(亜大)が1位候補に挙がるが、将来性も期待できると斎藤のほうが今後のチームづくりには合っていると思う。ただ、今回は立石の1位指名が予想され、2~3位で即戦力なら山城京平(亜大)冨士隼斗(日本通運、将来性重視なら高須大雅(明大)藤原聡太(花園大)渡辺拓幹(国士館大)を獲得したい。

 このほか高校生は左腕に候補が多く、木蓮吾(東海大甲府高)内藤優央(静清高)はストレートに力のある本格派。投球能力の高い奥村頼人(横浜高)佐藤龍月(健大高崎高)吉川陽大(仙台育英高)も候補に挙がり、奥村は打者としても評価が高い。また、最速145キロの瀧上春斗(穴吹高)は高校から投手に転向してドラフト候補になった逸材。右投手では中野大虎(大阪桐蔭高)早瀬朔(神村学園高)がリストアップされている。

 大学生では安定感のある田村剛平(京産大、身長190センチの大型右腕の赤木晴哉(佛教大)河上晃大(大阪観光大)、最速153キロの正木悠馬(上智大)は高い身体能力で一気にドラフト候補に浮上した。

 社会人ではともに最速150キロ超の尾崎完太(セガサミーにスリークオーターの中澤嶺(三菱重工エスト)の両左腕もリストアップされている。

◆野手

 今季は主砲の岡本和真(智弁学園高~14年①)がケガで離脱した厳しいシーズンになった。ただ、泉口友汰(NTT西日本~23年④)が遊撃に定着し、新加入のキャベッジも規定打席をクリア、FA加入の甲斐拓也(楊志館高~10年ソ育⑥)がケガで離脱した後、岸田行倫(大阪ガス~17年②)がマスクを被り攻守に活躍し、中山礼都(中京大中京高~21年③)もキャリアハイの成績を残すなど明るい兆しも見えた。

 一方で規定打席クリアは、泉口とキャベッジ以外では、吉川尚輝(中京学院大~16年①)しかおらず、丸佳浩(千葉経大高~07年広③)は2010年以来出場試合数が100試合に届かなった。一塁は増田陸(明秀日立高~18年②)とリチャード(沖縄尚学高~17年ソ育③)、外野は中山と若林楽人(駒大~20年西④)が出番を増やすもレギュラー定着とはならず、坂本勇人光星学院高~06年①)と門脇誠(創価大~22年④)も岡本不在時に三塁を守るも目立った成績は残せなかった。 

【来季の予想布陣】

 捕手…甲斐拓也 大城卓三 岸田行倫 山瀬慎之助 

 内野…増田大輝 吉川尚輝 門脇 誠 坂本勇人 石塚裕惺 岡本和真 浦田俊輔

      泉口友汰 中山礼都 リチャード 増田 陸 

 外野…丸 佳浩 キャベッジ 岡田悠希 ヘルナンデス 佐々木俊輔 オコエ瑠偉

     浅野翔吾 若林楽人 三塚琉生

 野手は岡本のMLBに移籍に備え、内野の即戦力が欲しく、ともに三塁手立石正広(創価大)松下歩叶(法大)が1位候補になる。一方、ともに一塁の左打者、佐々木麟太郎(スタンフォード大)小田康一郎(青学大がお薦めで、佐々木は長打力が魅力の4番候補、小田は左右に長打を放つ巧打者。谷端将伍(日大)は広角に打てる巧打者、俊足の勝田成(近大)と堅実な守備の大塚瑠晏(東海大はいずれも立石を外した際の候補になる。 

 高校生ではリードオフマンタイプの新井瑛斗(八王子高)西川篤夢(神村学園伊賀高)スラッガー横田蒼和(山村学園高)藤井健翔(浦和学院高)今岡拓夢(神村学園高)がリストアップされているが、昨年石塚を獲得していることから、新井や西川の方が補強ポイントに合う、 

 外野は秋山俊’(中京大エドポロ・ケイン(大院大)も上位候補だが、年齢構成的に高校生が必要で、走攻守揃った垣内俊(浦和学院高)、ミート力に長けた田島蓮夢(花咲徳栄高)のどとらかを獲得したい。捕手も19~23歳に選手がおらず、年齢構成的に補強が必要で、小島大河(明大)小出望那(大産大が候補に挙がる。

【指名シミュレーション】    

     オリックス】              【巨 人】

 1位~堀越啓太(東北福祉大・投手)   森 陽樹(大阪桐蔭高・投手)   

