2年振りに夏の甲子園大会が開催される。今年のドラフトは高校生投手が豊富の年と言われ、上位候補が揃っている。1位指名が予想されている森木大智(高知高)や小園健太(市和歌山高)、春のセンバツで評価を上げた達孝太(天理高)やセンバツ優勝の石田隼都(東海大相模高)などが地区予選で姿を消し、野手でも阪口楽(岐阜第一高)や吉野創士(昌平高)は、遂に甲子園でプレーを見ることは出来なかった。
ただ、夏の甲子園大会は、16年の今井達也(作新学院高→西武)や18年の吉田輝星(金足農高→日本ハム)など、大会前はほぼ無名だった選手や、15年のオコエ瑠偉(関東一高→楽天)も下位指名候補が大会を通して急成長して1位指名選手になるなど、一気に評価が変わる場でもある。今年もどんな熱戦が繰り広げられ、私たちの胸を熱くしてくれるか期待したい。
◆第1日
②新田(愛媛) vs 静岡(静岡)
③東明館(佐賀) vs 日本航空(山梨)
第1日には、静岡高の高須大雅(投手)が登場する。190センチの長身から,キレのある最速146キロを投げる右の本格派で、73年の準優勝以来の上位進出を狙う。開幕戦に登場する日大山形高の滝口琉偉(内野手)も、投手も務め前評判の高い選手だ。
◆第2日
②広島新庄(広島)vs 横浜(神奈川)
優勝候補の智弁学園や愛工大名電が、実力校の横浜が登場する第2日には、ドラフト候補選手が多数登場する。
優勝候補の智弁学園高の注目は、1年夏から名門校で4番を任されていた前川右京(外野手)で、大会屈指のスラッガー。パワーよりもむしろ技術で逆方向に長打が打て、主将で右の長距離砲の山下陽輔(内野手)とともに強力打線をけん引する。Wエースの西村王雅(投手)は最速148キロの左腕で、気迫を前面に打ち出した投球が持ち味。小畠一心(投手)は西村の後を受け継ぐ場面が多いが、完投能力もある注目の右腕。その智弁学園を迎える倉敷商高の永野司(投手)は、小柄ながらキレのある変化球を駆使し、打者と真っ向勝負の強心臓な左腕で、チームカラーの粘り強いディフェンスで金星を狙う。
第2試合に登場する広島新庄高の花田侑樹(投手)も注目の右腕。最速144キロながら、回転数抜群のノビのあるストレートと、精度の高いカットボールと落差の大きいフォークが武器で強力打線に挑む。横浜高の金井慎之介(投手)は、最速148キロの左腕だが、投手よりも打撃が評価されているチームの要で、強力横浜打線の主軸を担い、実力校同士の対決の試合に注目したい。
第4試合の愛工大名電高には3人の好投手が控える。寺嶋大希(投手)は最速147キロの伸びのあるストレートが武器の速球派で、野嵜健太(投手)は変化球も多彩なパワーピッチャー。左腕の田村俊介(投手・外野手)は最速140キロ後半のストレートを武器に1年生から主戦を任されており、加えて打者としての評価も高い。
◆第3日
①明桜(秋田) vs 帯広農(北北海道)
③神戸国際(兵庫)vs 北海(南北海道)
④小松大谷(石川)vs 高川学園(山口)
第3日には、今大会ナンバーワン投手のノースアジア大明桜高の風間球打(投手)が登場する。最速150キロを超える本格派右腕で、最後の夏に甲子園でその剛腕が披露される。地区大会では防御率0.69の圧倒的な数字を残しており、球速に目を奪われがちだが変化球の精度も高く、金農旋風の再来なるか、東北初の優勝に地元の期待が高まる。
第2試合は一回戦屈指の好カードで、強肩強打の県岐阜商高の高木翔斗(捕手)は、世代ナンバーワン捕手の攻守の要。完投能力の高い、注目のサウスポー野崎慎裕(投手)をリードする。森木に投げ勝った明徳義塾高の代木大和(投手)は、多彩な変化球とコントロールも良いタフネスな左腕で、非凡な打撃も注目されている。
