ドラフトを知ると野球がもっと楽しくなる

どのチームが「人」を育て強くなるのか

18年ドラフト指名選手の現在地(上)

 いよいよ100試合を超え、ペナントレースも佳境に入ってきた。ドラフトはチームとして成果が出るには、10年は掛かるので、現段階で成否を判断するものではないが、今年のルーキーたちの現在地を見てみよう。

 

●評価の高かった、中日、日本ハム、ロッテのドラフト

 昨年、ドラフト成功の評価をした3球団。中日と日本ハムは育成重視の未来型で、日本ハムは指名順位が秀逸だった。

 注目の高かった中日1位の根尾昂大阪桐蔭高・内野手)は、高卒なので当然といえば当然なのだが、ここまで苦労するとは思わなかった。もしかしたら87年1位の立浪のように、高卒レギュラーの期待も抱かせたが、ファームでも打率.182はリーグ最下位で、期待値からすると意外だった。2位の梅津晃大東洋大・投手)はファームで3勝を上げ、防御率も2.05で一軍登板が見られそうだ。

 一軍出場した3位の勝野昌慶三菱自動車名古屋・投手)は、チーム防御率が決して高くないチームで、3試合登板は即戦力としては物足りない。驚いたのは4位の石𣘺康太関東一高・捕手)で、難しいポジションで初安打・初打点は見事だった。

 ※その他 5位~垣越建伸(山梨学院高・投手)6位~滝野 要(大商大・外野手)

 

 日本ハム1位の吉田輝星(金足農・投手)は、2試合に先発し、プロ初勝利も上げ、先発陣が不足するチーム事情のなか、再度昇格が期待できる。3位の生田目翼日本通運・投手)も、一試合に先発したが結果を残すことができなかった。

 野手の一軍出場はないが、2位の野村佑希花咲徳栄高・内野手)はファームで規定打席(.216)に達している。その野村以上に期待できるのが、4位の万波中正(横浜高・外野手)で、ファームで10本塁打を放っており、スラッガーとしての覚醒を予感させる。

 ※その他 5位~柿木 蓮(大阪桐蔭高・投手)6位~田宮裕涼(成田高・捕手)

      7位~福田 俊(星槎道都大・投手)

 

 ロッテ1位の藤原恭大大阪桐蔭高・外野手)は、高卒で開幕スタメンを経験し、2安打を放ったが、以降は一軍出場はない。ただファームで打率.234、本塁打4本、盗塁14個で着実にレベルアップしている。7位の松田進(ホンダ・内野手)も初安打を記録している。

 即戦力を期待された大学生投手が頑張っている。2位の東妻勇輔日体大・投手)はリリーフでプロ初勝利を上げ、強力リリーフ陣に厚みました。デビュー戦に打ち込まれた、3位の小島和哉早大・投手)は勝利はないものの、先日は楽天打線を6回無失点に抑え成長を見せた。5位の中村稔弥(亜大・投手)も先発を果たし、ファームで防御率3位の好成績を上げており、左腕の先発不足のチームに大きな期待を抱かせる。

 ※その他 4位~山口航輝(明桜高・外野手)6位~古谷拓郎(習志野高・投手)

      8位~土居豪人(松山聖陵高・投手)

 

●合格点だった西武、ソフトバンク、広島

 合格点だった西武とソフトバンクは、即戦力志向というよりも、地力のあるチームに戦力の厚みを持たせ、広島は得意の育成型もやや指名に偏りがあった。

 投手陣が課題の西武は、松本航日体大・投手)を単独指名し、その松本航は開幕ローテは体調不良で逃したが、すでに5勝を上げ新人王も狙える。

 6位の森脇亮介セガサミー・投手)は、さすがの即戦力で中継ぎで20試合登板は十分合格点を与えられる。逆に3位の山野辺翔三菱自動車岡崎・内野手)は、二塁手のレギュラーも期待されていたが、ファームではまずまずも、一軍で結果を残すことができていない。

 7位の佐藤龍世(富士大・内野手)は、三塁の守備固めが多かったが、けが人が多い状況のなか、先発出場の機会も与えられており、このチャンスを掴み取りたいところだ。4位の粟津凱士(東日本国際大・投手)も、一試合一軍登板を果たした。

 ※その他 2位~渡辺勇太朗(浦和学院・投手)5位~牧野翔矢(遊学館・捕手)

 

 指名した投手5人全員が大学生・社会人だったソフトバンクは、1位の甲斐野央東洋大・投手)が、大学時代と同様に抑えの適性を見せ、44試合に登板し、けが人の多いブルペン陣をカバーする働きを見せている。6位の泉圭輔(金沢星稜大・投手)も、中継ぎで2勝を上げるなど、大学生投手は期待に応えている。

 一方で社会人投手は厳しく、7位の奥村政稔三菱日立パワーシステムズ・投手)の8試合登板だけでは期待に応えられていない。

 ※その他 2位~杉山一樹(三菱重工広島・投手)3位~野村大樹(早実内野手

      4位~板東湧悟(JR東日本・投)5位~水谷瞬(石見智翠館・外野手)

 

 昨シーズン、12球団で唯一ルーキーの一軍出場のなかった広島は、今年は1位の小園海斗報徳学園内野手)と2位の島内颯太郎(九共大・投手)が一軍出場を果たしている。

 1位の小園は、高校生野手で唯一活躍している。レギュラーの田中広の不振もあり、遊撃で先発出場を果たし、得意の守備に2本塁打を放つなど打撃でも成長著しい。島内も中継ぎで14試合に登板し、ファームでもリリーフを務めている。

 同じファームでは、3位の林晃汰智弁和歌山内野手)が5本塁打フレッシュオールスターの出場、6位の正随優弥(亜大・内野手)が規定打席に達している。

 ※その他 4位~中神拓郎(市岐阜商高・内野手)5位~田中法彦(菰野高・投手)

      7位~羽月隆太郎(神村学園高・内野手

 

 18年ドラフトの評価の高かったチームのなかでは、ロッテと西武がまずまずで、ソフトバンクが物足りない結果になっている。中日、日本ハム、広島は育成型指名でまだまだ評価はできない。