 2位~野間翔一郎(近大・外野手)    小田康一郎(青学大内野手)        

 3位~中山優人(水戸啓明高・投手)     谷端将伍(日大・内野手)    

 4位~大川慈英(明大・投手)      小出望那(大商大・捕手)    

 5位~由上 慶(京産大・投手)     赤木晴哉(佛教大・投手)         

 6位~村上裕一郎(ENEOS・外野手) 垣内 俊(浦和学院高・外野手)

25年ドラフト予想☆楽天&中日

楽天~投打に世代交代が迫り課題は山積】

 終わってみれば今年も4位で、実に4年連続の同順となった。防御率が改善傾向も、打線の世代交代が迫るなか、今季は本塁打数が12球団最小と得点力が後退している。

 楽天のドラフトは本当に分からない。クジ運に恵まれ早川隆久(早大~20年①)や荘司康誠(立大~22年①)、宗山塁(明大~24年①)の主力を抽選で獲得するも、年齢構成や指名ポジションの重複も基本的は関係なく、落ち着かない監督人事も含め、将来どのようなチームを目指しているのか見えない。

【過去5年のチーム成績】

    順位   勝敗   防御率(失点)   打率(得点) 本塁打  盗塁  失策

 21年 3位 66勝52敗15分   3.40④(507④).243③(532④)108⑤  45⑥ 64③

 22年 4位 69勝73敗 1分 3.47⑥(522④).243③(533②)101③   97② 49①

 23年 4位 70勝71敗 2分 3,52⑥(556⑥).244③(513②)104② 102① 82⑤

 24年 4位 67勝72敗 4分 3.73⑥(579⑥).242④(492④)  72④   90① 64②

 25年 4位 67勝74敗 2分 3.37④(526⑤).244④(446④)  70⑥ 110① 69④

楽天の補強ポイント】 

 投 手…即戦力の先発と将来のエース候補高校生

 捕 手…年齢構成で高校生または大学生

 内野手…将来の中軸候補

 外野手…即戦力の右打ち及び年齢構成で高校生

◆投手

 先発のチーム最多勝は7勝の古謝樹(桐蔭横浜大~23年①)、最多投球回数は藤井聖(ENEOS~20年③)と岸孝之東北学院大~06年西希)だが、規定投球回数をクリアした選手はゼロで、パ・リーグでは楽天だけだ。先発投手の貯金もゼロと軸になる投手がおらず、先発陣の立て直しは来季に向け優先課題になる。

 一方でリリーフ陣はリーグ屈指と言え、則本昂大三重中京大~12年②)にFA移籍の可能性が出てきたが十分に賄える布陣だ。西垣雅矢(早大~21年⑥)の63試合を筆頭に、藤平尚真(横浜高~16年①)が61試合、西口直人(甲賀健康医療専門学校~16年⑩)と加治屋蓮(JR九州~13年ソ①)が50試合を超え、鈴木翔天(富士大~18年⑧)と今野龍太(岩出山高~13年⑨)も40試合以上に登板している。

 さらに藤平と鈴木翔は防御率2点台、西垣は1点台、西口に至っては防御率0,91と安定感も抜群で、藤平は不振の則本に代わり後半クローザーを務めた。

【来季の予想布陣】

 先発…岸 孝之 古謝 樹 荘司康誠 早川隆久 藤井 聖 内 星龍

      坂井陽翔 瀧中瞭太 大内誠弥 

 リリーフ…則本昂大 加治屋蓮 藤平尚真 西垣雅矢 鈴木翔天 西口直人 今野龍太

      渡辺翔太 松井友飛 江原雅裕 宋 家豪 津留崎大成 泰 勝利

 短期的に見れば即戦力の先発が欲しい。制球力に優れた中西聖輝(青学大伊藤樹(早大丸和幸(鷺宮製作所はゲームメークに長け、中西と竹丸は1位重複も予想される。大学選手権日本一の立役者の櫻井頼之介(東北福祉大への評価が高まっており、今年は未登板だが堀越啓太(東北福祉大も先発への適性を見せている。

 このほか、高木快大(中京大由上慶(京産大は質の高いストレートが武器で、由上は野手としても評価が高い。市川祐(日大)田村剛平(京産大は総合力が高く、サイドハンドの鈴木豪太(大商大)は豊富なスタミナを誇る。左腕では最速154キロの山城京平(亜大)、多彩な変化球が武器の松永大輝(白鷗大)も候補に挙がる。

