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どのチームが「人」を育て強くなるのか

20年パ・リーグの退団選手~最多はソフトバンクと楽天、最小は千葉ロッテ

 選手の現況は11/19時点のもので、選手名の横の年数は指名年度、〇の数字は指名順位。※の選手は育成契約の選手です。

 

福岡ソフトバンクホークス(14名)

 日本シリーズで巨人に圧勝して、パ・リーグ初の4連覇を決めた翌日に3選手が加わり、13選手が戦力外通告を受けた。吉住と田代が育成契約を打診されているが、吉住は態度を保留、田代は自由契約選手を選択しトライアウト受験を決めた。内川は他球団へ移籍、松田遼と加治屋も現役続行を表明し、ホークスの強力投手陣からはじき出されたよう格好で、他球団からのオファーは十分に可能性はある。このほかに堀内と大本がトライアウトに向け準備をしている。

 驚きは内川の退団だろう。FAで横浜より移籍し、セ・パ両リーグで首位打者を獲得し、主力中の主力としてホークスを支えた。今年は故障もなく、ファームでも打率.327の好成績を残しており、39歳とは言えまだまだやれる。ヤクルト移籍が有力視され、10年振りにセ・リーグで内川が見られるかもしれない。

 17年のドラフト1位の吉住は、1位指名も驚きだったが、3年で戦力外(育成契約打診も保留)も驚きで、今年は2軍でも登板がなかった。育成の田代は昨年、ファームで打率3割を超え支配下目前だったが、育成契約継続を打診され、自由契約を選んだ。昨年同様の理由で退団し、ヤクルトで44試合に登板した長谷川宙輝の活躍が刺激になったのかもしれない。

 支配下選手63名に、今年のドラフトではすべて高校生で5名(投手②/捕手①/内野手①/外野手①)を指名し、現状68名で支配下ギリギリだ。6名いる外国人選手(バレンティンを除く)ではサファテとバンデンハークの去就が微妙で、長谷川がFA行使を検討しているが、更なる戦力外やトレードで2~3名程度は空けておく必要があり、まだ動きがまだありそうだ。

 投 手…松田遼馬(11年/神⑤)加治屋蓮(13年/①)吉住晴斗(17年/①)

       ※小澤怜史(15年/②)※野沢佑斗(15年/育成①)※渡辺健史(15年/育⑤)

 捕 手…※堀内汰門(14年/育④)

 内野手内川聖一(00年/横①)西田哲朗(09年/楽②)※古沢勝吾(14年③)

 外野手…※大本将吾(16年/育①)※田代飛翔(16年/育③)※清水陸哉(16年/育⑤)

       ※日暮矢麻人(17年/育⑤)

【予想背番号】

 ①井上/22 ②笹川/26 ③牧原巧/43 ④川原田/46 ⑤田上/70

 

千葉ロッテマリーンズ(8名)

 若手の活躍もあり、07年以来の2位で終えたロッテ。戦力外の顔ぶれを見ても驚きはなく、細川が引退を決め、内と大谷、渡邊が現役続行を希望し、原は育成契約を打診されており、この他の選手の去就は未定だ。ただ、内も大谷も実績は十分だが、ともに35歳でハードルは高いだろう。

 内ほど、“”たら、れば”の選手もいないだろう。1年目からファームで最優秀救援投手に輝き、誰もがクローザー誕生を予感したが、右肩に右肘、右足首と再三の故障に見舞われた。17~18年のシーズンで42セーブを上げ、クローザーとして活躍したものの、昨年また右肘を手術し一軍登板はなかった。まさしくケガさえなければの好投手だった。

 支配下選手は63名で、今年指名した5名(投手③/内野手①/外野手①)を加えて68名になった。ただ、今年のロッテはこれからが大変で、今年の強力リリーフ陣を形成した唐川と澤村に加え、貴重な左のリリーバー松永、ベテランの荻野貴と清田がFAを検討している。ハーマンやチェン・ウェインフローレスも残留は決まっておらず、最悪の場合、益田のみを残してリリーフ陣の再編成が迫られるかもしれない。

