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どのチームが「人」を育て強くなるのか

この選手を獲れ!パ・リーグ編

 日本シリーズが終了し、今年はロッテから澤村拓一と松永昴大、西武の増田達至と熊代聖人、DeNAの井納翔一と梶谷隆幸、ヤクルトから小川泰弘の計7名がFA宣言をし、増田と熊代は宣言後チームに残留し、澤村は海外を含む、他の4選手は国内の移籍を含む交渉がスタートになった。

 また、巨人の菅野智之日本ハムの有原航平、西川遥輝は、ポスティングでMLBへの移籍を目指す。加えて12/7にトライアウトが開催され、翌日から交渉が可能になる。そこで、各チームの状況から補強に合った選手を挙げてみたい。題して「この選手を獲れ!」です。 

 ※( )は契約保留者+新入団選手、下記指名は自由契約選手(下線は育成契約)

 

ソフトバンク(61名+5名)

 ムーアが保留者名簿から外れたが、今シーズンの復調でMLB復帰が濃厚になっている。ただ、4連覇しているぶ厚い戦力をほこり補強を急ぐ必要はない。支配下人数も66名になり、育成選手の層も厚いために。あと1~2名くらいで終了になるだろう。

 強いて言えばムーアに代わる外国人の先発投手、甲斐野央と板東湧悟が肘の手術で来シーズンの復帰が難しいため、中継ぎの補強、内野の層を厚くするために控え野手の獲得くらいだろうか。

 中継ぎなら近藤弘樹(楽天)は速球に力があり、3年目という若さも魅力だ。野手は残念ながらホークスの現有戦力からは見当たらなかったが、楽天と交渉が難航しているロメロはなんかは、キューバナショナルチーム参加で離脱を余儀なくされるデスパイネやグラシアルがチームを離れたときにフィットすると思う。

・投手~加治屋蓮/吉住晴斗/ムーア/松田遼馬/バンデンハーク

・野手~内川聖一/西田哲朗/コラス

 

ロッテ(61名+5名)

 澤村と松永の2名のリリーバーがFA宣言したが、唐川侑己荻野貴司清田育宏の主力が揃って残留したのは大きかった。一方でチェン・ウェインの退団が決定し、ハーマンとの交渉が継続中のなか、チェン・グァンユウの退団も決まった。

 補強ポイントは、肘の手術で来シーズンも治療に専念する種市篤暉と西野勇士に代わる先発投手、今年苦労した右の長距離砲、また澤村と松永、ハーマンが残留するかしないかで、チームの編成が変わってくる。全員が残留すれば、現在4名しか決まっていない外国人選手の補強で終了しそうだ。

 先発投手ではアルバースオリックス)は不足する先発左腕、同じく今年は不振だったがジョンソン(広島)は狙い目だと思う。野手ではロメロ(楽天)は好不調の波は大きいが実績は十分、長打力はないがアルモンテ(中日)はアベレージヒッターで、ともにケガが多いのが気掛かりだが、今年の助っ人野手の状況を考えれば心強い。

 中継ぎの3名がチームを去ることになれば、松田遼馬(ソフトバンク)や村田透(日本ハム)は実績があり、左腕の宮台康平(日本ハム※ヤクルトが有力)や野田昇吾(西武)、変則右腕の田原誠次(巨人)などは強力リリーフ陣に厚みを持たせると思う。 

・投手~大谷智久/内 竜也/渡邊啓太/ハーマン/原 嵩/チェン・ウェイン

・野手~細川 亨/細谷 圭/三家和真

 

西武(58名+7名)

 増田の残留が決まりまずは一安心といったところで、あとはギャレットの残留がポイントだが、現状では難しそうだ。外国人選手がニールとメヒア、スパンジェンバーグの3名で、ギャレットが残留しても、投打にもう1~2枚は欲しいところで、そうなると補強の枠は意外に多くない。

 課題は先発投手と不足している左腕、野手の控えの層を厚くしたい。先発では故障の不安はあるがマルティネス(日本ハム)や宮國椋丞(巨人)は、十分に復活できると思うし、近藤弘樹(楽天)は若く将来性も備えている。日本ハムから吉川光夫をトレードで獲得したが、それでも不足気味でFAで松永昴大(ロッテ)や藤岡貴裕(巨人)などは貴重な戦力になると思う。