 また、世代ナンバーワンの呼び声高い石垣元気(健大高崎高)は、将来のエース候補で16年の藤平以来の高校生1位指名を狙っても良い。上位で高校生を獲得できなくても、佐藤龍月(健大高崎高)江藤蓮(未来富山高)の両左腕、今夏の地区予選で完全試合を達成した中山優人(水戸啓明高)が候補に挙がり、188センチの長身右腕の長瀬大來(大院大高)は野手としての評価も高い。

◆野手

 捕手は支配下が5名しかいなか、安田悠馬(愛知大~21年②)が離脱するなど不安要素が大きかったが、太田光(大商大~18年②)と堀内謙伍(静岡高~15年④)を軸に乗り切ることができた。

 内野は一塁・浅村栄斗(大阪桐蔭高~08年西③)、二塁・小深田大翔(大阪ガス~19年①)、三塁・村林一輝(大塚高~15年⑦)、遊撃・宗山塁(明大~24年①)が最多出場だが、黒川史陽(智弁和歌山高~19年②)が後半台頭し来季の布陣が固まった。ルーキー宗山が難しいポジションを通年こなし、三塁に廻った村林は最多安打のタイトルを獲得。黒川はキャリアハイの83試合に出場し打率.299の好成績を残した。

 外野は中島大輔(青学大~23年⑥)が初の規定打席をクリアするも、辰己涼介(立命大~18年①)は不振で2度の二軍落ち、昨季フル出場の小郷裕哉(立正大~18年⑦)も90試合に留まるなど固定できなかった。 

【来季の予想布陣】

 捕手…太田 光 安田悠馬 堀内謙伍 石原 彪

 内野…小深田大翔 宗山 塁 浅村栄斗 村林一輝 鈴木大地 ボイト フランコ

     黒川史陽 伊藤裕季也 渡邉佳明 入江大樹 小森航太郎 陽 柏翔  

 外野…辰己涼介 ゴンザレス 中島大輔 吉納 翼 武藤敦貴 小郷裕哉 吉野誠

 野手の課題は多く特に長打力不足は深刻で、最多は途中加入のボイトの13本、日本人最多は浅村の9本で、ファームを見渡しても長距離タイプは安田と吉納翼(早大~24年⑤)しかいない。

 上位候補で内野手立石正広(創価大)松下歩叶(法大)谷端将伍(日大)、捕手の小島大河(明大)が挙がっているが、このなかでは小島が一押しで、正真正銘の打てる捕手で補強ポイントに合う。捕手は高校生も必要で大栄利哉(学法石川高)の打てる捕手だ。立石と松下、谷端は欲しい選手ではあるが、本職の三塁には村林がおり、村林と同じ右打ちの選手を優先する理由は薄い。

 また、内野では勝田成(近大)も候補だが、勝田はチームに数多くいる俊足巧打の左打ちで優先順位は高くない。将来を見据えてスラッガー藤井健翔(浦和学院高)佐々木麟太郎(スタンフォード大)などスケール感のある選手を狙っても良いと思う。

 外野は今年、右打者に逸材が多いのは追い風だ。スイッチヒッター平川蓮(仙台大)は左右から長打を打て、エドポロ・ケイン(大院大)の身体能力の高さも魅力だ。宮崎海(横浜商大阪上翔也(近大)は走攻守揃った中堅手で、万が一の辰己の移籍に備えても良いと思う。

【中日~6年連続リーグ最小得点を脱却できるか】

 井上一樹新監督を迎え、大きくメンバーも変わらないなか、盗塁や犠打を絡めて1点を獲りにいくスモールベースボールでに3年連続の最下位を脱したことは評価できる。

 一方、投打に課題が多く、その要因がドラフトで、かつてのドラフト巧者は遠い過去の話になってしまった。21年の大学生右打ち外野手の3人指名、22年は大学・社会人内野手が4名、翌23年も大学生と社会人内野手を2名指名し、2年で6名も指名するなどバランスが悪く、世代交代に備えた準備も遅れてしまった。

