ドラフトを知ると野球がもっと楽しくなる

どのチームが「人」を育て強くなるのか

24~年パ・リーグの退団選手とオフの補強ポイント

 DeNAがセ・リーグ初の3位から日本一に輝いた日本シリーズが終わり、來シーズンに向けた動きが本格化する。

 既にFA宣言が解禁(~13日)され、石川柊太(ソフトバンク)が既に宣言をし、昨年オフから日米最大の話題だった佐々木朗希(ロッテ)もMLB挑戦が容認され、小笠原慎之介(中日)や青柳晃洋(阪神)も海を渡る。

 現状、トレードも成立していないが、14日からはFA交渉も解禁になり、現役ドラフトも12月9日に開催される。来年どういった戦力的な構図になるのか注目のストーブリーグが始まる。

【今季、動向が注視されているFA保有選手】

 ・巨人…高梨雄平(16年/楽⑨)大城卓三(17年/③)

 ・阪神…坂本誠志郎(15年/②)大山悠輔(16年/①)糸原健斗(16年/⑤)

 ・DeNA…京田陽太(16年/中②)佐野恵太(16年/⑨)

 ・中日…木下拓哉(15年/③)

 ・ソフトバンク…石川柊太(13年/育①)甲斐拓也(10年/育⑥)

 ・ロッテ…西野勇士(08年/育⑤)

パ・リーグ戦力外の注目選手】 

①笠谷俊介(ソフトバンク・投手)28歳

 これまでローテーションの谷間での先発やロングリリーフをこなすも、昨年8試合、今季は遂に一軍登板はなかった。ファームでは今季先発で防御率2.80の好成績を残しており、先発・リリーフともにこなせる貴重な左腕だけに欲しがるチームが多い。

②三浦瑞樹(ソフトバンク・投手)26歳

 今季ファームで笠谷以上の成績を上げたのが三浦で、最優秀防御率のタイトルを獲得したがまさかの戦力外になった。育成再契約を固辞して他球団への移籍が濃厚で、今オフ先発左腕の補強が課題のロッテや巨人、中日では即戦力になれる選手だ。

③仲田慶介(ソフトバンク内野手)26歳

 シーズン前に支配下になり、一軍では16打席(24試合)のチャンスだったが、ファームでは打率4割、長打率は5割を超えている。三浦同様、育成契約を断り他球団への移籍が濃厚で、両打ちのユーティリティプレーヤーのブレイクが期待できる。

④甲斐生海(ソフトバンク・外野手)25歳

 オフの自主トレ中に打球が頭部に当たるケガで、今季は治療とリハビリの専念しているなか戦力外になり、育成契約を断り他球団での支配下を目指す。将来を嘱望されたスラッガーオリックスや西武、阪神、広島など長打力不足のチームは魅力の選手だ。

黒木優太(日本ハム・投手)31歳

 昨年トミージョン手術を経て復活を果たし、今季は日本ハムへ移籍したが、層の厚い投手陣に阻まれ移籍1年で戦力外になった。持ち前のパワーピッチングは健在で、リリーフは幾らいても良くロッテや楽天、DeNA、ヤクルトは狙い目だ思う。

⑥福田光輝(日本ハム内野手)27歳

 今季の一軍出場は5試合のみで、少ないチャンスのなか結果は残したが、打撃の確実性が乏しく戦力外になった。内野ならどこでも守れるユーティリティで、オリックスやDeNA、広島は左打ちの内野手が不足しており、新天地での活躍をに期待したい。

⑦江越大賀(日本ハム・外野手)32歳

 新庄監督に請われ阪神から移籍し、昨年はキャリアハイの100試合に出場するも今季は無安打に終わった。俊足で強肩、パンチ力のある打撃は魅力で、右打ちの外野手は貴重な存在でソフトバンク楽天、DeNA、中日など不足しているチームは多い。

⑧吉田 凌(ロッテ・投手)28歳

 今季は育成契約で入団し、シーズン中に支配下になったが、悔しい2年連続の戦力外になった。今季は敗戦処理だったが、オリックスでは勝ちパターンを担っていた実績があり、ファームでも29試合で防御率2.08の成績で、まだ28歳とチャンスはある。

⑨櫻井周斗(楽天・投手)26歳

 現役ドラフトでDeNAから加入し、8試合の登板で防御率は8点台と奮わなかったが、貴重な左のリリーフとして、昨季30試合登板の実績もある。高校時代から清宮キラーとして名を馳せており、いよいよ覚醒間近のスラッガーのワンポイントも面白い。

⑩鈴木将平(西武・外野手)27歳

 一時期は最もレギュラーに近いと言われ、昨年はキャリアハイの72試合に出場も、右肘の手術で出遅れ戦力外になった。シュアな打撃と俊足で伸びしろもあり、ベテラン2人が引退した巨人やヤクルト、外野強化を図りたいオリックスがフィットしそうだ。

