ドラフトを知ると野球がもっと楽しくなる

どのチームが「人」を育て強くなるのか

2021年~ドラフト候補100名を予想してみました

 昨年は、早川(楽天)と佐藤輝(阪神)に人気が集まり、事前に指名を公言しているチームがあったが、今年はようやく西武が隅田知一郎(西日本工大・投手)、ソフトバンクが風間球打(明桜高)の指名を公言した。

 評価的には「不作」と言われた昨年より、さらに厳しいと言われていることに加え、例年より2週間ほど日程が早く、コロナ禍で十分に選手を観れないこともあって、ギリギリまで熟考するチームが多いだろう。

【今年の特徴】

 ①投高打低と言われ、高校生右腕と大学生の左腕投手が豊富

 ②野手に有望な選手が少なく、野手の指名順位が上がる可能性がある

 ③即戦力と呼ばれる選手が少なく、将来性を見越した指名になる

 

【各チームの指名予測~指名順】

◆DeNA…68名(投手37名~野手31名)

 投手7名(勝又温史は育成契約予定)と野手2名に戦力外通告をし、現状59名と指名枠には余裕がある。投手が30名と質量ともに少なく、投手中心のドラフトになるだろう。上位で即戦力投手、野手では外野の補強が必須になる。

日本ハム…68名(投手32名~野手36名)

 支配下戦力外通告はまだないが、斎藤佑樹が引退を表明した。スタートを65名前後とすれば、例年通り6~7名の指名になる。打てないと言われているが、若手野手に有望な選手が多く、数的にも少ない投手陣の底上げをしたい。

◆中日…68名(投手33名~野手35名)

 投手3名と野手2名が戦力外になり、山井大介藤井淳志が引退する。ここ5年間、すべて6名の指名で今年も同じか。投手力は万全なだけに、多少順位を上げてでも上位は長打力のある野手指名を行い、下位で即戦力リリーフや高校生投手を獲得したい、

◇西武…67名(投手35名~野手32名)

 支配下の戦力外はおらず、松坂大輔が引退する。ここ数年は7~8名の指名が多く、今年も6~7名前後の指名が予想される。優先順位は先発左腕で、昨年は野手中心のドラフトだったので、今年は豊富な左腕投手を何人獲得できるかがポイントになる。

◆広島…69名(投手37名~野手32名)

 現状、戦力外通告はいない。多くても7名以上の指名がなく、今年も6~7名の指名になるだろう。強化ポイントは投手で、大瀬良や九里のFAの可能性もあり、上位で即戦力投手と将来のエース候補で高校生を獲得したい。ポスト鈴木誠も必要だ。

ソフトバンク…70名(投手32名~野手38名)

 戦力外はまだいないが、長谷川勇也が引退し、バレンティンは退団した。支配下は少数精鋭、育成選手を多く取るのが基本なので、支配下指名は5~6名か。選手層は厚いが、世代交代の遅れが顕在化。現状回復が優先なら、即戦力含め投手中心になる。

◆巨人…70名(投手34名~野手36名)

 支配下の戦力外は1名だけで、亀井善行が引退の意向を表明した。基本、開幕は65名以下でスタートするので、例年通り6~7名の指名なら、少なくとも12名前後の戦力外通告が待っている。課題は多いが、まずは投手陣の再建が優先になる。

楽天…69名(投手36名~野手33名)

 ベテランの藤田一也が戦力外になった。毎年、指名人数は多く、今年も6~8名ほどの指名になるだろう。課題は明確で、高齢化している先発陣の世代交代に備え、即戦力と高校生含め投手の指名になる。野手ではチームに不足している右打者が必須だ。

阪神…69名(投手36名~野手33名)

 支配下では3名が戦力外になり、岩田稔中田賢一、桑原謙太郎が引退した。最低でも6名の指名は確実で、状況を見てあと1~2名増えるか。左腕投手が不足しており、今年は投手中心に指名し、野手は若手が少ない外野手を獲得したい。

◇ロッテ…70名(投手35名~野手35名)

 黄金期間近と言われるなか、井口監督の「すべてのポジションが補強ポイント」の言葉通り、投手なら左腕、手薄な捕手の補強、内野手は右打ちと遊撃手、外野手は長距離砲を狙いたい。ファームで育成選手が結果を出しており、5~6名の指名になりそう。