【過去5年のチーム成績】

    順位   勝敗   防御率(失点)   打率(得点) 本塁打  盗塁  失策

 21年 5位 55勝71敗17分   3.22①(478①).237⑥(405⑥) 69⑥   60⑤ 56②

 22年 6位 66勝75敗 2分 3.28②(495②).247④(414⑥)  62⑥   66④ 66②

 23年 6位 56勝82敗 5分 3,08②(498③).234⑥(390⑥)  71⑥   36⑤ 79④

 24年 6位 60勝75敗 8分 2.99④(478④).243③(373⑥)  68④   40⑥ 68③

 25年 4位 63勝78敗 2分 2.97④(463④).232⑥(403⑥)  83⑤   80② 65②

【中日の補強ポイント】 

 投 手…世代浩太に向け将来のエース候補と即戦力リリーバー

 捕 手…必要ないが年齢構成で高校生

 内野手…本当は必要ないが、大学生の即戦力(遊撃または三塁)

 外野手…高校生と大学生

◆投手

 来季は高橋宏斗(中京大中京高~20年①)と金丸夢斗(関大~24年①)が左右のエースとしてチームを引っ張る姿が期待できる。一方で、柳裕也(明大~16年①)と松葉貴大(大体大~12年オ①)がFA権を取得し、ともに去就は未定だ。また、大野雄大(佛教大~10年①)が来季38歳、涌井秀章(横浜高~04年西①)も40歳を迎え世代交代が確実に迫っている。

 リリーフは46セーブで最多セーブを獲得した松山晋也八戸学院大~22年育①)を始め、藤嶋健人(東邦高~16年⑤)に清水達也(花咲徳栄高~17年④)、左腕の斎藤綱記(北照高~14年オ⑤)と橋本侑樹(大商大~19年②)は盤石な布陣だが、若手が伸び悩んでおり先発同様に層が厚いとは言えない。

【来季の予想布陣】

 先発…柳 裕也 高橋宏斗 涌井秀章 金丸夢斗 大野雄大 松葉貴大 マラー

      草加 勝 仲地礼亜 松木平優太 福田幸之介 吉田聖弥 三浦瑞樹 メヒア

 リリーフ…橋本侑樹 梅野雄吾 清水達也 藤嶋健人 斎藤綱記 松山晋也 マルテ

      根尾 昂 伊藤茉央 福 敬登 勝野昌慶 土生翔太 近藤 廉

 どうしても打線に目が行きがちだが、投手補強の優先順位は高い。22年から3年連続で大学生投手を1位指名しているが、勝ち星は仲地礼亜(沖縄大~22年①)と金丸のともに2勝(計4勝)で結果は出ていない。

 今年も大学生投手が上位候補に挙がり、中西聖輝(青学大高須大雅(明大)高木快大(中京大は完成度の高い即戦力だが、目先の成績よりも高橋宏のような将来性を秘めたエース候補で、石垣元気(健大高崎高)の1位指名もアリだ。中西以外の1位候補の島田舜也(東洋大斎藤汰直(亜大)山城京平(亜大)はどちらかと言うと素材型で、同じ素材型なら石垣指名の方がかつての“らしさ”が戻ってくる気がする。

 このほかの高校生では、いずれも左腕がリストアップされており、甲子園出場の佐藤龍月(健大高崎高)江藤蓮(未来富山高)濱岡蒼太(川和高)進学校ながら多彩な変化球を操る逸材だ。ヴァルデナ・フェルガス(青学大は独特のフォームから打者を翻弄する長身左腕で、左腕投手が不足している訳ではないが注目度は高い。

 社会人では冨士隼斗(日本通運後藤凌寿(トヨタ自動車の評価が高く、富士は先発もリリーフもこなせ、最速155キロの後藤はリリーフの層を厚くする。

 最後に地元志向の高い中日だが、今年は隣県の岐阜に逸材が揃っている。ともに本格派右腕の坪眞都(大垣北高)富田櫂成(帝京大可児高)相楽雅人(岐阜協立大)は驚異の投球回転数で注目されている。

◆野手

 捕手は木下拓哉トヨタ自動車~15年③)がFA宣言後に残留を決めるも、ルーキーの石伊雄太(日本生命~24年④)が最多のマスクを被り世代交代を印象づけた。若手が伸びていないのは気がかりだが、加藤匠馬(青学大~14年⑤)が控え、補強の優先順位は高くない。

 内野は一塁・ボスラー、二塁・田中幹也(亜大~22年⑥)、三塁はレギュラークラスさえおらず、チェイビスや佐藤龍世(富士大~18年西⑦)の加入も効果は薄かった。遊撃はベテランの山本泰寛(慶大~15年⑤)で、福永裕基(日本新薬~22年⑦)のケガは残念だったが、あれだけ即戦力を獲得しながらレギュラークラスは田中と福永のみ、ファームも同様で泣けてくる。

