ドラフトを知ると野球がもっと楽しくなる

どのチームが「人」を育て強くなるのか

パ・リーグの退団選手~最多は楽天、最小はロッテ

 選手の現況は10/31時点のもので、選手名の横の年数は指名年度で、〇の数字は指名順位。※の選手は育成契約の選手です。

 

埼玉西武ライオンズ(13名)

 現役引退は5名で、大石と中田はチームスタッフとして残り、南川と斎藤彰は未定、星は楽天へコーチとして移籍することが決まった。そのほかの選手は、金子一のみ去就不明だが、残りの選手は現役続行を希望している。

 このなかで残念だったのは、やはり大石だろう。6球団競合のなか獲得し、西武はこれで10年はクローザーに困らないと思った。ただ、入団後に先発転向を命じられ、その剛腕を思う存分に披露することなく、結局は中継ぎで通算130試合5勝でセーブなしの不本意な結果だった。

 支配下選手は55名に、今ドラフトで最多の8名(投手⑤/捕手①/内野手①/外野手①)を指名し63名になった。ただ、秋山がFAでメジャー挑戦を表明、メヒアにも移籍の可能性があり、外国人選手の補強含めまだまだオフに動きがありそうだ。

 投 手…大石達也(10年/①)高木勇人(14年/巨③)小石浄孝(11年/②)

     寥 任磊(16年/⑦)南川忠亮(15年/④)松本直晃(15年/⑩)

 捕 手…中田祥多(07年/高⑥)※星 孝典(04年/巨⑥)

 内野手…金子一輝(13年/④)

 外野手…斎藤彰吾(07年/高⑦)

 外国人…マーティン(投手)カスティーヨ(投手)郭俊麟(投手)

【予想背番号】

 ①宮川/15 ②浜屋/47 ③松岡/29 ④川野/56 ⑤柘植/50 ⑥井上/59

 ⑦上間/64 ⑧  岸 /66

 

福岡ソフトバンクホークス(10名)

 江川と美間、育成の島袋が現役引退を決めた。堀内は再度、育成選手への打診を受け、張本以外は現役続行を希望している。また、ベテランの中田賢一阪神へ無償トレードが決まった。

 甲子園春夏連覇興南高のエース島袋は、その年のドラフト上位候補だったが大学へ進学。ただ、大学ではイップスに悩み、何とか5位で入団したが、かつての輝きを取り戻すことができず、プロでもわずか2試合の登板で去ることになった。

 支配下選手62名に、今年のドラフトでは野手中心に5名(投手①/捕手①/内野手②/外野手①)を指名し67名になった。福田がFA宣言をし移籍濃厚だが、同じ外野手で育成の田代飛翔が好成績を残し支配下目前でカバーできる。外国人選手が9名と多く、スアレスは退団濃厚、ミランダとバンデンハークも去就不明だがそれでも6名おり、補強しても1~2名で、オフの補強はほぼ終了したと言える。 

 投 手…岡本 健(13年/③)※笠原大芽(12年/⑤)※島袋洋奨(14年/⑤)

     ※中村 晟(15年/育④)

 捕 手…市川友也(09年/巨④)堀内汰門(15年/育④)※張本優大(13年/育④)

 内野手…美間優槻(12年/広⑤)

 外野手…江川智晃(04年/①)塚田正義(11年/③)

【予想背番号】
 ①佐藤/3 ②海野/30 ③津森/32 ④小林/43 ⑤柳町/39

     

東北楽天ゴールデンイーグルス(17名)

 今オフ最多の17名を数えた楽天、そのうち引退は今江のみで2軍の育成コーチに就任した。福山と森、池田、西巻、耀飛の5名が育成契約を打診されたが、福山と西巻は難色を示している。育成の4選手以外は、現役続行を希望している。

 今回の戦力外通告はいささか後味が良くない…嶋は楽天の看板選手で最大の功労者の一人。確かに力の衰えはあるが、もう少し上手いやり方があっただろう。育成から這い上がり、今年プロ初勝利を上げた24歳の今野、西巻は来季3年目の20歳である。昨年の最下位から3位に浮上したチームとは思えない厳しいオフになった。

 支配下選手13名の減で57名に、今ドラフトの7名(投手③/捕手①/内野手②/外野手①)を加え、支配下は64名になった。美馬のFA移籍濃厚だが、人的補償があり選手数は減らず、まだ人数に余裕があり、オフの主役になりそうな気配がする。 

 投 手…森 雄大(12年/①)池田隆英(16年/②)福山博之(10年/横⑥)

     戸村健次(09年/①)西宮悠介(13年/⑤)今野龍太(13年/⑨)

    ※野元浩輝(16年/⑦)※鶴田圭祐(16年/⑥)※井出亮太郎(17年/育①)

 捕 手…嶋 基宏(06年/大社③)

 内野手…今江年晶(01年/③)西巻賢二(17年/⑥)※山田大樹(15年/育②)

