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どのチームが「人」を育て強くなるのか

セ・リーグの退団選手~最多は広島、最小は中日

 選手の現況は11/5時点のもので、選手名の横の年数は指名年度で、〇の数字は指名順位。※の選手は育成契約の選手です。

 

読売ジャイアンツ(10名)

 シーズン途中退団の上原を含め、阿部とマシソンが引退する。阿部はそのまま2軍監督に就任し、将来の幹部候補の道を歩み始めた。谷岡は育成契約を打診され、森福は現役続行を希望しているが、他の選手の去就は未定だ。

 意外だったのは坂本工で、今シーズンに育成から支配下契約され、これからかなと思ったところでの戦力外で驚いた。また、いつの間にか外国人選手が増えて9名もおり、既に自由契約公示された3名のほかに、クックとヤングマンの両投手、ビヤヌエバの退団が濃厚で一気に6名も去る事態になりそうだ。

 支配下選手61名に、今ドラフトで6名(投手③/捕手①/内野手①/外野手①)を指名し67名。FAで美馬と鈴木の獲得を目指しているが、獲得しても人的補償が発生するので人数は変わらない。FAも大事だが、外国人選手の補強もポイントになる。

 投 手…上原浩治(98年/①)森福允彦(06年/大社④)坂本工宜(16年/育④)

     谷岡竜平(16年/③)※山下亜門(14年/ソ育③)

 捕 手…阿部慎之介(00年/①)

 内野手…※田島洸成(15年/育④)

 外野手…なし

 外国人…マシソン(投手)アダメス(投手)マルティネス(内野手

【予想背番号】

 ①堀田/13 ②太田/20 ③菊田/33 ④井上/39 ⑤山瀬/40 ⑥伊藤/58 

 

★横浜D℮NAベイスターズ(12名)

 退団する選手の半数の田村、水野、西森、中川、狩野、青柳が引退する。現役続行を表明している選手はいなく、残りは去就が未定だ。また、主砲の筒香がポスティングでのメジャー移籍を表明している。

 ロッテを自由契約になり、マイナーから這い上がってきた中後、楽天自由契約になり再起を目指した中川、ケガで育成契約になり、満足なプロ生活をおくれなかった水野など、それぞれにドラマがあり感慨深い選手が並る。ただ、綾部のような残念な退団は勘弁してほしい…。

 筒香を除いた支配下選手は58名で、今年のドラフトで7名(投手③/捕手①/内野手②/外野手①)を指名し65名になる。FAには参戦しないが、不足する遊撃手で鳥谷獲得の可能性もあり、さらに外国人選手1~2名ほどの補強でオフは終了しそうだ。

 投 手…中後悠平(11年/ロ②)寺田光輝(17年/⑥)田村 丈(15年/育③)

     綾部 翔(15年/⑤)※水野滉也(16年/②)

 捕 手…西森将司(11年/育②)

 内野手中川大志(08年/楽②)狩野行寿(16年⑦)松尾大河(16年③)

 外野手…青柳昴樹(15年/⑥)

 外国人…ソリス(投手)バリオス(投手)

【予想背番号】※森は決定
 ① 森 /6 ②坂本/13 ③伊勢/36 ④東妻/45 ⑤田部/57 ⑥蝦名/54 ⑦浅田/61

     

阪神タイガース(10名)

 今年は多くのベテランがチームを去る。歳内と横田以外はすべて30歳代で、メッセンジャーと高橋、横田が引退し、山崎はスコアラーに転身する。鳥谷と森越が現役続行を希望しており、他の選手の去就は不明だ。

 恒例と言えばそれまでだが、今年もオフもお家騒動は健在で、生え抜きの鳥谷へ引退勧告をしたが、鳥谷は拒否し結果自由契約になった。鳥谷のキャリアを考えれば、自分で引退を決められる実績のある選手で、同い年の糸井をはじめ、藤川や能見、福留が残るなか若返りも理由にはならず、本当に阪神は何を考えているのか分からない。

 もう一人は横田で、24歳と若く、将来を嘱望されたが病気の治療のために引退を決めた。引退会見の号泣は本当に悔しさが溢れ、観ていて言葉がなかった。

 支配下選手は62名で、今ドラフトの6名(投手③/捕手①/内野手①/外野手①)を加え、支配下は67名になった。現時点で外国人選手が5名もナバーロは退団濃厚で、外国人野手は最低でも2名は必要だ。FAに参戦しない意向だが、支配下人数に余裕がなく、現有戦力の底上げに頼らざるを得ない。 

 投 手…高橋聡文(01年/中⑧)岡本洋介(09年/西⑥)歳内宏明(11年/②)

 捕 手…小宮山慎二(03年/⑤)

 内野手…鳥谷 敬(03年/自由枠)山崎憲晴(08年/横③)森越祐人(10年/中④)

 外野手…※横田慎太郎(13年/②)

 外国人…メッセンジャー(投手)ソラーテ(内野手

【予想背番号】
 ①西純/15 ②井上/24 ③及川/32 ④遠藤/37 ⑤藤田/59 ⑥小川/41

      

広島東洋カープ(14名)

 退団選手の半分が引退を決め、永川と赤松はそれぞれ2軍コーチに就任し、岩本と船越、庄司は引退、横山と長井は現役続行を希望している。広島と言えば、毎年FAでの主力流失の心配があり、菊池涼のポスティングの可能性はあるが、今年はFA移籍の可能性があった野村、曾澤、長野がいずれも残留し、まずは一安心だろう。