 当然、全員の残留交渉が最優先する一方、戦力強化のために更なる補強も検討している。仮に全員の残留が決まれば、支配下枠は1名しなかなく、育成選手の左腕・本前の評価が高く支配下目前で、あと3~4名ほどは空けておく必要があり、まだ動きがありそうだ。

 投 手…内 竜也(03年/①)大谷智久(09年/②)原  嵩(15年/⑤)

       渡邊啓太(17年/⑤)※鎌田光津希(18年/育①)

 捕 手…細川 亨(01年/西自)

 内野手…細谷 圭(05年/高④)

 外野手…三家和真(11年/広育④)

【予想背番号】

 ①鈴木/21 ②中森/55 ③小川/35 ④河村/56 ⑤西川/61

 

埼玉西武ライオンズ(9名)

 現役引退は3名で、相内は相次ぐトラブルで球団も遂に見切りをつけ、藤田はイップスに陥り引退を決めた。クローザーとして通算52セーブの高橋朋は、故障で育成契約となったが、遂に復活することなくアカデミーコーチでチームに残る。18年最多勝の多和田は病気療養のため育成契約、野田がトライアウト受験を表明している。

 正直、野田以外は驚きがなかったが、永江は残念だった。16年に源田が遊撃手の定位置を掴むまでは、西武の遊撃はレギュラー不在で、永江は候補の一番手だった。堅実な守備に俊足を誇ったが、通算打率.153となんせ打てなさ過ぎた…。源田入団以降、出場試合数が激減し、何度もチャンスを与えられるはずもなく無念の戦力外になった。

 支配下選手は59名で、今ドラフトで最多の7名(投手②/内野手③/外野手②)を指名し66名になり、戦力外通告もほぼ終わったと言える。毎年、恒例しつつあるFA移籍では、クローザーの増田が態度を表明しておらず、今年負けなしの絶対的な守護神だけに全力で慰留したい。外国人選手ではノリンのみ残留が微妙で、FAでの選手獲得も名前が挙がっていないが、左腕の先発候補で日本ハムの吉川を獲得し、補強はトレードや外国人選手が中心になりそうだ。

 投 手…相内 誠(12年/②)多和田真三郎(15年/①)野田昇吾(15年/③)

       國場 翼(15年/⑧)藤田航生(16年/⑦)※高橋朋己(12年/④)

 捕 手…なし

 内野手永江恭平(11年④)森越祐人(10年/中④)水口大地(12年/育①)

 外野手…なし

【予想背番号】

 ①渡部/8 ②佐々木/23 ③山村/32 ④若林/0 ⑤大曲/57 

 ⑥ブランドン/59 ⑦仲三河/67 ※吉川/41

      

東北楽天ゴールデンイーグルス(14名)

 昨年はリーグ最多の17名、今年も現段階でリーグ最多の14名がチームを去る。久保が2軍投手コーチ、渡邊直は一軍打撃コーチに就任し、渡邊佑は育成契約を打診されている。わずか3年でクビになった近藤、2度目の戦力外を受けた由規が現役続行を希望し、近藤はトライアウト受験を表明している。

 昨年も後味の良くない戦力外になったが、今年も同じだった…。青山は通算15年で625試合で45セーブ、159ホールドの功労者で、昨年の嶋同様にもう少し上手いやり方があっただろう。結果、青山は引退を決めたが、これほどの実績を残した生え抜きの選手が公式戦で引退試合もなく、チームを去るのは寂しい限りだ。近藤も驚きで、17試合登板で未勝利で結果は出ていないが、即戦力のドラ1が大きなケガがあった訳でもないのに3年で戦力外は首を捻ってしまう。

 支配下選手は61名で、今ドラフトで6名(投手⑤/内野手①)を加え、支配下は67名になった。塩見や島内、岡島のFA取得選手も残留を決め、今年はFA選手の獲得はしないが、もう1~2名は空けておきたい。外国人選手ではブラッシュの去就が不明のなか、新外国人選手で右の大砲ディクソンを獲得した。

 投 手…久保裕也(02年/巨自)由規(07年/ヤ高①)熊原健人(15年/横②)

       近藤弘樹(17年/①)渡辺佑樹(17年/④)青山浩二(05年/大社③)