◆ヤクルト…68名(投手36名~野手32名)

 支配下3名が戦力外になり、歳内宏明と雄平が引退を決めた。指名人数は6名が基本で、状況を見て1~2名の追加になる。来年を見据え、戦力を万全にするなら投手中心のドラフトになるが、野手の世代交代も近づいており、有望な高校生も獲得したい。

オリックス…70名(投手37名~野手33名)

 すべて投手で6名が戦力外(榊原翼は育成契約)になり、この間のドラフトで次世代のベースが出来ている。ただ、ファームは最下位で選手層は厚いとは言えない。毎年指名人数は6名以上で多く、上位で課題のリリーフ陣を厚くし、下位は育成主体か。

 

【指名順位予想】

 先述したが、今年の1位予想は難しい。高校BIG3と言われる小園と風間、森木に佐藤と隅田の大学生両左腕の1位入札指名は確実と言える。ただ、本当の即戦力として計算できるのは廣畑くらいしかおらず、重複を避けて単独指名も考えられる。このほか野手に有力選手が少なく、正木やブライトの1位指名も十分にある。

 どちらにしろ、蓋を開けてみたらアッと驚く1位指名になることも想定され、不作と言われるなか、各チームの戦略に注目したい。

1位入札候補(1回目予想)

 隅田知一郎(西日本工大・投手)…西武、巨人、阪神オリックス

 小園 健太(市和歌山高・投手)…日本ハム、ロッテ 

 風間 球打(明桜高・投手)…ソフトバンク楽天

 廣畑 敦也(三菱自動車倉敷)…ヤクルト

 山下  輝(法大・投手)…広島

 ブライト健太(上武大・外野手)…中日

 佐藤 隼輔(筑波大・投手)…DeNA

1位候補(2回目以降)

 投手…森木大智(高知高)畔柳亨丞(中京大中京高)達 孝太(天理高) 

      山田龍聖(JR東日本

 野手… 正木智也(慶大・外)

2位候補

 1位の重複状況では、木村と阪口、椋木と黒原は1位指名の可能性もある。評価の高い鈴木や三浦、4年に急成長した赤星は、早めに名前が呼ばれるかもしれない。また将来の主軸候補の有薗と吉野と言った高校生スラッガーの評価も注目したい。

 投手…木村大成(北海高)松浦慶斗(大阪桐蔭高)椋木 蓮(東北福祉大

      三浦銀二(法大)鈴木勇斗(創価大)赤星優志(日大)

      黒原拓未(関学大)森 翔平(三菱重工エスト)

 野手…有薗直輝(千葉学芸高・内)吉野創士(昌平高・外)

      阪口 楽(岐阜一高・外)古賀悠斗(中大・捕) 

3位候補

 将来性を重視して高校生が多くなったが、松川や池田、実力派の徳山は2位で呼ばれる可能性も高い。中央では無名だが実力のある松井と桐敷を上位候補にした。岡留はリリーフとして、評価が急上昇し、二刀流希望の田村の育成プランにも注目だ。

 投手…羽田慎之介(八王子高)石田隼都(東海大相模高)徳山壮磨(早大

      岡留英貴(亜大)桐敷拓馬(新潟医療福祉大)松井友飛(金沢学院大

 野手…松川虎生(市和歌山高・捕)粟飯原龍之介(東京学館高・内)

         田村俊介(愛工大名電高・外)前川右京(智弁学園高・外)

      池田陵真(大阪桐蔭高・外)梶原昂希(神奈川大・外)

4位候補

 投手が多くなってしまったが面白い選手が多い。黒田や竹山はともに将来のエース候補の右の本格派。高木は時間がかかりそうだが、正捕手になれる逸材で、鵜飼は巨漢のスラッガー、柴田は今年150キロを投げ一気にドラフト候補になった。

 投手…黒田将矢(八戸工大一高)深沢鳳介(専大松戸高)市川 祐(関東一高

      秋山正雲(二松学舎大高)竹山日向(享栄高)花田侑樹(広島新庄高)

      飯田琉斗(横浜商大)北山亘基(京産大)柴田大地(日本通運

      横山 楓(セガサミー

 野手…高木翔斗(県岐阜商高・捕)鵜飼航丞(駒大・外)