 ベテランの永川は晩年ケガに苦しみ、赤松は病魔と戦った。ベテランが力を使い果たし引退を決断した反面、伸びしろがないと判断された選手は、ドラフト順位や在籍年数に関係なくクビを切られる。温情と非情、ストイックな球団運営を改めて感じた戦力外通告になった。

 支配下選手は58名で、今年指名した6名(投手③/捕手①/内野手①/外野手①)に、新外国人選手のジョンソン(投手)とピレラ(外野手)を加えて66名になった。外国人選手も7名になり、オフの補強も残すところトレードとトライアウトのみになりそうだ。 

 投 手…永川勝浩(02年/自由枠)飯田哲矢(14年/⑥)横山弘樹(15年/②)

     長井良太(16年/⑥)※岡林飛翔(17年/育①)

 捕 手…船越涼太(15年/④)

 内野手庄司隼人(09年/④)※木村聡司(14年/育②)

 外野手…赤松真人(04年/神⑥)岩本貴裕(08年/①)

 外国人…レグナルト(投手)ヘルウェグ(投手)ローレンス(投手)

     サンタナ内野手

【予想背番号】
 ①森下/20 ②宇草/10 ③鈴木寛/38 ④韮澤/52 ⑤石原/39 ⑥玉村/54

 

中日ドラゴンズ(5名)

 戦力外通告は12球団で最も少ない5名で、武山のみ引退を表明し2軍コーチに就任する。杉山と近藤は現役続行を希望し、一度は引退を表明した亀澤も現役へ意欲を見せている。投手ではまだ一人でも戦力外になってはいないが、松坂大輔の退団が決定的だ。

 今年は戦力外通告のほかに外国人選手の去就が心配だ。森シニアディレクターの退団により、築いてきた外国人獲得ルートも失われた。複数年契約しているビシエドは問題ないが、先発のロメロとロドリゲス、中継ぎのマルティネスは他球団から動向が注視され、巧打者のアルモンテなど、いずれも力のある選手なので残留交渉がオフの重要な課題になる。

 支配下選手は61名で、今年指名した6名(投手④/捕手①/内野手①)を加え67名。今年はFAに参戦の方向で、鈴木と福田の獲得に乗り出すが、仮に2人とも獲得できれば68名で支配下に余裕がなさすぎる。FAやトレード、外国人選手補強など課題の多いオフになりそうだ。 

 投 手…なし

 捕 手…武山真吾(02年/横⑩)杉山翔太(12年/④)

 内野手亀澤恭平(11年/ソ育②)

 外野手…友永翔太(14年/③)近藤弘基(14年/育④)

【予想背番号】
 ①石川/2 ②橋本/45 ③岡野/39 ④郡司/53 ⑤岡林/62 ⑥竹内/67

 

東京ヤクルトスワローズ(11名)

 12球団で最も平均年齢の高いチームだけあって、大ベテランの館山、寺原、畠山、三輪が引退し、館山は楽天で、畠山はチームに残り2軍コーチに就任する。同じベテランの大引は現役にこだわり退団し、村中と岩橋、沼田も現役続行を表明している。

 残念だったのは村中で、一時期はエース格として通算46勝を上げるも、直近3年間は未勝利でチームを去る。古くは荒木大輔に始まり、最近では増渕竜義(06年)、佐藤由規(07年・現楽天)、赤川克紀(08年)など、ヤクルトの高校生1位投手は、早い時期に活躍するが、その後20代前半でケガや不振に見舞われ、長くエースをはれない状況が続いている。奥川には、二の舞にならないよう願いたい。

 支配下選手は57名で、今ドラフトの6名(投手④/内野手②)を加えても63名と少ない。今年は既にメジャーでも屈指の守備力をほこる遊撃手のエスコバーを獲得し、FAでは美馬と福田、楽天自由契約になった嶋や今野の獲得に乗り出すなど、上手く進めばオフの主役になる可能性がある。

 投 手…館山昌平(02年/③)寺原隼人(01年/ダ①)村中恭平(05年/高①)

     岩橋慶侍(13年/④)沼田拓巳(17年/⑧)屋宜照悟(12年/日⑥)

 捕 手…山川晃司(14年/③)

 内野手畠山和洋(00年/⑤)大引啓次(06年/大社オ③)三輪正義(07年/大社⑥)

 外野手…なし

【予想背番号】
 ①奥川/11 ②吉田大/21 ③杉山/35 ④大西/43 ⑤長岡/44 ⑥武岡/58

 

 最後に、FAは十亀剣(西武・投手)、秋山翔吾(西武・外野手)、福田秀平(ソフトバンク・外野手)、則本昴大・美馬学楽天・投手)鈴木大地(ロッテ・内野手)の奇しくもパ・リーグから6名宣言し、十亀と則本は宣言したうえでチームに残留する。

 秋山はメジャー移籍を目指し、福田には西武、中日、ヤクルト、ロッテ。美馬には巨人、ヤクルト、ロッテの3球団、鈴木には巨人、中日、楽天が獲得に名乗りを上げており、彼らが来季残るのか、それとも移籍するのか、その場合の人的補償選手は誰になるがで、戦力の陣容が変わるので期待して見てみたい。

 巨人の原監督が、FA移籍での人的補償は廃止すべきなど、とんでもない発言をしたが、それはまた別の機会で。