 選手の現況は11/9時点のもので、選手名の横の年数は指名年度で、〇の数字は指名順位。※の選手は育成契約選手。太字は育成契約を打診されている選手、下線は引退選手です。

福岡ソフトバンクホークス(60名+6名)

 4年振りのリーグ優勝を果たした今季は、シーズン91勝でペナントレースを圧倒した。山川穂高の近藤健介、オスナなど大型補強を敢行する傍ら、1年目の澤柳や育成から支配下になった中村など若手が戦力外になり、43歳の和田が引退を表明した。

 戦力外になった風間に田上、川原田は育成再契約になりそうだが、三浦と仲田、生海は育成再契約を保留して他球団の移籍を目指すことが濃厚だ。日本シリーズで破れ、今オフも大型補強が噂され、リーグ優勝の余韻に浸る間もなく厳しいオフになった。

【投手】

 選手層は厚く期待の若手が揃っているが、日本シリーズでは経験不足が露呈し、今年はマルティネス(中日)の大型補強の声もある。また、先発投手の主力の高齢化も課題に加え、和田の引退や石川柊太のFA移籍の可能性など補強ポイントは意外に多い。

【野手】

 野手も主力の高齢化が課題だが、破壊力抜群の打線は補強を急ぐ必要はない、ただ、甲斐拓哉がFA移籍するのであれば捕手の補強が必要になる。他にウォーカーの去就が不透明で右打ちの外野手が不足しているが、育成選手で十分に賄える戦力はある。

 投 手…風間球打(21年/①)和田 毅(02年/自)中村亮太(20年/育⑧)

       澤柳亮太郎(23年/⑤)三浦瑞樹(21年/育④)笠谷俊介(14年/④)

       田上奏大(20年/⑤)※佐藤宏樹(20年/育①)※古川侑利(13年/楽④)

      ※斎藤大将(17年/西①)※村上 舜(19年/育⑦)※加藤洸稀(21年/育⑥)

      ※瀧本将生(21年/育⑪)※小林珠維(19年/④)※渡邊佑樹(17年/楽④)

      ※鍬原拓也(17年/巨①) 

 捕 手…※伊藤大将(19年/育③)

 内野手原田純平(20年/④)仲田慶介(21年/育⑭)※佐久間拓斗(21年/育⑧)

       ※三代祥貴(’21年/育⑫)

 外野手…生海(22年/③)

 外国人…※フェリックス(投手)

【ドラフト指名選手 ※予想背番号】

 ①村上泰斗(神戸弘陵高・投手)#20 ④宇野真仁朗(早実高・内野手)#46

 ②庄子雄大(神奈川大・内野手)#37 ⑤石見颯真(愛工大名電高・内野手)#55

 ③安徳 駿(冨士大・投手)#38   ⑥岩崎峻典(東洋大・投手)#67

北海道日本ハムファイターズ(61名+6名)

 新庄監督のもと若手が頭角を表し、今季大躍進したチームは鍵谷と加藤豪が引退を表明し、黒木や福田光、江越の移籍組が戦力外になった。一方、安西と宮内、北浦は育成契約を打され、宮内は昨年に引き続き2年連続の戦力外→育成再契約を打診された。

 この間、積極的なトレードに加え、一昨年は伏見寅威、昨年は山崎福也をFAで獲得しており、今季のオフも期待が膨らむ。マルティネスとレイエスも残留を決め、来季に向け着実に戦力が整いつつあり、その自信が今年のドラフトでも垣間見えた。

【投手】

 年齢構成や左右のバランスともに問題なく、補強を急ぐ必要はないが、昨年MLBに挑戦した上沢直之が復帰すれば最大の補強になる。個人的には変則左腕の岩田将貴(阪神)や復活を期す高橋優貴(巨人)は、新庄監督のもとどう化けるか見てみたい。

【野手】

 若手の台頭が進んでいるが、現状30名は12球団最小で数的に補強が必要だ。今年はチームに不足している左打ちの外野手候補が多く、甲斐生海(ソフトバンク)や鈴木将平(西武)、三好大倫(中日)など20歳代半ばの有望株の獲得が期待できる。

 投 手…黒木優太(16年/オ②)安西叶翔(22年/④)宮内春輝(22年/⑥)

       鍵谷陽平(12年/③)北浦竜次(17年/⑤)※斎藤伸治(20年/育②)

       ※柿木 蓮(18年/⑤)

 捕 手…なし

 内野手加藤豪将(22年/③)福田光輝(19年/ロ⑤)

 外野手…江越大賀(14年/神③)