     ※木村敏(16年/育④)

 捕 手…山下斐紹(10年/ソ①)

 内野手渡辺直人(05年/大社⑤)※南 要輔(16年/育②)

       ※松本京志郎(17年育②)

 外野手…フェルナンド(14年/④)※耀飛(17年/⑤)※中村和希(17年/育③)

【予想背番号】
 ①早川/26 ②高田/12 ③藤井/47 ④内間/40 ⑤入江/50 ⑥内/63

      

 北海道日本ハムファイターズ(9名)

 戦力外通告は7名で、浦野と白村は現役引退。吉田侑と黒羽根は現役続行を希望し、鈴木遼と宮台、姫野は育成契約を打診されている。また、吉川は西武へ金銭トレードされ、現在、支配下登録選手は59名で、ドラフト指名6名(投手②/捕手①/内野手①/外野手②)を加えてようやく65名になった。

 申し訳ないが、吉田侑や姫野あたりの戦力外を判断するのに、随分と時間がかかったなというのが正直な感想である。エースの有原と主力の西川がポスティングでのMLB挑戦を表明し、2年連続5位に沈み、チーム再建が必要のなか、スピードを上げて対応していかないところを、何をモタモタしていたのかと思う。

 育成の日ハムも最近は若手が伸び悩み、元々FA獲得には消極的なチームで、外国人選手もバーヘイゲンとロドリゲス以外は未定等々、来年に向けてのスタート遅れは否めない。歴代チーム最長の10年目を迎える栗山監督。昨年は「鬼になる」と言い、今年は「情を捨てる」と言う。今後、その言葉がどう結果として出るか注目したい。

 投 手…浦野博司(13年/②)吉田侑樹(15年/⑦)鈴木遼太郎(17年/⑥)

       宮台康平(17年/⑦)

 捕 手…黒羽根利規(05年/横高③)

 内野手…なし

 外野手…白村明弘(13年/⑥)姫野優也(15年/⑧)

 外国人…マルティネス(投手)ビヤヌエバ内野手

【予想背番号】
 ①伊藤/17 ②五十幡/52 ③古川/43 ④細川/50 ⑤根本/56 ⑥今川/44

 

オリックスバファローズ(11名)

 戦力外通告支配下登録10名と育成契約1名の11名で、チームを支えた山崎と小島、松井佑が引退を決めた。東明と白崎が現役続行を模索しており、白崎は貴重な右の長距離砲で、欲しがるチームはあるかもしれない。近藤と西浦はオフに手術を要するため、一旦は育成契約になる。特に西浦は「特発性大腿骨頭壊死症」をいう国が指定する特定疾患の難病で、簡単に口に出せる病気ではないが、病に打ち勝ち元気な姿で戻ってきてほしい。

 チームを去る選手に思いで深い選手が多い。試合中に打球を顔面に受け前歯を折りながらマスクを被り続けた山崎、内外野守れたユーティリティプレーヤーの小島、松井佑も中日から移籍後よく打った。子連れルーキーで話題になった飯田などは、密かに応援していたが、在籍4年で1本のヒットも打つことも出来なかった。

 支配下選手は59名で、今ドラフトの6名(投手③/捕手①/外野手②)を加えても64名と、戦力外はほぼ終わったと言える。外国人選手もアルバースとロドリゲスが残留微妙だが、ここは新外国人2名での穴埋めになる。阪神の能見獲得に興味を示すなど、昨年もFAには参戦していないが、ドラフトが育成主体になっていることを鑑みれば、今年はFAで戦力の底上げが必要だと思う。

 投 手…東明大貴(13年/②)近藤大亮(15年/②)左澤 優(18年/⑥)

 捕 手…山崎勝己(11年/横②)飯田大祐(16年⑦)

 内野手…白崎浩之(12年/横①)小島脩平(11年/⑦)※比屋根彰人(17年/育③)

 外野手…松井佑介(09年/中④)根本 薫(16年/⑨)西浦颯大(17年/⑥)

【予想背番号】
 ①山下/12 ②元/37 ③来田/38 ④中川颯 /45 ⑤中川拓/62 ⑥阿部/56