 外野は岡林勇希(菰野高~19年⑤)と上林誠知(仙台育英高~13年ソ④)が規定打席をクリアし、細川成也(明秀日立高~16年D⑤)はチーム最多の20本塁打を放った。

【来季の予想布陣】

 捕手…石伊雄太 木下拓哉 宇佐見真吾 加藤匠馬

 内野…辻本倫太郎 田中幹也 カリステ 村松開人 福永裕基 チェイビス 

      石川昂弥 土田龍空 山本泰寛 板山祐太郎 佐藤龍世 樋口正修

 外野…尾田剛樹 岡林勇希 大島洋平 ボスラー ブライト健太 川越誠司 

      上林誠知 駿太 細川成也 鵜飼航丞

 野手の優先は、即戦力の三塁手と遊撃手になり、三塁が本職の立石正広(創価大)が加入すれば打線の上積みになる。立石と同じ右打ちの谷端将伍(日大)は遊撃も守れ、遊撃なら高い守備力を誇る大塚瑠晏(東海大も補強ポイントに合う。

 高校生の候補では井上遥翔(佐野日大高)はパンチ力のある打撃が魅力の三塁手西川篤夢(神村学園伊賀高)は俊足巧打、堅守の遊撃手でともに補強ポイントに合う。

 外野手では秋山俊(中京大が上位候補で評価が高く、リーグ戦で2度の本塁打王打点王を獲得している強打者で、宮崎海(横浜商大野間翔一郎(近大)もリストアップされている。高校生では広角に長打が打てる能登輝夢(明秀日立高)斎藤大将(西日本短大高)が候補に挙がる。

 捕手は補強の必要はないが、立石と並ぶ好打者の小島大河(明大)は、コンバートを想定しても良い選手。守優雅(奈良学園大)は逆に守備力の高い強肩捕手で獲得を検討しても良い。

【指名シミュレーション】    

       【楽 天】                【中 日】

 1位~中西聖輝(青学大・投手)     立石正広(創価大・内野手)   

 2位~小島大河(明大・捕手)      高須大雅(明大・投手)        

 3位~エドポロ・ケイン(大院大・外野手)    江藤 蓮(未来富山高・投手)    

 4位~中山優人(水戸啓明高・投手)   西川篤夢(神村学園伊賀高・内野手)    

 5位~田村剛平(京産大・投手)     後藤凌寿(トヨタ自動車・投手)         

 6位~大栄利哉(学法石川高・捕手)   宮崎 海(横浜商大・外野手)

25年ドラフト予想☆西武&広島 野手強化で来季の上位進出を狙う西武、投打に層を厚くしたい広島

【西武~野手強化で来季の上位進出を狙う】

 昨季の最下位からの再起を目指したシーズン。前半は盤石な投手陣を中心に、新戦力のネビンやルーキー渡部聖弥(大商大~24年②)の活躍もあり僅差のゲームを物にしていたが、課題の打撃陣の調子が上がらず、5位でシーズンを終えた。

 課題は明白で得点力のアップで、3年連続リーグ最小得点を改善したい、一方で、高橋光成前橋育英高~14年①)や平良海馬(八重山商工高~17年④)はMLB移籍の可能性もあるだけに、投手力の底上げも必要だ。

【過去5年のチーム成績】

    順位   勝敗   防御率(失点)   打率(得点) 本塁打  盗塁  失策

 21年 6位 55勝70敗18分   3.94⑥(589⑥).239④(521⑤)112⑤  84③ 65②

 22年 3位 72勝68敗 3分 2.75①(448①).229⑥(464⑤)118①   60⑥ 86⑤

 23年 5位 65勝77敗 1分 2,93②(465②).233⑤(435⑥)  90⑥   80② 76③

 24年 6位 49勝91敗 3分 3.02④(485③).212⑥(350⑥)  60⑥   83④ 72④

 25年 5位 63勝76敗 3分 3.01③(462③).232⑥(408⑥)  79④   91③ 63②

【西武の補強ポイント】 

 投 手…即戦力のリリーバー

 捕 手…年齢構成で大学生

 内野手…即戦力のレギュラー候補 

 外野手…将来に向けて高校生(年齢構成でも必要)

◆投手

 先発は今井を中心に高橋光、隅田知一郎(西日本工大~21年①)、渡邊勇太朗(浦澤学院高~18年②)に加え、今季は不調だったが武内夏暉(国学院大~23年①)も控え層は厚い。さらに先発希望の平良が加われば、リーグ屈指の先発陣になる。