5位候補

 4位とは逆に野手が多くなった。森田と翁田、池田は順位が上がる可能性が高い。長打力のある高校生野手を中心に、評価が上がっている福永や、俊足巧打の丸山と藤井がどう評価されるか注目したい。変則右腕の西垣も伸びしろのある選手で楽しみだ。 

 投手…黒木 優(九州文化学園高)西垣雅矢(早大)森田晃介(慶大)

      翁田大勢(関西国際大)

 野手…村山亮介(幕張総合高・捕)清水武蔵(国士館高・内)

      星野真生(豊橋中央高・内)福永 奨(国学院大・捕)

      池田来翔(国学院大・内)中山誠吾(白鷗大・内)丸山和郁(明大・外)

      藤井健平(NTT西日本・外)

6位候補

 下位はやはり素材型が多い。田中は昨秋から高評価が変わらず、渡邊はクラブチーム所属だが18歳で伸びしろに期待。長谷川は今年急成長し、球速が150キロを超えた。前田は右のスラッガーセンバツでの活躍でドラフト候補に躍り出た。 

 投手…田中楓基(旭川実高)山本大揮(九州国際大高)秦 勝利(神村学園高)

      長谷川稜祐(青森大)山崎 凪(中央学院大)吉村貢司郎(東芝

      八木 彬(三菱重工エスト)渡邊一生(BBCスカイ)

 野手…川口翔大(聖カタリナ高・内)前田銀治(三島南高・外)

      福元悠真(大商大・外)大内信之介(JPアセット証券・内)

下位候補

(高校生)

 投手では、福島はセンバツでの好投が評価され、寺嶋は田村を押しのけてエースナンバーを背負った。代木は制球力とゲームメークに長け、井崎も同じクレバーな投手。

 野手は東出はプロ意識が強く、大化けを期待させる選手で、渡邊と西原は右の長距離砲。米山も佐藤輝2世と呼ばれるスラッガーで、阿部は小柄ながらパンチ力もあるスイッチヒッター

 投手…福島 蓮(八戸西高)永島田輝斗(立花学園高)寺嶋大希(愛工大名電高)

      代木大和(明徳義塾高)井崎燦志郎(福岡高)柳川大晟(九州国際大高)

 野手…味谷大誠(花咲徳栄高・捕)東出直也(小松大谷高・捕)

      前川誠太(敦賀気比高・内)渡辺大和(高野山高・内)

      阿部和広(平塚学園高・外)米山航平(市尼崎高・外)

      西原太一(宮崎商・外)

(大学生)

 投手はともにストレートに力のある選手で、権田は力強いボールで評価が高く、伊藤も伸びしろある本格派左腕で下位指名で獲得しても面白い選手。

 野手は一芸に秀でた選手をリストアップしてみた。大友は度肝を抜く強肩、安打製造機の野口はパンチ力もある、守備に定評のある峯村、長打力がセールスポイントの安田など、楽しみな選手が多い。

 投手…古屋敷匠真(法大)古田島成龍中央学院大)権田琉成(明星大)

      伊藤 綾(中京大

 野手…岩本久重(早大・捕)大友 宗(帝京大・捕)峯村貴希(日大・内)

      野口智哉(関大・内)安田悠馬(愛知大・外)

(社会人・独立L)

 人数は少ないが、石森は一時期1位指名もあると言われた本格派の左腕、鈴木は変則フォームから繰り出す150キロの速球派で、先発・リリーフともに適性がある。

 野手では、中川は強打の大型遊撃手で、水野は典型的な俊足巧打の内野手だが長打力もある。社会人3年目だが向山は、走攻守3拍子揃った貴重な右打ちで、外野の層を厚くする選手だ。

 投手…鈴木大貴(TDK)高田竜星(石川ミリオンスターズ

      石森大誠(火の国サラマンダー)

 野手…中川智裕(セガサミー・内)水野達稀(JR四国・内)

      向山基生(NTT東日本・外)

 

 今年もいよいよ、ドラフトのシーズンを迎えた。今年はどんなドラマが待ち受け、どのチームが成功するのか楽しみは尽きない。目玉選手がいない分、各チームの戦略が出るドラフトになると思う、

 紹介した100名以外にも有望な選手はまだまだおり、どの選手がどのユニフォームに袖を通すか楽しみで、運命の日が待ち遠しい。