 外国人…スティーブンソン(外野手)

【ドラフト指名選手 ※予想背番号】
 ①柴田獅子(福岡大大濠高・投手)#32   ④清水大暉(前橋商高・投手)#62

 ②藤田琉生(東海大相模高・投手)#37   ⑤山縣 秀(早大内野手)#54

 ③浅利太門(明大・投手)#35       ⑥山城航太郎(法大・投手)#60

千葉ロッテマリーンズ(60名+6名)

 今年はケガで登板の無かった本前と森が育成契約を打診された反面、同じく今季一軍出場がなかった東條に井上、菅野は戦力外になり井上は現役引退を表明した。また、二保と吉田は2年連続の戦力外になり、二保は引退、吉田は移籍先を探すことになった。

 若手の台頭が思うように進まないなか、佐々木朗希のMLB移籍が決まり、ベテラン西野勇士のFA移籍の可能性もあり、併せてメルセデスとカイケルの去就も不明で、万が一この4人が抜けると25勝が消えることになり、投手の補強が最優先課題になる。

【投手】

 実績のある先発投手が欲しく、左腕不足も解消したい。左腕は笠谷俊介(ソフトバンク)に石川達也(DeNA)がおり、FAの石川柊太や地元出身の上沢直之を狙っても良く、外国人もヤフーレ(ヤクルト)やエスコバー(元DeNA)など候補は多い、

【野手】

 今年のドラフトで3名の即戦力野手を獲得しており、補強を急ぐ必要はない。年齢構成では24歳以下の内野手と外野手が不足しているが候補はおらず、もう一つの課題の長打力のある選手の補強で、甲斐生海(ソフトバンク)は将来性十分のスラッガーだ。

 投 手…東條大樹(15年/④)秋山正雲(21年/④)本前郁也(19年/育①)

       森遼大朗(17年/育②)二保 旭(08年/ソ育②)吉田 凌(15年/オ⑤)

     ※田中楓基(21年/育①)※土肥星也(16年/④)※古谷拓郎(18年/⑥)

     ※永島田輝斗(21年/育③)※白濱快起(22年/育②)

 捕 手…※村山亮介(21年/育④)

 内野手井上晴哉(13年/⑤)※黒川凱星(22年/育④)

 外野手…菅野剛士(17年/④)

 外国人…※アポステル(内野手

【ドラフト指名選手 ※予想背番号】

 ①西川史礁(青学大・外野手)#6      ④坂井 遼(関東一高・投手)#64

 ②宮崎竜成(ヤマハ内野手)#43    ⑤廣池康志郎(東海大九州・投手)#62

 ③一條力真(東洋大・投手)#54     ⑥立松由宇(日本生命内野手)#44

東北楽天ゴールデンイーグルス(57名+8名)

 主力の高齢化で世代交代が課題のなか、今年は最多5球団競合の末に宗山を獲得するも12球団で唯一高校生選手の指名(育成は除く)が無かった。一方で支配下6名と育成5名が戦力外になり、平良と辰見には育成契約を打診している。また、櫻井も戦力外になり、現役ドラフトで加入した選手が2年続けて1年での退団になった。

 野手の構成に穴が多く、特に捕手は支配下が5名しかおらず、内外野では24~26歳に支配下の選手がおらず、外野手は右打ち不足と少しでも課題を埋めたい。

【投手】

 今季は先発で早川隆久や藤井聖の活躍もあったが、選手層の不足は否めない。FAの石川柊太に加え、笠谷俊介(ソフトバンク)も先発・リリーフともに熟せ、ともに26歳の三浦瑞樹(ソフトバンク)や石川達也(DeNA)も戦力の底上げになる。

【野手】

 捕手の補強は最優先事項と言え、片山雄哉(阪神)や西田明央(ヤクルト)は2番手捕手として若手捕手のお手本にもなる。また、年齢的に仲田慶介(ソフトバンク)や右打ちの外野手で江越大賀(日本ハム)など、同一リーグに候補が多いのは追い風だ。

 投 手…高田孝一(20年/②)櫻井周斗(18年/D⑤)吉川雄大(21年/⑦)

       清宮虎多朗(18年/育①)※小峯新陸(19年/育②)※竹下瑛広(22年/育③)

 捕 手…なし

 内野手平良竜哉(22年/⑤)辰見鴻之介(22年/育①)※澤野聖悠(19年/育④)

 外野手…※柳澤大空(21年/育②)※大河原翔(21年/育③)

【ドラフト指名選手 ※予想背番号】

 ①宗山 塁(明大・内野手)#6      ④江原雅裕(日鉄ステンレス・投手)#26 

 ②徳山一翔(環太平洋大・投手)#12  ⑤吉納 翼(早大・外野手)#37

 ③中込陽翔(四国IL徳島・投手)#29 ⑧陽 柏翔(BC茨城・内野手)#40

オリックスバファローズ(55名+7名)