 課題はリリーフで、今季最多セーブの平良の去就や配置転換で大きく変わる。甲斐野央(東洋大~18年①)や山田陽翔(近江高~22年⑤)が活躍し、ウィンゲンターの来季残留も決まっているが、平井克典や水上由伸など実績のあるリリーバーが戦力外になっており質量ともに補強が必要だ。

 将来のエース候補の19~22歳の若い投手は多く、山田のほかにも羽田慎之介(八王子高~21年④)、先発では菅井信也(山本学園高~21年育③)に杉山遥希(横浜高~23年②)、篠原響(福井工大福井高~24年⑤)など成長株が控えており、今季は即戦力に絞ったほうが良いと思う。

【来季の予想布陣】

 先発…渡邉勇太朗 高橋光成 與座海人 隅田知一郎 武内夏暉 今井達也 

      上田大河 松本 航 杉山遥希 篠原 響 菅井信也

 リリーフ…佐藤隼輔 甲斐野央 山田陽翔 羽田慎之介 ウィンゲンター 平良海馬

    田村伊知郎 糸川亮太 黒木優太 黒田将矢 中村祐太 浜屋将太

 即戦力リリーバーの上位候補では、堀越啓太(東北福祉大大川慈英(明大)がおり、、ともに大学時代からクローザーを務めている。また、競合必至の石垣元気(健大高崎高)も今年は救援を務めており、150キロを超えるストレートは将来的にも救援の素養は高い。ファームでは、イースタンで28セーブの上村知輝(オイシックスや最速158キロの宮路悠良(くふうハヤテ)は実績もあり面白い存在だ。

 リストアップされている選手では、中西聖輝(青学大市川祐(日大)はともに制球力が高くゲームメークに長けた先発候補。大学選手権日本一に貢献した櫻井頼之介(東北福祉大は完投能力に長けた本格派右腕で、中西と櫻井は上位で消える可能性が高い。

 石垣のほかの高校生では、早瀬朔(神村学園高)松延響(鳥栖工高)、左腕の佐藤龍月(健大高崎高)がリストアップされており、投球能力の高い早瀬と松延は将来のエース候補、故障を克服して再起した佐藤は完成度が高く、プロでの出番は早いかもしれない。現段階では志望届を提出していないが、吉田大輝(金足農高も候補に挙がっており、兄・吉田輝星(オリックス)に続けるか注目だ。

◆野手

 捕手は古賀悠斗(中大~21年③)が正捕手を務めるが、20歳代中盤に選手が多いが伸び悩んでおり、その次となるとベテランの炭谷銀仁朗(平安高~05年①)になり、戦力的に厳しい。

 内野は今季、一塁・ネビン、二塁・滝澤夏央(関根学園高~21年育②)、三塁・外崎修汰(富士大~14年③)、遊撃・源田壮亮トヨタ自動車~16年③)が最多出場だが、規定打席に達したのはネビンだけで、外崎は後半は外野に廻っている。

 外崎も源田もまだ衰える歳ではないが、今季のパフォーマンスでは物足りない。ただ二人を脅かすような若手が滝澤と山村崇嘉(東海大相模高~20年③)しかいないのは寂しく、即戦力の野手が何としてでも欲しい。

 ここ数年レギュラー不在だった外野は、西川愛也(花咲徳栄高~17年②)に長谷川信哉(敦賀気比高~20年育②)、ルーキーの渡部聖が規定打席をクリアし一気に課題が解消された。このほか、平沼翔太(敦賀気比高~15年④)に蛭間拓哉(早大~22年①)も控えており補強を急ぐ必要はない。

【来季の予想布陣】

 捕手…古賀悠斗 炭谷銀仁朗 柘植世那 牧野翔矢 古市 尊

 内野…仲田慶介 児玉亮涼 斎藤大翔 外崎修汰 源田壮亮 ネビン 元山飛優

      山村崇嘉 佐藤太陽 セデーニョ 中村剛也 滝澤夏央 村田怜音

 外野…栗山 巧 渡部聖弥 蛭間拓哉 平沼翔太 古川雄大 西川愛也 長谷川信哉 

      仲三河優大 

 野手の優先課題は内野手で、立石正広(創価大)松下歩叶(法大)佐々木麟太郎(スタンフォード大)が上位候補でリストアップされている。立石と松下は補強ポイントにピッタリで、ともに二塁と三塁を守れ、加入すれば内野の布陣が一気に変わる。

