昨年同様、今年も2年連続で「不作」と言われ、1位指名が12名揃わないという評価だが、個人的にはそこまで不作とは思えない。確かに、何球団も競合するような目玉選手は少ないが、2~3位まで拡げれば1位でも見劣りしない選手が多い。
現在、7球団が1位指名を公表しているが重複指名はない。各チームがそれぞれ置かれている状況のなか、将来性、即戦力、ポジションごとのバランスを考え、予想以上に順位が上下することも想定されるし、12球団の1位指名は全員違うのも、それはそれで色が出て面白いと思う。
個人的には、昨年同様、総指名人数は変わらないが支配下指名が6名前後で、逆に育成指名が増えると予想する。また、MLBからの逆輸入指名や二刀流の多い高校生が投手、野手どちらで指名されるか、国立大学の有望選手が多いなど見所は多い。
【今年の特徴】
①高校生(特に投手)に有力選手が少ないが、大学生投手と内野手が豊富
②投手は全般的に左腕が不足
③野手は遊撃手が不足で指名順位が上がる可能性が高い
【各チームの指名予測~指名順】
◇日本ハム…64名(投手33名~野手31名)
投手・外野手の各2名が戦力外になり、阪神と内野手2人と投手・外野手各1名のトレードが成立した。また、近藤健介のFA移籍の可能性も高く、投手と手薄な外野手を強化したい。毎年、指名人数が7~8名で多く、新庄監督初のドラフトにも注目だ。
◆中日…58名(投手27名~野手31名)
福留孝介が引退し、平田良介等8名が戦力外になり、岩嵜翔を含む投手3名を育成契約にしたことで、支配下の余裕が出来た。15年から6年連続で6名の指名で、久々の大量指名の可能性もある。少なくとも昨年のような育成契約ゼロは避けて欲しい。
◇ロッテ…67名(投手35名~野手32名)
思っている以上に投打に課題が多く、特に投手力と二遊間強化は急務。若手に有望株が多いだけに、即戦力をピンポイントに補強しながら、投手や内野手で高校生を指名したい。今年も支配下は5~6名で、結果の出ている育成指名を厚くする方向になる。
◆広島…66名(投手34名~野手32名)
14年から、毎年6~7名の指名になっており、まだ戦力外が2名のみで、ドラフト以降にさらに追加がある。3連覇から暗転し4年連続で優勝から遠ざかり、投手ならリリーフ、捕手以外の野手の補強が必要で、年齢バランスの修正も必要になる。
◇楽天…67名(投手33名~野手34名)
ベテランの川島慶三が引退し、投手2名が戦力外になった。平均7名前後の指名を考えると、編成はドラフト後が本番になる。課題は明白で投手力の強化(特に先発)、内外野で即戦力の右打者の獲得のなか、今年もサプライズ指名があるかもしれない。
◆巨人…67名(投手35名~野手32名)
井納翔一等3名が戦力外になり、今オフはFAに積極参戦することを表明している。例年、開幕は65名以下でスタートするので、支配下指名は少なくなる(この間は7名前後)可能性もある。投打に課題が多く、FAを睨みながら難しいドラフトになる。
◇西武…61名(投手35名~野手32名)
戦力外は2名に加え、内海哲也を含む3投手が引退し、森にFA移籍の可能性もある。元々支配下いっぱいにすることがなく、例年通り7名前後の指名が予想される。課題は過渡期を迎えた野手の世代交代準備と、数的にも不足の捕手の補強も必要だ。
◆阪神…66名(投手32名~野手34名)