第3試合のカードは春のセンバツの再戦になり、大会ナンバーワン左腕との呼び声も高い北海高の木村大成(投手)が雪辱のマウンドに立つ。落差の大きいスライダーとゲームメークに長けた投球術に加え、球速も150キロを超え、地区大会が今一つだっただけに甲子園で結果を残したい。昨秋のリードオフマンから、勝負強さで4番に座る宮下朝陽(内野手)も注目の選手だ。木村と投げ合った神戸国際大付高の阪上翔也(投手・外野手)は、今夏は打者としての出場が多く、木村vs阪上は注目の対戦になる。
◆第4日
①長崎商(長崎) vs 熊本工(熊本)
②専大松戸(千葉)vs 明豊(大分)
③阿南光(徳島) vs 沖縄尚学(沖縄)
センバツ準優勝の優勝候補の明豊高が第2試合に登場する。本格派右腕の京本真(投手)は、身長189センチから最速146キロの右の本格派に、左腕の太田虎次朗(投手)が控える。この総合力の高いチームに、専大松戸高のエース深沢鳳介(投手)が挑む。深沢はスリークオーターから最速144キロの投げる右腕で、両コーナーに投げ分ける制球力が評価されていおる。主軸の吉岡道泰(外野手)は勝負強い1番打者で、元々中軸を打った長打力もあり、明豊相手にどういった打撃を見せてくれるか楽しみだ。
第4試合に登場する盛岡大付高の松本龍哉(内野手)は、今大会で最多の高校通算64本塁打のスラッガーで、地区大会を圧倒した打線の主軸を担う。
◆第5日
②近江(滋賀) vs 日大東北(福島)
…ここから2回戦
③西日短大(福岡)vs 二松学舎(東東京)
④京都国際(京都)vs 前橋育英(群馬)
今年の大阪桐蔭高もタレントが揃っている。エースの松浦慶斗(投手)は最速150キロ左腕で、不本意だったセンバツの借りを返したい。地区大会での登板はなかったが関戸康介(投手)も150キロを超える逸材で、甲子園での再起を期待したい。打者では地区大会で打率6割超えの池田陵真(外野手)は、広角に打ち分ける打撃と、リーダーシップが高く評価され、宮下隼輔(内野手)も中学時代から大舞台を経験し、今年も投打の逸材が揃っている。その大阪桐蔭を迎え撃つ東海大菅生高のエースが左腕の本田峻也(投手)で、強力打線をどう封じ込むか注目したい。
第3試合に登場する二松学舎大付高の秋山正雲(二松学舎大付高)は、激戦の東東京大会をストレートとチェンジアップを軸に、内角を強気に攻めていく投球で相手チームを圧倒した左腕で、決勝では強打の関東一高が手も足も出なかった。打者としても評判の高く、一気に大会の主役に躍り出る可能性を秘めている。
第4試合には、走攻守三拍子揃った前橋育英高の皆川岳飛(外野手)に注目したい。群馬大会では3戦連発の本塁打を放ち、逆方向に力強く打てるパワーも兼ね備えている。
◆第6日
①智弁和歌山(和歌山)vs 宮崎商(宮崎)
③樟南(鹿児島) vs 三重(三重)
第一試合の智弁和歌山高も優勝候補の一角。エースの中西聖輝(投手)は、安定感のある投球で継投が勝ちパターンのチームの投手陣の大黒柱。名門校で1年から4番を打っている徳丸天晴(外野手)は、飛距離が魅力の右の長距離砲で伝統の強力打線を引っ張る。
◆第7日
今大会の優勝候補の筆頭は大阪桐蔭(大阪)と言われ、投打にタレントが揃っている智弁学園(奈良)と智弁和歌山(和歌山)、愛工大名電(愛知)、県岐阜商(岐阜)に、総合力の高い明豊(大分)と東海大菅生(西東京)、浦和学院(埼玉)の評価が高く、いきなり初戦で大阪桐蔭と東海大菅生が激突する。
好投手がいるノースアジア大明桜(秋田)や北海(南北海道)、二松学舎大付(東東京)も上位進出する地力を備えており、どのチームが全国制覇を成し遂げるか、夏のドラマに期待したい。
【今大会の注目選手5人】
①風間球打(ノースアジア大明桜高・投手)
②木村大成(北海高・投手)
③前川右京(智弁学園高・外野手)
④松浦慶斗(大阪桐蔭高・投手)
⑤高木翔斗(県岐阜商・捕手)