 打力優先なら捕手の小島大河(明大)も補強ポイントに合致し、小島はポジションが悩みどころだが、打つだけなら即戦力で立石や小島の加入は貧打解消の起爆剤になる。また、佐々木は日本人の最多本塁打がルーキー渡部の12本の現状を考えると、長距離砲としての期待値は高い。 

 このほかリストアップされている選手では遊撃手が多く、松川玲央(白鷗大)は堅守とスピードが売りのリードオフマンタイプ。U-18代表にも選出された今岡拓夢(神村学園高)は将来が期待できるスラッガー新井唯斗(八王子高)半田恵太(広島工大高)は走攻守三拍子揃った逸材だ。

 捕手では先述した小島のほかに、萩原義輝(東芝もリストアップされており、大学時代から本格的に捕手転向した選手で攻守に伸びしろがある。

 

【広島~世代交代が迫り、投打に層を厚くしたい】

 過去5年の成績を見て分かるように、またBクラスが定位置になってしまった。改めて数字を見てみると投打に成績が安定せず、投手が良ければ打つほうが低迷、そしてその逆と…結局どんな野球を目指しているか分からない。

 ドラフトを中心にチームづくりを進める広島だが、そのドラフトが機能していない。特にここ3年間は、大学生・社会人が多い指名になっているが、主力と呼べる選手は岡本駿(甲南大~24年③)くらいで、ドラフトの低迷が成績に反映している。

【過去5年のチーム成績】

    順位   勝敗   防御率(失点)   打率(得点) 本塁打  盗塁  失策

 21年 4位 63勝68敗12分   3.81⑤(589⑤).264①(557③)123④  68③ 80⑤

 22年 5位 66勝74敗 3分 3.54⑤(544④).257①(552②)  91④   26⑥ 73④

 23年 2位 74勝65敗 4分 3,20④(508⑤).246④(493⑤)  96④   78② 82⑤

 24年 4位 68勝70敗 5分 2.62③(419②).238⑥(415⑤)  52⑤   66③ 66②

 25年 5位 59勝79敗 5分 3.20⑤(497⑤).246③(441⑤)  71⑥   57⑤ 75⑤

【広島の補強ポイント】 

 投 手…即戦力の先発と将来のエース候補

 捕 手…年齢構成で高校生

 内野手…二遊間の補強(左打ちの高校生・大学生) 

 外野手…即戦力と年齢構成で高校生は必須

◆投手

 今季は森翔平(三菱重工エスト~21年②)が先発に定着したのが収穫だったが、今オフには大瀬良大地(九共大~13年①)が手術するなど不安要素は尽きない。常廣羽也斗(青学大~23年①)や高太一(大商大~23年②)、来季7年目の玉村昇悟(丹生高~19年⑥)が中心になることに期待したい。

 リリーフは栗林良史(トヨタ自動車~20年①)が精彩を欠き、今季はクローザーを確立できないなか、森浦大輔(天理大~20年②)やハーンが結果を残した。今季も60試合に登板した島内颯太郎(九共大~18年②)のタフネス振りには脱帽しかなく、中崎翔太日南学園高~10年⑥)の復活、ルーキー岡本の活躍など明るい材料はあるが、層の薄さは否めない。

【来季の予想布陣】

 先発…大瀬良大地 森 翔平 森下暢仁 床田寛樹 高 太一 玉村昇悟

    常廣羽也斗 佐藤柳之介 ドミンゲス 斎藤優汰 アドゥワ誠 遠藤淳志 

 リリーフ…森浦大輔 栗林良史 中崎翔太 塹江敦哉 島内颯太郎 岡本 駿 ハーン 

      大道温貴 滝田一希 高橋昂也 長谷部銀次 鈴木健矢 辻 大雅

 即戦力の先発では、中西聖輝(青学大)や丸和幸(鷺宮製作所の評判が全体的には高いが、広島がリストアップしている投手を見ると素材型が多い。斎藤汰直(亜大)工藤泰己(北海学園大稲川竜汰(九共大)はいずれも150キロを超えるストレートが武器だが、即戦力と言うよりは1~2年後に期待がかかる選手になる。

 即戦力という意味では、ストレートと変化球のコンビネーションに秀でる毛利海大(明大)、大学選手権日本一の主戦・櫻井頼之介(東北福祉大を上位で指名し、素材型の選手を2位以降で指名しても良いと思う。また、遠藤慎也(日本新薬は先発も救援もできるマルチ型で、広島にフィットしそうな気がする。