 長年チームを支えた比嘉に安達、T-岡田、小田が引退を決めたが、今季は出場機会が限られており、昨年の山本由伸(ドジャース)と山崎福也(日本ハム)移籍のような大きなダメージはない。実質的に支配下の戦力外はなく、横山や宜保などケガで治療を擁する河内以外はいずれも直ぐにでも支配下復活はあると思う。

 投手陣は今季、ゲが人が多いなか防御率はリーグ2位を維持したが、打線が低調で得点数はリーグ5位と投手陣を援護できず、補強は野手中心になる。

【投手】

 FA宣言している石川柊太(ソフトバンク)の獲得長調査を表明するなど、先発投手の補強は課題で、笠谷俊介に三浦瑞樹(ソフトバンク)は狙い目で、東條大樹(ロッテ)など、昨年の吉田輝星のようにオリックスでどう化けるか見てみたい選手は多い。

【野手】

 今季は課題の外野手に候補が多く鈴木将平(西武)と三好大倫(中日)は課題の機動力強化にも繋がり狙い目で、大田泰示(DeNA)は実績十分だ。内野手での一軍経験はないが遠藤成(阪神)はチームに不足してる左打ち+機動力でピッタリはまる。

 投 手…村西良太(19年/③)比嘉幹貴(09年/②)前佑囲斗(19年/④)

      横山 楓(21年/⑥)河内康介(23年/②)※中田惟斗(19年/育③)  

 捕 手…なし

 内野手安達了一(11年/①)宜保 翔’(18年/⑤)※平野大和(19年/育④)

       ※上野響平(19年/日③)

 外野手…小田裕也(14年/⑧)T-岡田(05年/①)※山中堯之(21年/育①)

       ※木下元秀(19年/広育②)

 外国人…ゴンザレス(内野手)トーマス(外野手)

【ドラフト指名選手 ※予想背番号】

 麦谷祐介(冨士大・外野手)#8    ④山中綾真(三菱重工イースト・捕手)#45  

 ②寺西成騎(日体大・投手)#35   ⑤東山玲士(ENEOS・投手)#49

 ③山口廉王(仙台育英高・投手)#60    ⑥片山楽生(NTT東日本・投手)#50 

埼玉西武ライオンズ(54名+7名)

 歴史的敗退のなか数年を要してチーム再建を図る。増田と岡田、金子が揃って引退を決め、大量12選手(うち育成3名)が戦力外になり、1年目の宮澤と19歳の野田には育成契約が打診された。また、外国人選手も2人合わせて3本塁打のアギラーとコルデロ、37試合登板も防御率5点台のヤンが退団し、チーム再建の道は長そうだ。

 現状、支配下は61名で外国人選手3~4名を補強しても余裕がある。ただ、投手は“量”が、野手は“質”的に不足しており、積極的な補強を進めて良いと思う。

【投手】

 高橋光成と平良海馬のMLB移籍があるかもしれないが、若手に有望株が揃い補強はベテランで中心で良い。先発ならNPB通算24勝のサイスニード(ヤクルト)、リリーフなら加治屋蓮(阪神)や嘉弥真新也(ヤクルト)は上積みか計算できる。

【野手】

 今季は外野手に候補が多く、大田泰示に楠本泰史(DeNA)、江越大賀(日本ハム)は実績があり、ビシエド(中日)獲得はチームの本気度を顕すことにもなる。若手では両打ちの仲田慶介(ソフトバンク)はチャンスが拡がるチームだと思う、

 投 手…増田達至(12年/①)浜屋将太(19年/②)宮澤太成(23年/⑤)

       大曲 錬(20年/⑤)赤上優人(20年/育①)※粟津凱士(18年/④)

     ※伊藤 翔(17年/③)

 捕 手…岡田雅利(13年/⑥)野田海人(22年/③)

 内野手…陽川尚将(13年/神③)ブランドン(20年/⑥)

 外野手…金子侑司(12年/③)鈴木将平(16年/④)高木 渉(17年/育①)

      ※ジョセフ(20年/育③)

 外国人…ヤン(投手)アギラー(内野手)コルデロ(外野手)

【ドラフト指名選手 ※予想背番号】

 ①斎藤大翔(金沢高・内野手)#24  ⑤篠原 響(福井工大福井高・投手)#56

 ②渡部聖弥(大商大・内野手)#2    ⑥龍山 暖(江ナジック高・捕手)#59

 ③狩生聖真(佐伯鶴城高・投手)#38 ⑦古賀輝希(千曲川クラブ・内野手)#49

 ④林 冠臣(日本経大・外野手)#46