投手3名が戦力外、トレードで1名、藤浪晋太郎のMLB移籍で投手が不足気味のなか、課題の右打ち内野手を日本ハムから獲得し、外国人選手も減らす予定で、的確に補強ポイントを抑えたドラフトが可能になり、6~7名の指名が予想される。
◇ソフトバンク…64名(投手33名~野手31名)
長年チームを支えた松田宣浩が去り、明石健志も引退。エースの千賀滉大のMLB移籍も決定的で、否応なし世代交代が進む。支配下は5名程度になると思うが、今年は即戦力が主体になるかも知れない。4軍制導入で育成指名は昨年(14名)並みの予定。
◆DeNA…63名(投手35名~野手28名)
既に投手3名、野手4名が戦力外になり、クローザーの山崎康晃のMLB移籍もあり、指名枠には余裕があるが野手が少ない。特に外野手は高校生の指名は必須で、投手力に課題があるなか、野手中心の指名になる可能性があり、難しいドラフトになる。
◇オリックス…62名(投手29名~野手33名)
ベテランの増井浩俊を含む8選手が戦力外になり、うち3名は育成契約とは言え、昨年の1位ルーキー椋木蓮の名前があり驚いた。8選手中7名が投手で、層の厚い投手陣が数的に不足気味で、投手中心の指名で、野手はFA補強で埋める戦略かも知れない。
◆ヤクルト…62名(投手33名~野手29名)
戦力外は5名(うち育成契約2名)で、嶋基宏や内川聖一のベテランが引退し、連覇をしながら着実に世代交代を進めている。年齢バランスは悪くなく、3連覇のためには投手力強化とともに、層の薄い外野手補強が必要で、投打の主軸候補を獲得したい。
【指名順位予想】
既に7球団が1位指名を公表し、浅野翔吾(高松商高)は阪神も指名濃厚で、最低でも2球団の競合になる。最後まで読めないのがロッテとDeNA、ヤクルトで、斎藤優汰(苫小牧中央高)や矢澤宏太(日体大)、浅野への入札が予想される。
公表以外の選手でも、吉村貢司郎(東芝)や益田武尚(東京ガス)の即戦力投手や、評価上昇中の森下翔太(中大)や田中幹也(亜大)、将来性十分の松尾汐恩(大阪桐蔭高)もおり、浅野以外、すべて1位指名が違う可能性も十分にある。
1位入札候補(1回目予想)
曽谷龍平(白鷗大・投手)…オリックス
蛭間拓哉(早大・外野手)…西武
荘司康誠(立大・投手)…楽天
斎藤優汰(苫小牧中央高・投手)…広島
1位候補(2回目以降)
投手…金村尚真(富士大)吉村貢司朗(東芝)益田武尚(東京ガス)
野手… 松尾汐恩(大阪桐蔭高・捕)森下翔太(中大・外野手)
2位候補
先述した通り、状況次第では河野や菊地、田中は1位指名の可能性が十分にある。今年は数少ない高校生投手の上位候補の門別は貴重な左腕、評価上昇中の友杉や将来性豊かな内藤や西村など、1位指名でも遜色ない選手が控える。
投手…門別啓人(東海大札幌高)山田陽翔(近江高)菊地吏玖(専大)
才木海翔(大経大)河野 佳(大阪ガス)
野手…内藤 鵬(日本航空石川高・内)田中幹也(亜大・内)山田健太(立大・内)
奈良間大己(立正大・内)友杉篤輝(天理大・内)
3位候補
将来性を重視して高校生が多くなったが、田中や斎藤、実力派の吉野は2位で呼ばれてもおかしくない。内田や勝又、井坪の高校生野手や、仲地は夏以降に評価を上げた。小孫は高校、大学、昨年と3度プロ入りを逃しており、念願叶うか注目だ。
投手…斎藤響介(盛岡中央高)田中晴也(日本文理高)森下瑠大(京都国際高)
森山暁生(阿南光高)青山美夏人(亜大)仲地礼亜(沖縄大)
野手…内田湘大(利根商高・内)戸井零士(天理高・内)
