ドラフトを知ると野球がもっと楽しくなる

どのチームが「人」を育て強くなるのか

2024年~ドラフト候補100名を予想してみました

 今年のドラフトは、即戦力よ呼べる選手が少ないと言われ、1位入札は金丸夢斗(関大)や宗山塁(明大)を中心にした大学BIG4に1位指名が集中する予想だ。

 昨年は大卒投手に1位候補が多く、4球団が事前に1位指名選手を公表した。今年は広島が宗山の1位指名を公表しているが、他球団はギリギリ当日までけん制が続きそうだ。特に指名順位の遅い上位チームは単独指名に切り替える可能性があり、当日の1位指名に注目したい。

【今年の特徴】

 ①即戦力が多くなく、大学生BIG4に12球団の1位指名が集中か?

   ※関大/金丸夢斗(投)愛工大/中村優斗(投)宗山 塁(明大・内)       

    青学大/西川史礁(外)※太字は既に1位指名が公表された選手

 ②野手の候補が少なく、指名順位が上がる可能性が高い

 ③最速150キロを超える将来性豊かな高校生投手が多い

 

【各チームの指名予測~指名順】※戦力外表記は支配下登録選手のみです

◇西武…59名(投手28名~野手31名)

 長年チームを支えてきた増田達至や金子侑司、岡田雅利が引退し、6名の選手が自由契約になり支配下人数には余裕がある。歴史的貧打で打線が課題なだけに、リードオフマンも中軸も獲得したい。一方、投手陣は人数が不足しており投打に補強が必要だ。

◆中日…64名(投手31名~野手33名)

 3年連続最下位のチームにおいてベテランに厳しいオフになり、3選手が引退し、中島宏之ビシエドが戦力外になったあ。引き続き打線強化が課題だが、小笠原慎之介やロドリゲスの去就、投手の主力選手の高齢化など、今年は投手が中心になりそうだ。

オリックス…60名(投手30名~野手30名)

 リーグ3連覇を逃したシーズンは、比嘉幹貴やT-岡田、安達了一のベテランが引退し世代交代を印象付けた。一方、若手5名に育成契約を打診しており、支配下枠は空けておきたい。今季は打線で苦戦を強いられただけに、野手中心の指名になりそうだ。

◆ヤクルト…63名(投手33名~野手30名)

 この間の課題である投手陣の強化が最優先課題だが、青木宣親と山崎晃大朗が引退した外野も手薄で、翌年には村上宗隆のMLB移籍の可能性もあり、現有戦力の補強と将来に向けた準備など、投打に課題が多く今年も難しいドラフトになりそうだ。

楽天…61名(投手30名~野手31名)

 元々、支配下枠に余裕があるなか、プラス4名の選手が戦力外になった。課題である投打の主力の高齢化は待ったなしで、世代交代を進める必要があるが、高校生を多く指名する余裕はなさそうだ。一方、監督人事で混乱があり準備の方も気がかりだ。

◆広島…64名(投手33名~野手31名)

 ベテランの野村祐輔が引退し、3名の選手が戦力外になった。今季は歴史的失速で優勝を逃したが、最大の要因は打線で、特に中軸を打てる即戦力が欲しい。5年連続で投手の1位指名が続くなか、今年は地元の宗山塁(明大)の1位指名を公表した。

◇ロッテ…64名(投手33名~野手31名)

 2年連続のAクラスも、夏場以降の大事なところで選手層の薄さが響いた。今年は支配下6名を含む13名を戦力外する大ナタを揮った。若手に有望株が多いが、ベテラン頼みは相変わらずで、佐々木朗希のMLB移籍も視野に投打の柱になる選手が必要だ。

◆DeNA…63名(投手35名~野手28名)

 ベテランの大和や大田泰示を含む6選手が戦力外になった。昨年は野手中心のドラフトでピンポイントの補強になり、今年は投手陣の強化を図りたいが、現時点で投手の支配下人数が多く、投打でどのようなバランスを取るのか難しいドラフトになりそうだ。

日本ハム…68名(投手36名~野手32名)

 現時点では引退の鍵谷陽平とスティーブンソンの退団のみで、昨年同様、現状で支配下人数は最も多く、ドラフトの結果を見ての編成になる。若手が育ち優勝を狙える戦力も整いつつあるなか、即戦力と将来性のどちらにウェイトを置くのか注目したい。

阪神…60名(投手31名~野手29名)