 野手ではレギュラーと控えの差が大きく、内野手なら石川雄洋(DeNA)や白崎浩之(オリックス)の打力はまだ衰えていないし、細谷圭(ロッテ)は外野も守れるユーティリティプレーヤー、捕手の補強で山下斐紹(楽天)も面白い。

・投手~多和田真三郎/野田昇吾/ギャレット/ノリン/相内 誠/藤田航生

・野手~水口大地/永江恭平/森越祐人

 

楽天(57名+6名)

 現在、ロメロとの交渉が難航し、外国人選手で残留が決まっているのがブセニッツと宋家豪のみで、外国人選手の獲得が優先になる。育成の池田隆英(投手)が支配下登録の予定で、外国人選手を5~6名とすると1~2名程度の余裕しかない。

 昨年、大型補強をしたが今年は動きが少ない。ともにFAの小川泰弘(ヤクルト)は不足の先発候補、松永昴大(ロッテ)は不足している左のリリーバーで、補強ポイントに合致しているが獲得の動きは現時点ではない。

 打線に問題はなく、先発・リリーフともに投手陣の補強が必要だ。先発候補は少ないが、松田遼馬(ソフトバンク)や左腕の藤岡貴裕(巨人)、経験豊富なベテラン内竜也(ロッテ)や近藤一樹(ヤクルト)にはもう一花咲かせてほしい。

・投手~近藤弘樹/シャギワ/青山浩二/DJジョンソン/渡邊佑樹/熊原健人

    由規/久保裕也

・野手~山下斐紹/渡辺直人/ロメロ/ブラッシュ/フェルナンド

 

日本ハム(58名+6名)

 正直、前途多難だ。有原航平と西川遥輝の主力が抜ければ、戦力ダウンは必至で、今シーズン以上の苦戦が予想される。有原と西川が抜けると63名で、あと2~3名は余裕がある。

 有原の流失に備えて小川泰弘(ヤクルト)の獲得を目指しているが、広い札幌ドームにフィットする投手で、是が非とも獲得したいところだ。また、新外国人選手で技巧派左腕のアーリンと長打力に期待がかかるロドリゲスを獲得している。

 とにかく投打に戦力が不足気味で、課題は山積している。投手は先発もリリーフどちらも欲しいい…。野手はもっと深刻で、ホームが広い球場といっても長打力不足は顕著で、西川が抜けると機動力もダウン、リーグワーストの失策で守備もダメ…と優先順位をつけて臨む必要がある。

 投手では大谷智久(ロッテ)は先発もリリーフもこなせるベテラン、東明大貴オリックス)は先発、リリーフで内竜也(ロッテ)は抱えても問題ないと思うし、風張蓮(ヤクルト)は大学時代を北海道で過ごした縁もある。野手では、白崎浩之(オリックス)も地元出身のスラッガー、長距離砲ではボーア(阪神)は、もう一シーズンくらいは見てみたい。機動力と守備力では永江恭平(西武)は、打撃に期待しなければ両方の課題を埋めてくれると思う。

・投手~浦野博司/マルティネス/村田 透/鈴木遼太郎/宮台康平/吉田侑樹

・野手~黒羽根利規/ビヤヌエバ/白村明弘/姫野優也

 

オリックス(55名+6名)

 黒木優太と山崎颯一郎の両投手の支配下登録と、コーチ兼任だが能見篤史阪神)の入団が決まり、現時点で64名になる。外国人選手は4名で、投打に1名の補強で済みそうで、あと2~3名は余裕がある。2年連続最下位で課題は多いが、着実に駒は揃ってきており、ピンポイントで補強を進めたい。

 投手では左腕が不足気味だが、大学~社会人を関西で過ごした松永昴大(ロッテ)への興味はないようだ。チームは即戦力より若手育成に舵を取っており、近藤弘樹(楽天)や藤井皓哉(広島)は25歳と若く、獲得しても面白いかもしれない。

 野手では捕手と三塁手、外野手の層を厚くしたい。捕手では山下斐紹(楽天)に黒羽根利規(日本ハム)は守備に定評があり、内野ならどこでも守れる西田哲朗(ソフトバンク)や藤井亮太(ヤクルト)、外野では田代飛翔(ソフトバンク育成)あたりはチームにフィットするように思える。

 投手~近藤大亮/東明大貴/アルバース/左澤 優

 野手~飯田大祐/山崎勝己/白崎浩之/小島脩平/ロドリゲス/西浦颯大

    松井佑介/根本 薫