 外野手…島井寛仁(12年/⑤)橋本 到(08年/巨④)耀飛(17年/⑤)

     八百板卓丸(14年/育①)

【予想背番号】
 ①小深田/8 ②黒川/24 ③津留崎/22 ④武藤/50 ⑤福森/38 ⑥瀧中/30 ⑦水上/57

      

千葉ロッテマリーンズ(9名)

 引退は3名で、福浦と伊志嶺はコーチとして、阿部はチームスタッフとして球団に残る。ケガで治療中の大嶺と高濱、島が育成契約を打診されている。関谷と大木の去就が未定で、李は現役続行を希望している。

 幕張の安打製造機の福浦は、指名順位7位で、93年のドラフトで一番最後に指名された選手だ。同期の高校生には松井稼頭央(西武)大村直之近鉄平井正史オリックス岡島秀樹(巨人)がおり、いかに福浦が長く第一線で活躍したのが分かる。ドラフトは順位がすべてないことを、福浦が証明している。

 支配下選手は61名で、今年指名した5名(投手②/捕手①/内野手①/外野手①)を加えて66名になった。ただ、鈴木がFAで去就未定、7名の外国人のうちレイビンとバルガスは退団濃厚、育成では茶谷健太が結果を残している。また、FAした美馬や福田、自由契約の嶋の獲得にも関心を示しており、活発なオフになりそうだ。 

 投 手…関谷亮太(15年/②)阿部和成(07年/高④)大嶺祐太(06年/高①)

     島 孝明(16年/③)

 内野手福浦和也(93年/⑦)高濱卓也(07年/神①)李 杜軒(06年/ソ高④)

     大木貴将(15年/育①)

 外野手…伊志嶺翔太(10年/①)

【予想背番号】
 ①佐々木朗/16 ②佐藤/30 ③高部/32 ④横山/40 ⑤福田/38

 

北海道日本ハムファイターズ(12名)

 現役引退はベテランの2名で、田中は未定だが、實松は巨人のコーチに就任する。高山と高濱は育成契約を打診され、森山以外は現役続行を希望し、新たに育成の森本の退団が決まった。

 今年の戦力外を見ても不思議と驚きはない。ある意味きちんと育成し、それなりにチャンスを与えたが、残念ながら結果を出せなかった選手で、「まぁ、妥当だよな」と思わせるのは、チームとして人材サイクルが出来上がっている証拠だと思う。

 支配下選手は58名で、今年指名した7名(投手④/捕手①/内野手①/外野手①)を加え65名。今年もFAには参戦せず、退団した外国人選手分を補充し、オフの補強は終わりそうだ。ただ、得意のトレードで、アッと驚かせてくれるかもしれない。 

 投 手…中村 勝(09年/①)田中豊樹(15年/⑤)立田将太(14年/⑥)

     高山優希(16年/⑤)

 捕 手…實松一成(98年/①)

 内野手田中賢介(99年/②)高濱祐仁(14年/⑦)※森本龍弥(12年/②)

 外野手…森山恵佑(16年/④)岸里亮佑(13年/⑦)

 外国人…ハンコック(投手)バーベイト(投手)

【予想背番号】
 ①河野/28 ②立野/33 ③上野/36 ④鈴木健/47 ⑤望月/48 ⑥梅林/44 ⑦片岡/53

 

オリックスバファローズ(11名)

 岸田と鈴木が引退を表明し、ともに2軍のコーチに就任する。ケガで治療中の黒木と山崎が育成契約を打診され、岡崎は育成契約になった。同じ育成契約でも、黒木の晴れ晴れとした表情が印象的で、楽天との差は何だろうと考えてしまう。青山と高城、宮崎が現役続行を希望しているが、他の選手は未定だ。

 かつてのロッテのエース成瀬は、昨年のヤクルトに続き2年続けて戦力外通告、岩本も阪神から戦力外を受け、独立リーグからNPBに復帰した苦労人。ケガからの復活を目指していた塚原など、まだ見てみたい選手が多く寂しさを感じる。

 支配下選手は60名で、今ドラフトの5名(投手③/内野手②)を加え65名になる。今年はFAには参戦せず、現有戦力の強化に努めるようだが、育成の漆原大晟は2軍のセーブ王で支配下目前、高城の退団で捕手が5名と少なく補強が必要で、選手枠に余裕がなく、参加したくても参加できないのが本音なのかもしれない。 

 投 手…岸田 護(05年/大社③)成瀬善久(03年/ロ⑥)青山大起(15年/④)

     岩本 輝(10年/神④)黒木優太(16年/②)山崎颯一郎(16年/⑥)

     ※塚原領平(10年/④)

 捕 手…高城俊人(11年/横②)

 内野手…鈴木昴平(15年/⑦)岡崎大輔(16年/③)

 外野手…宮崎祐樹(10年/③)

【予想背番号】
 ①宮城/11 ②紅林/24 ③村西/22 ④ 前 /43 ⑤勝俣/40