 引退の秋山拓巳をはじめ、6名の選手がチームを去るが、加治屋蓮に遠藤成など名前を見ると層の厚さが分かる。支配下人数に余裕があるが、大山悠輔や坂本誠志郎のFA移籍の可能性も視野に入れなくてはならず、今年も上位指名は即戦力になるか注目だ。

ソフトバンク…69名(投手34名~野手35名)

 開幕から首位を独走し圧倒的な強さを見せたが、ドラフトはやや低迷気味で、高齢化する主力の世代交代が急務だ。今季も育成主体の指名になりそうだが、この間指名した高校生の台頭が遅れているだけに、先発や遊撃手は即戦力指名もあり得る。

◆巨人…63名(投手32名~野手31名)

 ドラ1の高橋優貴を含む3名が戦力外になり、2名が育成契約を打診されている。今オフは菅野智之と岡本和真のMLB移籍や大城卓三のFA移籍の可能性など、死活問題に係わる課題を抱えており、昨年同様、大学生・社会人中心の指名になる気配だ。

【指名順位予想】

 昨年は4球団が事前に指名を公表したが。今年は広島が宗山塁(明大)を公表しただけで、他の11球団との駆け引きが当日まで続く。ただ、先述した宗山に西川史礁(青学大)、金丸夢斗(関大)と中村優斗(愛工大)のBIG4に1位指名が集中されることが予想される。

 単独指名の可能性では、投手陣が万全な阪神が将来のエース候補で今朝丸裕喜(報徳学園高)やロッテは中軸候補で石塚裕惺(花咲徳栄高)、投打二刀流の柴田獅子(福岡大大濠高)はソフトバンク日本ハムの評価が高く、いずれも指名順位が遅いだけに高卒1位指名も十分にあり得る。

 今年は即戦力と呼ばれる選手が少なく、BIG4を外したチームは、篠木健太郎(法大)や伊原陵人(NTT西日本)、渡部聖弥(大商大)の数少ない即戦力に移行する可能性が高い。また、野手の上位候補も少なく、佐々木泰(青学大)や石伊雄太(日本生命)の指名順位が上がる可能性もある。

1位入札候補(1回目予想)

 宗山 塁(明大・内野手)…広島、ロッテ、日本ハムソフトバンク

 金丸夢斗(関大・投手)……ヤクルト、楽天阪神、巨人 

 西川史礁(青学大・外手)…西武、オリックス

 中村優斗(愛工大・投手)…中日、DeNA

1位候補(2回目以降)

 投手…藤田琉生(東海大相模高)今朝丸裕喜(報徳学園高)村上泰斗(神戸弘陵高)

      柴田獅子(福岡大大濠高)篠木健太郎(法大)伊原陵人(NTT西日本)

 野手…石塚裕惺(花咲徳栄高・内)渡部聖弥(大商大・内)

2位候補予想

 今年は野手の有力候補が多くなく、2位は野手中心の予想にしてみた。特に捕手は少なく箱山と石伊も指名順位が上がる可能性が高く、清水や斎藤は状況次第では1位指名もある逸材だ。MLB入りを目指す森井を指名するチームがあるのかにも注目したい。

 投手…小川哲平(作新学院高)清水大暉(前橋商高)高尾 響(広陵高)

      吉田聖弥(西濃運輸

 野手…箱山遥人(健大高崎高・捕)石伊雄太(日本生命・捕)

      宇野真仁朗(早実高・内)森井翔太郎(桐朋高・内)斎藤大翔(金沢高・内)

    佐々木泰(青学大・内)モイセエフ・ニキータ(豊川高・外)

    吉納 翼(早大・外)

3位候補予想

 岩崎や寺西、佐藤と言った将来性もある大学生が並び、宮原と柴崎はドラフト直前で評価が急上昇している。1~2位で即戦力投手を逃したチームは竹田の獲得はリカバリーになり、野手は今坂に正林、荒巻の将来の中軸候補を予想した。

 投手…山内悠生(北見柏陽高)沼井怜穏(横浜隼人高)吉岡 暖(阿南光高)

      佐藤柳之介(冨士大)岩崎峻典(東洋大)寺西成騎(日体大

      宮原駿介(東海大静岡)竹田 祐(三菱重工エスト)

 野手…今坂幸暉(大院大高・内)荒巻 悠(上武大・内)

      正林輝大(神村学園高・外)柴崎聖人(大経大・外)

4位候補予想

 いつも注目している4位指名は、高校生と社会人の候補が多くなった。池田に山口、昆野、坂井、小船はいずれも最速150キロを超える本格派右腕。一方、荘司と鷲尾はリリーフの適性があり、沢山は高卒3年目の左腕で伸びしろに期待できる。