4位候補
チームのその年の特徴が出る4位は将来性豊かな選手が並ぶ。坂本や大野、金田、大学生でも羽田野と水口も素材型で、プロで大化けする可能性が十分にある。打力で評価を上げている門脇や、渡辺や加藤の即戦力選手もリストアップしてみた。
投手…坂本拓己(知内高)米田天翼(市和歌山高)白濱快起(飯塚高)
大野稼頭央(大島高)羽田野温生(東洋大)水口創太(京大)
渡辺翔太(九産大)加藤三範(ENEOS)大畑 蓮(西部ガス)
門脇 誠(創価大・内)
5位候補
5位は高校生が多くなった。安西や清水、藤田など中央では無名だが春から夏にかけて評価を上げてきた選手で面白い。田中や本田、西といった速球に魅力のある大学生投手も並ぶ。高校生野手は清水と藤田はスラッがー、田中は三拍子揃った好素材。
投手…安西叶翔(常葉菊川高)川原嗣貴(大阪桐蔭高)田中千晴(国学院大)
関根智輝(ENEOS)
野手…清水叶人(健大高崎高・捕)野口泰司(名城大・捕)
田中多聞(呉港高・外)
6位候補
6位は一芸に秀でた選手が多く、投手なら橋本は大学時代からリリーフ専門、長谷部は先発・中継ぎどちらでもOKの貴重な左腕。素材だけなら一級品の古川や海老根、超がつく俊足の黒田、抜群の長打力の三井を候補に挙げてみた。
投手…吉川悠斗(浦和麗明高)橋本達弥(慶大)伊原陵人(大商大)
木村 光(佛教大)長谷部銀次(トヨタ自動車)
野手…山浅龍之介(聖光学院・捕)片野優羽(市船橋高・捕)村松開人(明大・内)
下位候補
(高校生)
意外に投手が少なく、日高は高校から投手に転向した選手で伸びしろ十分。野手はロマン溢れるスラッガーが並び、村上(ヤクルト)と兄弟プロが誕生するか、杉本(オリックス)二世の徳島の両スラッガー(高野・前田)の指名があるか注目していきたい。
投手…日高暖己(冨島高)
野手…唐川侑大(東海大札幌高・捕)高山維月(浦和学院高・捕)
高野光海(池田高・外)前田一輝(鳴門高・外)
(大学生)
投手はバラエティ豊富で、技巧派の増居と漢人、本格派の秋山がいるが、面白いのは超素材型の谷井で変則フォームから159キロを投げる。野手は萩尾と山本の慶大の中軸コンビ、杉澤等スラッガーが並ぶ。久保は足だけで飯を食べていける選手。
投手…伊藤茉央(東農大オホーツク)増居翔太(慶大)谷井一郎(明星大)
野手…石伊雄太(近大工学部)斎藤大輝(法大・内)北村恵吾(中大・内)
杉澤 龍(東北福祉大・外)萩尾匡也(慶大・外)山本晃大(慶大・外)
久保 修(大阪観光大・外)
(社会人・独立L)
期待を込めて、昨年指名漏れした臼井や鈴木、福永に藤井などラストチャンスにかける社会人選手の指名を期待している。玉置は数少ない独立リーグの支配下候補、日本ハムが獲得を検討している加藤の指名もあるか注目は尽きない。
投手…臼井 浩(東京ガス)鈴木大貴(TDK)玉置隼翔(四国IL愛媛)
野手…中山遥斗(三菱重工イースト・内)福永裕基(日本新薬・内)
平良竜哉(NTT西日本・内)藤井健平(NTT西日本・外)
加藤豪将(メッツ・内)
いよいよ明日、ドラフトが開催される。今年もどんなドラマが待ち受け、どのチームが成功するのか楽しみは尽きない。昨年同様、不作を言われ目玉選手がいない分、各チームの戦略が出るドラフトになると思う、
紹介した100名以外にも有望な選手はまだまだおり、どの選手がどのユニフォームに袖を通すか楽しみで、明日が待ち遠しい。