 高校生では石垣元気(健大高崎)と森陽樹(大阪桐蔭高)が上位候補に挙がり、ともに将来のエースとしての素養は十分で、敢然と斎藤優汰(苫小牧中央高~22年①)を指名した広島らしいドラフトにも期待したい。

 このほか、佐藤龍月(健大高崎高)奥村頼人(横浜高)水野匠登(岐阜一高)宇佐見球児(西条高)等、高校生左腕がリストアップされ、奥村と水野は打者としての評価も高い。

◆野手

 捕手は今季は打撃が不振だったが、正捕手で坂倉将吾(日大三高~16年④)がおり、同い年の石原貴規(天理大~19年⑤)やベテランの曾澤翼(水戸短大高~06年③)が控えるが、坂倉に続く若手が育っていない。

 内野は一塁・モンテロ、二塁・菊地涼介(中京学院大~11年②)、三塁・小園海斗(報徳学園高~18年①)、遊撃・矢野雅哉(亜大~20年⑥)が主戦で、小園が7年目にして首位打者を獲得した。ただ、菊地も来季36歳を迎え、超人的な守備を誇る矢野も打率2割前半では厳しく、二遊間の再編も来季の課題になる。

 外野は新加入のファビアンの活躍が大きく、末包昇大(大阪ガス~21年⑥)も規定打席に達した。中村奨成(広陵高~17年①)が自己最多の9本塁打、大盛穂(静岡産大~18年育①)もキャリアハイの成績を残すなど世代交代の兆しが見えた。

【来季の予想布陣】

 捕手…曾澤 翼 坂倉将吾 石原貴規 清水叶人  

 内野…羽月隆太郎 矢野雅哉 小園海斗 堂林翔太 佐々木泰 菊地涼介 前川誠太

     モンテロ 二俣翔一

 外野…秋山翔吾 野間峻祥 末包昇大 大盛 穂 田村俊介 ファビアン 中村奨成

 野手はいずれも課題が多いが、短期的に見れば外野手→内野手→捕手の順になる。特に外野は実績のある秋山翔吾(八戸大~10年西③)や野間峻祥(中部学院大~14年①)が揃って成績を落としており心配だ。

 上位候補で俊足巧打の野間翔一郎(近大)の名前が挙がるが、個人的には平川蓮(仙台大)エドポロ・ケイン(大院大)を推したい。平川は大学で野手に転向したスイッチヒッターで左右で長打を打てるのが魅力。、エドポロ・ケインは打撃や走塁に粗さはあるが身体能力の高さは抜群で、化ければリーグを代表する選手になれる。このほか、高卒3年目の田中多聞(JFE西日本)は、俊足巧打のリードオフマンで、高校時代から広島がマークしていた。

 内野手は当然、立石正広(創価大)松下歩叶(法大)が上位候補に挙がるが、昨年同じ右のスラッガーで佐々木泰(青学大~24年①)を指名し、二俣翔一(磐田東高~20年育①)も成長著しく敢えて1位の枠を使う必要はない。

 将来を見据えて高校生では、走攻守三拍子揃った遊撃手の新井唯斗(八王子高)大橋令和(オイスカ浜松国際高)の評価が高いが、いずれも右打ちで、出来れば左打ちで地元の半田恵太(広島工大高)を推したい。大学生では小型ながら鉄壁の二塁守備を誇る勝田成(近大)は、歴史的にもチームが育成を得意にしているタイプでチームにフィットすると思う。

 捕手は萩原義輝(東芝がリストアップされているが、年齢構成的にも高校生が必要で、大栄利哉(学法石川高)池上健太(新発田農高)など打てる捕手を狙っても良いと思う。

【指名シミュレーション】    

       【西 武】                【広 島】

 1位~立石正広(創価大・内野手)     石垣元気(健大高崎高・投手)   

 2位~佐々木麟太郎(スタンフォード大・内野手) 平川 蓮(仙台大・外野手)        

 3位~市川 祐(日大・投手)       櫻井頼之介(東北福祉大・投手)    

 4位~今岡拓夢(神村学園高・内野手)   半田恵太(広島工大高・内野手)       

 5位~萩原義輝(東芝・捕手)       稲川竜汰(九共大・投手)         

 6位~松延 響(鳥栖工高・投手)     田中多聞(JFE西日本・外野手)