 投手…池田悠真(紋別高)山口廉王(仙台育英高)昆野太晴(白鷗大足利高)

    坂井 遼(関東一高)茨木佑太(帝京長岡高)小船 翼(知徳高)

    沢山優介(ヤマハ)荘司宏太(セガサミー)鷲尾昂哉(三菱重工エスト)

 野手…岸本佑也(奈良大高・内)中村奈一輝(宮崎商高・内)

      飯山志夢(立正大・外)

5位候補予想

 5位予想も速球派の投手が並び、浅利や一條は最速153キロのリリーバーで、狩生も150キロを超える真っ直ぐが武器だ。野手は大学生遊撃手が並び、山縣は堅実な守備が売りで、庄子と浦田は俊足を活かして出塁率が高く、寺井は隠し玉のスラッガー

 投手…渋谷純希(帯広農高)塩貝迅平(京都翔英高)津嘉山憲志郎(神戸国際大高)

      狩生聖真(佐伯鶴城高)浅利太門(明大)一條力真(東洋大

      坂口翔楓(国学院大)

 野手…寺井広大(神村学園伊賀高・内)山縣 秀(早大・内)

      庄子雄大(神奈川大・内)浦田俊輔(九産大・内)

6位候補予想

 6位は個性的な左腕が並び、高橋と富士は140キロ後半の真っ直ぐが武器で、徳山は肘の不調で4年時は出番が限られたが上位指名の可能性もある本格派左腕。野手では捕手の予想が増え、椎木と野口、町田はいずれも打力に定評のある打てる捕手だ。

 投手…高橋幸佑(北照高)冨士大和(大宮東高)川勝空人(生光学園高)

      箱山 優(日体大)今井亮太(東京国際大)徳山一翔(環太平洋大)

      笠井建吾(三菱自動車岡崎)

 野手…椎木卿五(横浜高・捕)野口泰司(NTT東日本・捕)

      町田隼乙(BC埼玉・捕)颯佐心汰(中央学院高・内)

      石見颯真(愛工大名電高・内)

下位候補予想

(高校生)

 投手はいずれも球速が140キロ後半を超える本格派が並び、菊地や有馬は体格の良さも将来性を感じる。野手はいずれも長打が魅力のスラッガーで、曽布川やラマルはここに来て評価が上がり、森駿太と谷村はミート力もある柔&剛のスラッガーだ。

 投手…関 景介(太田西山高)菊地ハルン(千葉学芸高)上原堆我(花咲徳栄高)

      寺田 光(磐田東高)森 厳徳(県岐阜商高)有馬恵叶(聖カタリナ高)

    河野伸一朗(宮崎学園高)井上剣也(鹿児島実高)

 野手…冨浜琉心(帝京高・内)森 駿太(桐光学園高・内)

      曽布川ザイレン(浜松商高・内)谷村 剛(和歌山東高・内)

      ラマル・ギービン・ラタナヤケ(大阪桐蔭高・内)

(大学生)

 大学生の候補は少なくなったが、林は最速151キロの右腕で、竹内は走攻守揃った好打者で、今秋のリーグ戦で調子を上げアピールを続けている。清原和博を父に持つ清原は大学から野球を再開し非凡なセンスが魅力で、入団すると注目を浴びるだろう。

 投手…林 翔太(大経大)

 野手…清原正吾(慶大・内)竹内翔汰(立命大・外)

(社会人・独立L)

 注目はNPBから初めての指名があるかで、ファームで結果を残した上村や知念、増田は指名されないと夢も希望も萎んでしまう。また、昨年最多指名の独立リーグも注目で工藤に廣澤、加藤は学生時代ドラフト候補で、木村は巨人の入団テストに合格した。

 投手…中島悠貴(茨城トヨペット)木下里都(KMGホールディングス)

      上村知輝(オイシックス)早川太貴(くふうハヤテ)

    工藤泰成(四国IL徳島)廣澤 優(四国IL愛媛)

 野手…大友 宗(BC茨城・捕)木村翔平(GXAスカイ・内)

      加藤 響(四国IL徳島・内)中尾勇介(大阪ガス・外)

      知念大成(オイシックス・外)増田将馬(くふうハヤテ・外)

 いよいよ24日、ドラフトが開催される。紹介した100名以外にも有望な選手はまだまだおり、今年もどんなドラマが待ち受け、どのチームが成功し、どの選手が何処のユニフォームに袖を通すか、年に一度のイベントを純粋に楽しみたい。